臨時報告書

【提出】
2021/04/23 15:07
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主であるサントリーホールディングス株式会社(以下「サントリー」といいます。)から、会社法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本売渡請求」といいます。)の通知を受け、2021年4月23日開催の取締役会において、本売渡請求を承認することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2021年4月23日
(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号サントリーホールディングス株式会社
本店の所在地大阪市北区堂島浜二丁目1番40号
代表者の氏名代表取締役社長 新浪 剛史

(3)当該通知の内容
当社は、サントリーから、当社の会社法第179条第1項に定める特別支配株主(以下「特別支配株主」といいます。)として、当社の株主の全員(但し、当社及びサントリーを除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その有する当社の普通株式(以下「当社株式」といい、本売渡株主が有する当社株式を、以下「本売渡株式」といいます。)の全部をサントリーに売り渡すことの請求に係る通知を2021年4月23日付で受領いたしました。当該通知の内容は以下のとおりです。
① 特別支配株主完全子法人に対して本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号、第3号)
サントリーは、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本売渡対価」といいます。)として、その有する本売渡株式1株につき1,300円の割合をもって金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2021年6月1日
⑤ 本売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
サントリーは、本売渡対価の全てを、サントリーが保有する現預金を原資として支払うことを予定しております。サントリーは、2021年4月23日時点において、本売渡対価の支払のための資金に相当する額の銀行預金を保有しております。なお、サントリーにおいて、本売渡対価の支払いのための資金の確保に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する具体的なおそれも現在認識しておりません。
⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本売渡対価は、取得日後合理的な期間内に、取得日の前日における最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。
ただし、当該方法による交付ができなかった場合には、本売渡対価の交付について当社の本店所在地にて当社が指定した方法により(本売渡対価の交付についてサントリーが指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対する本売渡対価の支払を実施するものとします。
なお、当社が2020年12月25日に公表した「本社移転に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、2021年5月中を目途に、当社の本店所在地を東京都港区台場2-3-3(サントリーワールドヘッドクォーターズ内)に移転することを予定しております。
2.本売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2021年4月23日
(2)当該決定がされた年月日
2021年4月23日
(3)当該決定の内容
サントリーからの通知のとおり、同社による本売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
サントリーが2021年2月12日から2021年4月14日までを買付け等の期間として実施した当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して当社が2021年2月12日に提出した意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本売渡請求は、本公開買付けの結果、サントリーが当社の議決権の90%以上を保有するに至ったことから、当社株式(但し、サントリーが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを取得し、当社株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本売渡対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されております。
当社は、本意見表明報告書の「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社における意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、以下の過程及び理由により、本取引は当社グループ(当社並びにその連結子会社及び持分法適用関連会社を総称して「当社グループ」といいます。以下同じです。)の企業価値の向上に資するものであると判断するに至りました。
当社は、2020年9月中旬にサントリーより公開買付けを通じた完全子会社化を検討している旨の意向を受けたことを契機として、同年10月上旬より当社とサントリーの実務者間で具体的なプロセスの協議を開始し、2020年10月14日にサントリーより本取引の実施に向けた検討及び協議を開始したい旨の意向表明書を受領しました。当社は、サントリーとの間で本取引に係る協議を開始するに際し、当社がサントリーの連結子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、2020年10月上旬に当社及びサントリーから独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、同法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、サントリーから独立した立場で、当社グループの企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。具体的には、2020年10月上旬より、当社の独立社外取締役及び社外有識者から構成される特別委員会の設置に向けた準備を開始し、2020年11月2日開催の当社取締役会の決議により、小松美喜男氏(当社独立社外取締役(監査等委員))、葉山良子氏(当社独立社外取締役(監査等委員))及び社外有識者である熊谷均氏(トラスティーズFAS株式会社、代表取締役パートナー)の3名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し(詳細については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)、本特別委員会に対し、(ⅰ)本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かを検討し、当社取締役会に勧告を行うこと、並びに(ⅱ)当社取締役会における本取引についての決定が、当社の一般株主にとって不利益なものでないかについて検討し、当社取締役会に意見を述べることについて諮問(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)しました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(ⅰ)当社取締役会は、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には本取引を行う旨の意思決定を行わないこと、及び(ⅱ)本特別委員会に対して、(a)サントリーとの間で取引条件等についての交渉(当社役職員やアドバイザーを通じた間接的な交渉を含みます。)を行うこと、(b)必要に応じ、当社の費用負担により、自らの財務のアドバイザー若しくは第三者算定機関及び法務のアドバイザー(以下「アドバイザー等」といいます。)を選任又は指名すること、又は当社のアドバイザー等を指名し、若しくは承認(事後承認を含みます。)すること(なお、本特別委員会は、当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができます。)ができること、(c)本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めることができること、及び(d)当社グループの役職員から本取引に関する検討及び判断に合理的に必要な情報を受領することができること等の権限を付与することを決議しております。また、本特別委員会は、2020年11月2日開催の第1回特別委員会において、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、森・濱田松本法律事務所を当社のリーガル・アドバイザーとすることについて承認するとともに、複数のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関の候補者の独立性及び専門性等を検討の上、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、当社及びサントリーから独立した株式会社 KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)を選定しました。
さらに、当社は、サントリーから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております(かかる検討体制の詳細については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)。
その後、本特別委員会は、本取引に係るサントリーの提案内容を踏まえ、当社の事業の状況、事業環境、経営課題、事業計画の内容、本取引の当社事業に対する影響等について当社から説明を受け、これらの点に関する検討及び協議を行いました。その中でも、サントリーに対して提示する事業計画、及びKPMGが当社株式の株式価値の算定において基礎とする事業計画に関しては、本特別委員会は、当該事業計画が、必要に応じて、8名からなる本取引に係る検討を行うプロジェクトチーム(以下「プロジェクトチーム」といいます。)からの情報提供及び意見聴取やKPMGのサポートを得つつ、現にサントリーグループ(サントリー並びにその子会社及び持分法適用会社を総称して「サントリーグループ」といいます。以下同じです。)の役職員を兼任する者又は過去にこれらの役職員であった者以外の者であり、サントリーグループからの独立性の高い役職員のみの4名で構成される独立チーム(以下「独立チーム」といいます。プロジェクトチーム及び独立チームの設置の背景及びその詳細については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した検討体制の構築」をご参照ください。)による主導の下、作成されていることについて確認するとともに、その作成過程においても、作成中の事業計画案の内容、重要な前提条件等について説明を受け、最終的な事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認の上、承認しております。また、本特別委員会は、サントリーと直接Web会議システムを通じて面談を行うこと等を通じて、当社の事業の状況、事業環境、経営課題を含む本取引の背景・経緯、本取引によって創出が見込まれるシナジーの有無やその内容を含む本取引の意義・目的、本取引後の経営方針、本取引における諸条件等について、確認を行いました。
本特別委員会は、当社が、2020年12月23日にサントリーから本公開買付価格を1株当たり1,100円とする提案を受領して以降、KPMGによる当社株式の株式価値の算定結果やサントリーとの交渉方針等を含めた財務的な助言及び森・濱田松本法律事務所からの本取引における手続きの公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言等を踏まえ、サントリーとの間で、本公開買付価格を含む本取引における諸条件について、直接又は当社のファイナンシャル・アドバイザーを通じて、継続的に協議・交渉を行ってまいりました。具体的には、本特別委員会は、2020年12月23日にサントリーから本公開買付価格を1,100円とする提案を受けたものの、一般株主が最終的に強制的にスクイーズアウトされるという本取引の性質を踏まえた適正な水準の価格ではなく、一般株主に対する適正な対価ではないとして提案内容の再検討を要請しました。その後、本特別委員会は、サントリーより2021年1月20日に本公開買付価格を1,180円とする旨の提案、同月27日に本公開買付価格を1,250円とする旨の提案を受領したものの、いずれに対しても一般株主が最終的に強制的にスクイーズアウトされるという本取引の性質を踏まえた適正な水準の価格ではなく、一般株主に対する適正な対価ではないとして提案内容の再検討を要請しました。その後もサントリーとの間で、継続的に協議・交渉を行い、その結果、本特別委員会は、2021年2月5日に、サントリーから、公開買付価格を1株当たり1,300円とする最終提案を受けるに至りました。本特別委員会は、かかる最終提案を受け、2021年2月9日開催の特別委員会において本公開買付価格を1,300円とすることを承認しております。以上の交渉過程において、本特別委員会が、当社のファイナンシャル・アドバイザーを通じて、サントリーとの間で協議・交渉を行う際には、当社のファイナンシャル・アドバイザーは、事前に本特別委員会において審議の上で決定した交渉方針に従って対応を行っており、また、サントリーから本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行っております。
そして、本特別委員会は、当該最終提案を受け、当社がKPMGから提出を受けた当社の株式価値の算定結果に関する2021年2月9日付株式価値算定書(以下「当社算定書」といいます。)等も考慮し、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2021年2月10日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)を作成し、当社は、同日、本特別委員会から、本答申書の提出を受けました(本答申書の概要については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。
以上の経緯のもとで、当社は、2021年2月10日開催の当社取締役会において、KPMGから受けた財務的見地からの助言及び同社から取得した当社算定書の内容並びに森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の一連の手続き及び本取引に関する諸条件について、当社グループの企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて慎重に協議及び検討を行いました。
近年、外食業界においては、依然として根強い消費者の節約志向の中、人手不足を背景にした人件費の上昇、原材料価格・エネルギー価格の高止まりに加え、消費税増税に伴う消費マインドへの影響懸念等、厳しい経営環境が続いており、2019年12月期において親会社株主に帰属する当期純損失305百万円が発生いたしました。さらに、当社グループにおいては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、消費者の会食自粛の継続等によって一部店舗での臨時休業や営業時間短縮を余儀なくされているほか、ソーシャルディスタンス等の感染拡大防止対策による客席数の減少に加えて、在宅勤務の継続等、消費者の行動変化に伴う売上機会損失も発生し、この結果、2020年度第3四半期連結累計期間において、営業損失4,729百万円、経常損失4,815百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失6,740百万円を計上したことで、当社グループの連結純資産は△2,633百万円と債務超過になっております。
このような中、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が現状以上に悪化せず、政府や自治体の各種政策の効果等により消費動向は徐々に回復の方向に進むことを前提としたとしても、当社グループの臨時休業や営業時間短縮といった既存店の状況や売上構成の変化等、厳しい経営環境が2020年度末まで継続すると想定されたため、2020年11月2日付の「2020年12月期通期連結業績予想の修正および特別損失の計上に関するお知らせ」(以下「11月2日付本業績予想修正」といいます。)にて、2020年12月期の通期の連結業績予想を修正し、親会社株主に帰属する当期純損失8,400百万円が見込まれることを公表しました。また、2021年1月22日付の「特別利益・特別損失の計上および業績予想の修正に関するお知らせ」(以下「1月22日付本業績予想修正」といいます。)にて、当社の業績について概ね前回見込みを上回って進捗しているものの、店舗に係る固定資産の減損損失の計上が想定より増加したこと等により、2020年11月2日付で公表した2020年12月期の通期の連結業績予想を修正し、親会社株主に帰属する当期純損失8,970百万円が見込まれることを公表しました。加えて、当社決算短信で公表したとおり、当社は、2020年12月期において、営業損失6,079百万円、経常損失6,071百万円、親会社株主に帰属する当期純損失8,969百万円を計上し、当社グループの連結純資産は△4,869百万円の債務超過になり、これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が生じております。
これらの状況を踏まえると、直営飲食ビジネスにおいては、新しい生活様式に対応し、テイクアウト・デリバリー導入店舗の拡大、少人数・カジュアル・パーソナル動機の取り込みを重点的に行い、受託運営ビジネスにおいては、感染防止対策を取りやすい屋外レジャーであり、営業時間短縮の影響を受けにくいランチを中心とする業態であることから新型コロナウイルスの感染拡大の影響からの回復が早く、かつ、多額の設備投資を要せず投資効率が高いと考えられるゴルフクラブレストランの出店加速を進めること、加えて、新事業領域の開拓として、新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたお客様の変化を見据えた新たな業態等を開発していく等の抜本的な構造改革の推進・安定的な事業継続環境の確保が急務となっております。このような観点に基づく施策を実行するためには、当社グループが強みとしていた都心オフィス街エリアの大型店舗、接待等の法人向けや大人数での宴会利用を含む既存のビジネスモデルを抜本的に変更することが必要になると考えられますが、中長期的な収益向上には寄与するとは考えられるものの、これまで培ったノウハウや強みを十分に活かし切れない可能性もあり、短期的な業績を志向・重視するステークホルダーに対しては十分な理解を得られない可能性もあることから、実施することが困難な状況が続いておりました。
また、当社グループの直近の経営状況及び新型コロナウイルスの感染拡大による影響の収束が見通せない今後の不透明な経営環境を踏まえると、当社グループ単独での短期的な業績回復による債務超過の解消は見通しづらいと考えており、将来的な当社グループの与信力の低下に伴う借入余力の低下や借入コストの上昇懸念を考慮しますと、上記の抜本的な構造改革の推進・安定的な事業継続環境の確保に加えて、当社グループの資本の強化による財務基盤の安定化も喫緊の経営課題と認識いたしました。
当社は、1958年3月に飲食店の経営等を目的とし、株式会社新宿東京会館として設立され、1979年2月にサントリー株式会社の100%子会社となり、1988年9月に株式会社サントリーレストランシステムを吸収合併し株式会社ダイナックに社名変更した歴史があるものの、2000年10月に株式会社大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現東京証券取引所JASDAQ)に株式上場した以降は、上場会社として独立性をもち、自らの責任の下、親会社から独立して事業経営を行っております。サントリーグループとの関係においては経営強化及び監査体制強化、並びに事業の拡大に伴い業務を一時的に強化することを目的とした役職員の招聘や相互の出向者受入れといった専ら人的交流を中心とした支援を受けておりました。他方で、当社はかねてよりサントリーと当社グループの企業価値の向上を目指してサントリーと協議を進めていく中で、サントリーグループからの経営資源及びノウハウ等の更なる投入が当社グループとサントリーグループ双方の成長を実現するためには必要不可欠な施策であると考えておりました。具体的には、直営飲食ビジネスにおいて時代のニーズに合ったブランドの新規展開と既存業態のリブランディングによる高付加価値業態へのシフト、また道の駅やサービスエリア・パーキングエリアの受託運営事業への本格参入による新規施設の獲得等といった構造改革を加速させる目的で、サントリーグループからの経営資源及びノウハウ等を投入することが重要であるため両者間で議論を重ねておりましたが、中長期的視点による成長投資や痛みを伴う構造改革の実施により、新業態の育成及び既存店の業態変更に要する初期コスト等の発生によって短期的には業績や財務状態の一時的な悪化につながる可能性を否定できず、結果として必ずしも当社の一般株主の利益とならない可能性もあると考えておりました。また、上場会社としての独立性も重視し、特に財務面における直接的な追加支援は受けてきておりませんでした。
しかしながら、当社がサントリーの完全子会社となることでサントリーグループとの連携を強化することにより、以下のとおりシナジーを見込むことができ、また、抜本的な構造改革の推進・安定的な事業継続環境の確保に加えて、当社グループの資本の強化による財務基盤の安定化を実現することができると見込まれるため、従前のように上場会社として独立性をもち、自らの責任の下、親会社から独立して事業経営を行っていくのではなく、本取引を通じて、当社がサントリーの完全子会社となることが、当社グループの業績を改善し、企業価値を向上する上で不可欠であるとの結論に2020年10月中旬に至りました。
(a)サントリーグループとのシナジー
(ア)酒類・食品事業における連携
当社は、四半期毎の業績の報告が義務付けられる上場会社であり、市場株価形成の観点から安定的かつ短期的な利益を追求することが求められる一方で、サントリーは非上場会社であり経済合理性における時間軸が異なることから、より長期的な視点での事業活動や社会貢献活動を重んじる傾向にあることや、当社における上場会社としての独立性及び自主性を重んじる観点から、これまでは当社グループはサントリーグループに属しながらサントリーとのシナジー効果が限定的となっておりました。具体的には、店舗の新規出店や業態変更において当社グループは短期的な成果を志向せざるを得ない状況であった一方で、サントリーとしてはサントリーグループのより長期的なブランド価値向上に資するプロモーション店舗の出店を志向する等の考え方の相違が生じる場面もあり、必ずしもサントリーグループとの連携を最大化できておりませんでした。本取引を通じて、サントリーの完全子会社となり非公開化することで、サントリーグループの酒類・食品事業との連携をより一層推進していきたいと考えており、当社グループをサントリーグループにおける重要な顧客接点の場として位置付け、戦略的なメニュー展開、製品・飲み方の訴求を行うとともに、アルコールドリンクを最も美味しい状態でご提供することでお客様に満足いただくための活動を行い、サントリーブランドの旗艦店について当社グループ運営の店舗を増やすことによって、当社グループの収益向上につなげたいと考えております。また、短期的な売上確保の観点から他社が運営する予約サイトを通じた集客に依存せざるを得なかったところ、一時的にはIT投資コストを負担する必要があるものの、中長期的な視点で当社グループの会員組織の有効活用を図っていくことで、特定の他社サイトに依存せず倶楽部ダイナック(首都圏及び近畿圏の約50業態、約150店舗で使用できる顧客ポイントシステム)を通じて予約を誘導することが可能になり中長期的な収益性の向上に寄与するものと考えております。
(イ)グループ最適化、コスト削減
サントリーグループにおける外食事業との連携の強化、外食事業におけるグループ最適化及び人件費や共通コストの削減の施策は、上場会社としての独立性及び情報管理の観点から、その検討に必要な情報をサントリーグループと共有することを控えていたことから、これまで効率的な推進が困難であったと考えており、また、自主性を重んじる観点から、連携・協働の必要性が十分に認識されていなかったこともあり、協業に係る議論は進捗しておりませんでした。しかしながら、本取引によってサントリーの完全子会社となり非公開化することにより、情報の共有や一体的な経営判断の下での協業の検討を推進することが可能となり、株式会社プロントコーポレーションや井筒まい泉株式会社、Suntory F&B International Groupといったサントリーグループにおける国内外の外食事業者との連携を強化することで、円滑な新規事業の立ち上げに取り組んでいくことが可能になると考えており、また、当社グループの既存店舗とサントリーグループの既存店舗の間での、店舗業態の転換等の柔軟な出店戦略や物件情報の共有及び設備投資・修繕コストのスケールメリットを追求することによって、当社グループを含むサントリーグループの中で外食事業におけるグループ最適化を実現できるというメリットがあると考えております。加えて、人的交流の促進やIT活用等のノウハウの共有による店舗マネジメント体制及び店舗オペレーションの効率化や、物流及びバックオフィス機能の統一により、人件費や共通コストの削減を図ることが可能になると考えております。また、当社グループとサントリーグループの間の相互の人材交流を進め、経験のある従業員やパートナーの生活環境の変化等による流出を最小限に留め、人材の有効活用やスキルアップを図ることができるものと考えております。
また、当社がサントリーの完全子会社となりサントリーのグループファイナンス制度や連結納税制度等に参画することにより、サントリーグループの一員として資金効率の向上や経理業務等の一層の効率化等も期待されます。
(ウ)経営判断の迅速化
サントリーによる当社の完全子会社化を通じてサントリーと当社の一般株主との間の潜在的な利益相反構造を解消し、サントリーと当社の利益を完全に一致させることによって、上記「(ア)酒類・食品事業における連携」に記載の酒類・食品事業における連携や上記「(イ)グループ最適化、コスト削減」に記載のグループ最適化及びコスト削減等の施策を、当社グループを含むサントリーグループの迅速な経営判断のもとで推進することにより、サントリーグループとのシナジーのより早期かつ一層の創出を実現し、両社の更なる企業価値の向上を追求できるものと考えております。
(b)抜本的な構造改革の推進・安定的な事業継続環境の確保
サントリーによる当社の完全子会社化及び上場廃止を通じて、短期的な業績にとらわれることなく、中長期的な業績回復・成長を見据えた抜本的な構造改革、具体的には、(ⅰ)直営飲食ビジネスにおいては、新しい生活様式に対応し、テイクアウト・デリバリー導入店舗を拡大することや、少人数・カジュアル・パーソナル動機を取り込むこと、省人オペレーションを追求した店舗業態を開発していくこと、(ⅱ)受託運営ビジネスにおいては、感染防止対策を取りやすい屋外レジャーであり、営業時間短縮の影響を受けにくいランチを中心とする業態であることから新型コロナウイルスの感染拡大の影響からの回復が早く、かつ、多額の設備投資を要せず投資効率が高いと考えられるゴルフクラブレストランの出店加速を進め、さらには、新事業領域の開拓として新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたお客様の変化を見据えた新たな業態等を開発していくこと等に専念できると考えております。また、上述のとおり、従前、新業態の育成及び既存店の業態変更に要する初期コスト等の発生により、短期的には当社グループの業績や財務状態の一時的な悪化につながる可能性があったことから、実施することを見送ってきた直営飲食ビジネスにおける時代のニーズに合ったブランドの新規展開と既存業態のリブランディングによる高付加価値業態へのシフト、受託運営ビジネスにおける道の駅やサービスエリア・パーキングエリアの受託運営事業への本格参入による新規施設の獲得等といった中長期的視点による戦略的な成長投資についても、本取引後は、短期的な業績にとらわれず、また、サントリーからの支援により財務基盤を安定化させることによって、実行することの検討が可能になるとともに、サントリーグループからの経営資源及びノウハウ等の投入により、当該構造改革を加速させることができるものと考えております。加えて、サントリーグループが有する消費者販促やシステム開発等のノウハウを活用し、消費者動向調査やマーケティングを協働する等、当社グループ独自では入手が困難であった情報を新業態開発や倶楽部ダイナックの機能拡充に反映させる等、迅速かつ効果的な改革を実施することが可能になると考えております。
(c)当社の財務基盤の安定化
これまで当社は上場会社として、当社の一般株主の利益を尊重し、当社としての独立性の確保に努めてまいりましたが、本取引後においては、当社グループの財務基盤の安定化を迅速かつ着実に成し遂げることができると考えております。
具体的には、サントリーは、当社の借入金を返済するために、当社と協議の上、サントリーが、当社の第三者割当増資を引き受ける、又は当社に対して貸付けを実行することを検討しているとのことであり、また、当社においても、サントリーに対する第三者割当増資を行い債務超過を解消したいという意向を有しており、それに向けてサントリーと協議を開始することを予定しています。さらに、当社がサントリーの完全子会社となりサントリーのグループファイナンス制度に参画することにより、機動的な資金調達を実現することが可能になる等、財務基盤の安定化が図られることにより、当社のステークホルダーである従業員や取引先及び市中銀行の当社の財務基盤に対する不安が軽減されるものと考えております。
以上に加えて、当社グループは、常にお客様に楽しい空間と安全で高品質の商品及びサービスを提供し、豊かで楽しいコミュニケーションを“食”を通じて実現することで、食文化の発展に寄与し、潤いのある社会づくりに貢献し続ける企業を目指しており、お客様による当社サービスのご利用と、それをお迎えする現場スタッフによるおもてなし、及びご提供する食の品質へのこだわりが生命線であり、そこには各ステークホルダーによる信頼が何よりも重要と考えております。信頼獲得の源泉には、財務の健全性はもとより、経営の安定も重要な要素であることから、いち早く当社グループの今後の在り方について世の中に発信するとともに、それを早期に実現することで各ステークホルダーの不安を払拭することが重要であると考えております。
また、仮に本取引が実施されなかった場合の影響として、今後の新型コロナウイルスの感染拡大の影響が見通せず、売上の回復にも一定の時間がかかることが想定される中においては、短期間のうちに当社グループの債務超過状態を単独で解消することは困難であり、代替的な施策が見つからなければ、上場廃止基準に抵触する可能性が否定できず、さらに、現状の借入金については、借入時から当社グループの財務状況が悪化したことを踏まえれば、一部の借入条件が今後悪化することが合理的に想定されること、長期間にわたって現在の財務状況が継続すれば、従業員、取引先、店舗オーナー等の不安が増長し、当社グループの事業遂行にも影響が生じる可能性が否定できないこと等が想定されます。
他方で、上場廃止に伴う影響として、資金調達手段の一つとしての株式市場を通じた資金調達の選択肢を失うこととなるものの、当社は2000年10月の株式上場時に実施した公募増資以降に株式市場を通じた資金調達を実施しておらず資金調達手段としての上場意義は薄れている一方、上場維持に要する有形無形のコストは特に足元の当社グループの業績においては相応の負担となっており、上場廃止に伴うコスト削減余地は当社グループの財務健全性に相応の貢献が期待されます。また、事業面においても、株主優待による販売促進効果、及び上場会社としての知名度・信用力を活かした採用活動へのプラス面があったことは否定できませんが、倶楽部ダイナックのサービス充実により新たな販売促進施策を投入することで代替することが可能であり、採用についてはサントリーグループとしての魅力をより一層アピールすることにより今後の人事政策に支障なく対応可能と考えております。
また、当社は、本取引の代替となる企業価値向上策として、当社グループの財務状況の改善に資する公募増資及びサントリーを含む第三者への第三者割当増資の方法も検討いたしましたが、当社グループの債務超過の水準を考慮すると、いずれも大幅な希薄化を招き一般株主の利益を大きく毀損する可能性があること、公募増資はその流動性の観点から引受先の確保が困難な状況であり、十分な資本調達には相応の時間を要することが予想されること、サントリーを含む第三者への第三者割当増資は流通株式比率の観点から上場廃止基準に抵触するおそれがあること、加えて、新型コロナウイルスの感染拡大による影響の収束が見通せない事業環境下において新たな資本業務提携先を発掘し第三者割当増資を引き受けていただくことが困難である上に、サントリーに加えて新たな大株主が登場することによる新たな利益相反リスクが生じるおそれがあること等から、いずれの施策も選択し得ないものと判断しております。
以上のとおり、当社は、当社がサントリーの完全子会社となることで、サントリーグループとの間で、シナジーを見込むことができ、また、抜本的な構造改革の推進・安定的な事業継続環境の確保に加えて、当社グループの資本の強化による財務基盤の安定化を実現することができ、また、本公開買付けにより、今後の当社グループの更なる成長及び発展が期待できるとともに各ステークホルダーからの信頼獲得にも資することから、本取引は当社グループの企業価値の向上に資するものであると2020年10月中旬に判断しております。
公開買付価格については、当社が、2020年12月23日にサントリーから本公開買付価格を1株当たり1,100円とする提案を受領して以降、本特別委員会は、KPMGによる当社の株式価値の算定結果やサントリーとの交渉方針等を含めた財務的な助言及び森・濱田松本法律事務所からの本取引における手続きの公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言等を踏まえ、サントリーとの間で、直接又は当社のファイナンシャル・アドバイザーを通じて、継続的に協議・交渉を行ってまいりました。具体的には、本特別委員会は、2020年12月23日にサントリーから公開買付価格を1,100円とする提案を受けたものの、一般株主が最終的に強制的にスクイーズアウトされるという本取引の性質を踏まえた適正な水準の価格ではなく、一般株主に対する適正な対価ではないとして提案内容の再検討を要請しました。その後、本特別委員会は、サントリーより2021年1月20日に本公開買付価格を1,180円とする旨の提案、同月27日に本公開買付価格を1,250円とする旨の提案を受領したものの、いずれに対しても一般株主が最終的に強制的にスクイーズアウトされるという本取引の性質を踏まえた適正な水準の価格ではなく、一般株主に対する適正な対価ではないとして提案内容の再検討を要請しました。その後も本特別委員会は、KPMG及び森・濱田松本法律事務所の助言を受けながら、本公開買付価格について、サントリーとの間で、協議・交渉を続け、その結果、サントリーからは、2021年2月5日に、公開買付価格を1株当たり1,300円とする最終提案を受けるに至りました。本特別委員会は、かかる最終提案を受け、2021年2月9日開催の特別委員会において本公開買付価格を1,300円とすることを承認しております。
当社は、(ⅰ)本公開買付価格が、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のKPMGによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法により算定された価格帯の上限値を上回っており、さらにDCF法により算定された価格帯の中央値を上回っていること、(ⅱ)本公開買付価格が、東京証券取引所市場第二部における、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2021年2月9日の当社株式の終値1,177円に対して10.45%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間(2021年1月12日から同年2月9日まで)の終値単純平均値1,132円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して14.84%、同日までの過去3ヶ月間(2020年11月10日から2021年2月9日まで)の終値単純平均値1,174円に対して10.73%、同日までの過去6ヶ月間(2020年8月11日から2021年2月9日まで)の終値単純平均値1,185円に対して9.70%のプレミアムがそれぞれ加算されていること、(ⅲ)本公開買付価格の決定に際しては、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、一般株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅳ)本公開買付価格が、上記利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社とサントリーとの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われたこと、より具体的には、KPMGによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や森・濱田松本法律事務所による本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言等を踏まえ、かつ、本特別委員会とサントリーとの間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、当初提示額(1株当たり1,100円)よりも18.2%(小数点以下第二位を四捨五入)引き上げられた価格(1株当たり1,300円)で提案された価格であること、(ⅴ)本公開買付価格が、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当な価格と判断されていることを踏まえ、2021年2月10日開催の当社取締役会において、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して、妥当な価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。当社がかかる判断をするにあたっては、本公開買付価格の当社株式の市場価格に対するプレミアムが、過去の同種取引におけるプレミアムの水準に比して高いとはいえないものの、上記(ⅰ)、(ⅲ)乃至(ⅴ)に記載の事項を考慮するとともに、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会において、本取引におけるプレミアムと他の同種取引のプレミアム水準と同列に見て評価することは妥当ではなく、本取引におけるプレミアムが同種取引のプレミアム水準よりも低かったとしても、そのことをもって本公開買付価格の妥当性が否定されるものではないと考えられる旨の判断がなされているところ、当社としても、その判断内容が合理的であると判断しております。
なお、当社株式の市場価格は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2020年3月以降下落しておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は当社の事業及び業績に甚大な影響を与えており、新型コロナウイルスの感染拡大の状況及びその影響の収束が見通せないことからすると、当社株式の市場価格は、現在の当社の実態と必ずしも乖離していない株価であると考えております。また、当社は、本取引の公表前に11月2日付本業績予想修正及び1月22日付本業績予想修正により業績予想の修正を公表しておりますが、いずれも通常の決算処理の方法及び有価証券上場規程に従って適切に行われたものであり、公表後の市場価格は、当社の実態を反映したものであると考えております。
こうした判断のもと、当社は、本取引が当社グループの企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2021年2月10日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨することを決議しております。
2021年2月10日開催の当社取締役会における決議の方法については、本意見表明報告書の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む。)全員の承認」をご参照ください。
その後、当社は、2021年4月14日、サントリーより、本公開買付けの結果について、当社株式2,236,450株の応募があり、その全てを取得することとなった旨の報告を受けました。この結果、2021年4月21日(本公開買付けの決済の開始日)付で、サントリーの所有する当社株式の議決権所有割合(注)は93.51%となり、サントリーは、当社の特別支配株主に該当することとなりました。
(注) 「議決権所有割合」とは、当社が2021年3月31日に提出した第77期有価証券報告書に記載された2020年12月31日現在の発行済株式総数(7,033,000株)から、当社が所有する同日現在の自己株式数(254株)を控除した株式数(7,032,746株)に係る議決権数(70,327個)を分母として計算し、また、小数点以下第三位を四捨五入しています。
このような経緯を経て、当社は、サントリーより、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、会社法第179条第1項に基づく本売渡請求を行う旨の通知を、本日付で受領いたしました。
そして、当社は、かかる通知を受け、本売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議、検討いたしました。
その結果、当社は、本日開催の取締役会において、(ⅰ)本売渡請求は本取引の一環として行われるものであるところ、当社は、上記のとおりの過程及び理由により、本取引は当社の企業価値の向上に資すると判断しており、当該判断を変更すべき特段の事情は生じていないこと、(ⅱ)本売渡対価は本公開買付価格と同一の価格である1,300円に設定されていること、及び、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保するための措置が講じられていること等に鑑みれば、本売渡対価は、本売渡株主にとって妥当な価格であり、本売渡株主の利益を害することのないよう十分留意の上決定されたものと考えられること、(ⅲ)サントリーは、本売渡対価の全てを、同社の保有する現預金により支払うことを予定しているところ、サントリーの本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として提出された2021年2月9日時点のサントリーの残高証明に係る同月10日付残高証明書を確認した結果、同社が本売渡対価の支払いのための資金に相当する額の銀行預金を有していること、加えて、サントリーによれば、本売渡対価の支払いに支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、また今後発生する可能性は現在認識されていないとのことであること等から、サントリーによる本売渡対価の支払いのための資金の準備状況・確保手段は相当であり、本売渡対価の交付の見込みはあると考えられること、(ⅳ)本売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められないことから、本売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(ⅴ)本公開買付けの開始以降本日に至るまで当社グループの企業価値に重大な変更は生じていないこと、(ⅵ)本特別委員会が、本株式売渡対価による本株式売渡請求についても検討をした上で、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものではない旨の答申書を提出していること等を踏まえ、本売渡請求は、本売渡株主の利益に配慮したものであり、本売渡請求の条件等は適正であると判断し、審議及び決議に参加した当社の取締役全員一致で、サントリーからの通知のとおり、本売渡請求を承認する決議をいたしました。
当社取締役のうち、伊藤恭裕氏は、2019年12月までサントリーの従業員を兼任すると共にサントリーの子会社の取締役を務めていたこと、田中政明氏は、過去にサントリーに在職していたこと、及川直昭氏は、現にサントリーの従業員を兼任していることから、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、本特別委員会が設置された以降の本取引に係る当社取締役会(上記の本日開催の当社取締役会を含みます。)の審議及び決議に参加しておりません。例外として、田中政明氏は、本特別委員会が設置された以降の本取引に係る当社取締役会(上記の本日開催の当社取締役会を含みます。)において、定足数を確保する観点から二段階目の決議のみに参加しております。
以 上