有価証券報告書-第13期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 16:04
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138項目

事業等のリスク

当社グループは、お客様、株主様、お取引先様、従業員、地域社会など様々なステークホルダーの皆様に対して、「人々のココロとカラダの健康を追求し、地域社会に貢献する」という経営理念、及び「おもてなしNo.1になる」というコーポレートスローガンに基づき事業活動を営むことが、経営の基本であると考えています。
「おもてなし」を実現するために「6つの中核主題」(1.コーポレート・ガバナンス 2.人権・労働慣行 3.環境 4.ビジネスパートナーとの協働 5.お客様への対応 6.地域社会への貢献)に取り組み、今後も本業を通じて、社会のサスティナビリティへ貢献しながら企業の成長を目指します。
当社及び当社子会社は、様々な損失の危険に対して、危険の大小や発生の可能性に応じ、事前に適正な対応策を準備する等、損失の危険を最小限にすべく組織的な対応をとっております。当社及び当社子会社は、リスク管理体制の重要性を認識し、その基礎としてコンプライアンス・リスク管理規程を定め、代表取締役社長が主宰するグループ経営会議やコンプライアンス・リスクコントロール委員会において、リスクの管理に関する重要事項を審議する等リスク管理体制の充実を図っております。
当社グループの成長と、事業活動を通じた社会のサスティナビリティへの貢献に悪影響を与えるリスクとして、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、記載されたリスク以外のリスクも存在し、それらが投資家の判断に影響を与える可能性があります。
①法的規制について
当社グループは事業の遂行にあたって、医薬品販売許可、薬局開設許可、居宅介護支援事業者指定、訪問介護(介護予防)指定、食品衛生法、労働関連規制、個人情報保護規制等様々な法規制の適用を受けています。これらの法令の改正や、予期し得ない法律、規制等の新規導入を理由とした法令違反等により、処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、対応コストの増加、ステークホルダーの信頼失墜により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
許認可、免許の状況及び関連法令
許可、登録、指定、免許届出の別有効期限関連する法令
医薬品販売業許可6年医薬品医療機器等法
薬局開設許可6年
保険薬局指定6年健康保険法
毒物劇物一般販売業登録6年毒物及び劇物取締法
麻薬小売業免許3年麻薬及び向精神薬取締法
高度管理医療機器等販売業及び貸与業許可6年医薬品医療機器等法
居宅介護支援事業者指定6年介護保険法
訪問介護(介護予防)指定6年
訪問看護指定6年
介護予防訪問看護指定6年
特定福祉用具販売(介護予防)6年
福祉用具貸与6年
特定施設入居者生活介護6年
通所介護(予防介護)6年
認知症対応型共同生活介護(介護予防)6年
短期入所(介護予防)6年
認知症対応型通所介護(介護予防)6年
障害者福祉サービス6年障害者総合支援法

②流通業としての当社グループにおける環境変化について
当社グループを取り巻く流通環境は大きく変化しています。業態を超えた競争環境の激化や人件費・物流費の高騰により、市場成長が鈍化しております。また、ドラッグストア各社が生き残りをかけた差別化戦略を推進する中、ヘルス&ビューティに特化し専門性を追求する企業と、食品を中心にディスカウントで顧客利便性を高める企業とに二極化されるとともに、業界再編を通じた上位企業への寡占化が進行しました。このような流通業における環境変化に対して対応できない場合、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、このようなドラッグストア業界の大変革を飛躍に向けた成長機会と捉え、国内で売上高1兆円、3,000店舗を有する社会と生活のインフラ企業となることを目指し、株式会社マツモトキヨシホールディングスとの経営統合の協議を進めております。
③有資格者の確保について
ドラッグストア及び調剤薬局等の医薬品を取り扱う店舗運営には、薬剤師・登録販売者等の有資格者の配置が義務付けられております。これらの有資格者の確保は業界において重要な課題であり、確保の状況によっては当社グループの業績及び出店計画等に影響を及ぼす可能性があります。
④医薬品販売の規制緩和について
医薬品の販売については、政府による規制緩和が進んでおります。特に2009年6月に施行された改正薬事法によりリスク程度が低い一般用医薬品については、薬剤師管理下でなくとも、新設の登録販売者資格を有する者であれば、販売が可能となりました。また、2014年6月に改正薬事法では医薬品のインターネット販売が事実上解禁されております。さらに、一般用医薬品の販売時間規制や資格保有者による遠隔管理販売などの規制緩和も検討されており、このような規制緩和の進展により異業種との競争が激化した場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤調剤の事業環境について
調剤業務における売上高となる、医療用医薬品の価格(薬価)と調剤報酬は法令により定められています。
今後、薬価基準や調剤報酬の改定が行われた場合、また医薬分業率が変動するなど外的環境が著しく変化した場合等には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、調剤事業における多様な医療ニーズ・診療報酬改定への対応、地域の方々の健康増進を支援する「健康サポート薬局」づくり、「かかりつけ薬剤師」の育成を進め、質の向上を追求します。
⑥調剤薬の欠陥・調剤過誤等について
調剤薬の欠陥・調剤過誤などにより、訴訟を受けた場合や社会的信用を損なう場合等には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、調剤研修センターを設置し薬剤師の質的向上を図り、薬品名・用量確認など細心の注意を払って調剤業務を行うとともに調剤過誤防止に資する各種機器を導入することにより、調剤過誤を防ぐ万全の体制を整えております。また、万一に備え、子会社において「薬剤師賠償責任保険」に加入しております。
⑦商品の安全性について
近年消費者による、商品の安全性に対する要求が一段と高まっております。今後品質問題等により商品の生産・流通に支障が生じた場合及び当社グループが販売する商品に問題が生じ社会的信用を低下させた場合等には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、お客様・患者様からの信頼を高めるため、品質管理・商品管理体制を引き続き強化してまいります。
⑧PB(プライベートブランド)商品について
当社グループでは、PB商品の開発を行ってまいりました。開発時には、品質の管理チェック・商品の外装・パッケージ・販促物等の表示・表現の適正さについて、各種関係法規・安全性・社会的貢献性・責任問題等多角的な視点から適正化を行っております。しかし当社グループのPB商品に起因する事件・事故等が発生した場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨出店状況等について
医薬品小売業界においては、同業他社との出店競争、店舗の大型化、価格競争並びに他業態との競争激化により一段と厳しい経営環境が続いております。物件が予定通り確保できなかったり法的な規制を受けたりすることにより計画通りに出店できない場合、出店後の販売状況が芳しくない場合、店舗における賃借料等が変動した場合、賃借先の経営状況により店舗営業の継続及び差入保証金・敷金の返還に支障が生じる場合、固定資産の減損処理が必要となる場合等には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、利便性を高めた都市型生活対応店舗や調剤店舗の拡充を中心に出店を計画しております。新規出店による各エリアでのドミナント強化により事業規模の拡大を目指してまいります。
⑩個人情報保護について
当社グループでは、処方箋や会員等の個人情報を扱っております。これらは個人情報保護法に基づき、万全の管理体制のもと細心かつ厳重に取扱をしております。しかしながら、万が一情報の漏洩があった場合、社会的信用を失うこと等により、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪自然災害・天候不順等について
当社グループのドラッグストア及び調剤薬局等において、大地震や台風等の自然災害、著しい天候不順、予期せぬ事故等が発生した場合、客数低下による売上減のみならず、店舗等に物理的な損害が生じ、当社グループの販売活動・流通・仕入活動が妨げられる可能性があります。また、国内外を問わず、災害、事故、暴動、テロ活動並びに当社グループとの取引先や仕入・流通ネットワークに影響を及ぼす何らかの事故等が発生した場合も同様に、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ライフライン(医療機関)の一翼を担うドラッグストア・調剤薬局を中核事業とする当社グループは、新型インフルエンザ等の感染症の流行に備えて、お客様、患者様や従業員の人命、安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、感染症流行時における営業継続への対策を講じていますが、感染拡大や蔓延状況に応じて、営業時間の短縮や、営業店舗の限定等の措置をとる可能性があり、その場合当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫介護事業について
介護事業については老人福祉法、介護保険法等の法的規制を受けております。法改正により介護報酬額が変更された場合等、商品・サービスの設計及び料金体系の見直しが必要となります。また、人を対象とした事業であるため、施設内での事故や感染症、食中毒等が発生した場合、様々な対策は講じていますが、営業継続が不能となる可能性もあります。加えて介護福祉士・看護師・ケアマネージャーなどの資格をもった専門職員が不足するリスクがあり、その場合当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、地域包括ケア構想における多職種連携の中心的存在となることを目指し、ココカラファイングループのドラッグストア・調剤事業と連携を強化し、安心・安全・信頼の人によるサービス価値の向上に努めております。また、在宅療養を支える機能を強化するため、介護・看護サービスのよりシームレスな提供への取り組みと、デイサービス・訪問看護への設備投資や人材確保への投資を行っております。
⑬新規事業等について
当社グループは、既存ビジネスとのシナジー効果が生まれることを期待し、M&A(企業の合併・買収)や海外進出を含む様々な新規事業等を検討し、積極的な業容拡大を進めてまいります。事前の十分な投資分析・精査等の実施にもかかわらず、当社グループが想定しなかった結果が生じた場合、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭株式会社マツモトキヨシホールディングスとの経営統合について
当社は、株式会社マツモトキヨシホールディングスとの経営統合に関する基本合意書及び経営統合に向けた資本業務提携に関する契約を2020年1月31日付で締結し、業務提携におけるPB商品の相互供給及びMD(マーチャンダイジング)の展開、NB(ナショナルブランド)商品・調剤の仕入れ一本化及びMDの統合、販売促進・共同購買及び決済契約の共通化、店舗運営の効率改善の各分野での協業等、両者間の協議を通じた相互協力を進めております。
また、経営統合の検討の結果、2021年2月26日付で経営統合契約を締結し、当社及び株式会社マツモトキヨシホールディングスの株主総会の承認並びに経営統合を行うにあたり必要な許認可の取得等を前提に、2021年10月1日をもって経営統合することといたしました。
経営統合に向けて万全の準備を進めておりますが、資本業務提携の実施及び経営統合の手続きの進捗によっては、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮新型コロナウィルス感染拡大の影響
世界的に拡大した新型コロナウィルス感染症は、リモートワークや外出機会の減少などをもたらし、ドラッグストア及び調剤薬局事業においては、感染拡大エリアでの売上減少、医療機関への受診抑制等による調剤の処方箋枚数の減少、店舗営業時間の短縮等、当社グループの業績が減少することとなりました。
今後も感染症拡大の状況により、緊急事態宣言の発出や更なる外出自粛の要請などの措置の発動などが生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この新型コロナウィルス感染リスク対応として、従業員の出社前検温・手洗い・マスク着用、時差出勤・テレワークの推進等に加え、店舗においては、消毒液の設置、レジ前のビニールシートの設置、調剤店舗でのアクリルパーテーションの設置、レジ待ちの間隔空けへの対応など感染防止措置を徹底し、お客様に安心してご利用いただける環境を整えております。