有価証券報告書-第34期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 14:54
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【項目】
85項目

業績等の概要

(1) 業績
① 全般的な営業の概況
当事業年度におけるわが国の経済は、一部に弱さがみられるものの政府の経済政策や日銀の金融緩和策などを背景に企業収益や雇用・所得環境に改善がみられ、景気は緩やかな回復基調で推移しております。しかしながら中国をはじめとするアジア新興国の景気減速、資源価格の下落など海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動による影響により、わが国の景気を下押しするリスクも存在しており、先行きは不透明な状況となっております。
当社が属する外食産業においては、中食需要の高まりにより外食のみならず他業種も含めた企業間との競合が激化するなか、人材不足による採用活動費や人件費の増加、また原材料価格の高騰等の問題が深刻化し、経営環境は厳しい状況で推移しております。個人消費に関しても、雇用環境が改善に向かう一方で所得の伸びが弱く、消費マインドに足踏みがみられるなど、当社を取り巻く環境は不透明な状況となっております。
このような状況のなか、当社は中長期的な経営戦略として既存事業の安定した収益基盤の下で新規事業を創出、発展させていくという方針を掲げており、成長性と収益性を兼ね備えた企業を目指し、「①既存店の研鑽~何度でも足を運んでいただける店づくり~」「②新たな魅力の創造~様々なシーンでご利用いただくために~」「③商圏の拡大~新しいフィールドへの展開~」の3つの課題に取り組み、営業活動を進めてまいりました。
当社の新たな魅力として注力している製菓販売では、平成27年4月に焼菓子の製造に特化した製菓工房「アトリエうかい八王子工房」を新設し、品質向上と量産可能な体制を整え、更にはお客様からのご要望が多かった新商品の展開も行い、焼菓子「フールセック・サレ缶」や「菓子よろし紋様缶」「菓子よろしふきよせ」等の新商品を発売し大変ご好評いただきました。また新たな試みとして商業施設への期間限定ショップの出店を積極的に行い、平成27年9月にJR東日本品川駅構内の「エキュート品川」(東京都港区)、平成28年1月にバレンタインショップとして大丸東京店(東京都千代田区)へ出店し、製菓のブランドを幅広く知っていただく機会となり、また新たな販路拡大への足掛かりとなりました。
商圏の拡大への取り組みとしては、全日本空輸株式会社(ANA)の国際線(台湾発日本路線)ビジネスクラスの機内食サービスにて「とうふ屋うかい」監修のスペシャルメニューを平成28年1月、4月、10月の期間限定で提供することとなり、多くの方に当社のブランドを知っていただく機会となっております。
また経営体制におきましては、コーポレート・ガバナンス体制強化への社会的要求が高まるなか、当社の業務執行に対する監督機能の充実のため、平成27年6月23日開催の定時株主総会において社外取締役を1名選任し、強化を図りました。また平成28年2月に組織変更を行い、製菓をはじめとする物販商品のブランド価値の更なる向上、また今後の事業展開における迅速かつ的確な意思決定を行うことを目的に、製菓事業部を新たに新設した物販事業部に一元化いたしました。
② 当事業年度の業績全般
当事業年度の業績は、以下のとおりです。
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
当期純利益又は
当期純損失(△)
(百万円)
1株当たり
当期純利益又は
1株当たり
当期純損失(△)
(円)
平成27年3月期12,234256187285.48
平成28年3月期12,071165128△129△25.20
増減率△1.3%△35.6%△31.1%--

当事業年度の業績は、後述のセグメントごとの業績の記載にある文化事業の来館者数減少による減収を主因に売上高12,071百万円(前事業年度比1.3%減)、営業利益165百万円(前事業年度比35.6%減)、経常利益128百万円(前事業年度比31.1%減)となりました。加えて保有する固定資産の資産価値を勘案し、2店舗について減損処理による特別損失176百万円等を計上した結果、当期純損失129百万円(前事業年度は当期純利益28百万円)となりました。
セグメントの状況は、次のとおりであります。
[飲食事業]
飲食事業では、それぞれの店舗がもつ独自の魅力を最大限に活かし、継続的な来店機会の創出と新規顧客の獲得のため、新しいメニューのご提案や企画・イベントを行うなど、販売促進活動に努めてまいりました。併せて店舗の世界観を更に広げる施設の改修等も積極的に行い、お客様に店舗でのひとときを喜んでいただけるような取り組みを継続して進めてまいりました。
一部店舗では施設改修に伴う店舗の稼働率低下や定休日導入に伴う営業日数の減少等の影響により来客数が減少したものの、国内における訪日外客数の推移が伸長したことを背景に、当社の都心店舗を中心にインバウンド需要の増加や、平成26年4月に開業した「銀座kappou ukai」のブランド認知の向上効果、製菓販売において新商品の展開や期間限定ショップ販売の寄与等もあり、売上高は11,112百万円(前事業年度比0.5%増)となりました。
[文化事業]
文化事業では、箱根ガラスの森において特別企画展「魅惑の香水瓶─貴族が愛した香りの芸術─」を平成27年4月から11月に開催し、また様々な企画やイベント等を行うなど、多くのお客様にご来館いただけるようプロモーションの強化等、販促の徹底を図ってまいりました。しかしながら平成27年5月より箱根大涌谷周辺の火山活動が活発化し、6月には噴火警戒レベルが3(入山規制)まで引き上げられたことにより、箱根に訪れる観光客数が減少し、当館においてもその影響を受けて、上半期は来館者数が前年同期に比べ大幅に減少いたしました。その後、火山活動は徐々に沈静化し、噴火警戒レベルが11月にはレベル1へと引き下げられたことに伴い、当館における来館者数は回復基調にはあるものの、上半期の減少を補うには至らず、売上高は959百万円(前事業年度比18.4%減)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ427百万円減少し、211百万円(前事業年度比66.9%減)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は508百万円(前事業年度比46.2%減)となりました。主な要因は、収入の内訳として減価償却費548百万円、減損損失176百万円、支出の内訳として税引前当期純損失51百万円、未払消費税等の減少額142百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は232百万円(前事業年度比0.8%増)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得により214百万円の支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は703百万円(前事業年度比78.2%増)となりました。主な要因は、配当金の支払により77百万円、借入金の返済により644百万円の支出があったことによるものであります。