有価証券報告書-第55期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

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2016/05/27 11:24
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124項目

業績等の概要

(1) 業績
当期におけるわが国経済は、企業業績が好調を維持するなど緩やかな回復基調が継続する一方で、海外経済における不確実性の高まりによる資本市場の不安定さが顕著となるなど、先行き不透明な状況が続いています。小売業界においては、引き続き消費者マインドが低調に推移するなかで記録的暖冬などの影響も相まって、厳しい状況が続きました。
当社グループにおいては、実行方針である“お客様のために尽くす”のもと、「GMS業界ナンバーワン」を目指し、お客様満足を追求してまいりました。品質・価格ともに競争力のある品揃えの提供に努めるとともに、売場の付加価値を高めていくことで、地域一番店の地位をより確固たるものにすべく、取り組みを推進しました。
店舗面では、「未来を見据えた三世代が集うライフニーズ型ショッピングセンター(SC)」として、4年ぶりとなる大型SC「ゆめタウン廿日市」を新設し、オープン直後より高い集客力を発揮し、好調なスタートを切っています。また、小型店では「ゆめマート新外(しんほか)」、「ゆめマートさが」、「ゆめマートすわの」及び「ゆめモール筑後」を新設し、展開エリアのドミナント化をより一層前進させました。
主な既存店の活性化としては、「ゆめタウン光の森」、「ゆめタウン山口」及び「ゆめタウン久留米」の大規模増床リニューアルを実施しました。三世代や家族連れのお客様がより快適に過ごせる空間づくりを実現するとともに、地域一番店の集客力を更に強化しました。
さらに、広島県地盤の食品スーパー株式会社ユアーズ(以下、「ユアーズ」)が実施する第三者割当増資を引き受け、同じく徳島県地盤の株式会社デイリーマート(以下、「デイリーマート」)の株式を取得し、それぞれを連結子会社としました。これらに加え、前期に連結子会社化した株式会社スーパー大栄(以下、「スーパー大栄」)及び株式会社広栄(以下、「広栄」)と協働して既存店の活性化に取り組むとともに、カード戦略の共有化、共同仕入れの拡大、原価交渉力の強化並びに物流・システムの連携等協力関係を深化させ、コスト削減に努めました。
なお、「広栄」は、平成27年9月1日付で、連結子会社の株式会社ゆめマート(以下、「ゆめマート」)が吸収合併しており、「スーパー大栄」は、平成28年2月18日付で、簡易株式交換により当社の完全子会社としています。
これらの結果、当期の営業成績は以下のとおり増収増益となり、過去最高を更新しました。
金額前期比
営業収益668,784百万円15.4%増
営業利益31,912百万円5.2%増
経常利益31,102百万円4.5%増
当期純利益18,766百万円8.1%増

営業成績の主な増減要因
①営業収益及び売上総利益
営業収益のうち、売上高は前期比86,008百万円(15.6%)増加し、638,754百万円となりました。また、営業収入は前期比3,037百万円(11.3%)増加し、30,029百万円となりました。これは、主に当社における堅調な既存店販売、新設店舗による販売増に加え、新規連結子会社の「スーパー大栄」及び「ユアーズ」などが寄与したことによるものです。
売上総利益は、137,408百万円(前期比20,477百万円の増加)となりました。売上高対比では21.5%となり前期に比べて0.3ポイント上昇しました。
②販売費及び一般管理費並びに営業利益
販売費及び一般管理費は、連結子会社の増加、当社における新設店舗の創業経費や人件費などが増加した一方、堅実なコントロールに努めました。これらの結果、前期比21,932百万円(19.3%)増加の135,525百万円となりました。売上高対比では21.2%となり前期に比べて0.6ポイント上昇しました。
これらの結果、営業利益は前期比1,582百万円(5.2%)増加の31,912百万円となり、売上高対比で5.0%と前期に比べて0.5ポイント低下しました。
③営業外損益及び経常利益
営業外収益は、「スーパー大栄」を持分法適用会社より連結子会社としたことで、持分法による投資利益が減少し、前期比41百万円減少の1,431百万円となりました。一方、営業外費用は前期比205百万円増加の2,242百万円となりました。
これらの結果、経常利益は前期比1,335百万円(4.5%)増加の31,102百万円となり、売上高対比は4.9%と前期に比べて0.5ポイント低下しました。
④特別損益、法人税等、少数株主利益及び当期純利益
特別利益は、主に投資有価証券売却益1,009百万円や補助金収入369百万円を計上し、1,446百万円となりました(前期比1,409百万円の増加)。一方、特別損失は、減損損失865百万円、固定資産除却損336百万円、並びに事業整理損失引当金繰入額433百万円などを計上し、2,164百万円となりました(前期比871百万円の増加)。
法人税等は、12,004百万円となりました(前期比1,061百万円の増加)。また、少数株主利益は△386百万円となりました(前期は207百万円)。
これらの結果、当期純利益は前期比1,405百万円(8.1%)増加の18,766百万円となりました。売上高対比は2.9%と前期に比べて0.2ポイント低下しました。
⑤その他
自己株式について、当期に373千株(買取請求分を含む)取得しました。この効果も加わり、当期の1株当たり当期純利益は261.96円(前期比20.36円の増加)となり、当期末の1株当たり純資産は2,060.44円(前期末比184.22円の増加)となりました。
各セグメントの業績
当期より報告セグメントの区分を一部変更し、前期比の金額及び比率については、前期を当期において用いた報告セグメントの区分に組替えて算出しています。
■営業収益
前期
(H26年3月~H27年2月)
当期
(H27年3月~H28年2月)
増減(金額)増減(率)
小売事業557,928百万円648,575百万円90,647百万円16.2%
小売周辺事業48,972百万円72,205百万円23,232百万円47.4%
その他4,865百万円4,887百万円22百万円0.5%
調整額△32,027百万円△56,884百万円△24,857百万円
合計579,739百万円668,784百万円89,045百万円15.4%

■営業利益
前期
(H26年3月~H27年2月)
当期
(H27年3月~H28年2月)
増減(金額)増減(率)
小売事業26,182百万円27,686百万円1,504百万円5.7%
小売周辺事業3,581百万円3,796百万円214百万円6.0%
その他758百万円739百万円△18百万円△2.4%
調整額△191百万円△309百万円△117百万円
合計30,330百万円31,912百万円1,582百万円5.2%

①小売事業
当社グループのコア・ビジネスである小売事業では、前年度における消費税率引き上げに伴う反動減の影響は一巡したものの、消費者の選択的消費志向は継続しており、厳しい状況が続きました。
商品面では、二極化する消費行動に対応するため、品質、鮮度、安全性が高い商品を値ごろに提供する“いいものを安く”をさらにブラッシュアップし、付加価値の提案及びマスメリットの追求に努めてきました。地域特性に応じて、投入商品や価格設定を見直すとともに、原価低減活動を通じてより競争力ある商品を提供してきました。また、月・週単位での販売動向の仮説を立て重点販売商品を投入し続けていく取り組みについてもより注力し、常に鮮度が高い楽しい売場を演出することで集客を図り、販売増加に繋げました。
店舗面では、6月に「ゆめタウン廿日市(広島県廿日市市、店舗面積46,000㎡)」を新設しました。4年ぶりの大型新店であり、地方自治体による少子高齢化対策の一環としてのコンパクトシティ化の一翼を担うべく、「未来を見据えた三世代が集うライフニーズ型ショッピングセンター」として誕生しました。オープン直後より高い集客力を発揮し、好調なスタートを切っています。また、小型店としては、6月に「ゆめマート新外(熊本市東区)」、8月に「ゆめマートさが(佐賀県佐賀市)」、11月には「ゆめマートすわの(福岡県久留米市)」及び「ゆめモール筑後(福岡県筑後市)」を新設し、展開エリアのドミナント化をより一層前進させました。
また、既存店の活性化を積極的に実施し、食品などの直営売場を拡張し、品揃えを強化するとともに有力テナントへの入れ替えを推進することで店舗競争力を強化しました。主な既存店の活性化としては、4月に「ゆめタウン光の森(熊本県菊池郡菊陽町)」、9月に「ゆめタウン山口(山口県山口市)」、11月には「ゆめタウン久留米(福岡県久留米市)」の大規模増床リニューアルを実施しました。三世代や家族連れのお客様がより快適に過ごせる空間づくりを実現するとともに、地域一番店の集客力を更に強化しました。
さらに、10月には広島県地盤の食品スーパー「ユアーズ(広島県安芸郡海田町)」が実施する第三者割当増資を引き受け、11月には同じく徳島県地盤の「デイリーマート(徳島県美馬市)」の株式を取得し、それぞれを連結子会社としました。これらに加え、前期に連結子会社化した「スーパー大栄」及び「広栄」と協働して既存店の活性化に取り組むとともに、カード戦略の共有化、共同仕入れの拡大、原価交渉力の強化、物流・システムの連携等協力関係を深化させ、コスト削減に努めました。
なお、「広栄」は、平成27年9月1日付で、連結子会社の「ゆめマート」が吸収合併しており、「スーパー大栄」は、平成28年2月18日付で、簡易株式交換により当社の完全子会社としています。
これらの取り組みに対して販売動向は、消費税率引き上げ後の消費回復の遅れが長期化するなかでも、全般的に堅調に推移しました。上期においては、春先に好天にも恵まれ衣料品などの季節商材が伸びたほか、「北陸フェア」や「北海道フェア」などの特色ある催事企画、ゴールデンウィーク商材や母の日ギフトなどで好成績を収めました。また、夏場前半においては、低気温・雨天が続き、シーズン品の販売が鈍化するなど厳しい状況が続いたものの、梅雨明け後には全国的な猛暑となり、盛夏商戦は好調に推移しました。さらに、お盆の帰省時期に合わせた来年度の新入学向けランドセルの積極展開などにより、三世代需要の早期取り込みを図りました。下期においては、5連休となったシルバーウィーク商戦などにおいて特色ある催事企画を実施するとともに、地元テレビ局とのタイアップで盛り上げました。また、年末までの記録的暖冬により、冬物衣料、寝具などのシーズン品や鍋材料などの動きは鈍いなか、年末年始のハレの日関連消費等は食品分野を中心に堅調で、積極的な取り込みを行い、衣料品部門等では、冬物在庫の処分を着実に進めることで利幅の確保に努めました。これらにより、当期における当社の既存店売上高は前年同期比では1.4%増となりました。
コスト面では、「スーパー大栄」など連結子会社の増加、当社における新設店舗の創業経費や人件費などが増加した一方、仕入原価の低減に努めたことに加え、堅実な経費コントロールに努めました。
これらの結果、営業収益は648,575百万円(前期比16.2%増)、営業利益は27,686百万円(前期比5.7%増)となりました。
②小売周辺事業
小売周辺事業では、引き続き電子マネー「ゆめか」の利用拡大やショッピング時のクレジット利用を推進しました。また、当社の新設店舗における新規会員の獲得に努めるとともに、新規連結子会社「ユアーズ」、「デイリーマート」へのカードシステム導入を推し進めました(「ゆめか」の累計発行枚数は、前期末475万枚、当期末551万枚)。地域通貨としての地位を確立していくとともに、利用頻度の向上により「量」から「質」への転換を図り、お客様の利便性向上、レジ業務の生産性改善に努めました。これらの取り組みを通じて、外部加盟店よりの取扱手数料収入の拡大に加え、小売事業への集客力向上にも寄与しました。また、一部の業務において、他セグメントとの取引条件を見直したほか、次代を見据えたシステム増強などを行いました。
これらの結果、営業収益は72,205百万円(前期比47.4%増)、営業利益は3,796百万円(前期比6.0%増)となりました。
③その他
卸売事業では、円安の進行は一巡したものの、仕入価格の上昇に加え、低調な消費環境により利益水準は低下しました。また、不動産賃貸事業では、安定した賃料収入を計上しつつ、諸経費の節減に努めました。
これらの結果、営業収益は4,887百万円(前期比0.5%増)、営業利益は739百万円(前期比2.4%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
前期
(H26年3月~H27年2月)
当期
(H27年3月~H28年2月)
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー52,246百万円13,553百万円△38,692百万円
投資活動によるキャッシュ・フロー△20,897百万円△26,071百万円△5,173百万円
財務活動によるキャッシュ・フロー△25,159百万円12,956百万円38,116百万円

営業活動によるキャッシュ・フロー
・主な収入項目は、税金等調整前当期純利益30,384百万円、減価償却費15,044百万円です。
・主な支出項目は、法人税等の支払額11,741百万円、仕入債務の減少額12,995百万円及び売上債権の増加額2,663百万円です。
・前期と比較すると38,692百万円減少しました。これは主に期末日の曜日の影響により、債権債務が変動したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
・主な支出項目は、有形固定資産の取得による支出25,914百万円です。これは主に、当期の店舗新設等です。
・主な収入項目は、投資有価証券の売却による収入2,427百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フロー
・主な収入項目は、短期借入金の純増減額28,236百万円、長期借入れによる収入31,252百万円です。
・主な支出項目は、長期借入金の返済による支出39,797百万円、自己株式の取得による支出2,169百万円及び配当金の支払額4,228百万円です。
以上の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期末対比439百万円増加し、13,429百万円となりました。