有価証券報告書-第90期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 9:10
【資料】
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【項目】
129項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)信用リスク
信用供与先の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスクです。信用リスクが増加すると、不良債権及び与信関連費用が増加する恐れがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
平成28年3月末の当行単体の金融再生法に基づく不良債権額は96億円、不良債権比率は3.34%です。なお、各々の債権に対し、貸倒れが予測される部分については、十分な引当てを行っております。しかしながら、金融経済環境の悪化を含む世界経済及び日本経済の動向、不動産価格及び株価の変動、貸出先の経営状況及び信頼性を失墜させる不祥事等の問題の発生によって不良債権が増加する可能性があります。その結果、現時点の想定を上回る信用コストが発生した場合、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)市場リスク
国内外市場の金利、為替、株式等の様々な市場要因の変動により、資産や負債に影響を及ぼすリスクです。市場リスクが増加すると、当行グループの保有する資産の価値が減少し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
①金利リスク
当行グループの資産及び負債は主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されており、主たる収益源は資金運用と資金調達の利鞘収入であり、預金金利及び貸出金利は市場金利に基づき改定しております。しかし、市場金利の変動等に対し預貸金の金利改定のタイムラグや資産負債の構成等により預金等の調達利回りと貸出金等の運用利回りの利鞘が縮小した場合、資金利益の減少により当行グループの業績へ影響する可能性があります。従って、金利変動に伴い損失を被るリスクで、資産と負債の金利又は期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより、利益が低下ないし損失を被るおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
②為替リスク
当行グループは、外貨建資産・負債についてネット・ベースで資産超又は負債超ポジションが造成されている場合があり、為替の価格が当初予定されていた価格と相違することによって損失が発生するおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③価格変動リスク
当行グループは、市場性のある国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しております。従いまして、将来、それらの価格の変動に伴って資産価格が減少するリスクがあります。
当行グループにおいては、損失管理ライン及び債券の格付管理ラインを規定し、有価証券の損失の拡大が経営に及ぼすリスクの極小化を図っております。
しかしながら、ボラタイルな状況が続くような場合、当行グループが保有する資産の価値がさらに減少し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)流動性リスク
資金の運用と調達の期間のミスマッチや予期しない資金の流出等により、必要な資金が確保できず資金繰りに支障をきたすリスクです。流動性リスクが増加すると、通常よりも著しく不利なコストでの資金調達を余儀なくされて損失を被り、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、世界的な市場の混乱や金融経済環境の悪化等の外部要因によっても当行グループの国内における資本及び資金調達の条件・流動性の状況が悪化する若しくは取引が制約されるおそれがあります。これらの要因により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)オペレーショナルリスク
当行グループは、内部管理態勢強化、コンプライアンス態勢の充実を図っており、事務規程等に沿った正確な事務処理を励行することを徹底し、事務事故の未然防止を図るためグループ全体を挙げて取り組んでおります。しかしながら、これらの対策にも拘らず、業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であること又は外部にて発生した事象により損失を被るおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 事務リスク
役職員が事務ミスや不正など事務の間違い・事故等を起こすことにより損失を被るリスクです。当行グループは、事務の厳格化に努めておりますが、故意又は過失により生じた事故により損失を被り、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② システムリスク
コンピュータシステムの停止や誤作動などシステム障害にかかわるリスク、コンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクです。コンピュータシステム障害等により損失が発生し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法務リスク
お客さまに対する過失による義務違反及び不適切なビジネス・マーケット慣行から生じる損失・損害などのリスクです。法令等違反行為等の法律上の問題が発生した場合、経済的な損失や社会的な信用の失墜により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当行グループは現時点の法令・規制等に従い業務を運営しておりますが、将来において法律、規則、政策、実務慣行、解釈等の変更が行われた場合には、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 人的リスク
人事運営上の不公平・不公正・差別的行為から生じる損失・損害などのリスクです。人的リスクに伴う訴訟等が発生した場合、経済的な損失や社会的な信用の失墜により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有形資産リスク
災害やその他の事象から生じる有形資産の毀損・損害などのリスクです。被害の程度によっては、業務の一部が停止する等により、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 風評リスク
評判の悪化や風説の流布等により、信用が低下することから生じる損失・損害などのリスクです。悪質な風説等が発生した場合、その内容の正確性にかかわらず、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報資産リスク
当行グループは、膨大な顧客情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備や従業員教育の徹底により、情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、情報資産の漏洩、紛失、改竄、不適切な取得や取扱及び不適正な第三者への提供等により当行グループに対する信用低下が生じ損失を被るおそれがあり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)経営リスク
① 主要な事業の前提事項に関するリスク
当行は、銀行法第4条第1項の規定に基づき、銀行の免許を受け、銀行法第10条から第12条に規定された業務の範囲内にて銀行業を営んでおります。銀行業については、有効期間その他の期限は法令等で定められておりませんが、銀行法第26条及び同第27条にて、業務の停止等及び免許の取消等となる要件が定められており、これに該当した場合、業務の停止等及び免許の取消等が命じられます。
なお、現時点において、当行はこれらの事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、将来、何らかの事由により免許の取消等があった場合には、当行の主要な事業活動に支障を来たすとともに、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当行は、前記の銀行法をはじめとする各種規制及び法制度に基づいて業務を行っております。将来において、法令諸規則、会計制度及び税制等が変更された場合には、当行の業務運営や財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
② 当行の経営戦略、事業戦略が奏功しないリスク
当行は平成26年5月9日に公表した第5次中期経営計画「富山銀行 iプロジェクト“The Next” ― もっと夢、もっと富山 ―」に基づき、各経営戦略、事業戦略を打ち出し実施しております。
この計画では顧客戦略(構造変化に順応した営業力の強化)、店舗戦略(効果的な営業体制の構築)、経営基盤戦略(筋肉質な経営体質の構築)等を打ち出しておりますが、各種要因によりこれらの戦略が当初想定していた結果をもたらさず、収益性が悪化した場合、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)特定地域への依存に伴うリスク
当行グループは、富山県を主要な営業基盤としており、地域別与信額においても富山県は大きな割合を占めています。富山県は、全国と比較して第2次産業のウエイトが高く、また全体としてバランスの取れた産業構造となっておりますが、日本経済はもとより、富山県の経済状態が悪化した場合には、信用リスクが増加し、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)感染症の拡大等により損失を被るリスク
新型インフルエンザ等の感染症の拡大による人的被害を最小限にとどめるために止むを得ず業務の縮小を行なった場合には、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)他金融機関等との競争激化に伴うリスク
当行グループが主要な営業基盤とする富山県において、地元競合他行及びメガバンクのほか近隣他県の地域金融機関、ノンバンク等との間で競争関係にあります。また、政府系金融機関の民営化、ゆうちょ銀行の業務範囲拡大の動き、小売業等異業種からの銀行業参入など近年の金融制度の大幅な緩和を通じ激化した競争環境のなかで、当行グル-プが競争優位を得られない場合、調達コストの上昇を資金運用面でカバーできない等の事態も想定され、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)業務範囲拡大に伴うリスク
当行グループは、法令等の規制緩和に伴う業務範囲の拡大等を前提とした多様な営業戦略を実施しております。当該業務の拡大が予想通りに進展せず、想定した結果を得られない場合、営業戦略が奏功しないことにより、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)自己資本比率に係るリスク
当行グループの連結自己資本比率及び単体自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づく平成18年金融庁告示第19号に定められた算式に基づき算出しており、当行グループは国内基準を採用しております。
当行グループの自己資本比率が要求される基準(4%)を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等の命令を受けることとなります。当行グループの自己資本比率に影響を与える要因としては以下のもの等が含まれます。
・有価証券ポートフォリオの価値の低下等
・貸出先の信用悪化や不良債権処理等による与信関係費用の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・繰延税金資産の回収可能性の低下(※)
・本項記載のその他の不利益な展開
※繰延税金資産の計上は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づくものであるため、当行グループが将来繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、繰延税金資産の取り崩しとなり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下につながる可能性があります。
(11)退職給付債務に係るリスク
当行グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)固定資産の減損等に係るリスク
当行グループは、固定資産の減損会計を適用しております。その適用に伴い、評価額が低下した場合等には損失が発生する可能性があり、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)金融犯罪に係るリスク
当行グループでは、金融犯罪防止への各種対策を実施しておりますが、金融犯罪が発生した場合、お客様への補償や損害金の発生等によって、当行グループの業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)子会社に係るリスク
当行グループは、連結子会社と協力体制を構築し営業活動を行っています。これらの子会社は、銀行業と異なる種類のリスクを内包しています。これら子会社の業績悪化や信用不安が発生した場合、子会社に対する投資からの便益が得られなくなったり、協力体制が十分に機能しなくなる可能性があります。また、信用不安の程度によっては、当行グループの業務運営や業績及び財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当行及び当行グループでは、経営の健全性を維持していくため、上記のリスク管理を経営の最重要課題の一つとして捉え、リスク管理態勢の充実に努めております。