有価証券報告書-第37期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

【提出】
2018/05/25 14:59
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【項目】
64項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(2017年3月1日~2018年2月28日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いており、小売業界におきましても、消費者マインドの改善に持ち直しの動きが総じてみられました。
このような状況のもと、当社グループは「くらし、たのしく、あたらしく」という企業理念を掲げ、グループ独自の経営資源を最大限に活用した小売事業モデルの改革に努める一方、「社会・生活インフラ」として消費者の生活に欠かすことのできない存在となることを目指しております。
これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は1兆2,753億円(前連結会計年度比51.1%増)、税引前利益は286億3千9百万円(同15.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は336億5千6百万円(同55.9%増)となりました。
セグメントごとの業績は、以下のとおりであります。
①コンビニエンスストア事業
株式会社ファミリーマートにおいては、より競争力のある強いチェーンとなるために、「全社一丸」となってサークルK・サンクスブランドのファミリーマートへのブランド転換を進めるとともに、「中食構造改革」「マーケティング改革」「オペレーション改革」の3大改革を推進しております。
ブランド転換では、2018年2月末累計転換店舗数は3,549店、転換店では日商及び客数が前年を上回り推移しております。国内17,000を超える店舗ネットワークを活用する一方、2017年に完了した中食を中心とした商品や物流拠点の統合を契機として、統合効果の更なる発揮を進めております。
プロモーション面では、TVCMを始めとした販促効果を最大限活用し拡販に繋げる「マーケティング改革」を推進しております。中でも、ファミリーマートの看板商品である「ファミチキ」を擬人化したオリジナルキャラクター「ファミチキ先輩」が、年間を通じて訴求すべき商品カテゴリーを熱くPRしております。また、2018年1月には、累計販売本数1億本突破を記念した「炭火焼きとり大感謝祭」を開催すると共に、アニメーションでも人気の「けものフレンズ」とコラボした「ウインターフェスタ」を開催し、いずれも好評を博しました。
運営面では、「オペレーション改革」の更なる加速を目的とした部門横断組織を立ち上げ、店舗スタッフの業務効率化を始めとする抜本的な改革を推進しております。次世代POSレジの全店導入や清掃時間の短縮が図れる新たな用度品導入等を進め、店舗作業の軽減に努めてきました。
開発面では、ブランド転換と共にB&S(ビルド&スクラップ)での出店を進めることで、高質な店舗網の構築に努めております。2018年2月には、東北地方初となる全国農業協同組合連合会(JA全農)との一体型店舗「ファミリーマートプラス全農ふれあい広場もとさわ店」を開店しました。生鮮(青果・精肉)や日配品、独自ブランド商品等JA全農が得意とする品揃えを行う一方、イートインスペースを店内に設置することで地域コミュニティとしての機能も果たしていきます。
国内のその他の事業では、2018年1月には、全国のファミリーマートを中心に設置している約13,000台のイーネットATMにおいて、ゆうちょキャッシュカードでの利用手数料が一部時間帯で無料となるサービスを開始しました。また、高まる健康志向への対応と加盟店の事業拡大を目的にフィットネス事業へ新たに参入、同年2月には、「Fit&GO」ブランドとしての24時間型フィットネスジム1号店「Fit&GO大田長原店」を開店しました。
ダイバーシティの推進では、女性の活躍を目指した活動組織「FamilyMart Women Project」を立ち上げ、女性視点での働き方に関するアイデアを実証実験として事業所毎に行い、好事例を社内表彰すると共に全社への共有化を図りました。また、障がい者雇用に継続して取り組むと共に、店舗や農場、本社等障がいを持つ社員が活躍する場を多方面に広げていくなど、誰もが働き甲斐のある職場環境の整備を進めております。
当連結会計年度末の国内店舗数は17,232店(国内エリアフランチャイザー3社計919店を含む)となりました。海外事業では、台湾、タイ、中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン及びマレーシアにおいて6,849店となり、国内外合わせた全店舗数は24,081店となりました。
これらの結果、コンビニエンスストア事業の営業収益は5,608億8千万円(前連結会計年度比15.8%増)、セグメント損失(親会社の所有者に帰属する当期損失)は12億8千5百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期利益112億7千8百万円)となりました。
②総合小売事業
ユニー株式会社においては、「原点回帰」をスローガンとし、「個店経営」「店舗の魅力」を経営方針に掲げました。小売業の「原点」とは、「商品」「52週マーチャンダイジング」「品揃え」「売場環境」「従業員のおもてなし」であり、この5つを一体として今一度磨き上げ、お客様に提供してまいりました。
商品面では、女性社員が女性視点で商品開発に取り組む「デイジーラボ」から、オリジナル寝具シリーズ
「Daisy Home Resort」、衣料開発商品「easy care」シリーズ等を発売しました。また、健康をテーマとするプライベートブランド「スタイルワンヘルシー」シリーズの「減塩昆布佃煮」3アイテムが、2017年5月に日本高血圧学会減塩委員会主催の「第3回JSH減塩食品アワード」で金賞を受賞しました。2017年11月には、減塩を通じた健康増進の取り組みが評価され、「第6回健康寿命をのばそう!アワード」において厚生労働大臣優秀賞を受賞しました。また、高齢者や共働き世帯増を背景とした中食ニーズが高まる中、「中食構造改革プロジェクト」を新たに立ち上げ、「毎日感動できる惣菜」をコンセプトとした商品開発を進めました。
プロモーション面では、顧客囲い込みに重点を置き、毎月1~15日の期間中にUCSカード会員が自由に選んだ1日に5%割引チケットを提供する「UCSプレミアムチケット」企画や、UCSカードやユニコカード会員に対し、衣料品・住居関連品には通常の10倍以上、食品には通常の2倍のお買上げポイントを提供する「ポイント感謝祭」等、同カード会員に対する企画の強化に取り組んでおります。
開発面では、2017年9月に名古屋市中区の複合施設「テラッセ納屋橋」に、「都心で暮らす便利さ、楽しさ、豊かさを一緒に感じるパートナーでありたい」をコンセプトとした新型食品スーパー「ラ フーズコア納屋橋店」を21の専門店と共にオープンしました。
店舗活性化では、「TSUTAYA」「スターバックスコーヒー」などで構成する「草叢BOOKS」と、直営の衣料品・住居関連品売場を組み合わせた新たなライフスタイル提案型ショッピングセンターとして、2017年2月にアピタ新守山店、同年4月にアピタ各務原店をリニューアルオープンしました。また、総合スーパーの利便性向上を目的とした「ファミリーマートサービススポット」は、2017年3月のテラスウォーク一宮を皮切りに2018年2月末現在16店で展開し、今後もサービスメニューを拡充していきます。
環境・社会貢献への取り組みでは、2018年1月には、一般社団法人日本有機資源協会が主催する第5回「食品産業もったいない大賞」において農林水産大臣賞を受賞、同年2月には、地域の生産者や学生・障がい者とものづくりを通して環境と社会に貢献できる「リ デザイン プロジェクト」が、愛知県主催「2018年愛知環境賞」で優秀賞を受賞しました。
当連結会計期間の既存店売上高は前年同期比100.0%(衣料1.2%増、住居関連1.4%増、食品0.2%減)となりました。衣料は冬物が好調であったほか、住居関連もTVゲームの新製品等に加え、寝装品などの冬物や厳選特価品が好調に推移しました。食品は第4四半期にかけ鍋物向けなど冬物商材が堅調に推移しました。なお、ユニー株式会社の当連結会計年度末の店舗数は191店となりました。
これらの結果、総合小売事業の営業収益は7,187億6千8百万円(前連結会計年度比99.3%増)、セグメント利益(親会社の所有者に帰属する当期利益)は177億8百万円(同80.3%増)となりました。
なお、2017年8月に株式会社ドンキホーテホールディングスと当社との間で締結した資本提携及び業務提携に関する基本合意書に基づき、2018年2月には、株式会社ドンキホーテホールディングスとユニー株式会社の強み・ノウハウを集結させた業態転換店舗「MEGAドン・キホーテUNY大口店」がリニューアルオープンし、地域を始めとした多くのお客様に来店頂いております。今後も、同店を含む「アピタ」「ピアゴ」の6店を2018年3月迄に随時全館リニューアルオープンさせるなど、両社の経営資源や独自の強み・ノウハウを活かした様々な協働を通じて、ユニー株式会社の中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,527億2千9百万円となり、前連結会計年度に比べ693億7千8百万円増加しております。これは、コンビニエンスストア事業における店舗数の増加に伴い、買掛金が増加した等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は495億2百万円となり、前連結会計年度に比べ188億4千5百万円増加しております。これは、コンビニエンスストア事業におけるサークルK・サンクスブランドのファミリーマートブランドへの転換や、総合小売事業における既存店改装により店舗投資が継続している一方で、前期の事業の取得による影響や有形固定資産及び投資不動産の売却収入が増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は378億7千5百万円となり、前連結会計年度に比べ329億6千万円増加しております。これは、コマーシャル・ペーパーの償還による支出が増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ648億8千5百万円増加し、2,531億7千4百万円となりました。
(3)並行開示情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については、償却年数を見積り、その年数にわたり償却しておりましたが、IFRSでは、移行日以降の償却を停止しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が8,696百万円減少しております。
(退職給付にかかる費用)
日本基準では、発生した数理計算上の差異および過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、数理計算上の差異は発生時にその他の包括利益として即時認識するとともに、直ちに利益剰余金に振り替えております。また、過去勤務費用は発生時に損益として認識しております。
利息の計算において、日本基準では退職給付債務に割引率を乗じて算定した利息費用と、年金資産に長期期待運用収益率を乗じて算定した期待運用収益を使用しておりましたが、IFRSでは確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額に割引率を乗じて算定した利息純額を使用しております。
これらの影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が1,740百万円増加しております。