有価証券報告書-第27期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 10:17
【資料】
PDFをみる
【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や金融政策によって企業収益と雇用環境に改善が見られ、景気は緩やかな回復基調となったものの、海外経済の下振れリスクは残っており、不安定な状況が継続しております。個人消費も徐々に上向く兆しが見られますが、円安などによる物価上昇を背景に、消費マインドの持ち直しは足踏み状態となりました。
衣料品小売業界においては、夏から秋にかけて天候条件に恵まれ秋物商品の動きが活発化したことに加え、都市部を中心にした訪日外国人客の増加が百貨店や専門店等の売上の後押しとなりました。しかしながら、暖冬の影響による冬物衣料の停滞、春先の低気温による春物商戦の遅れが見られた他、消費者物価の上昇や景況感への不安を背景にお客様の節約志向や慎重な購買行動は続いており、衣料品の販売環境は厳しい状況にあります。
このような状況の下、当社は平成28年3月期の単年度経営スローガンとして「目の前のお客様大満足」を掲げました。社是の「店はお客様のためにある」に立ち返り、「目の前のお客様大満足」を全ての判断軸として社員全員が自分にできるお客様大満足を考え、行動することを目指しました。このスローガンの達成に向けて「商品・販売・宣伝部門連携サイクルの徹底強化」と「在庫増加の抑制」を重点取組課題に定め、さまざまな施策に取り組みました。
「商品・販売・宣伝部門連携サイクルの徹底強化」については、夏のセール商品の在庫投入を抑制して晩夏商品や初秋物商品の販売を早め、ビッグシルエットのカット、ガウチョパンツ、ロング丈のカーディガンをはじめとするトレンド商品のヒットにつなげました。ネット通販においては、在庫投入の強化や先行受注会の取り組み拡大によって、堅調な売上推移となりました。ユナイテッドアローズ事業やクロムハーツ事業を中心に訪日外国人による売上も拡大しており、免税対応店舗数の拡大や販売員の語学研修等により、対応力を強化いたしました。
「在庫増加の抑制」については、平成28年3月期末在庫の伸長率を売上高伸長率以下に抑えることを目標に掲げました。当連結会計年度については、必要な在庫量を慎重に見極めた適切な調達計画の策定と実施により効率的な運営を目指しました。過去在庫については、アウトレット店舗の新規出店やネット通販アウトレットモールへの期間限定出店、催事イベントの開催を通じて販売を進めました。当連結会計年度末のたな卸資産(商品+貯蔵品)の前期比は連結2.1%増、単体1.6%増となり、同期間の売上高伸長率(連結7.5%増、単体7.8%増)以下となりました。
出退店では、ユナイテッドアローズ事業:13店舗の出店、3店舗の退店、グリーンレーベルリラクシング事業:9店舗の出店、2店舗の退店、スモールビジネスユニット:2店舗の出店、6店舗の退店、アウトレット:2店舗の出店を実施し、当連結会計年度末の小売店舗数は234店舗、アウトレットを含む総店舗数は257店舗となりました(期末店舗数にはユナイテッドアローズ事業において年度末日に退店した2店舗およびスモールビジネスユニットにおいて年度末日に退店した1店舗の計3店舗が含まれております)。
連結子会社の株式会社フィーゴは、主として取り扱うイタリア製革小物ブランドであるフェリージにおいて、ビジネス・カジュアル兼用のバッグが好調に推移したものの、ビジネスバッグなどが前年を下回る売上となった結果、減収減益となりました。出退店では2店舗の出店、1店舗の退店を実施し、当連結会計年度末の直営店舗数は18店舗となりました。
連結子会社の株式会社コーエン(決算月:1月)は、暖冬による冬物の苦戦やトレンドアイテムのシルエット・色などへの対応に遅れが生じ、値引き販売が増加した結果、増収減益となりました。出退店では6店舗の出店を実施し、当連結会計年度末の店舗数は79店舗となりました。
連結子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)は、引き続き、SNSの活用による販売促進や台湾のお客様の嗜好に合わせた商材の展開等により、概ね計画に沿った業績進捗となりました。出退店ではアウトレット店舗を台湾新北市林口区に出店し、当連結会計年度末の店舗数は3店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高については、新店出店に伴う増収、既存店の増収、ネット通販の伸長等により、前期比7.5%増の140,919百万円となりました。なお、株式会社ユナイテッドアローズにおける小売+通販既存店売上高前期比は103.8%となりました。売上総利益率は円安の影響やアウトレット店舗等を活用した過年度商品の値引き販売等に伴い、前期から1.1ポイント減の50.8%となりましたが、増収に伴い売上総利益額は前期比5.2%増の71,573百万円となりました。販売費及び一般管理費率は、固定費の抑制等に伴い、前期から0.3ポイント低減の42.9%となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は11,071百万円(前期比2.5%減)、経常利益は11,175百万円(前期比3.2%減)となりました。また、法人税率の低減、減損損失の減等により、親会社株主に帰属する当期純利益
は前期比2.6%増の6,494百万円となりました。

(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ214百万円増加し、当連結会計年度末には、5,799 百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11,689百万円(前連結会計年度比147.1%増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益10,450百万円、減価償却費1,794百万円および仕入債務の増加額1,728百万円であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増加額491百万円および法人税等の支払額2,947百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,351百万円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。
これは、主に新規出店および改装等に伴う有形固定資産の取得2,090百万円および差入保証金の差入による支出753百万円等があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は8,139百万円(前連結会計年度比512.5%増)となりました。
これは、短期借入金の純減少額が2,350百万円、長期借入金の返済による支出が2,004百万円、自己株式の取得による支出1,418百万円、配当金の支払額2,376百万円等があったこと等によるものであります。