有価証券報告書-第17期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 15:45
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事業等のリスク

当社及び当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項や、その他リスク要因に該当しない事項であっても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項について記載しております。また、これらのリスクは互いに独立するものではなく、ある事象の発生により他の様々なリスクが増大する可能性があることについてもご留意ください。なお、当社は、これらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生を回避するための施策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 近時の国内外の経済金融環境
国際金融資本市場の変動や国内外の景気の下振れ、資源価格の急激な下落等が生じた場合、国内外の取引先の経済活動が困難となり、当社グループの不良債権残高や与信関係費用が増加したり、当社グループの資本及び資金調達が難しくなること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 保有株式に係るリスク
① 株式価値の低下リスク
当社グループは市場性のある株式等、大量の株式を保有しております。国内外の経済情勢や株式市場の需給関係の悪化、発行体の経営状態の悪化等により株式の価値が低下する場合には、保有株式に減損処理及び評価損等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 株式の処分に関するリスク
当社グループは、大幅な株価下落をもたらすストレス環境下においても十分に金融仲介機能を発揮できる財務基盤を確保する観点から、政策保有株式の削減計画を策定し、本計画に取り組んでおります。この株式削減に伴い、売却損失が発生する可能性があるほか、取引先が保有する当社株式が売却されて当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(3) トレーディング業務、投資活動に係るリスク
当社グループは、デリバティブ取引を含む多種多様な金融商品を取扱うトレーディング業務や債券、ファンド等への投資を行っているため、当社グループの経営成績及び財政状態は、金利、為替、株価、債券価格、商品価格等の変動リスクに常に晒されております。例えば、金利が上昇したり債券の格付が引き下げられたりした場合、当社グループが保有する国債等の債券ポートフォリオの価値に影響を及ぼし、売却損や評価損等が発生する可能性があります。また、主要国の金融政策の変更、市場の低迷等により流動性が低下し適切な価格形成がなされない場合や、世界的な市場の混乱や経済金融環境の悪化が長期化・深刻化する場合等には、当社グループが保有する金融商品の市場価格等が大幅に下落し、多額の評価損や減損処理が発生し、これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替リスク
当社グループは、保有する外貨建資産及び負債について、必要に応じて、為替リスクを回避する目的からヘッジを行っておりますが、為替レートが急激に大きく変動した場合等には、多額の評価損等が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自己資本比率規制等
① 自己資本比率規制
バーゼル銀行監督委員会は、2010年12月に、銀行の自己資本に関する国際的な基準の詳細を示す「バーゼルⅢ:より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」を公表しました。
バーゼルⅢは、従来の自己資本規制(バーゼルⅡ)に比べ、優先株が普通株式等Tier1に算入されないことやTier2に算入可能な劣後債の要件が厳格化されるなど、資本の質的側面が強化されたことに加え、自己資本比率の最低水準の引き上げや各種バッファー(資本保全バッファー、カウンター・シクリカル・バッファー、G-SIBバッファー)の導入により、資本の量的側面の強化を図るものであり、2013年3月期より段階的に適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会は、2017年12月に、バーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書を公表しており、当該見直し後の規制は2022年から段階的に適用される予定です。
当社グループは海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率を平成18年金融庁告示第20号に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。また、当社の連結子会社である株式会社三井住友銀行も海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を平成18年金融庁告示第19号に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。
加えて、当社の連結子会社のうち海外営業拠点を有していない株式会社SMBC信託銀行は、平成18年金融庁告示第19号に定められる国内基準以上に自己資本比率を維持する必要があります。
当社グループ又は当社の国内銀行子会社(株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行)の自己資本比率がこれらの基準を下回った場合、金融庁から、自己資本の充実に向けた様々な実行命令を自己資本比率に応じて受けるほか、業務の縮小や新規取扱いの禁止等を含む様々な命令を受けることになります。また、海外銀行子会社については、現地において自己資本比率規制が適用されており、現地当局から様々な規制及び命令を受けることになります。その場合、業務が制限されること等により、取引先に対して十分なサービスを提供することが困難となり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ及び当社の銀行子会社の自己資本比率は、当社グループ各社の経営成績の悪化、自己資本比率の算定方法の変更及び本項「事業等のリスク」に記載する様々な要因が単独又は複合的に影響することによって低下する可能性があります。さらに、例えば次のような要因により自己資本比率が低下する可能性があります。
イ.繰延税金資産の自己資本比率規制上の自己資本算入額に関する上限
わが国の自己資本比率規制において、普通株式等Tier1資本に算入できる繰延税金資産に制限を設けることが規定されております。かかる規制により、当社グループ及び株式会社三井住友銀行等の銀行子会社の自己資本比率規制上の自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性があります。
ロ.繰延税金資産の貸借対照表計上額
当社グループは、現時点における会計基準に従い、繰延税金資産を貸借対照表に計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、一時差異等のスケジューリングや課税所得を合理的に見積もって判断していますが、一時差異等のスケジューリングが変更になった場合や課税所得が見積もりを下回ることとなった場合、又は法人税率の引き下げ等の税制改正がなされた場合には、当社グループの繰延税金資産が減額され、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼし、自己資本比率が低下する可能性があります。
ハ.資本調達手段
自己資本比率の算定においては、その他Tier1資本調達手段及びTier2資本調達手段の自己資本算入に加え、2013年3月以前に調達した適格旧資本調達手段についても自己資本算入に関する経過措置が設けられております。これらの資本調達手段について、自己資本算入期限が到来した際に、借換え等が必要になる可能性がありますが、市場環境の変化等によっては、その他Tier1資本調達手段、Tier2資本調達手段への借換え等が困難となり、当社グループの自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性があります。
② その他の規制
2015年11月、金融安定理事会(FSB)はG-SIBsに対して適用される新たな規制である総損失吸収力(TLAC)規制の枠組みを公表しました。2018年4月には、金融庁が当該規制に係る枠組みの整備の方針に係る文書の改訂版を公表しており、当該規制に基づき、当社グループは、2019年3月から一定比率以上の総損失吸収力(TLAC)を維持することが求められております。
また、バーゼル銀行監督委員会は、2010年12月に、銀行の流動性に関する国際的な基準の詳細を示す「バーゼルⅢ:流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」を公表しており、新たな規制である流動性カバレッジ比率(LCR)が適用されているほか、安定調達比率(NSFR)についても、2014年10月に最終規則文書が公表され、本邦でも導入される見通しです。2017年12月には、バーゼルⅢの見直しに係る最終規則文書の中で、G-SIBsに対する追加的要件を含むレバレッジ比率規制の枠組みが最終化されており、2019年3月から当社を含む国際統一基準行に対してレバレッジ比率の最低比率基準が導入されております。
こうした金融規制強化の動向を踏まえ、当社グループでは、強靭な資本基盤の構築等の施策に取り組んでおりますが、これらの施策が、企図するとおりの十分な成果を発揮しない可能性があります。
(6) 他の金融機関との競争
当社グループは、国内外の銀行、証券会社、政府系金融機関、ノンバンク等との間で熾烈な競争関係にあります。また、今後も国内外の金融業界において金融機関同士の統合や再編、業務提携が行われる可能性や、フィンテック等の新技術の台頭により競争環境に変化が生じる可能性、他業種から金融業への進出が加速する可能性があることに加え、金融機関に対する規制や監督の枠組みがグローバルに変更されること等により競争環境に変化が生じる可能性があります。こうした競争環境下で当社グループが競争優位を確立できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 信用リスク
① 不良債権残高及び与信関係費用の増加
当社グループは、貸出金等の債権について、劣化に対する予防策やリスク管理を強化するなど、信用リスクに対して様々な対策を講じております。また、自己査定基準、償却引当基準に基づき、その信用リスクの程度に応じて、担保処分等による回収見込額及び貸倒実績率等を勘案した貸倒引当金を計上しております。しかしながら、国内外の経済動向の変化、取引先の経営状況の変化(業況の悪化、企業の信頼性を失墜させる不祥事等の問題の発生等)、担保価値及び貸倒実績率の変動等により、取引先の業種や規模の大小等に関わらず、幅広いセグメントで貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 取引先の業況の悪化
当社グループの取引先の中には、当該企業の属する業界が抱える固有の事情等の影響を受けている企業がありますが、国内外の経済金融環境及び特定業種の抱える固有の事情の変化等により、当該業種に属する企業の財政状態が悪化する可能性があります。また、当社グループは、債権の回収を極大化するために、当社グループの貸出先に対する債権者としての法的権利を必ずしも行使せずに、状況に応じて債権放棄、デット・エクイティ・スワップ又は第三者割当増資の引受、追加貸出等の金融支援を行うことがあります。これら貸出先の信用状態が悪化したり、企業再建が奏功しない場合には、当社グループの与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 他の金融機関における状況の変化
世界的な市場の混乱等により、国内外の金融機関の経営状態の悪化等により当該金融機関の資金調達及び支払能力等に問題が発生した場合には、当社グループが問題の生じた金融機関に対する支援を要請されたり、当社グループが保有する金融機関の株式が減価したり、金融機関宛与信に関する与信関係費用が増加する等の可能性があります。また、他の金融機関による貸出先への融資の打ち切り又は回収があった場合には、当該貸出先に対して当社グループが追加融資を求められたり、貸出先の経営状態の悪化又は破綻により、当社グループの与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 当社グループのビジネス戦略
当社グループは、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の各種金融サービスを行うグループ会社群によって構成されており、2017年5月に公表した、2017年度から2019年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画において、中長期ビジョンとして「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」を掲げ、このビジョンの実現に向けた様々なビジネス戦略を実施してまいります。しかしながら、これらのビジネス戦略は、世界的な市場の混乱やわが国における金融緩和政策の長期化等の経済金融環境、事業環境の影響等により、必ずしも奏功するとは限らず、当初想定した成果をもたらさない可能性があります。
(9) 当社の出資、戦略的提携等に係るリスク
当社グループはこれまで、銀行業務、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等における様々な戦略的提携、提携を視野に入れた出資、買収等を国内外で行ってきており、今後も同様の戦略的提携等を行っていく可能性があります。しかし、こうした戦略的提携等については、①法制度の変更、②経済金融環境の変化や競争の激化、③提携先や出資・買収先の業務遂行に支障をきたす事態が生じた場合等には、期待されるサービス提供や十分な収益を確保できない可能性があります。また、当社グループの提携先又は当社グループのいずれかが、戦略を変更し、相手方との提携により想定した成果が得られないと判断し、あるいは財務上・業務上の困難に直面すること等によって、提携関係が解消される場合には、当社グループの収益力が低下したり、提携に際して取得した株式や提携により生じたのれん等の無形固定資産、提携先に対する貸出金の価値が毀損したりする可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 業務範囲の拡大
① 国内の業務範囲の拡大
規制緩和等に伴い、当社グループは新たな収益機会を得るために業務範囲を拡大することがありますが、それに伴い、新たなリスクに晒されます。当社グループが業務範囲を拡大するにあたり、精通していない業務分野に進出した場合又は競争の激しい分野に進出した場合等において、当社グループの業務範囲の拡大が奏功しない又は当初想定した成果をもたらさない可能性があります。
② 海外の業務範囲の拡大
経済のグローバル化が進展する中で、当社グループは、海外業務を拡大しております。海外業務の拡大に伴い、当社グループは、金利・為替リスク、現地の税制・規制の変更リスク、社会・政治・経済情勢が変化するリスク等に直面し、結果として、想定した収益を計上することができない、又は損失を被る可能性があります。また、地政学リスクの高まりや、海外の特定地域又は国の経済が悪化すること等により、当該地域又は国の貸出先及び金融機関の信用が低下し、当社グループが損失を被る可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 子会社、関連会社等に関するリスク
当社グループは、グループ内の企業が相互に協働して営業活動を行っております。これらの会社の中には、当社グループの中核的業務である銀行業務と比較して業績変動の大きい会社やリスクの種類や程度の異なる業務を行う会社もあります。当社グループがこれら子会社等への投資から便益を受けることができるかどうかは不確定であり、それらの会社の業績が悪化する可能性もあります。また、当社グループは、状況に応じて、子会社等に対して追加出資等を行う可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 退職給付債務
当社グループの年金資産の運用利回りが長期期待運用収益率を下回った場合や退職給付債務を計算する前提となる割引率等の基礎率を変更した場合等には、退職給付費用や退職給付債務の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 資本及び資金調達に関するリスク
当社及び株式会社三井住友銀行を含む当社グループ各社の格付が低下するなどした場合には、当社グループの国内外における資本及び資金調達の条件が悪化する、もしくは取引が制約される可能性があります。また、世界的な市場の混乱や経済金融環境の悪化等の外部要因によっても、当社グループの国内外における資本及び資金調達の条件が悪化する、もしくは取引が制約される可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの資本及び資金調達費用が増加したり、外貨資金調達等に困難が生じたりする等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 分配可能額
持株会社である当社は、その収入の大部分を傘下の銀行子会社等から受領する配当金に依存しております。一定の状況又は条件の下では、会社法、銀行法、その他諸法令上の規制又は契約上の制限により、当該銀行子会社等が当社に対して支払う配当金が制限される可能性があります。また、銀行子会社等の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、銀行子会社等の株式に係る減損処理の実施により当社の経営成績及び財政状態が悪化し、会社法その他諸法令上の規制等により、当社株主への配当及びその他Tier1資本調達手段である永久劣後債への利息の支払い等が困難となる可能性があります。
(15) 業績目標及び配当予想の修正
当社が公表する業績目標及び配当予想は、公表時点における様々な不確定要素をもとに算出しております。従って、国内外の経済金融環境が変化した場合や予想の前提となった条件等に変化があった場合には、上場する金融商品取引所の規則に基づいて、業績目標及び配当予想を修正する可能性があります。
(16) 決済リスク
当社グループは、国内外の多くの金融機関と多様な取引を行っております。金融システム不安が発生した場合又は大規模なシステム障害が発生した場合に、金融市場における流動性が低下する等、決済が困難になるリスクがあります。また、非金融機関の取引先との一定の決済業務においても取引先の財政状態の悪化等により決済が困難になるリスクがあります。これらが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) オペレーショナルリスク
当社グループが多様な業務を遂行していく上では、内部の不正行為、外部からの不正行為、労務管理面や職場環境面での問題の発生、お客さまへの商品勧誘や販売行為等における不適切な行為、自然災害等による被災やシステム障害等に伴う事業中断及び不適切な事務処理等、内部プロセス・人・システムが適切に機能しないことや外部で発生した事象により、損失が発生する可能性があります。これらのオペレーショナルリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 事務リスク
当社グループは、事務に関する社内規程等の整備、事務処理のシステム化、本部による事務指導及び事務処理状況の点検等により適正な事務の遂行に努めておりますが、役職員等が事務に関する社内規程等に定められたとおりの事務処理を怠る、あるいは事故・不正等をおこした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報システムに関するリスク及びサイバー攻撃
当社グループが業務上使用している情報システムにおいては、安定的な稼働を維持するためのメンテナンス、バックアップシステムの確保等の障害発生の防止策を講じ、また、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定し、システムダウンや誤作動等の障害が万一発生した場合であっても安全かつ速やかに業務を継続できるよう体制の整備に万全を期しております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず、品質不良、人為的ミス、サイバー攻撃等外部からの不正アクセス、コンピューターウィルス、災害や停電、テロ等の要因によって、情報システムに、システムダウン、誤作動、不備、不正利用を含む障害が発生する可能性があります。
特に、近年のデジタル技術の著しい発展により、インターネットやスマートフォンを利用した取引が増加している一方、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、金融機関をとりまくサイバーリスクは高まっております。加えて、取引先や業務委託先等の第三者のシステムを経由したサイバーリスクにも直面しております。
以上の認識の下、当社グループは、経営主導でサイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化をより一層推進することを定めた「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定しており、経営会議・取締役会での議論・検証の下、適切なリソースを配分するほか、専担部署を設けた上で有事の際のマニュアルの整備や、インターネットバンキング等のサービスでのセキュリティ対策の充実等を行うことを定めておりますが、これらの方策も最新の攻撃に対しては万全でない可能性があります。
これらの要因により、当社の情報システムに障害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) お客さまに関する情報の漏洩
当社グループは、お客さまに関する膨大な情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備や役職員等に対する教育の徹底等により、お客さまに関する情報の管理には万全を期しております。しかしながら、内部又はサイバー攻撃等外部からのコンピューターへの不正アクセスや役職員等及び委託先の人為的ミス、事故等によりお客さまに関する情報が外部に漏洩した場合、お客さまからの損害賠償請求やお客さま及び市場等からの信頼失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 各種の規制及び法制度等
① コンプライアンス体制等
当社グループは業務を行うにあたり、会社法、銀行法、独占禁止法、金融商品取引法、貸金業法、外為法、犯罪収益移転防止法及び金融商品取引所が定める関係規則等の各種法規制の適用を受けております。また、海外においては、それぞれの国や地域の規制・法制度の適用、及び金融当局の監督を受けております。加えて、各国当局は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止に関連し、FATF等の国際機関の要請に基づいた各種施策を強化しており、当社グループは、国内外で業務を行うにあたり、これらの各国規制当局による各種規制の適用を受けております。さらに、当社は、米国証券取引所上場会社として、米国サーベンス・オクスリー法や米国証券法、米国海外腐敗行為防止法等の各種法制の適用を受けております。
当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部管理体制の強化を経営上の最重要課題のひとつとして位置付け、グループ各社の役職員等に対して適切な指示、指導及びモニタリングを行う体制を整備するとともに、不正行為の防止・発見のために予防策を講じております。しかしながら、役職員等が法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、法的な検討が不十分であった場合又は予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合には、不測の損失が発生したり、行政処分や罰則を受けたり、業務に制限を付されたりするおそれがあり、また、お客さまからの損害賠償請求やお客さま及び市場等からの信頼失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 経済制裁対象国との取引に係るリスク
本邦を含む各国当局は、経済制裁対象国や特定の団体・個人等との取引を制限しております。例えば、米国関連法規制の下では、米国国務省が経済制裁対象国と指定している国等と米国人(米国内の企業を含む)が事業を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。また、米国政府は、イラン制裁関連法制等により、米国以外の法人、個人に対しても、イランの指定団体や指定金融機関との取引等を規制しております。当社グループは、本邦・米国を含む各国の法規制を遵守する体制を整備しておりますが、既に米国財務省外国資産管理室(OFAC)に自主開示している取引を含めて、当社グループが行った事業が法規制に抵触した場合には、関連当局より過料等の処分を受ける可能性や厳しい行政処分等を受ける可能性があります。なお、取引規模は限定的でありますが、当社の銀行子会社の米国以外の拠点において、米国法令等を含む各国関連法規の遵守を前提として、経済制裁対象国と銀行間取引を行う場合があり、経済制裁対象国との取引が存在すること等により当社グループの風評が悪化し、お客さまや投資者の獲得あるいは維持に支障を来す可能性があります。それらにより、当社グループの株価、業務、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 各種の規制及び法制度等の変更
当社グループが国内外において業務を行う際には、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等の適用を受けております。これらが変更された場合、もしくは、新たな規制等が導入された場合には、当社グループの業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 災害等の発生に関するリスク
当社グループは、国内外の店舗、事務所、電算センター等の施設において業務を行っておりますが、これらの施設は、地震等の自然災害、停電、テロ等による被害を受ける可能性があります。また、各種感染症の流行により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当社グループは、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しておりますが、被害の程度によっては、当社グループの業務が停止し、当社グループの業務運営や経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21) 有能な人材の確保
当社グループは幅広い分野で高い専門性を必要とする業務を行っておりますので、各分野において有能で熟練した人材が必要とされます。お客さまに高水準のサービスを提供するため、役職員の積極的な採用及び役職員の継続的な研修を行うこと等により、経費が増加する可能性があります。また、当社グループは、他の銀行及び証券会社等と競合関係にあるため、有能な人材を継続的に採用し定着を図ることができなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(22) リスク管理方針及び手続の有効性に関するリスク
当社グループは、リスク管理方針及び手続を整備し運用しておりますが、新しい分野への急速な業務の進出や拡大に伴い、リスク管理方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループのリスク管理方針及び手続の一部は、過去の経験に基づいた部分があることから、将来発生する多様なリスクを必ずしも正確に予測することができず、有効に機能しない可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23) 重要な訴訟等
当社グループは、国内外において、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の各種金融サービスを行うグループ会社群によって構成されており、付加価値の高い金融サービスを幅広く提供しております。こうした業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起されたり、損害に対する補償が必要となる可能性があり、その結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(24) 金融業界及び当社グループに対する否定的な報道
金融業界又は当社グループを対象として、様々な問題に関する否定的な内容の報道がなされることがあります。これらの中には憶測に基づいたものや、必ずしも正確な事実に基づいていないと思われるものも含まれておりますが、報道された内容が正確であるか否かにかかわらず、又は当社グループが報道された内容に該当するか否かにかかわらず、これらの報道がお客さまや投資者等の理解・認識に影響を及ぼすことにより、当社グループの信用や当社の株価が悪影響を受ける可能性があります。
(25) 財務報告に係る内部統制に関するリスク
当社は、金融商品取引法に基づいて、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書の提出を義務付けられております。また、当社は、米国証券取引所上場会社として、米国サーベンス・オクスリー法に基づいて、財務報告に係る内部統制等の評価も義務付けられております。
当社は、会計処理の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制評価規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当社の財務報告に対するお客さま及び投資者等からの信頼を損ない、その結果、当社の株価が悪影響を受ける可能性があります。