臨時報告書

【提出】
2020/10/30 16:13
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主である株式会社新生銀行(以下「新生銀行」といいます。)から、会社法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本売渡請求」といいます。)の通知を受け、2020年10月30日開催の当社取締役会において、本売渡請求を承認することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本売渡請求の通知に関する事項
(1) 当該通知がされた年月日
2020年10月30日
(2) 当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号株式会社新生銀行
本店の所在地東京都中央区日本橋室町二丁目4番3号
代表者の氏名代表取締役社長 最高経営責任者 工藤 英之

(3) 当該通知の内容
新生銀行は、当社の会社法第179条第1項に定める特別支配株主として当社の株主の全員(新生銀行、新生フィナンシャル株式会社(以下「新生フィナンシャル」といいます。)および当社を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社の普通株式(以下「本売渡株式」といいます。)の全部を新生銀行に売り渡すことを請求することを決定したとのことであり、当社は、本日付で新生銀行から以下の内容の通知を受領いたしました。
① 特別支配株主完全子法人に対して本売渡請求をしないこととするときは、その旨および当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
特別支配株主完全子法人である新生フィナンシャルに対して本売渡請求をしないことといたします。
② 本売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額およびその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号、第3号)
新生銀行は、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本売渡対価」といいます。)として、その有する当社の普通株式1株につき85円の割合をもって金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2020年12月1日
⑤ 本売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
新生銀行は、本売渡対価を、新生銀行が保有する現預金により支払います。新生銀行は、本売渡対価の支払のための資金に相当する額の銀行預金を保有しており、本売渡対価の支払に支障を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性は現在認識しておりません。
⑥ その他の本売渡請求に係る取引条件(会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本売渡対価は、取得日以降合理的な期間内に、取得日の前日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所または本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。ただし、当該方法による交付ができなかった本売渡株主については、当社の本店所在地にて当社が指定した方法により(本売渡対価の交付について新生銀行が指定したその他の場所および方法があるときは、当該場所および方法により)、本売渡株主に対する本売渡対価の支払いを実施いたします。
2.本売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1) 当該通知がされた年月日
2020年10月30日
(2) 当該決定がされた年月日
2020年10月30日
(3) 当該決定の内容
新生銀行からの通知のとおり、新生銀行による本売渡請求を承認いたします。
(4) 当該決定の理由および当該決定に至った過程
ア 承認に関する判断の根拠および理由
当社(存続会社、旧社名:株式会社ダイシンファイナンス、設立年月日:1951年3月30日、住所:大阪市南区南船場一丁目17番26号)は、株式会社大信販(消滅会社、設立年月日:1956年10月6日)の株式額面金額の変更のため1980年4月1日を合併の日として同社を吸収合併し、資産、負債および権利義務の一切を引き継ぎました(以下、当該吸収合併の当事者を含めて、「当社」といいます。)。当社は、1956年10月に大阪市東区に大阪信用販売株式会社として設立され、大阪府下における呉服、洋服、洋装等業種別小売組合加盟の小売商に対するクーポン事業を開始しました。その後、当社は、1962年5月に割賦購入あっせん業者登録を行い、同年9月にショッピングクレジット業務を、同年10月にキャッシングサービス業務を、1972年10月にクレジットカード業務を、1976年1月に保証業務を、1976年11月に集金代行業務をそれぞれ開始しました。当社は、上記の吸収合併の後、商号を1992年4月に株式会社アプラスに、2010年4月に現在の商号である株式会社アプラスフィナンシャルに変更するとともに、2010年4月に、2009年4月に設立した株式会社アプラスクレジット(2010年4月に商号を株式会社アプラスに変更しております。)および株式会社アプラスパーソナルローンに事業を承継し、事業持株会社体制に移行しました。当社は、1981年11月に大阪証券取引所市場第二部に上場し、さらに1984年9月に大阪証券取引所市場第一部に指定されました。その後、2013年7月に大阪証券取引所と東京証券取引所の市場統合に伴い、東京証券取引所市場第一部に上場となり、現在に至っています。
新生銀行は、本日現在、当社優先株式25,250,000株(第一回B種優先株式2,500,000株およびH種優先株式22,750,000株の合計)(議決権所有割合(注):1.6%)を所有し、また、新生銀行の完全子会社である新生フィナンシャルは、当社株式1,446,267,484株(議決権所有割合:93.3%)を所有しております。
(注)「議決権所有割合」とは、当社が2020年8月4日に提出した四半期報告書の議決権の状況に記載された2020年6月30日現在の当社の発行済株式総数(1,549,461,152株)に係る総株主の議決権(15,493,880個)に占める割合(小数点以下第二位を切り捨て)をいいます。以下同じです。
当社と新生銀行は、2004年9月に業務・資本提携を行うことについて合意し、新生銀行の子会社である株式会社ワイエムエス・シックス(以下「ワイエムエス・シックス」といいます。)が第三者割当により当社株式(129,614,767株)および当社が保有していた自己株式(38,864株)を取得し、また、新生銀行は、株式会社ユーエフジェイ銀行(現「株式会社三菱UFJ銀行」)が保有していた当社第一回A種優先株式(5,000,000株)、当社第一回B種優先株式(10,000,000株)および当社第一回C種優先株式(15,000,000株)を譲り受けました。2005年2月には、ワイエムエス・シックスが、第三者割当により当社D種優先株式(27,000,000株)および当社E種優先株式(71,000,000株)を取得しましたが、その後、2005年3月から2006年4月にかけて、ワイエムエス・シックスは、その保有する当社D種優先株式の一部(18,500,000株)および当社E種優先株式の一部(1,000,000株)を複数の投資家へ譲渡し、また、新生銀行は、保有する当社株式7,000,000株を売却しました。2006年7月には、新生銀行は、保有する当社第一回A種優先株式(5,000,000株)について当社に対する取得請求権を行使し、当社株式(34,036,759株)を取得しました。さらに新生銀行は、2007年3月から2009年3月にかけて、当社F種優先株式(10,000,000株)、当社G種優先株式(25,000,000株)および当社H種優先株式(32,250,000株)をそれぞれ第三者割当により取得しました。また、ワイエムエス・シックスが2008年7月に解散したことに伴い、新生銀行は、同社が保有していた当社株式(156,690,390株)、当社D種優先株式(8,500,000株)および当社E種優先株式(70,000,000株)を取得しました。2010年3月には、新生銀行は、その保有する当社E種優先株式(70,000,000株)、当社F種優先株式(10,000,000株)および当社G種優先株式(12,000,000株)について当社に対する取得請求権を行使し、当社株式(983,223,446株)を取得しました。2010年9月には、新生銀行は、当社第一回B種優先株式(7,500,000株)および当社第一回C種優先株式(15,000,000株)について当社に対する取得請求権を行使し、当社株式(306,122,448株)を取得しました。2010年12月には、新生銀行は、その保有する当社株式(1,446,036,284株)を新生フィナンシャルに譲渡しました。2015年3月には、新生フィナンシャルの子会社であった新生カード株式会社を消滅会社とし、当社子会社の株式会社アプラスを存続会社とする吸収合併により、当社株式(231,200株)が新生フィナンシャルに交付されました。その後、当社は、2015年11月から2019年5月にかけて、新生銀行が保有する当社G種優先株式の全て(13,000,000株)、当社H種優先株式の一部(9,500,000株)および当社D種優先株式の全て(8,500,000株)を、金銭を対価として取得し、現在の資本構成に至っております。
新生銀行は、当社を新生銀行グループにおける決済・小口ファイナンスを担う戦略子会社と位置づけ、当社と協働し、新生銀行の中期経営戦略に掲げる価値共創や小口ファイナンスの推進に注力してきたとのことです。
一方で、新生銀行は、当社は上場会社であることから、新生銀行グループの利益のみならず、個別に資本市場の期待に応える必要があり、これにより、新生銀行グループとしての全体最適化が図りづらいという側面も一部に生じていると認識していたとのことです。
そこで、新生銀行は、当社を新生銀行の完全子会社とすることによって、中期経営戦略の更なる推進に向けたグループベースのリソース最適化および意思決定の全体最適化を実現するとともに、2017年に新生銀行に設置したグループ本社を通じ、より高度なグループガバナンスも実現していくこととしたとのことです。
そして、そのための手法として、新生銀行は既に当社の特別支配株主であることから、当社における手続的および費用的負担や所要期間等も考慮し、当社の株主総会の決議による承認を要しない会社法第179条第1項に基づく株式等売渡請求を行う方法によることが適切であると判断したとのことです。
当社は、2020年2月に東京証券取引所における新市場区分の概要等についての公表が行われたことを受けて、東京証券取引所における市場区分の再編への対応について初期的な検討を行ってまいりましたが、2020年6月に新生銀行による当社の完全子会社化の可能性を含む対応について具体的な検討を開始したことから、同月に、当社のリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、その助言を踏まえて、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置等についての検討を開始しました。その後、当社は、2020年8月12日、新生銀行から、新生銀行による当社の完全子会社化の協議を開始することについて書面による正式な提案を受けました。当社は、これを受けて、当社が新生銀行の連結子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題および情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、本取引の公正性を担保するため、当社のリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、新生銀行から独立した立場で、当社の企業価値の向上および当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討・交渉等を行う体制の構築を開始いたしました。
具体的には、下記「エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、当社は、2020年8月12日に新生銀行から本取引について協議を開始することの提案を受けた後、直ちに、東京証券取引所への届出に基づき独立役員として指定されており当社および新生銀行との間で利害関係を有さず独立性が高く、社外役員として当社の事業内容や経営課題等について相当程度の知見があり、かつ、弁護士として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される内川治哉氏(当社社外取締役)および保木野秀明氏(当社社外監査役)、ならびに当社および新生銀行との間で利害関係を有さず独立性の高い、M&Aアドバイザリー業務に携わる公認会計士として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される寺田芳彦氏(公認会計士、税理士)の3名について、本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、特別委員会の委員に求められる独立性・適格性に関する中村・角田・松本法律事務所の助言も踏まえ、特別委員会の委員の候補として選定いたしました。その上で、2020年8月25日開催の当社取締役会により、上記の3名から構成される特別委員会を設置し、特別委員会に対し、①本取引が当社の企業価値の向上に資するか、②当社の少数株主の利益を図る観点から、本取引の条件の妥当性および交渉過程等の手続の公正性が確保されているかについての検討を踏まえ、当社取締役会における本取引についての決定が、当社の少数株主(当社の株主のうち、当社、当社親会社及び当社親会社の完全子会社以外の者)にとって不利益なものでないかを検討し、当社取締役会に意見を述べること(以下「本諮問事項」といいます。)を諮問し、この点についての意見を当社に提出することを委嘱いたしました。
また、当社取締役会は、当社取締役会における本取引に関する意思決定については、特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、および特別委員会が本取引の条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本売渡請求を承認しないこととすることを決議するとともに、本取引に係る交渉は当社取締役会が行うものの、当社取締役会は、特別委員会に適時に交渉状況の報告を行い、重要な局面で意見を聴取し、特別委員会からの指示や要請を勘案して交渉を行うなど、特別委員会が取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保すること、及び特別委員会は、当社の株式価値評価の提供その他特別委員会が必要と判断する事項につき、必要に応じて、第三者算定機関その他アドバイザーに委託することができるものとすること(その場合の当該委託に係る合理的な費用は、当社が負担するものとされております。)を決議しております。
また、当社は、下記「エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、特別委員会において、当社のリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所ならびに当社のフィナンシャル・アドバイザーおよび第三者評価機関である野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)について、新生銀行および当社からの独立性ならびに専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
さらに、当社は、下記「エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、新生銀行および当社から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉および判断を行う体制(本取引の検討、交渉および判断に関与する当社の役職員の範囲およびその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性の観点から問題がないことについて、特別委員会の確認を得ております。
その上で、当社は、中村・角田・松本法律事務所から本取引における手続の公正性を担保するための対応を含む法的助言を受けるとともに、野村證券から当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書の提供その他の財務的見地からの助言を受け、これらを踏まえ、本取引の是非および取引条件の妥当性について慎重に協議および検討を行ってまいりました。
当社は、2020年8月12日、新生銀行より、本売渡対価を1株当たり66円とする提案を受領し、それ以降、新生銀行との間で、本売渡対価の引上げを含め、本取引に係る取引条件についても継続的に協議および交渉を行ってまいりました。具体的には、当社は、新生銀行に対し、野村證券による当社株式の初期的な価値算定結果、当社の株価水準および本売渡対価のプレミアム水準等を踏まえ、特別委員会の指示および要請ならびに野村證券からの財務的見地からの助言を受け、本売渡対価を引き上げるよう継続的に要請しました。その結果、当社は、2020年10日14日、新生銀行より、本売渡対価を1株当たり80円とする提案を受領し、同年10月23日には、新生銀行より、本売渡対価を1株当たり85円とする最終提案を受領しました。
以上の検討・交渉過程において、当社は、随時、特別委員会に対して報告・説明を行い、必要に応じて特別委員会の承認を得ております。具体的には、まず、本取引に係る交渉方針について、特別委員会に対して事前に説明を行い、特別委員会の意見を聴取しております。また、新生銀行に対して提示し、野村證券が当社株式の価値算定において基礎とする事業計画について、その作成経緯、目的、内容及び重要な前提条件等について特別委員会に対し説明を行うとともに、特別委員会との間で質疑応答を行っております。さらに、新生銀行より本売渡対価についての提案や本取引の条件についての提案を受領した際には、その都度、特別委員会に対して報告を行い、対応方針および新生銀行との交渉方針等について特別委員会の指示や要請を受け、これに従って対応を行っております。
その上で、当社は、2020年10月30日、特別委員会から、①本取引は当社の企業価値の向上に資するものと考えられる旨、②当社の少数株主の利益を図る観点からみて、本取引の条件は妥当性を有するものであり、交渉過程等の手続について、公正性は確保されているものと考えられる旨、および③当社取締役会が行う本取引についての決定は、当社の少数株主にとって不利益なものではない旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
以上の経緯の下で、当社は、2020年10月30日開催の当社取締役会において、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言および同日付で提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するかおよび本取引の条件の妥当性について、慎重に協議および検討を行いました。
当社を取り巻く経営環境は、新しい生活様式、デジタル化、社会の高齢化、ライフスタイルの多様化、ヒト・モノ・カネの国際化、投資機会の広がり、格差社会の深化などに対応し、中長期的な対応が求められています。
一方、業界内ではこれらの中長期的な展望を見据え、足元で金融分野における大型の企業グループの再編の動きが加速しています。また、業法面では、2020年6月に成立した改正割賦販売法において、少額の分割後払いサービスの提供事業の登録制度の創設や、蓄積されたデータ等に基づく高度な審査手法が認められることとなり、AIやFintech等を得意とする異業種プレイヤーの参入が想定されます。
新生銀行グループにおいては、上記のとおり急速に変化する経営環境を踏まえ、個人向けの金融サービスの分野において、グループ個社の事業領域を超えて、外部パートナーへ小口ファイナンスや決済サービスの機能を提供するビジネスを新たに展開しています。2020年3月に提供を開始したネオバンク・プラットフォーム「BANKIT®」では資金移動業および前払式支払手段発行業の登録がある株式会社アプラスが事業主体となり、新生銀行グループが有する決済、為替、与信機能などの金融サービスをカフェテリア形式でパートナー企業に提供するサービスを提供しております。また、株式会社セブン銀行と新生銀行の合弁会社である株式会社Credd Financeとの共同による外国人居住者に向けた与信関連サービスの提供や、株式会社USEN-NEXT HOLDINGSと新生銀行の合弁会社である株式会社USEN-NEXT フィナンシャルとの共同によるUSEN-NEXT GROUPの法人のお客さまに向けた開業資金や事業性資金に関する金融サービスの提供を開始しております。
当社は、このように競争が激化するカード・信販分野やAIやFintech等を活用した新しい金融・決済サービス分野において、当社が持続的に競争力を強化していくためには、当社の強みである付加価値の高い小口ファイナンスや決済サービスの強化、開発を加速度的に進めていく必要があり、これまで以上に新生銀行グループの経営資源の相互活用、機能の集約、意思決定のスピード化が必要不可欠であると考えております。
以上の点も踏まえ、本取引が当社の企業価値の向上に資するかという観点からは、新生銀行と当社の親子上場が続く限りにおいて、グループ全体の最適化と個社の最適化が相反する場合や、グループ全体の企業価値向上の取り組みが短期的に個社の収益に結びつかない場合に、一時的に当社の事業収益が悪化することによる株価下落リスクは少数株主に及ぶことになるため、中長期的な視点に立った経営戦略を俯瞰した場合、当社が新生銀行の完全子会社となることが最善の選択肢であるとの結論に至りました。
また、本売渡対価である1株当たり85円は、(a)本取引の公表日である本日の前営業日である2020年10月29日の東京証券取引所市場第一部における当社株式の終値79円に対して7.59%(小数点以下第3位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同じです。)、直近1ヶ月間の終値単純平均値78円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して8.97%、直近3ヶ月間の終値単純平均値74円に対して14.86%、直近6ヶ月間の終値単純平均値71円に対して19.72%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっており、表面上のプレミアム水準だけ見れば、2019年6月に経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した後の支配株主による公開買付けの方法による完全子会社化事例におけるプレミアム水準の平均値を下回る水準であるものの、(b)新生銀行は、当社優先株式25,250,000株(第一回B種優先株式2,500,000株およびH種優先株式22,750,000株の合計)を保有しており、新生銀行はこれら全てについて普通株式への転換請求権(本日現在で、追加出資なく、第一回B種優先株式の発行要項に従い第一回B種優先株式2,500,000株と引換えに当社普通株式34,013,605株の、H種優先株式の発行要項に従いH種優先株式22,750,000株と引換えに当社普通株式1,137,500,000株の取得を請求することができる権利)をいつでも行使することが可能な状態にあり、これが全て行使された場合には、当社普通株式の発行済株式総数は2,695,718,877株(自己株式5,880株を除いたもの)となり本日時点の発行済株式総数である1,524,205,272株(自己株式5,880株を除いたもの)と比して約76.9%希薄化し、その分、少数株主の保有する当社株式の価値が低下することが見込まれることからすれば、本売渡対価のプレミアム水準は支配株主による公開買付けの方法による完全子会社化事例におけるプレミアム水準と比べて大きく劣るものとはいえず、かつ、上記の希薄化が生じる前の現時点で本取引を決定することにも合理性があること、(c)下記「イ 算定に関する事項」の「②算定の概要」に記載の野村證券による当社株式の価値の算定結果のうち、市場株価平均法及び類似会社比較法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、かつ、DDM法に基づく算定結果の中間値を上回るものであること、(d)2020年2月に東京証券取引所により概要等の公表が行われたとおり、東京証券取引所における市場区分の再編が予定されており、これにより当社株式については上場廃止となる可能性も存するところ、本取引は、当社の少数株主に一定の合理性を有するプレミアムを付した価格での株式売却の機会を提供するものであると評価することができること、(e)本売渡対価は、当社と新生銀行の間において、現実的に交渉が可能な最大限までの真摯な交渉が重ねられた結果として得られたものであること、(f) 特別委員会から取得した本答申書においても、本取引の条件は妥当性を有するとされていること等を踏まえ、本売渡対価を含む本取引の条件は合理性を有するものと判断しております。
以上より、当社取締役会は、本日、審議および決議に参加した当社の取締役全員一致で、新生銀行からの通知のとおり、本売渡請求を承認する旨の決議をいたしました。
当該取締役会の意思決定過程の詳細については、下記「エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役全員の承認および利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
イ 算定に関する事項
① 算定機関の名称ならびに当社及び新生銀行との関係
当社は、本売渡請求に対する判断を行うにあたり、新生銀行から提示された本売渡対価に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、新生銀行および当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーおよび第三者評価機関である野村證券に対し、当社株式の株式価値の算定および付随する財務分析を依頼し、2020年10月30日付で、本株式価値算定書を取得しました。野村證券は、新生銀行及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、野村證券から本売渡対価の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、本取引に係る野村證券の報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。
② 算定の概要
野村證券は、当社の株式価値の各種評価手法を検討し、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの判断に基づき、当社株式が東京証券取引所市場第一部に上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、一定の資本構成を維持するために必要な内部留保等を考慮した後の普通株主に帰属する利益を株主資本コストで現在価値に割り引くことで株式価値を分析する手法である配当割引モデル(Dividend Discount Model)法(以下「DDM法」といいます。)を算定手法として用いて、当社株式の株式価値分析を行っております。野村證券によれば、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価平均法: 71円~79円
類似会社比較法: 44円~63円
DDM法: 72円~90円
市場株価平均法では、2020年10月29日を算定基準日として、東京証券取引所市場第一部における当社株式の基準日終値79円、直近5営業日の終値単純平均値79円、直近1ヶ月間の終値単純平均値78円、直近3ヶ月間の終値単純平均値74円および直近6ヶ月間の終値単純平均値71円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を71円から79円までと算定しております。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場会社として、株式会社クレディセゾン、イオンフィナンシャルサービス株式会社および株式会社ジャックスを選定しました。その上で、時価総額に対する普通株主に帰属する純利益の倍率を用いて、当社株式の1株当たりの価値の範囲を44円から63円までと算定しております。
DDM法では、当社が作成した2021年3月期から2025年3月期までの連結財務予測をもとに、普通株主に帰属すべき純利益を一定の割引率で現在価値に割り戻して株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を72円から90円までと算定しております。
野村證券がDDM法による分析の前提とした、当社が提供した事業計画に基づく連結財務予測(以下「本連結財務予測」といいます。)については、下記「エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、特別委員会がその作成経緯、目的、内容及び重要な前提条件等の合理性を確認しております。なお、上記DDM法の基礎とした事業計画については、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2021年3月期において、主要ビジネスが堅調に推移し営業収益が増加するほか、クレジットコストを中心とする営業費用の減少により、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益について大幅な増益を見込んでおります。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において定量的に見積もることが困難であるため、本連結財務予測には加味されておりません。
(単位:億円)
2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期
経常利益94117125140149
親会社株主に帰属する当期純利益8098105118126

(注)野村證券は、当社株式の株式価値の算定に際して、公開情報および野村證券に提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性および完全性についての検証は行っておりません。当社の資産または負債(金融派生商品、簿外資産および負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産および負債の分析および評価を含め、独自に評価、鑑定または査定を行っておらず、第三者機関への鑑定または査定の依頼も行っておりません。当社の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、当社の経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測および判断に基づき合理的に検討または作成されたことを前提としております。野村證券の算定は、2020年10月29日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、野村證券の算定は、当社の取締役会が当社株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
ウ 上場廃止となる見込み
当社株式は、本日現在、東京証券取引所市場第一部に上場しておりますが、本売渡請求の承認により、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に該当することになり、本日から2020年11月26日まで整理銘柄に指定された後、11月27日をもって上場廃止となる予定です。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所市場第一部において取引することはできなくなります。
エ 公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置
当社は、当社が新生銀行の連結子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題および情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本売渡対価を含む本取引に係る取引条件の公正さを担保するため、以下の措置を講じております。
① 当社における独立した特別委員会の設置
(ⅰ)設置の経緯
上記「ア 承認に関する判断の根拠および理由」に記載のとおり、当社は、2020年8月12日に新生銀行から本取引について協議を開始することの提案を受けた後、直ちに、新生銀行から独立した立場で、当社の企業価値の向上および当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討・交渉等を行う体制の構築を開始し、東京証券取引所への届出に基づき独立役員として指定されており当社および新生銀行との間で利害関係を有さず独立性が高く、社外役員として当社の事業内容や経営課題等について相当程度の知見があり、かつ、弁護士として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される内川治哉氏(当社社外取締役)および保木野秀明氏(当社社外監査役)、ならびに当社および新生銀行との間で利害関係を有さず独立性の高い、M&Aアドバイザリー業務に携わる公認会計士として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される寺田芳彦氏(公認会計士、税理士)の3名について、本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、特別委員会の委員に求められる独立性・適格性に関する中村・角田・松本法律事務所の助言も踏まえ、特別委員会の委員の候補として選定いたしました。その上で、2020年8月25日開催の当社取締役会により、上記の3名から構成される特別委員会を設置するとともに、特別委員会に対し、本諮問事項を諮問し、本諮問事項についての意見を当社に提出することを委嘱いたしました。また、当社取締役会における本取引に関する意思決定については、特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、および特別委員会が本取引の条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本売渡請求を承認しないこととすることを決議するとともに、本取引に係る交渉は当社取締役会が行うものの、当社取締役会は、特別委員会に適時に交渉状況の報告を行い、重要な局面で意見を聴取し、特別委員会からの指示や要請を勘案して交渉を行うなど、特別委員会が取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保すること、および特別委員会に対し、当社の株式価値評価の提供その他特別委員会が必要と判断する事項につき、必要に応じて、特別委員会が自ら第三者算定機関その他アドバイザーに委託することができるものとすること(その場合の当該委託に係る合理的な費用は、当社が負担するものとされております。)を決議しております。
なお、特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、時間報酬または固定額の報酬を支払うものとされております。
(ⅱ)検討の経緯
特別委員会は、2020年9月4日より同年10月29日までの間に合計12回、合計約13時間にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有、審議および意思決定を行う等して、本諮問事項についての協議および検討を行いました。
具体的には、特別委員会は、まず、各委員の独立性について相互に確認を行った上で、当社のリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所および当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券について、その独立性および専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認しました。さらに、特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉および判断に関与する当社の役職員の範囲およびその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことを確認しております。
その上で、特別委員会は、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、本取引において手続の公正性を担保するために講ずるべき措置について審議・検討を行っております。
また、特別委員会は、新生銀行に対して、新生銀行グループにおける当社の役割、本取引によるシナジーの内容および当社の完全子会社化が必要な理由、この時期を選択した理由、本売渡対価についての考え方、本取引後の人事政策およびガバナンスについての考え方、上場廃止のデメリットについての考え方および本取引のスキーム・手続・条件等について、書面による質問を行い、新生銀行から回答を受領するとともに、これらの事項について、新生銀行の担当者からも直接説明を受け、質疑応答を行っております。
さらに、特別委員会は、野村證券が当社株式の価値算定において基礎とする事業計画について、その作成経緯、目的、内容および重要な前提条件等に関して説明を受けるとともに、野村證券から受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、質疑応答を行い、その合理性を確認しております。その上で、特別委員会は、野村證券が実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容および重要な前提条件(DDM法における割引率の計算根拠を含みます。)について説明を受け、質疑応答および審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。
また、特別委員会は、本売渡株主にとってできる限り有利な取引条件を引き出すために、相互に独立した当事者間のM&Aで行われる一般的な交渉プロセスに即して十分な交渉を実施することを含む本取引に係る交渉方針について、当社から事前に説明を受け、野村證券から受けた財務的見地からの助言も踏まえてその内容を審議・検討するとともに、2020年8月12日に新生銀行より本売渡対価を1株当たり66円とする最初の提案を受領して以降、当社が新生銀行から価格提案を受領する都度、当社から適時にその内容について報告を受け、当社の見解を聴取するとともに、野村證券から受けた財務的見地からの助言も踏まえてその内容を審議・検討した上で、新生銀行との交渉方針について当社に意見を述べる等、当社と新生銀行との間の本売渡対価に関する協議・交渉過程において中心的な位置付けで関与し、その結果、当社は同年10月23日に新生銀行より本売渡対価を1株当たり85円とする最終提案を受けるに至っております。
さらに、特別委員会は、中村・角田・松本法律事務所から、当社が開示予定の本売渡請求に係る本プレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
(ⅲ)判断内容
特別委員会は、以上の経緯の下で、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言および2020年10月30日付で野村證券から提出を受けた本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議および検討を重ねた結果、同日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
(a)答申内容
ⅰ 本取引は当社の企業価値の向上に資するものと考えられる。
ⅱ 当社の少数株主の利益を図る観点からみて、本取引の条件は妥当性を有するものであり、交渉過程等の手続について、公正性は確保されているものと考えられる。
ⅲ 以上を踏まえ、当社取締役会が行う本取引についての決定は、当社の少数株主にとって不利益なものではない。
(b)検討
ⅰ 特別委員会が当社から本取引が当社の企業価値の向上に資すると考えられる理由として説明を受けた分析、検討の内容は上記「ア 承認に関する判断の根拠および理由」に記載のとおりであるところ、当該分析、検討内容については、当社の従前の開示内容との矛盾や客観的事実に反する点もなく、また、特別委員会委員のうち当社の社外役員を兼務する者がこれまで取締役会等の場で社外役員として認識してきた当社の事業に関する情報から得た知見とも整合的であり、特別委員会としても、首肯することができるものと考える。
ⅱ 本取引においては、(ⅰ)独立した特別委員会が設置され、当社の交渉方針の検討および承認等を行い、特別委員会が交渉過程に関与していること、(ⅱ)外部専門家の独立した専門的助言等の取得を行っていること、(ⅲ)当社株式の価値評価および価格交渉等に関する専門的助言および補助を得るため、独立した第三者評価機関による株式価値算定書を取得していること、(ⅳ)本取引の検討に関する取締役会において、利害関係を有する役員が取締役会における審議・決議から除外されるとともに、当社の社内に構築した本取引の検討体制に独立性の観点から問題がないことを特別委員会として確認していること、(ⅴ)本取引に関する開示書類において、一般株主に対する充実した情報開示が予定されているものと考えられることから、本取引について手続の公正性が確保されているものと評価することができると考える。なお、一般的には、その他の公正性担保措置として、①他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)、または、②マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定という方途も検討すべき対象となるが、本取引に関しては、新生銀行は、既に当社の特別支配株主であるため、①他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)を想定することは、新生銀行から特別委員会に対して当社をグループ外に切り出すことは想定していないという回答があったことからすれば現実的ではないと考えられ、また、②マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定は、そもそも法律上、売渡請求においてはマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定するということが不可能である(なお、仮に本取引を公開買付けによるとしても、新生銀行が既に当社の発行済株式の94.9%を所有していることからすると、これにマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると2.5%ほどの株式の取得により本取引の拒否権を保有できることになってしまい、企業価値向上をもたらすものと考えられた本取引について不合理に阻害する懸念が否定できない)ことから、上記①および②の措置は採用の必要がないと考える。
ⅲ 本取引の条件について、以下の点より、少数株主の利益を図る観点からみて妥当ではないとはいえないものと評価することができると考える。
• 本取引の買収の方法について、新生銀行は、既に当社の特別支配株主であることから、当社における手続的および費用的負担や所要期間等も考慮し、当社の株主総会の決議による承認を要しない会社法第179条第1項に基づく株式等売渡請求を行う方法によることが適切であると判断したとのことであるが、かかる判断は妥当性を有するものと考えられる。
• 買収対価の種類については、特別委員会は、買収対価を新生銀行の株式とする可能性について、新生銀行に対するインタビューの中において確認したが、新生銀行からは、①株式交換は資本政策上採ることができない選択肢である、②当社の一般株主においては、本売渡対価を原資として新生銀行の株式を市場で取得することが可能であり、一方で必ずしも新生銀行の株式の取得を望まない当社の株主もいると考えられることから、一般株主の選択肢を増やすという観点からは、現金対価の方にメリットがあるとの説明がなされており、本取引については、現金を対価とすることを前提とする他はないものと考えられる。
• 野村證券が実施した当社株式の価値算定において基礎とする事業計画について、その作成経緯、目的、内容および重要な前提条件等に関して説明を受けるとともに、野村證券から受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、質疑応答を行い、新生銀行からの恣意的な関与が排除されていることを含め、その合理性を確認している。また、特別委員会委員のうち当社の社外役員を務める者は、事業計画に関する取締役会における議論にも参加したが、その合理性を疑わせるような事情は見当たらなかった。
• 野村證券が実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受け、質疑応答および審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認している。
• 本売渡対価を1株当たり85円とする最終提案を受領するまでの経緯は上記「ア 承認に関する判断の根拠および理由」に記載のとおりであるところ、その上で、特別委員会は、本売渡対価が可能な限り一般株主に有利なものとするために交渉を尽くす観点から、新生銀行に対して、更なる増額の検討の余地があり得るかについて質問し、これに対して新生銀行からは、2020年10月28日に、1株当たり85円という提示価格は、同日時点において新生銀行として考慮し得る事項を勘案した上での最大限の提示である旨の回答を得た。以上の経緯および新生銀行から今後の増額の余地がないことを通告されている事情に照らせば、1株当たり85円という本売渡対価の額は、当初の提案価格から28.8%増加しているものであり、当社と新生銀行の間において、現実的に交渉が可能な最大限までの真摯な交渉が重ねられた結果として得られたものと評価することができるものと考えられる。
• 1株当たり85円との本売渡対価は、(a)本株式価値算定書に基づく算定結果と比較すれば、市場株価平均法および類似会社比較法の算定結果の上限を超え、また、DDM法の算定結果の中間値を超える金額である。(b)他方、公表日の前営業日である2020年10月29日を基準日としたプレミアムは、支配株主による完全子会社化事例における平均的なプレミアム水準に比しても十分なプレミアムが付された価格であるとまで評することは困難である。(c)しかしながら、新生銀行は、当社の発行済株式の内、94.9%を既に保有している特別支配株主であり、本取引により完全子会社化を進めるために、新生銀行として付することができるプレミアムについて、他事例に比して低めのものとなるということは理解できるところである。(d)さらに、そもそも、新生銀行は、当社優先株式25,250,000株(第一回B種優先株式2,500,000株およびH種優先株式22,750,000株の合計)を保有しており、新生銀行はこれら全てについて普通株式へ転換請求権をいつでも行使することが可能な状態にあり、これが全て行使された場合には、当社普通株式の発行済株式総数は本日時点の発行済株式総数と比して約76.9%希薄化し、その分、少数株主の保有する株式の価値が低下することが見込まれる。また、(e)2020年2月にその概要等が公表されているとおり、東京証券取引所は市場区分の変更を予定しており、当社株式については上場廃止となる可能性も存するところ、本取引は、当社の少数株主に一定の合理性を有するプレミアムを付した価格での株式売却の機会を提供するものであると評価することができる。(f)さらに、1株当たり85円との本売渡対価は、上述したとおり、当社と新生銀行の間で真摯な交渉の結果得られたものであり、(g)特別委員会において、最終的に改めての確認を行ったが、1株当たり85円との本売渡対価は、回答があった2020年10月28日時点において新生銀行として考慮し得る事項を勘案した上での最大限の提示となっているとの回答が得られたため、さらに交渉を継続しても、追加的な上乗せを期待することは困難であると想定される。
② 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得
当社は、本取引に係る手続の公正性に関する専門的助言を得るため、上記「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、新生銀行および当社から独立したリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、本取引の諸手続ならびに本取引に係る当社の意思決定の方法およびその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、中村・角田・松本法律事務所は、新生銀行および当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
③ 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザーおよび第三者評価機関からの株式価値算定書の取得
当社は、当社株式の価値評価及び価格交渉等に関する専門的助言および補助を得るため、上記「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、新生銀行および当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーおよび第三者評価機関として野村證券を選任し、財務的見地からの助言を受けるとともに、2020年10月30日付で本株式価値算定書を取得しております。本株式価値算定書の概要については、上記「イ 算定に関する事項」をご参照ください。上記「イ 算定に関する事項」に記載のとおり、当社は野村證券から本売渡対価の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、野村證券は、新生銀行および当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
④ 当社における独立した検討体制の構築
上記「ア 承認に関する意見の根拠および理由」に記載のとおり、当社は、新生銀行から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉および判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2020年8月12日に新生銀行から本取引について協議を開始することの提案を受けた後、直ちに、当社と新生銀行との間の本売渡対価を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程、および当社株式の価値評価の基礎となる事業計画の作成過程においては、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、事業計画の作成過程に必須であった新生銀行の職員を兼務する数名(ただし、新生銀行の立場で本取引の検討に参加している者ではありません。)の関与を除き、新生銀行グループ各社(当社の連結子会社を除きます。)の役職員を兼務する当社の役職員は関与しないこととし、また、事業計画の策定に関与していた新生銀行の職員との兼務者についても、本取引に係る取引条件に関する交渉過程においては、関与させないこととしており、かかる取扱いを継続しております。また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉および判断に関与する当社の役職員の範囲およびその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことについては、特別委員会の確認を得ております。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認および利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当社取締役会は、上記「ア 承認に関する意見の根拠および理由」に記載のとおり、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言および本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、および本売渡対価を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議および検討いたしました。
その結果、当社は、上記「ア 承認に関する意見の根拠および理由」に記載のとおり、本日開催の当社取締役会において、審議および決議に参加した当社の取締役全員一致で、新生銀行からの通知のとおり、本売渡請求を承認する旨を決議いたしました。
上記本日開催の当社取締役会においては、当社の取締役8名のうち、清水哲朗取締役、鍵田裕之取締役、小座野喜景取締役および平沢晃取締役は新生銀行の役員等を兼務しているため、本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、清水哲朗取締役、鍵田裕之取締役、小座野喜景取締役および平沢晃取締役を除く4名の取締役において審議の上、全員一致により上記の決議を行っております。
また、上記の取締役会に出席した監査役(監査役3名中、出席監査役2名(いずれも社外監査役))の全員が上記決議につき異議はない旨の意見を述べております。
なお、当社の取締役のうち、清水哲朗取締役、鍵田裕之取締役、小座野喜景取締役および平沢晃取締役の4名は、本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、上記本日開催の当社取締役会を含む本取引に係る当社取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の検討、本取引に係る新生銀行との協議及び交渉に参加しておりません。
また、当社の監査役である小林純一氏は、新生銀行の執行役員(相当)を兼務しているため、上記の取締役会の審議には一切参加しておらず、上記の取締役会の決議に対して意見を述べることを差し控えております。
以 上