有価証券報告書-第36期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 11:11
【資料】
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【項目】
117項目

事業等のリスク

当社及び当社グループの事業等のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると思われる主要な事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経済環境及び投資環境に係るリスク
当社グループは、自己資金及び当社グループが管理運営するファンドの資金により、日本・アジアを中心とした未上場株式等への投資を行い、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への売却によるキャピタルゲイン、並びに管理運営するファンドからの成功報酬及び管理報酬を得ることを基幹業務としております。このため、当社グループの経営成績及び財政状態は世界各国の株式市場及び投資対象地域の経済環境の影響を受けることとなります。世界経済が不況に陥った場合、投資先企業の業績の不振が当社グループの投資資産価値の減価につながる可能性がある他、投資資金を回収する局面において株式市場が活況でなく新規株式上場市場も低調である場合や、経済環境が低迷し、売却交渉に悪影響を与える場合には、当社グループが得るキャピタルゲイン及び成功報酬が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 業績変動リスク
当社グループは、投資先企業の株式上場による株式市場での売却や第三者等への株式等の売却によるキャピタルゲインを主たる収益の1つとしております。売却の時期や売却価額は、株式市況や個々の投資先企業の特性、その他様々な要因の影響を受けて想定外に変動する可能性があります。その結果、会計年度によって得られるキャピタルゲインの金額が大きく変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)投資活動に係るリスク
当社グループは、未上場株式等や再生可能エネルギープロジェクトを投資対象としており、その投資活動については以下のようなリスクがあります。
①当社グループが投資対象とする未上場企業は、成長過程にある企業であるため、収益基盤や財務基盤が不安定であったり、経営資源も限られるといったリスク要因を内包しております。そのため、投資後に企業価値が低下したり、倒産するなどして損失が発生する可能性があります。
②当社グループによる未上場株式等への投資から株式上場もしくは第三者等への売却に至るまでには通常長期間を要するため、途中で業績悪化等により当該投資先の企業価値が当初の見込みと異なって変動する可能性がある他、経済環境や株式市場動向等外部要因の影響を受けて投資採算が当初の見込みと大幅に異なり、キャピタルゲインの減少、もしくはキャピタルロスや評価損が発生する可能性があります。
③当社グループが投資対象とする未上場株式等は、上場企業の株式等に比較して流動性が著しく低いため、投資回収において、その取引参加者の意向により取引条件が大きく変動し、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はなく、キャピタルロスが発生したり、長期間売却できない可能性があります。
④当社グループが投資対象とする再生可能エネルギープロジェクトは、投資判断を行う上で一定の前提条件のもとに、発電所完成までの建設費用等の総事業コストや完成後の長期間にわたる発電量などを見積もり、採算性の検証を行っております。そのため、これらの前提条件が想定以上に変動したり、自然災害や固定価格買取制度の大幅な変更・改正など想定外の事象が発生した場合には、その内容によっては、投資対象とするプロジェクトの投資採算性が見込みと大幅に異なり、プロジェクトから得られる収入の減少、もしくは、プロジェクトに対する投資資産の評価損が発生する可能性があります。
なお、自然災害による被害に関しては、太陽光パネルに長期のメーカー保証を付けるとともに、発電所に対する動産総合保険等によりこれらの被害を最小限に収める対策をしております。
(4)株価下落のリスク
当社グループは、投資先企業の株式上場等により、市場性のある株式を保有しております。また、プライベートエクイティ事業において投資領域を拡大する方針に伴い、今後は市場性のある株式に投資を行う可能性があります。そのため、株式市場において株価が下落した場合、保有有価証券に評価損が発生するおそれがあるとともに、株式売却によって得られるキャピタルゲインが減少するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
また、新規上場銘柄のうち一部の銘柄につきましては、各証券取引所の関連規則又は投資先企業との契約によって上場後一定期間売却が制限されることがあります。当該期間中に株価が下落した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)為替リスク
当社グループは、海外での地域分散投資を行っているため、保有する外貨建資産につきましては、外国為替の変動の影響を受けます。なお、プライベートエクイティ投資の特性上、投資資金の回収期間が長期となり、また、回収金額及び回収時期の特定ができず将来のキャッシュ・フロー予測が困難であるため、為替予約などによる為替リスクヘッジ取引等は、売却時の短期的な取引等を除き行っておりません。
(6)貸付金に対する貸倒リスク
当社グループは営業貸付金及び破産更生債権等の残高を有しており、貸金業法及び「出資の受入れ、預かり金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という)の適用を受けております。
当社グループは、貸出先の状況、差し入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、個別貸出先の状況の変動や経済環境の変化等外部要因等により、実際の貸倒れが当該前提及び見積りを上回り、貸倒引当金が不十分となり、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)役員派遣に係るリスク
当社グループの役職員を投資先企業の非常勤役員として派遣することがありますが、投資先企業に対して派遣した当社役職員が損害賠償請求等をされた場合、当社グループに使用者責任及び当該賠償金額を負担する義務が発生する可能性があります。
(8)資金調達リスク
① 投資業務は、投資してから資金の回収までに長期間を有するため、投資資金の回収を含む資金調達額と投資実行額がアンバランスになり、財政状態及びキャッシュ・フローの状況が短期的に大きく変動したり、あるいは悪影響を被る恐れがあります。
② 当社は、上記①のような事業の性質上、業務に必要な資金を長期的かつ安定的に調達する必要がありますが、現時点においてその大部分を負債性資金により調達しております。
負債性資金については、当社グループは、平成21年3月以降4回にわたり、全取引金融機関から返済条件の変更等を主としたリスケジュールにご同意を頂いており、現在の返済計画は、平成28年7月29日から平成29年7月31日までとなっています。
今後、平成29年7月31日に期限が到来するに当たり当該対象債務の残債務については、再び新たな弁済計画について全取引金融機関と協議中でありますが、協議が纏まらない場合には、期限の利益を喪失するなど、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、この新たな返済計画は返済期限を平成30年7月31日としており、これまでと同様に、最低返済額を定めていますが財務制限条項は付しておりません。経済環境の悪化や不測の事態等により当社グループが現時点においてご同意頂いている弁済計画で定められている最低返済額の返済を履行できない事態に陥った場合には、期限の利益を喪失するなど、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)カントリーリスク
当社グループは、アジア諸国などでも投資活動を行っているため、営業活動する国における経済情勢の変化、政治的要因の変化、法制度の変更、テロや伝染病の発生などの社会的混乱等により投資先企業や当社グループ会社の事業活動に影響を及ぼすリスクが内在します。
(10)人材流出のリスク
プライベートエクイティ投資における成功には、有能なキャピタリストやファンドマネージャーの存在とその育成が不可欠であり、当社グループの重要な競争力の源泉であります。人事評価における成果主義の導入と、優秀な人材を確保するため、人件費が増加する可能性があります。また、優秀な人材の流出により、当社グループの将来の成長、事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす場合があります。
(11)法的規制によるリスク
①当社グループは、本邦、アジア諸国及びケイマン諸島などのオフショアと呼ばれる地域他各国において、ファンドの管理運営業務及び投資事業等を行っているため、これらの地域における法的規制(会社法・金融商品取引法・独占禁止法・租税法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・財務会計関連法規等)の適用による影響を受けるほか、これらの規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす場合があります。
②適格機関投資家等特例業務関連
当社グループ内には当社をはじめとして、本邦におけるファンドの管理運営業務につき金融商品取引法第63条に基づく適格機関投資家等特例業務を営むに当たり、届出を行っている会社があります。この届出により当社グループが管理運営するファンドは、出資者を適格機関投資家等を主とする投資家に限定するなど一定の要件を満たす必要があります。
当社グループ各社の行う業務において当該要件を満たせない事象が発生した場合や、適用法令の公権的解釈の変更その他何らかの理由により適格機関投資家等特例業務に該当しなくなった場合、当該事業の業務遂行に支障をきたす可能性があり、その場合には当社グループの社会的信用力が低下し、事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)競合・参入の状況に係るリスク
当社グループが属するベンチャーキャピタル事業を含むプライベートエクイティ投資業界においては、強力な資金力を有する金融機関、事業会社、外資系企業等による参入があり、これらの系列のベンチャーキャピタル及びプライベートエクイティ投資会社等が積極的に投資活動を拡大した場合、独立系である当社グループの投資機会が減少すること等により、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、競合他社による優れたポートフォリオの構築、高い投資リターンの実現、低価格サービスの提供等により、当社グループの競争力が相対的に低下し、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)ファンド(投資事業組合等)に係るリスク
①ファンド募集について
ファンド(投資事業組合等)は、当社グループにとって投資原資であるだけでなく、管理報酬や成功報酬等の収益源、また様々な企業と提携してシナジー効果を生み出す上で有効なビークルでもあります。ファンドの募集活動において、出資者から十分な資金を集められない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、管理報酬が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②ファンド運営に係る訴訟の可能性等について
当社グループは複数のファンドを設立しており、無限責任組合員又はゼネラルパートナーとして、その出資額を超える損失を負担する可能性があります。また、ファンドの業務執行組合員としての善管注意義務違反を理由とする訴訟や、ファンド間、当社グループとファンド又は出資者、もしくは出資者間の利益相反等を理由とする訴訟等を提起される可能性があります。こうした当社グループに対する訴訟等により損害賠償義務を負った場合には、損害賠償そのもののみならず、社会的信用の低下から当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(14)情報管理に係るリスク
当社グループが保有する取引先の重要な情報並びに個人情報の管理について、各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を進めておりますが、今後、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。