有価証券報告書-第36期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/28 11:11
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)の日本経済は、海外諸国の景気回復期待に伴い緩やかな回復基調にあり、株式市況もおおむね堅調に推移しました。そのような環境のもと、当連結会計年度における当社グループの業績等の概要は、営業収益4,681百万円(前連結会計年度比1.9%増)、営業利益739百万円(前連結会計年度営業損失123百万円)、経常利益540百万円(前連結会計年度比61.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益564百万円(同20.2%減)となりました。その詳細については、以下のとおりです。
① ファンドの状況
当連結会計年度末における、当社グループが管理、運用又は投資情報の提供を行っているファンドの運用残高は、15ファンド、28,753百万円(前連結会計年度末17ファンド、39,335百万円)となりました。満期を迎えたファンドについて着実に清算を進めた結果、前連結会計年度末から減少しています。
投資事業組合等運営報酬については、278百万円(前連結会計年度比 49.3%減)と前連結会計年度に比べ減少しました。このうち管理運営報酬等は、ファンド運用残高の減少に伴い前連結会計年度に比べ減少しました。また、成功報酬も、ファンドで生じた売却益が減少したため前連結会計年度に比べ減少しています。
前連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
投資事業組合等運営報酬
合計額 (百万円)
548278
うち管理運営報酬等
(百万円)
260232
うち成功報酬
(百万円)
28846

既存ファンドの運用残高や管理運営報酬等は減少傾向にあるため、当社ではファンドの新規組成に注力しています。当連結会計年度においては、大手金融機関を出資者に迎え、国内で事業再生投資を行う5億円のファンドを設立しました。今後は、国内の事業承継問題を抱える中小企業を投資対象としたファンドや、国内のベンチャー企業を投資対象としたファンドの設立を目指し、それぞれ大手金融機関と交渉しています。
資本業務提携先のFirst Easternグループとは、共同ファンドの設立について協議を続けています。協議をさらに推進するため、平成29年4月に交渉を担当する「事業開発グループ」を新設し、執行役員1名を登用して組織体制を強化しました。今後もファンドの早期設立に向けて協議を継続して参ります。
②投資実行の状況
当連結会計年度の、当社グループの自己勘定及び当社グループが管理運営するファンドからの投資実行額は、総計で33社、4,315百万円(前連結会計年度比5.4%増)と前連結会計年度から若干増加しました。
プライベートエクイティ事業については、日本とアジアに跨る総合的投資会社として、両地域において成長企業に投資をしています。投資対象とする業種は特定しておらず、多岐にわたります。ただし、ICT(情報通信技術)の個人向けサービスなど一部の業種では投資候補先企業の株価が高騰しているため、投資採算を重視し厳選して投資をしています。
国内では、前連結会計年度に設立した「JAIC企業育成投資事業有限責任組合」によるセカンダリー案件への投資に加え、有望企業へ投資を行い中長期的にその成長を支援しています。中国では、瀋陽市で運営中のファンドを中心に投資を行っています。
その結果、当連結会計年度の、当社グループの自己勘定及び当社グループが管理運営するファンドからの投資実行額は16社、1,131百万円となりました。
再生可能エネルギー投資事業については、既存プロジェクトを着実に推進し、追加の投資を行いました。また、新規のプロジェクトについては、三重県で建設中のプロジェクト1件16.5MWなどに投資を実行しました。その結果、当連結会計年度の、当社グループの自己勘定及び当社グループが管理運営するファンドからの投資実行額は、17件、3,184百万円となりました。今後も各プロジェクトの事業化を確実に実現するとともに、さらなる案件の開拓に努めて参ります。
なお、当社がメガソーラープロジェクトに投資を行う際のモデルスキームは、プロジェクトごとに設立した特別目的会社が、総工費のうち80~85%程度の金額をプロジェクトファイナンス等のローンで調達し、残る15~20%程度の金額を、当社、及び当社の関与するファンド、並びにその他の共同投資家の匿名組合出資で調達します。調達した資金によりメガソーラー発電所が建設され、特別目的会社がこれを保有します。
当連結会計年度末において投資をしているプロジェクトは、売却や他回収済みの案件を除き、合計で23件、113.8MWまで拡大しました。このうち、上述のスキームにより当社が出資した持分に帰属する部分は、67.0MW相当となります。
当社グループの自己勘定、及び当社グループが管理運営するファンドの当連結会計年度末投資残高は、196社、16,558百万円(前連結会計年度末 223社、18,783百万円)と前連結会計年度末に比べ減少しました。
プライベートエクイティ事業では、満期を迎えたファンドの投資回収が進捗しました。
再生可能エネルギー投資事業では、5件、17.7MWのメガソーラープロジェクトを、東京証券取引所のインフラファンド市場に上場する「日本再生可能エネルギーインフラ投資法人」に対し売却しました。また、採算性の低下などの理由で3件、9.8MWのプロジェクトから投資資金を回収しました。
③IPO(新規上場)と投資損益の状況
当連結会計年度において、当社グループの投資先企業の中からIPOを果たした企業は、上場企業との株式交換(国内1社)を含め国内5社、海外-社、合計5社(前連結会計年度 国内6社、海外2社、合計8社)となりました。
投資損益の状況については、国内では、満期を迎えたファンドから投資していた企業の株式売却やIPOを果たした企業の株式売却が進捗しました。一方、海外においては、前連結会計年度に比べ大型の売却案件が減少しました。その結果、営業投資有価証券の売却高は前連結会計年度から減少し3,184百万円(前連結会計年度比8.7%減)となりました。実現キャピタルゲインは、売却高が減少したことに加え、ファンド満期に伴う売却では一部売却損の生じた銘柄もあったため、1,057百万円(同27.4%減)と前連結会計年度に比べ減少しました。
営業投資有価証券評価損は、他社の運営するファンドに対する計上額等72百万円(前連結会計年度比430.4%増)が発生し、前連結会計年度に比べ増加しました。一方、投資損失引当金繰入額は、営業投資資産の入れ替えが進んでいることなどから、279百万円(前連結会計年度比70.6%減)と減少しました。
以上の結果、実現キャピタルゲインから評価損と投資損失引当金繰入額を控除した投資損益は、705百万円の利益(同43.0%増)となり前連結会計年度に比べ増加しました。
また、組合持分利益等は、5件、17.7MWのメガソーラープロジェクトを売却したことによる利益、及び売電中のプロジェクトからの売電収入、並びに他社の運営するファンドの持分利益が計上されたため、前連結会計年度から増加し、1,153百万円(前連結会計年度比158.8%増)となりました。
その結果、これらを合計した投資業務全体では、営業収益は4,383百万円(前連結会計年度比9.5%増)、営業総利益は1,744百万円(前連結会計年度比91.6%増)と前連結会計年度から増加しました。

前連結会計年度
(自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
営業投資有価証券売却高(A)
(百万円)
3,4853,184
営業投資有価証券売却原価(B)
(百万円)
2,0272,126
実現キャピタルゲイン(A)-(B)
(百万円)
1,4571,057
営業投資有価証券評価損(C) (百万円)1372
投資損失引当金繰入額(D)
(百万円)
950279
投資損益(A)-(B)-(C)-(D)
(百万円)
493705

(注)上記表の営業投資有価証券売却原価(B)の金額には、営業投資有価証券評価損(C)は含めておりません。
また、当連結会計年度末における時価のある営業投資有価証券のうち、上場株式の含み益は、含み損のあった銘柄を売却したことなどにより前連結会計年度末から増加し、221百万円(前連結会計年度末126百万円)となりました。
前連結会計年度末
(平成28年3月31日現在)
当連結会計年度末
(平成29年3月31日現在)
取得原価 (百万円)49587
連結貸借対照表計上額
(百万円)
621308
差額(含み益)(百万円)126221

④ 販売費及び一般管理費、その他の状況
「第2 事業の状況 7財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営成績の分析」の「(2)営業原価、販売費及び一般管理費及び営業損益」から「(4)特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益」までに記載のとおりであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
1,406百万円の収入(前連結会計年度974百万円の収入)となりました。前連結会計年度に比べ投資回収の進捗に伴い投資事業組合からの分配金が増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に発生した投資有価証券の償還による収入が当連結会計年度では発生しなかったこと等から、5百万円の支出(前連結会計年度470百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ、新株予約権の行使に伴う収入が減少した一方、長期借入金の返済による支出が増加した結果、2,469百万円の支出(前連結会計年度1,404百万円の支出)となりました。
これから現金及び現金同等物に係る換算差額32百万円を控除した結果、当連結会計年度末において現金及び現金同等物の残高は1,100百万円減少して4,815百万円となりました。