有価証券報告書-第44期(平成31年4月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 9:27
【資料】
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【項目】
92項目

対処すべき課題

当社グループでは、今後の世界経済やわが国経済の変化を先取りして、事業の転換を図っていくことが不可欠であるとの認識の下、特に、大きな経済成長が今後とも期待できるアジア地域において、事業を拡大するとともに、そのネットワーク化によるシナジー効果が最大限に発揮されるよう事業展開を図っていくことを今後の主要な課題としております。
今後も更なる経営基盤強化と持続的な成長を図るため、その実現に向けた取組みを行ってまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2020年3月27日)において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す」のビジョンのもと、景気動向に業績が左右されない銀行業、債権買取回収事業を中核とする総合金融サービスを目指してまいります。収益モデルにつきましては、特に韓国に代表されるように規制の影響が少なからずある中で、各国の規制の変更に柔軟に対応しつつ、持続的に事業拡大が望める銀行業からの利益貢献を中心とすることにより利益確保を図ってまいります。また、経済成長を遂げる東南アジアにおいてリテールファイナンスを制覇することを目標に掲げ、銀行業及びデポジット(預金)のとれるファイナンス事業を中心に積極的にM&Aを行ってまいります。さらには、コンプライアンスやガバナンスを第一に考えた経営を機軸におき、お客様に付加価値の高い金融サービスを提供するなど地域とともに共存共栄で発展していく企業体を目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
(日本金融事業)
信用保証業務では、既存の債務保証残高からの安定的な保証料収入をベースとして、海外不動産担保ローン等の不動産担保ローンやリバースモーゲージ型商品に対する保証事業、クラウドファンディングを活用した保証事業等を中心とした事業を展開してまいります。アパートローン保証につきましては、サブリース案件など不動産業界で起きた問題を契機に新規実行は急激に減少し、今後、保証残高の増加は見込めない状況にありますが、アパートローンの保証残高は2019年12月末で157,883百万円と積みあがっており、今後も保証料収入は安定的に計上される予定です。また、実行済みのアパートローン保証の主な投資主体と投資目的は、サラリーマン投資家によるアパート投資であり、立地条件や利回りにこだわるため、必然的に、東京・大阪・名古屋・福岡を中心とする大都市圏限定で、駅徒歩圏内、新築案件が多くなっており、入居率は約99%(2019年12月現在)と高く、現在まで保証履行も延滞もほとんど無い状態で推移しています。海外不動産担保ローンに対する保証は米国ハワイ州を中心とする不動産の購入者に対して銀行が円で融資を行い、その融資金額に対して保証するものです。現在は株式会社西京銀行、株式会社SBJ銀行、株式会社東京スター銀行及び株式会社香川銀行の4行と提携しておりますが、対象者は富裕層が多く、他の金融機関からも本商品に対する取扱の要望が多いことから、お客様にとってメリットがあれば、提携先を増やすことについて検討してまいります。リバースモーゲージ型商品等の保証は、昨今の高齢者世帯が増加し、老後の安定した生活の困難さが社会問題化する中、解決策の一つとして注目されているもので、当社グループでは電鉄系不動産会社、地域金融機関等との連携による地域経済活性化を進め、対象となる案件の発掘に努めてまいります。また、クラウドファンディングを活用した保証事業につきましても、業務提携先であるSAMURAI&J PARTNERS株式会社グループのクラウドファンディングサイト「SAMURAI」や、その他クラウドファンディング業者との提携を通じて、債務保証を組み込んだファンドの共同組成に取り組んでまいります。
債権回収業務では、全体の市場規模が縮小する中、信販リース部門の市場は増加が続いており、キャッシュレス決済が今後進んでいけば、市場に出回る債権もさらに増えるものと考えております。ネット系のカード会社などは、自社で回収しようというビジネスモデルではないため、当社グループが当該債権を買取ることによってアセットの増加を図ってまいります。今後も当社グループの高い回収力をバックに高い値付けをすることにより安定的・継続的な仕入れを実現し事業拡大を図ってまいります。
(韓国及びモンゴル金融事業)
韓国においては、毎年のように規制強化が繰り返されており、貯蓄銀行業においては、個人信用貸付の総量規制が2020年度も継続される見込みであります。また、追加的緩和策として総量規制外とされた中金利商品の条件についても、2019年は、平均金利16%、1件でも19.5%を超える債権がないことが条件とされましたが、2020年度はより厳しい条件となることも予想されます。また、貸倒引当率の段階的引き上げ(3年連続実施中)や預貸率規制の段階的施行も決定しています。さらに法定最高金利は2018年2月に24.0%に引き下げられましたが、現大統領が法定最高金利の20%までの引き下げを公約としていることから任期中にもう一段の引き下げの可能性もあります。キャピタル業においても、貸付業務営為比率規制(30%ルール)における規制対象が、個人信用貸付のほか貸付業者に対する貸付も含む内容への規制強化が継続中です。さらに、昨今、日韓関係の悪化が伝えられていますが、現在のところ事業への影響についてはほとんど無く、今後も動向を見守っていきたいと考えています。
このような規制強化の中、韓国4社(韓国金融グループ)では目標として緩やかな成長をかかげ「量の成長」から「質の成長」を目指し、バランスの取れたRisk-Returnを目標に一定の資産規模を維持し、資産内容の質的な向上を追求してまいります。そのため個人信用貸付顧客の質的向上については、他社に先立ち中金利商品を主力として、徹底した顧客属性分析によりTargetを定め、Target顧客との安定的な関係を維持して行くための手法(Retentionマーケティング)を強化してまいります。また、Fintechを活用した審査システムを導入し、個人信用貸付の審査時間と費用を削減、継続的な審査基準のアップデートを行ってまいります。また、審査の基本に徹し、資金の必要性、担保の流動性を重視してまいります。さらに債権回収システムの強化にも努め、人員拡充や教育など量的拡大はもちろん、事前モニタリングや法的措置など能動的な債権回収活動を職員各人に意識付けてまいります。
現在の韓国のNPL市場は価格高騰により競争が激しく利鞘の確保は難しい状況にあります。そのため、債権回収業においては、NPL市場の価格が高騰している機会をとらえ、NPL債権の売却益を計上することができましたが、今後、新たな債権の購入のタイミングや、韓国で培った高い回収力と遵法性を背景に市場としては未成熟な東南アジア市場への進出などを模索してまいります。
(東南アジア金融事業)
インドネシアにおいては、2020年度は安定したインフレ率と順調な雇用・所得環境に支えられ、民間消費は底堅く推移するものと思われます。銀行業界でも、インドネシア金融監督庁が、商業銀行の貸付成長率について2019年度は8%~10%になるとの予想に対し、2020年度は9.5%とする目標を示しています。また、銀行業界ではデジタル化への適応が課題となっており、今後、Fintech企業との提携拡大などが予想されます。
2020年1月8日からインドネシア証券取引所でPT Bank JTrust Indonesia Tbk.(以下、「Jトラスト銀行インドネシア」という。)の株式取引が再開されました。これにより銀行の再生を広くアピールできるとともに、将来的には社会における信用度が格段に向上していくものと思われます。同行ではNPL債権(不良債権)の処理に伴い銀行業における貸出金残高が減少しておりましたが、今後は増加に転じPT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE(以下、「JTO」という。)とのジョイントファイナンスを中心に貸出を強化していく予定であります。また、高金利の定期預金の削減やモバイルバンキングの稼働による低コスト預金の増加を見込んでおり、貸出の増加とCOF(調達金利)の低下により徐々にNIM(純利鞘)は改善される見込みであります。さらに、外国為替取引等フロー収入の強化を図るなど収益体制の改善を図ってまいります。また、PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIAではJトラスト銀行インドネシアから移転されたNPL債権について、回収人員や法的回収人員(弁護士資格又は弁護士試験の合格者)の増員、鑑定評価士の採用等を行い、回収金額の最大化に向け尽力することにより、業績を回復させ債務超過を解消すべく取り組んでまいります。さらにJTOでも、営業貸出金残高の増加に向けて、Jトラスト銀行インドネシアのバックファイナンスを背景に中古車ローンや農機具ローン以外の新商品や、営業拠点、ディーラーネットワークの拡大等、独自性を活かしたビジネスの展開を図ってまいります。このように銀行、債権回収会社、ファイナンスカンパニーの三位一体の事業セグメントが構築され、幅広いエリアにおける多様なニーズに応えられる体制が整ったことから、今後は、効果的なマーケティング戦略を展開し、グループのネットワークを活かした付加価値の高い金融サービスを提供することにより事業基盤の強化を図ってまいります。
さらに、当社グループでは経済成長を遂げる東南アジアにおいてリテール・ファイナンスを制覇することを目標に、当連結会計年度にカンボジアのJ Trust Royal Bank Ltd.( 旧 ANZ Royal Bank (Cambodia) Ltd.
(ANZR銀行))の株式を取得し連結子会社といたしました。今後は、ANZR銀行当時のカンボジア国内の上位1%の企業と人口5%の富裕層を顧客対象とする戦略から、ターゲット市場を、市場規模が大きく、潜在成長力の大きい顧客層まで裾野を拡げていくリテール戦略に変更し事業規模の拡大を図ってまいります。グループイン以降、貸出金残高は、優良企業向け貸付を中心に順調に増加しておりますが、預金残高が対応していないことが課題となっております。今後、貸出金の中堅企業への展開や、各種キャンペーンの実施や預金レートの見直し等による預金残高の増加を図ってまいります。
(総合エンターテインメント事業)
ライブ・エンターテインメント業務につきましては、所属するアーティスト・モデル・女優・タレント・スポーツ選手などの様々な活動を通して、多くのファンの皆様にご支援いただけるプロダクション運営を行ってまいります。また、養成スクールの運営及びスカウティング活動などにより、新たな新人の発掘・育成を行い、事業規模の拡大及び早期収益化に向けて、さらに取り組みを強化してまいります。
カラーコンタクトレンズ業務につきましては、協力企業との連携を図りつつプロモーション活動も展開するなど、引き続き販売強化に努めてまいります。
デジタル・コンテンツ業務につきましては、引き続きスマートフォン向けのゲームアプリの企画・管理・運営やプロモーションに関わる支援のほか、今後創出する自社IPコンテンツを活かしたスマホアプリの開発や支援にも積極的に取り組むことで、更なる事業規模の拡大に努めてまいります。
映像制作業務は、大規模な組織再編により社員が400名を超える独立系の映像制作会社として業界トップクラスの規模となりました。今後は、現在の主流であるテレビ局から依頼される番組制作を継続しながらも、より主体的にゼロから企画の立案、コンテンツの制作、さらには納品まで行える体制の構築を目指します。
広告代理店業務につきましては、大手コンビニエンスストアチェーンや有名アーティストなどとのタイアップにより、イベントの企画・提案・開発のほか、企画に基づく商品企画のマネタイズなど強みを活かした積極的な営業戦略によって、事業規模の拡大に努めてまいります。