有価証券報告書-第17期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:45
【資料】
PDFをみる
【項目】
197項目

対処すべき課題

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営方針、経営戦略等
① 経営方針
当社グループは、以下の経営理念のもと、「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」を目指してまいります。
○お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する。
○事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る。
○勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る。
② 経営環境
当年度を顧みますと、年度後半には、米中貿易摩擦を受けた各国の輸出入の鈍化等を背景に、世界経済の先行き不透明感が高まりましたが、総じて緩やかな回復基調が続きました。海外では、中国の成長ペースが鈍化したものの、新興国において、緩やかな経済の成長が見られました。先進国においても、個人消費が底堅く推移し、経済の回復基調が続きました。わが国の経済は、企業業績が概ね好調に推移する中、設備投資の増加や雇用・所得環境の改善を通じた個人消費の持直し等から、内需を中心に緩やかな回復が続きました。わが国の金融資本市場におきましては、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもと、短期金利はマイナス0.06%前後で推移しました。一方、長期金利は、昨年7月に決定された金融緩和の持続性強化に向けた政策において、長期金利の変動許容幅が拡大されたことを受け、10月には0.15%台まで上昇しましたが、米中貿易摩擦を巡る不透明感を背景に反転した後、米国において利上げの一時停止が示唆されたことを受け、当年度末にかけてマイナス圏で推移しました。円相場は、昨年10月に1ドル114円台まで円安が進んだ後、本年1月には一時1ドル107円台まで上昇しましたが、米国長期金利の下落等を受け、当年度末にかけて概ね1ドル110円台で推移しました。日経平均株価は、好調な企業業績や米国における株価上昇等を背景に2万4千円台前半まで上昇した後、本年1月には一時的に2万円台を割り込みましたが、当年度末には2万1千円台まで回復しました。
こうした中、昨年6月、株式会社東京証券取引所により「コーポレートガバナンス・コード」が改訂されたほか、金融機関と金融関連IT企業等(いわゆる「フィンテック企業」)が連携・協働して技術革新を進めていくための法制度の整備等を目的とした「銀行法等の一部を改正する法律」が施行されました。
③ 経営戦略
当社グループは、グループ総合力の結集と構造改革の推進により、お客さまに価値ある商品・サービスを適時に提供し、お客さまに選ばれる金融グループとして、持続的成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。そのための施策として、2017年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画で掲げた以下の3つの基本方針に則った取組みを加速してまいります。
○規律を重視した事業展開
○強みに重点を置いた成長戦略の推進
○持続的成長を支えるグループ・グローバルベースの運営高度化
④ 経営指標
本中期経営計画では、資本効率・資産効率・経費効率の改善に取り組み、下表の3項目を最終年度の2019年度の財務目標として掲げております。
<連結財務目標(2019年度)>
資本効率ROE※17~8%程度
経費効率経費率2016年度(62.1%)比
△1%程度低下
健全性普通株式等Tier1比率※210%程度

※1 株主資本ベース。
※2 バーゼルⅢ最終化時ベース。普通株式等Tier1から「その他有価証券評価差額金」、リスクアセットから株式評価益見合い分を控除。
(2) 対処すべき課題
当社グループは、中期経営計画の最終年度にあたる2019年度は、業務運営方針を「中期経営計画の最終年度を着実に仕上げるとともに、次期中期経営計画を展望し、持続的成長に向けた施策に着手する」とし、中期経営計画で掲げた前述の3つの基本方針に則った取組みの総仕上げにより、お客さまに価値ある商品・サービスを適時に提供し、お客さまに選ばれる金融グループとして、持続的成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。
① 規律を重視した事業展開
ボトムライン収益の持続的成長を実現するため、資本効率、資産効率及び経費効率の向上のためのビジネスモデル改革を加速し、規律を重視した収益性の高い金融機関を目指してまいります。
具体的には、国内の安定的な収益基盤における競争優位性を維持しつつ、優先的に資源投入するビジネスを選別することで、資本効率の良い収益構造への転換を進めていくとともに、国際的な金融規制の強化を踏まえ、資産の総額もコントロールしてまいります。
加えて、デジタル技術を活用した業務の効率化やグループ内での業務基盤の共有化を進め、グループ全体の生産性向上と効率化を推進してまいります。
② 強みに重点を置いた成長戦略の推進
当社グループの競争優位性と事業の成長性をもとに定めた以下の「7つの戦略事業領域」に重点を置き、4つの事業部門において、安定的な収益基盤である国内事業の一層の強化、海外事業における成長戦略の推進及び将来の成長に向けた新たな強みづくりに取り組んでまいります。
<7つの戦略事業領域>・本邦ナンバーワンの個人向け金融ビジネスの実現
・本邦中堅企業向けビジネスにおける優位性の拡大
・国内外の大企業向けビジネスにおける存在感の拡大
・高採算かつグローバルに強みがある金融商品の提供におけるトップクラスの地位の確立
・「アジア・セントリック」の進化
・市場関連業務の収益力強化
・当社グループ独自の付加価値の高い信託・資産運用ビジネスの構築
イ.リテール事業部門
お客さま本位に根ざした資産管理型ビジネスと個人向けローンの拡充に注力するとともに、キャッシュレス化を先導してまいります。また、株式会社三井住友銀行におきまして、全店舗の次世代型店舗への移行完了を目指してまいります。
ロ.ホールセール事業部門
貸出に加え、お客さまの経営課題に応じた解決策をグループベースで提供し、収益性を向上させてまいります。また、デジタル化の進展や異業種の参入等によりお客さまのビジネス環境が変化する中、お客さまとともに新たなビジネスの創出にも取り組んでまいります。
ハ.国際事業部門
海外のお客さまに対しまして、貸出に加え、為替取引や債券・株式の引受け等への対応力を強化し、お取引の複合化を推進してまいります。また、航空機リース等の高採算かつ当社グループが強みを持つビジネスを強化してまいります。更に、インドネシアをはじめとするアジア地域においてマルチフランチャイズ戦略を一層推進してまいります。
ニ.市場事業部門
ALM業務において、株式や債券のポートフォリオを機動的に調整することで収益を拡大させてまいります。また、調達手段の多様化等により、外貨の安定的かつ低コストな調達を推進してまいります。更に、お客さまの多様な運用志向やニーズに応じたソリューション提案型のビジネスモデルを確立するとともに、グループ・グローバルベースでのサービス提案力を一段と向上させてまいります。
③ 持続的成長を支えるグループ・グローバルベースの運営高度化
イ.ビジネスにおける可能性を最大化する経営体制
事業部門制のもと、引き続き、グループ・グローバルベースで当社グループの経営資源を最大限活用してまいります。具体的には、グループ各社が、統一された経営戦略のもとで商品・サービス提供力を強化することによって、幅広いお客さまの多様なニーズに的確にお応えしてまいります。また、企画・管理機能を高度化し、人員・システム投資額等をグループ・グローバルベースでコントロールすることで、全体最適の観点から資源の投入を行ってまいります。
ロ.デジタル化の推進
社会のデジタル化、キャッシュレス化が急速に進展する中、様々な新しい技術を積極的に取り入れ、当社グループの生産性向上・業務効率化や経営基盤の高度化並びにお客さまの利便性向上や新規ビジネスの創造等、あらゆる分野でデジタル化を推進いたします。
ハ.サステナビリティ経営の推進
経営トップの強力なリーダーシップのもと、持続可能な社会の実現を目指して、事業を通じた社会的課題の解決とSDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けた取組みを進めてまいります。
当社グループは、お客さま本位の業務運営を一層推進するとともに、これらの取組みにおいて、着実な成果をお示ししたいと考えております。