有価証券報告書-第113期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
コーポレート・ガバナンスの状況
(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「社会からの信頼および株主、お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高める」という経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化を最重要課題の1つと認識し、経営監督の実効性と経営の透明性を確保しつつ、持続的な成長と機動的なグループ経営を追求した体制の強化・充実に取り組んでおります。
2015年6月より「コーポレートガバナンス・コード」が適用されましたが、当社ではこれに先立ち、さまざまなコーポレート・ガバナンスの強化に向けた取組みを進めてまいりました。
2001年の持株会社体制への移行およびニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を契機として、社外取締役、経営管理委員会(現、内部統制委員会)、過半数が社外取締役からなる報酬委員会および社外の有識者からなるアドバイザリー・ボードを設置し、また情報開示の更なる充実を図る等の取組みを進めてまいりました。
2003年からは、経営の監督機能と業務執行が分離されたガバナンス体制(指名委員会等設置会社)を採用し、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会の設置により、一層の経営の監督機能の強化および透明性の向上を実現するとともに、執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委譲することで、スピード感のあるグループ経営を行っております。
また、2004年には「野村グループ倫理規程」を制定し、コーポレート・ガバナンスに関する事項や企業の社会的責任に関する事項について野村グループの役員・社員一人一人が遵守すべき項目を定め、株主のみならず、あらゆるステークホルダーに対する責任を果たすべく努めております。
さらに、2015年11月には、株主、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みとしての実効性のあるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示し、その実現に資することを目的として、「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を定めております。
「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は当社ホームページからご覧いただけます。
(http://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/data/cg_guideline.pdf)
企業統治の体制の概要および当該企業統治の体制を採用する理由
当社は指名委員会等設置会社であり、以下の理由からこれが当社にとって現時点における最適な機関設計であると判断いたしております。
指名委員会等設置会社は、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委譲することによる意思決定の迅速化と、過半数を社外取締役とする指名・監査・報酬の三委員会の設置による透明性の向上が図られております。また、当社の選択しうる機関設計の中で、指名委員会等設置会社は、当社が上場するNYSEの上場会社マニュアルに規定されるコーポレート・ガバナンスに関する基準に最も近いものであると考えております。
当社の企業統治の体制の概要は以下のとおりです。
<取締役会および委員会について>当社の取締役会は、その経営監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としています。現在の取締役10名のうち6名が社外取締役であり、多様性を重視した人員構成のもと、それぞれの専門分野における経験や知見を活かした多角的な視点で監督を行い、透明性の高い経営の実践を志向しております。
指名委員会等設置会社である当社の経営監視機能の中心的役割は取締役会および監査委員会が担っております。このため、取締役会については執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っております。また、監査委員会については社外取締役を委員長とすることにより、業務執行からの独立性を一層明確にしております。
当社の各委員会の役割および構成メンバーの概要等については以下のとおりです。
① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。指名委員会は、執行役を兼務しない取締役の古賀信行ならびに社外取締役の草刈隆郎および木村宏で構成され、委員長は古賀信行が務めております。
② 監査委員会
取締役および執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で4名の委員を選定しております。監査委員会は社外取締役の島崎憲明、兼元俊德および園マリならびに執行役を兼務しない取締役であり常勤監査委員の宮下尚人で構成され、委員長は島崎憲明が務めております。すべての委員は、米国企業改革法に基づく独立性の要件を満たしており、また、島崎憲明は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。
③ 報酬委員会
取締役および執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。報酬委員会は、執行役を兼務しない取締役の古賀信行ならびに社外取締役の草刈隆郎および木村宏で構成され、委員長は古賀信行が務めております。
<社外取締役>当社の取締役会は、取締役10名のうち6名を社外取締役が占めております。社外取締役は、企業経営者や弁護士、会計士等、多様なバックグラウンドを有しており、それぞれの専門分野における豊富な経験や知見を活かし意見を述べていただくことで、取締役会および指名・監査・報酬の各委員会の議論が多角化、活性化していると考えております。これらの社外取締役としての活動は、当社の経営の重要事項の決定および業務執行の監督等において重要な役割を果たしており、当社として社外取締役の選任状況は適切であると考えております。
当社の指名委員会は、社外取締役の選解任議案の決定にあたり、人格・識見、企業経営の経験や専門性、独立性などの一定の選任基準を定め、当該基準を踏まえて行っております。また、当社の社外取締役の「独立性基準」は、以下のとおりです。なお、社外取締役は全員とも、取引所が定めている独立性に疑義があるとされる類型には一切該当しておらず、一般株主と利益相反が生じるおそれはないことから、当社は社外取締役6名全員を「独立役員」として指定し、取引所に届け出ております。
<野村ホールディングスの社外取締役「独立性基準」>当社の社外取締役は、野村グループに対する独立性を保つため、以下に定める要件を満たすものとする。
(1)本人が、現在または過去3年間において、以下に掲げる者に該当しないこと。
① 当社関係者
以下に定める要件を満たす者を当社関係者とする。
・当社の業務執行者(*1)が役員に就任している会社の業務執行者
・当社の大株主(直接・間接に10%以上の議決権を保有する者)またはその業務執行者
・当社の会計監査人のパートナーまたは当社の監査に従事する従業員
② 当社の主要な借入先(*2)の業務執行者
③ 当社の主要な取引先(*3)の業務執行者(パートナー等を含む)
④ 野村グループより、役員報酬以外に年間1,000万円を超える報酬を受領している者
⑤ 一定額を超える寄付金(*4)を当社より受領している団体の業務を執行する者
(2)本人の配偶者、二親等内の親族または同居者が、現在、以下に掲げる者(重要でない者を除く)に該当しないこと。
① 野村グループの業務執行者
② 上記(1)①~⑤に掲げる者
(注)*1 業務執行者とは、業務執行取締役および執行役ならびに執行役員等の重要な使用人をいう。
*2 主要な借入先とは、連結総資産の2%以上に相当する金額の借入先をいう。
*3 主要な取引先とは、ある取引先の野村グループとの取引が、当該取引先の最終事業年度における年間連結売上の2%の金額を超える取引先をいう。
*4 一定額を超える寄付金とは、ある団体に対する、年間1,000万円または当該団体の総収入もしくは経常収益の2%のいずれか大きい方の金額を超える寄付金をいう。
<業務執行の仕組み>当社は、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を、法律で認められる限りにおいて原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっております。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務執行の決定については「経営会議」、「統合リスク管理会議」、「内部統制委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしております。また、これらの会議体での審議状況について、取締役会は各会議体から3ヵ月に1回以上の報告を受けることとしております。各会議体の役割および構成メンバーの概要等については以下のとおりです。
① 経営会議
グループCEOを議長とし、グループCOO、その他グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループの経営戦略、事業計画および予算ならびに経営資源の配分をはじめとする、野村グループの経営にかかる重要事項について審議・決定しております。
② 統合リスク管理会議
グループCEOを議長とし、グループCOO、部門長(ビジネスを行う部門の責任者)、チーフ・リスク・オフィサー(CRO)、財務統括責任者(CFO)、チーフ・リーガル・オフィサー(CLO)、Co-CRO、その他グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、経営会議からの委任を受けて、野村グループの統合リスク管理に関する重要事項について審議・決定しております。その他リスク管理体制の整備の状況については、「第2 [事業の状況] 6 [財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (4) リスクについての定量・定性的開示」をご参照ください。
③ 内部統制委員会
グループCEOを議長とし、グループCEOが指名する者、監査委員会が選定する監査委員および取締役会が選定する取締役から構成される会議体であり、野村グループの業務にかかる内部統制の整備および評価に関する基本事項ならびに企業行動の適正化に関する事項について審議・決定しております。
また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委譲を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しております。
このほか、経営戦略の立案に社外の視点を活用することを目的に、経営会議の諮問機関として社外の有識者からなる「アドバイザリー・ボード」を設置しております。
内部統制システム整備の状況および提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保、適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を推進するための内部統制システムの強化・充実に努めております。
当社における内部統制システムは、取締役会において、「野村ホールディングスにおける業務の適正を確保するための体制」として決議しており、当該体制にはグループとしての内部統制システムの整備に関する事項も含まれております。また、野村グループ各社においても、当社の決議内容を踏まえ、それぞれ自社の実情に合った内部統制システムの整備を行っております。
内部監査および監査委員会監査の組織、人員および手続・内部監査、監査委員会監査および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と内部統制部門との関係
当社は、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として「取締役会室」を設置しております。取締役会室の業務執行からの独立性を確保するため、同室の使用人の人事考課は、監査委員会または監査委員会が選定する監査委員が行っており、同室の使用人にかかる採用・異動・懲戒についても監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の同意を必要としております。また、監査委員会による監査の実効性を高めるため、執行役を兼務しない常勤の取締役を常勤監査委員または「監査特命取締役」として必要に応じて任命することができることとしております。
また、内部統制の有効性および妥当性を確保するため、当社に業務執行から独立したグループ・インターナル・オーディット部を、傘下の主要な子会社にも同様に内部監査の専任部署を設置し、当社グループにおける内部監査を実施しております。内部監査の実施状況は、監査委員も出席する「内部統制委員会」に報告され、内部統制委員会の内容は取締役会に対して報告されております。また、監査委員会は、内部監査を担当する執行役員から直接または監査委員を通じて、内部監査体制の整備・運用状況、内部監査の実施状況等について、適宜報告を受けるなど、内部監査部門との連携を行っており、特筆すべき事項については監査委員会から取締役会への定期的な報告の中で報告されております。当社の社外取締役は、これらの報告を通じて内部監査における課題等を認識し、必要に応じて執行に対する助言等を行っております。
さらに、内部監査部門の業務執行からの独立性を強化するため、内部監査にかかる実施計画および予算の策定ならびに内部監査部門の責任者の選解任については、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の同意を必要としております。また、監査委員は執行役に対し、内部監査にかかる実施計画の変更、追加監査の実施および改善策の策定を勧告することができることとしております。
監査委員会は、会計監査人の年次監査計画を承認し、会計監査人から四半期に一度以上の頻度で会計監査に関する報告および説明を受けるほか、随時会計監査人と情報交換を行い、会計監査人の監査の方法および結果の相当性について監査するとともに、計算書類等につき検証しています。また、会計監査人に対する監査報酬については、CFOの説明を受け監査委員会として同意しております。これに加えて、会計監査人およびその関連会社が、当社および当社の子会社に対して提供する業務の内容および報酬については、米国企業改革法および関連する米国証券取引委員会(SEC)規則に基づき、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
報酬
野村の報酬制度の概要は、以下のとおりです。
(1)報酬の方針
当グループの持続的な成長と株主価値の長期的な増加、顧客への付加価値の提供ならびにグローバルな競争力と評価の向上等に資するため、「野村グループの報酬の基本方針」を定めております。同方針は以下の6つの内容から構成されます。
1.野村が重視する価値および戦略との合致
2.会社、部門、個人の業績の反映
3.リスクを重視した適切な業績測定
4.株主との利益の一致
5.適切な報酬体系
6.ガバナンスとコントロール
(2)報酬におけるガバナンス
当社の法定の報酬委員会は、「野村グループの報酬の基本方針」を策定し、報酬制度と事業戦略との一致を図っております。
同方針の実際の運営にあたっては、「人事委員会」に一定の権限が委任されております。報酬に関する人事委員会の主な役割は以下のとおりです。
・役員および従業員に対して業績向上につながる適切なインセンティブを提供し、事業の成功に対する各人の貢献に正しく報いるような報酬制度を承認すること
・賞与総額および各部門に対するその配分額を承認すること
・報酬が個人の業績と会社全体の業績を適切に反映するように、主要な経営幹部の業績測定方法を検討すること
・報酬の方針の妥当性を継続的に検証すること
・グローバルな福利厚生制度に関する主要な変更を承認すること
人事委員会の現在のメンバーは、当社のグループCEO、グループCOO、財務統括責任者(CFO)、チーフ・リスク・オフィサー(CRO)、コーポレート統括執行役および人事担当執行役員であり、グループCEOが委員長を務めております。
(3)報酬の体系
野村は役員および従業員に対し、固定および変動報酬を支給しております。これらの目的および具体的な内容例は以下のとおりです。
(注) 福利厚生制度は各国・地域の法令・慣行に基づき運営されるものであり、上記には含めておりません。
(4)変動報酬の内訳
(a)現金賞与
変動報酬の一定部分は事業年度終了後に現金で支給されますが、報酬水準が高いほど現金賞与の比率が低くなります。これは規制当局の指針に沿ったものであり、グローバルに適用される方針ですが、各国・地域ごとに個別の規制がある場合は、現金賞与比率の決定に際し、当該規制が遵守されます。
(b)繰延報酬
一定以上の年間報酬総額を受け取る役員および従業員に対しては、変動報酬の一部が繰延報酬の形で支給されます。報酬の経済的価値を当社の株価にリンクすることや一定の受給資格確定期間を置くことによって、以下の効果を期待できます。
・株主との利害の一致
・付与から受給資格確定までの一定の期間に個人資産増大の機会を与えることによるリテンション
・中長期的な企業価値の向上という共通の目標を与えることによる部門や地域を越えた連携・協力の推進
繰延報酬にはこのようなメリットがあるため、主要各国の規制当局からも積極的な活用が推奨されています。
なお、繰延報酬については、金融安定理事会が公表している「健全な報酬慣行に関する原則」において、繰延期間を3年以上とすることが推奨されています。そこで当グループにおいても原則として繰延期間を3年以上としております。
また、下記の事象が発生した場合には、繰延報酬は減額または没収とすることが定められております。
・自己都合での退職
・財務諸表の重大な修正
・グループの規程に対する重大な違反
・グループの事業やレピュテーションに対する重大な損害
さらに、2013年3月期に対応する繰延報酬から、役員等の経営幹部および一定以上の報酬を受け取る社員については、今後グループの業績が大幅に悪化した場合やリスク管理に重大な欠陥が発生した場合には、当該繰延報酬を減額または没収できることといたしました。また、2015年3月期に対応する繰延報酬から、当該繰延報酬の減額、没収および支給後の返還に関する条件をより厳格に定めております。
また、2013年3月期に対応する繰延報酬より、自己都合退職時点で一定の条件のもとで受給権の確定を認める「フル・キャリア・リタイアメント」条項を導入しております。なお、2015年3月期に対応する繰延報酬より「フル・キャリア・リタイアメント」を適用する場合には、受給者が一定の日までに当該条項の適用を届け出ることを条件とするよう変更いたしました。
現在の繰延報酬の種類は基本繰延報酬、追加繰延報酬に大別されます。
1.基本繰延報酬
ア.ストック・オプション
下記の2種類のストック・オプションを発行しております。
・ストック・オプションAプラン
ストック・オプションAプランは、付与日の約2年後に受給権が確定し行使可能となり、一定事由による退職等もしくは付与日の約7年後に失効します。行使価額は、基本的に付与日における当社の普通株式の公正価値以上の価格となっております。日本では税制適格型オプションとなるため、主として日本国内の従業員に対して付与しています。
・ストック・オプションBプラン
ストック・オプションBプランは、付与日の約6ケ月後から約7年後に受給権が確定し行使可能となり、一定事由による退職等もしくは付与日の約5年6ケ月後から約12年後に失効します。欧米で一般的なリストリクテッド・ストック(譲渡制限期間付きの株式)と同様の経済効果を持つものとするため、権利行使価額を1円とするものです。
イ.ファントム・ストックプラン
ファントム・ストックプランは株価に連動する現金決済型の報酬制度で、付与日から約7年にわたって受給権が確定します。同プランはストック・オプションBプランと主要な点で同一となるように設計されています。税制等の理由でストック・オプションの利用が不利な国においてもファントム・ストックプランは利用可能です。
2.追加繰延報酬
2011年3月期の繰延報酬付与時から、下記の繰延報酬も導入しました。これらのプランは、一定の役員および従業員に対して基本繰延報酬とは別に付与されます。これにより、競争の激しいマーケットにおいて、優秀な人材を維持し、動機づけることに役立つと考えております。これらの報酬は付与日から約3年にわたって受給権が確定しますが、付与対象者に適用される規制等の理由により、3年を超える確定期間とすることもあります。
ア.カラー付ファントム・ストックプラン
同プランは当社の株価に連動しますが、連動幅が一定の範囲に限定されます。
イ.ファントム・インデックスプラン
同プランは、Morgan Stanley Capital International社が公表している株価指数の1つ(主要先進国の株価を反映)に連動します。繰延期間や受給資格など他の主要な条件はカラー付ファントム・ストックプランと同じです。
(5)リスク管理との整合性および業績との連動性
報酬総額の決定にあたっては、一定のリスク調整後の税引前・人件費控除前の利益額に対する人件費の比率等を参考にしております。当該リスク調整は、経済資本に一定の比率を乗じた金額をそれぞれの部門の収入より控除することで行われます。
なお、当該経済資本には、定量的に評価したリスクが総合的に捉えられており、市場リスク、信用リスク、資金流動性リスク、オペレーショナルリスク等の各種リスクが反映されております。
また、報酬総額がグループ全体の財務の健全性の現状および将来見通しとの整合性を保っており、かつ将来の自己資本の十分性に重要な影響を及ぼさないことを確認しております。
(6)取締役および執行役の報酬
上記の報酬に関する基本的な考え方や枠組みのもと、日本の会社法上の指名委員会等設置会社である当社では、法定の報酬委員会が、取締役および執行役にかかる報酬の方針に基づき、取締役および執行役の報酬等の額を決定しております。
1.取締役・執行役の報酬等の総額
(注)1 期末日現在の人員は、取締役9名、執行役6名です。なお、取締役と執行役の兼任者については、上表では執行役の欄に人数と報酬を記入しております。
2 基本報酬等の額745百万円には、その他の報酬(通勤定期券代)として支給された報酬69万円が含まれています。
3 基本報酬等のほかに、社宅関連費用(社宅課税額および課税調整額等)として24百万円を支給しております。
4 当事業年度以前に付与された繰延報酬(ストック・オプション等)のうち、当事業年度において会計上の費用として計上された金額をここに示しております。
5 上記のほか、当事業年度において社外取締役に対し、当社の子会社の役員としての報酬等を当該子会社が合計47百万円支給しております。
6 当社は2001年に退職慰労金制度を廃止しております。
2.連結報酬等の総額が1億円以上の役員の報酬等
(注)1 上記の変動報酬は、当事業年度の業績に応じた報酬として決定された金額を表示しております。
2 上記の報酬金額のほかに、社宅関連費用(社宅課税額および課税調整額等)として24百万円を支給しております。
株式の保有状況
(1)保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
(2)保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額および保有目的
(前事業年度)
特定投資株式
(当事業年度)
特定投資株式
(3)保有目的が純投資目的である投資株式
取締役の定数
当社の取締役は20名以内とする旨を定款に定めております。
取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。
剰余金の配当等の決定機関
当社は、経営環境の変化に機動的に対応した株主への利益還元や資本政策を遂行できるよう、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
取締役および執行役の責任免除
当社は、取締役および執行役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮することができるよう、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
責任限定契約
当社は、取締役 宮下尚人および社外取締役全員と会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額は、2,000万円または法令が規定する額のいずれか高い額となります。
種類株式について
資金調達の選択肢を可能な限り広く確保し、将来にわたり経済やビジネスの環境変化に迅速に対応していくことが可能となるよう、当社は、普通株式のほか、無議決権優先株式を発行できる旨を定款に定めております。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、普通株主に先立ち優先配当金を受けている限り、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。
なお、提出日現在、現に発行している株式は普通株式のみであります。
業務を執行した公認会計士の氏名、所属する監査法人名、監査業務にかかる補助者の構成
1.業務を執行した公認会計士の氏名および所属する監査法人名
監査年数については7年以内であるため記載を省略しております。
2.監査業務にかかる補助者の構成
(注) その他は、公認会計士試験合格者、システム監査担当者等であります。
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「社会からの信頼および株主、お客様をはじめとしたステークホルダーの満足度の向上を通じて企業価値を高める」という経営目標を達成するうえで、コーポレート・ガバナンスの強化を最重要課題の1つと認識し、経営監督の実効性と経営の透明性を確保しつつ、持続的な成長と機動的なグループ経営を追求した体制の強化・充実に取り組んでおります。
2015年6月より「コーポレートガバナンス・コード」が適用されましたが、当社ではこれに先立ち、さまざまなコーポレート・ガバナンスの強化に向けた取組みを進めてまいりました。
2001年の持株会社体制への移行およびニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を契機として、社外取締役、経営管理委員会(現、内部統制委員会)、過半数が社外取締役からなる報酬委員会および社外の有識者からなるアドバイザリー・ボードを設置し、また情報開示の更なる充実を図る等の取組みを進めてまいりました。
2003年からは、経営の監督機能と業務執行が分離されたガバナンス体制(指名委員会等設置会社)を採用し、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会の設置により、一層の経営の監督機能の強化および透明性の向上を実現するとともに、執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委譲することで、スピード感のあるグループ経営を行っております。
また、2004年には「野村グループ倫理規程」を制定し、コーポレート・ガバナンスに関する事項や企業の社会的責任に関する事項について野村グループの役員・社員一人一人が遵守すべき項目を定め、株主のみならず、あらゆるステークホルダーに対する責任を果たすべく努めております。
さらに、2015年11月には、株主、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーの立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みとしての実効性のあるコーポレート・ガバナンスの枠組みを示し、その実現に資することを目的として、「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」を定めております。
「野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン」は当社ホームページからご覧いただけます。
(http://www.nomuraholdings.com/jp/company/cg/data/cg_guideline.pdf)
企業統治の体制の概要および当該企業統治の体制を採用する理由
当社は指名委員会等設置会社であり、以下の理由からこれが当社にとって現時点における最適な機関設計であると判断いたしております。
指名委員会等設置会社は、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委譲することによる意思決定の迅速化と、過半数を社外取締役とする指名・監査・報酬の三委員会の設置による透明性の向上が図られております。また、当社の選択しうる機関設計の中で、指名委員会等設置会社は、当社が上場するNYSEの上場会社マニュアルに規定されるコーポレート・ガバナンスに関する基準に最も近いものであると考えております。
当社の企業統治の体制の概要は以下のとおりです。
<取締役会および委員会について>当社の取締役会は、その経営監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としています。現在の取締役10名のうち6名が社外取締役であり、多様性を重視した人員構成のもと、それぞれの専門分野における経験や知見を活かした多角的な視点で監督を行い、透明性の高い経営の実践を志向しております。
指名委員会等設置会社である当社の経営監視機能の中心的役割は取締役会および監査委員会が担っております。このため、取締役会については執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っております。また、監査委員会については社外取締役を委員長とすることにより、業務執行からの独立性を一層明確にしております。
当社の各委員会の役割および構成メンバーの概要等については以下のとおりです。
① 指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。指名委員会は、執行役を兼務しない取締役の古賀信行ならびに社外取締役の草刈隆郎および木村宏で構成され、委員長は古賀信行が務めております。
② 監査委員会
取締役および執行役の職務の執行の監査ならびに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で4名の委員を選定しております。監査委員会は社外取締役の島崎憲明、兼元俊德および園マリならびに執行役を兼務しない取締役であり常勤監査委員の宮下尚人で構成され、委員長は島崎憲明が務めております。すべての委員は、米国企業改革法に基づく独立性の要件を満たしており、また、島崎憲明は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。
③ 報酬委員会
取締役および執行役の報酬等の内容にかかる決定に関する方針ならびに個人別の報酬等の内容を決定する法定の機関であり、取締役会で3名の委員を選定しております。報酬委員会は、執行役を兼務しない取締役の古賀信行ならびに社外取締役の草刈隆郎および木村宏で構成され、委員長は古賀信行が務めております。
<社外取締役>当社の取締役会は、取締役10名のうち6名を社外取締役が占めております。社外取締役は、企業経営者や弁護士、会計士等、多様なバックグラウンドを有しており、それぞれの専門分野における豊富な経験や知見を活かし意見を述べていただくことで、取締役会および指名・監査・報酬の各委員会の議論が多角化、活性化していると考えております。これらの社外取締役としての活動は、当社の経営の重要事項の決定および業務執行の監督等において重要な役割を果たしており、当社として社外取締役の選任状況は適切であると考えております。
当社の指名委員会は、社外取締役の選解任議案の決定にあたり、人格・識見、企業経営の経験や専門性、独立性などの一定の選任基準を定め、当該基準を踏まえて行っております。また、当社の社外取締役の「独立性基準」は、以下のとおりです。なお、社外取締役は全員とも、取引所が定めている独立性に疑義があるとされる類型には一切該当しておらず、一般株主と利益相反が生じるおそれはないことから、当社は社外取締役6名全員を「独立役員」として指定し、取引所に届け出ております。
<野村ホールディングスの社外取締役「独立性基準」>当社の社外取締役は、野村グループに対する独立性を保つため、以下に定める要件を満たすものとする。
(1)本人が、現在または過去3年間において、以下に掲げる者に該当しないこと。
① 当社関係者
以下に定める要件を満たす者を当社関係者とする。
・当社の業務執行者(*1)が役員に就任している会社の業務執行者
・当社の大株主(直接・間接に10%以上の議決権を保有する者)またはその業務執行者
・当社の会計監査人のパートナーまたは当社の監査に従事する従業員
② 当社の主要な借入先(*2)の業務執行者
③ 当社の主要な取引先(*3)の業務執行者(パートナー等を含む)
④ 野村グループより、役員報酬以外に年間1,000万円を超える報酬を受領している者
⑤ 一定額を超える寄付金(*4)を当社より受領している団体の業務を執行する者
(2)本人の配偶者、二親等内の親族または同居者が、現在、以下に掲げる者(重要でない者を除く)に該当しないこと。
① 野村グループの業務執行者
② 上記(1)①~⑤に掲げる者
(注)*1 業務執行者とは、業務執行取締役および執行役ならびに執行役員等の重要な使用人をいう。
*2 主要な借入先とは、連結総資産の2%以上に相当する金額の借入先をいう。
*3 主要な取引先とは、ある取引先の野村グループとの取引が、当該取引先の最終事業年度における年間連結売上の2%の金額を超える取引先をいう。
*4 一定額を超える寄付金とは、ある団体に対する、年間1,000万円または当該団体の総収入もしくは経常収益の2%のいずれか大きい方の金額を超える寄付金をいう。
<業務執行の仕組み>当社は、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を、法律で認められる限りにおいて原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっております。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務執行の決定については「経営会議」、「統合リスク管理会議」、「内部統制委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしております。また、これらの会議体での審議状況について、取締役会は各会議体から3ヵ月に1回以上の報告を受けることとしております。各会議体の役割および構成メンバーの概要等については以下のとおりです。
① 経営会議
グループCEOを議長とし、グループCOO、その他グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、野村グループの経営戦略、事業計画および予算ならびに経営資源の配分をはじめとする、野村グループの経営にかかる重要事項について審議・決定しております。
② 統合リスク管理会議
グループCEOを議長とし、グループCOO、部門長(ビジネスを行う部門の責任者)、チーフ・リスク・オフィサー(CRO)、財務統括責任者(CFO)、チーフ・リーガル・オフィサー(CLO)、Co-CRO、その他グループCEOが指名する者から構成される会議体であり、経営会議からの委任を受けて、野村グループの統合リスク管理に関する重要事項について審議・決定しております。その他リスク管理体制の整備の状況については、「第2 [事業の状況] 6 [財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (4) リスクについての定量・定性的開示」をご参照ください。
③ 内部統制委員会
グループCEOを議長とし、グループCEOが指名する者、監査委員会が選定する監査委員および取締役会が選定する取締役から構成される会議体であり、野村グループの業務にかかる内部統制の整備および評価に関する基本事項ならびに企業行動の適正化に関する事項について審議・決定しております。
また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委譲を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しております。
このほか、経営戦略の立案に社外の視点を活用することを目的に、経営会議の諮問機関として社外の有識者からなる「アドバイザリー・ボード」を設置しております。
内部統制システム整備の状況および提出会社の子会社の業務の適正を確保するための体制整備の状況
当社は、経営の透明性・効率性の確保、法令・諸規則の遵守、リスク管理、事業・財務報告の信頼性の確保、適時・適切な情報開示の促進といった観点から、グループ全体にわたる企業行動の適正化を推進するための内部統制システムの強化・充実に努めております。
当社における内部統制システムは、取締役会において、「野村ホールディングスにおける業務の適正を確保するための体制」として決議しており、当該体制にはグループとしての内部統制システムの整備に関する事項も含まれております。また、野村グループ各社においても、当社の決議内容を踏まえ、それぞれ自社の実情に合った内部統制システムの整備を行っております。
内部監査および監査委員会監査の組織、人員および手続・内部監査、監査委員会監査および会計監査の相互連携ならびにこれらの監査と内部統制部門との関係
当社は、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として「取締役会室」を設置しております。取締役会室の業務執行からの独立性を確保するため、同室の使用人の人事考課は、監査委員会または監査委員会が選定する監査委員が行っており、同室の使用人にかかる採用・異動・懲戒についても監査委員会または監査委員会が選定する監査委員の同意を必要としております。また、監査委員会による監査の実効性を高めるため、執行役を兼務しない常勤の取締役を常勤監査委員または「監査特命取締役」として必要に応じて任命することができることとしております。
また、内部統制の有効性および妥当性を確保するため、当社に業務執行から独立したグループ・インターナル・オーディット部を、傘下の主要な子会社にも同様に内部監査の専任部署を設置し、当社グループにおける内部監査を実施しております。内部監査の実施状況は、監査委員も出席する「内部統制委員会」に報告され、内部統制委員会の内容は取締役会に対して報告されております。また、監査委員会は、内部監査を担当する執行役員から直接または監査委員を通じて、内部監査体制の整備・運用状況、内部監査の実施状況等について、適宜報告を受けるなど、内部監査部門との連携を行っており、特筆すべき事項については監査委員会から取締役会への定期的な報告の中で報告されております。当社の社外取締役は、これらの報告を通じて内部監査における課題等を認識し、必要に応じて執行に対する助言等を行っております。
さらに、内部監査部門の業務執行からの独立性を強化するため、内部監査にかかる実施計画および予算の策定ならびに内部監査部門の責任者の選解任については、監査委員会または監査委員会の選定する監査委員の同意を必要としております。また、監査委員は執行役に対し、内部監査にかかる実施計画の変更、追加監査の実施および改善策の策定を勧告することができることとしております。
監査委員会は、会計監査人の年次監査計画を承認し、会計監査人から四半期に一度以上の頻度で会計監査に関する報告および説明を受けるほか、随時会計監査人と情報交換を行い、会計監査人の監査の方法および結果の相当性について監査するとともに、計算書類等につき検証しています。また、会計監査人に対する監査報酬については、CFOの説明を受け監査委員会として同意しております。これに加えて、会計監査人およびその関連会社が、当社および当社の子会社に対して提供する業務の内容および報酬については、米国企業改革法および関連する米国証券取引委員会(SEC)規則に基づき、CFOの申請を受け、監査委員会で協議・事前承認する手続を定めております。
報酬
野村の報酬制度の概要は、以下のとおりです。
(1)報酬の方針
当グループの持続的な成長と株主価値の長期的な増加、顧客への付加価値の提供ならびにグローバルな競争力と評価の向上等に資するため、「野村グループの報酬の基本方針」を定めております。同方針は以下の6つの内容から構成されます。
1.野村が重視する価値および戦略との合致
2.会社、部門、個人の業績の反映
3.リスクを重視した適切な業績測定
4.株主との利益の一致
5.適切な報酬体系
6.ガバナンスとコントロール
(2)報酬におけるガバナンス
当社の法定の報酬委員会は、「野村グループの報酬の基本方針」を策定し、報酬制度と事業戦略との一致を図っております。
同方針の実際の運営にあたっては、「人事委員会」に一定の権限が委任されております。報酬に関する人事委員会の主な役割は以下のとおりです。
・役員および従業員に対して業績向上につながる適切なインセンティブを提供し、事業の成功に対する各人の貢献に正しく報いるような報酬制度を承認すること
・賞与総額および各部門に対するその配分額を承認すること
・報酬が個人の業績と会社全体の業績を適切に反映するように、主要な経営幹部の業績測定方法を検討すること
・報酬の方針の妥当性を継続的に検証すること
・グローバルな福利厚生制度に関する主要な変更を承認すること
人事委員会の現在のメンバーは、当社のグループCEO、グループCOO、財務統括責任者(CFO)、チーフ・リスク・オフィサー(CRO)、コーポレート統括執行役および人事担当執行役員であり、グループCEOが委員長を務めております。
(3)報酬の体系
野村は役員および従業員に対し、固定および変動報酬を支給しております。これらの目的および具体的な内容例は以下のとおりです。
報酬項目 | 目的 | 具体的な内容例 |
固定報酬 | ・各自の知識、スキル、能力、経験に応じて支給 | ベースサラリー |
・各国・地域の労働市場における水準を反映 | ||
・各国・地域の労働市場の慣行を反映し、固定報酬の一部として支給 | 住宅関連手当 時間外労働手当 | |
変動報酬 | ・チームおよび個人の業績と事業戦略や将来の付加価値への貢献に対する報酬 | 現金賞与 繰延報酬 |
・社内および市場における同業他社等との適切な比較に基づき決定 | ||
・個人業績、リスクへの対処、コンプライアンス、部門間の協力等の幅広い観点に基づき決定 |
(注) 福利厚生制度は各国・地域の法令・慣行に基づき運営されるものであり、上記には含めておりません。
(4)変動報酬の内訳
(a)現金賞与
変動報酬の一定部分は事業年度終了後に現金で支給されますが、報酬水準が高いほど現金賞与の比率が低くなります。これは規制当局の指針に沿ったものであり、グローバルに適用される方針ですが、各国・地域ごとに個別の規制がある場合は、現金賞与比率の決定に際し、当該規制が遵守されます。
(b)繰延報酬
一定以上の年間報酬総額を受け取る役員および従業員に対しては、変動報酬の一部が繰延報酬の形で支給されます。報酬の経済的価値を当社の株価にリンクすることや一定の受給資格確定期間を置くことによって、以下の効果を期待できます。
・株主との利害の一致
・付与から受給資格確定までの一定の期間に個人資産増大の機会を与えることによるリテンション
・中長期的な企業価値の向上という共通の目標を与えることによる部門や地域を越えた連携・協力の推進
繰延報酬にはこのようなメリットがあるため、主要各国の規制当局からも積極的な活用が推奨されています。
なお、繰延報酬については、金融安定理事会が公表している「健全な報酬慣行に関する原則」において、繰延期間を3年以上とすることが推奨されています。そこで当グループにおいても原則として繰延期間を3年以上としております。
また、下記の事象が発生した場合には、繰延報酬は減額または没収とすることが定められております。
・自己都合での退職
・財務諸表の重大な修正
・グループの規程に対する重大な違反
・グループの事業やレピュテーションに対する重大な損害
さらに、2013年3月期に対応する繰延報酬から、役員等の経営幹部および一定以上の報酬を受け取る社員については、今後グループの業績が大幅に悪化した場合やリスク管理に重大な欠陥が発生した場合には、当該繰延報酬を減額または没収できることといたしました。また、2015年3月期に対応する繰延報酬から、当該繰延報酬の減額、没収および支給後の返還に関する条件をより厳格に定めております。
また、2013年3月期に対応する繰延報酬より、自己都合退職時点で一定の条件のもとで受給権の確定を認める「フル・キャリア・リタイアメント」条項を導入しております。なお、2015年3月期に対応する繰延報酬より「フル・キャリア・リタイアメント」を適用する場合には、受給者が一定の日までに当該条項の適用を届け出ることを条件とするよう変更いたしました。
現在の繰延報酬の種類は基本繰延報酬、追加繰延報酬に大別されます。
1.基本繰延報酬
ア.ストック・オプション
下記の2種類のストック・オプションを発行しております。
・ストック・オプションAプラン
ストック・オプションAプランは、付与日の約2年後に受給権が確定し行使可能となり、一定事由による退職等もしくは付与日の約7年後に失効します。行使価額は、基本的に付与日における当社の普通株式の公正価値以上の価格となっております。日本では税制適格型オプションとなるため、主として日本国内の従業員に対して付与しています。
・ストック・オプションBプラン
ストック・オプションBプランは、付与日の約6ケ月後から約7年後に受給権が確定し行使可能となり、一定事由による退職等もしくは付与日の約5年6ケ月後から約12年後に失効します。欧米で一般的なリストリクテッド・ストック(譲渡制限期間付きの株式)と同様の経済効果を持つものとするため、権利行使価額を1円とするものです。
イ.ファントム・ストックプラン
ファントム・ストックプランは株価に連動する現金決済型の報酬制度で、付与日から約7年にわたって受給権が確定します。同プランはストック・オプションBプランと主要な点で同一となるように設計されています。税制等の理由でストック・オプションの利用が不利な国においてもファントム・ストックプランは利用可能です。
2.追加繰延報酬
2011年3月期の繰延報酬付与時から、下記の繰延報酬も導入しました。これらのプランは、一定の役員および従業員に対して基本繰延報酬とは別に付与されます。これにより、競争の激しいマーケットにおいて、優秀な人材を維持し、動機づけることに役立つと考えております。これらの報酬は付与日から約3年にわたって受給権が確定しますが、付与対象者に適用される規制等の理由により、3年を超える確定期間とすることもあります。
ア.カラー付ファントム・ストックプラン
同プランは当社の株価に連動しますが、連動幅が一定の範囲に限定されます。
イ.ファントム・インデックスプラン
同プランは、Morgan Stanley Capital International社が公表している株価指数の1つ(主要先進国の株価を反映)に連動します。繰延期間や受給資格など他の主要な条件はカラー付ファントム・ストックプランと同じです。
(5)リスク管理との整合性および業績との連動性
報酬総額の決定にあたっては、一定のリスク調整後の税引前・人件費控除前の利益額に対する人件費の比率等を参考にしております。当該リスク調整は、経済資本に一定の比率を乗じた金額をそれぞれの部門の収入より控除することで行われます。
なお、当該経済資本には、定量的に評価したリスクが総合的に捉えられており、市場リスク、信用リスク、資金流動性リスク、オペレーショナルリスク等の各種リスクが反映されております。
また、報酬総額がグループ全体の財務の健全性の現状および将来見通しとの整合性を保っており、かつ将来の自己資本の十分性に重要な影響を及ぼさないことを確認しております。
(6)取締役および執行役の報酬
上記の報酬に関する基本的な考え方や枠組みのもと、日本の会社法上の指名委員会等設置会社である当社では、法定の報酬委員会が、取締役および執行役にかかる報酬の方針に基づき、取締役および執行役の報酬等の額を決定しております。
1.取締役・執行役の報酬等の総額
(単位:百万円) | |||||
役員区分 | 人数(注1) | 基本報酬等 (注2、3) | 賞与 | 当事業年度以前の 繰延報酬(注4) | 総額 |
取締役 | 9名 | 315 | 94 | 88 | 497 |
(うち、社外) | (6名) | (146) | (-) | (-) | (146) |
執行役 | 6名 | 430 | 379 | 288 | 1,098 |
合計 | 15名 | 745 | 473 | 376 | 1,595 |
(注)1 期末日現在の人員は、取締役9名、執行役6名です。なお、取締役と執行役の兼任者については、上表では執行役の欄に人数と報酬を記入しております。
2 基本報酬等の額745百万円には、その他の報酬(通勤定期券代)として支給された報酬69万円が含まれています。
3 基本報酬等のほかに、社宅関連費用(社宅課税額および課税調整額等)として24百万円を支給しております。
4 当事業年度以前に付与された繰延報酬(ストック・オプション等)のうち、当事業年度において会計上の費用として計上された金額をここに示しております。
5 上記のほか、当事業年度において社外取締役に対し、当社の子会社の役員としての報酬等を当該子会社が合計47百万円支給しております。
6 当社は2001年に退職慰労金制度を廃止しております。
2.連結報酬等の総額が1億円以上の役員の報酬等
(単位:百万円) | |||||||||
氏名 | 会社 | 役員区分 | 固定(基本報酬) | 変動報酬(注1) | 合計 | ||||
基本給 | 株式報酬 (ストック・オプション) | 合計 | 現金賞与 | 繰延報酬 (ストック・オプション等) | 合計 | ||||
古賀 信行 | 提出会社 | 取締役 | 87 | - | 87 | 79 | 80 | 159 | 246 |
永井 浩二 (注2) | 提出会社 | 代表執行役 (グループCEO) | 102 | 17 | 119 | 155 | 156 | 311 | 430 |
尾﨑 哲 | 提出会社 | 代表執行役 (グループCOO) | 92 | 16 | 108 | 86 | 86 | 172 | 280 |
永松 昌一 | 提出会社 | 執行役 | 66 | 13 | 79 | 45 | 46 | 91 | 170 |
渡邊 国夫 | 提出会社 | 執行役 | 60 | 13 | 73 | 48 | 49 | 97 | 170 |
北村 巧 | 提出会社 | 執行役 | 50 | 8 | 58 | 21 | 21 | 42 | 100 |
中田 裕二 | 提出会社 | 執行役 | 60 | 13 | 73 | 23 | 24 | 47 | 120 |
(注)1 上記の変動報酬は、当事業年度の業績に応じた報酬として決定された金額を表示しております。
2 上記の報酬金額のほかに、社宅関連費用(社宅課税額および課税調整額等)として24百万円を支給しております。
株式の保有状況
(1)保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
銘柄数 | 301 | 銘柄 |
貸借対照表計上額の合計額 | 121,168 | 百万円 |
(2)保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額および保有目的
(前事業年度)
特定投資株式
銘柄名称 | 株式数(千株) | 貸借対照表計上額 (百万円) | 保有目的 |
トヨタ自動車株式会社 | 3,553 | 21,147 | 取引関係強化のため |
株式会社電通 | 2,400 | 13,560 | 同上 |
アサヒグループホールディングス株式会社 | 2,650 | 9,294 | 同上 |
株式会社日本取引所グループ | 4,429 | 7,636 | 同上 |
株式会社千葉銀行 | 5,693 | 3,194 | 同上 |
株式会社りそなホールディングス | 7,905 | 3,175 | 同上 |
スルガ銀行株式会社 | 1,136 | 2,247 | 同上 |
南海電気鉄道株式会社 | 3,316 | 2,026 | 同上 |
株式会社ベネッセホールディングス | 568 | 1,839 | 同上 |
株式会社群馬銀行 | 3,168 | 1,473 | 同上 |
三井不動産株式会社 | 516 | 1,449 | 同上 |
ヒロセ電機株式会社 | 105 | 1,303 | 同上 |
株式会社高島屋 | 1,379 | 1,298 | 同上 |
株式会社広島銀行 | 3,000 | 1,233 | 同上 |
株式会社静岡銀行 | 1,500 | 1,218 | 同上 |
日本通運株式会社 | 2,060 | 1,055 | 同上 |
日本テレビホールディングス株式会社 | 548 | 1,018 | 同上 |
株式会社だいこう証券ビジネス | 1,071 | 935 | 同上 |
株式会社平和 | 400 | 933 | 同上 |
株式会社西日本シティ銀行 | 4,610 | 917 | 同上 |
株式会社アルバック | 247 | 910 | 同上 |
株式会社九州フィナンシャルグループ | 1,395 | 906 | 同上 |
株式会社武蔵野銀行 | 313 | 888 | 同上 |
株式会社十六銀行 | 2,617 | 879 | 同上 |
株式会社伊予銀行 | 934 | 688 | 同上 |
株式会社青森銀行 | 2,040 | 669 | 同上 |
株式会社ほくほくフィナンシャルグループ | 4,132 | 611 | 同上 |
株式会社東京TYフィナンシャルグループ | 218 | 571 | 同上 |
上村工業株式会社 | 114 | 547 | 同上 |
株式会社阿波銀行 | 1,000 | 545 | 同上 |
(当事業年度)
特定投資株式
銘柄名称 | 株式数(千株) | 貸借対照表計上額 (百万円) | 保有目的 |
トヨタ自動車株式会社 | 3,553 | 21,467 | 取引関係強化のため |
株式会社電通 | 2,400 | 14,496 | 同上 |
アサヒグループホールディングス株式会社 | 2,650 | 11,151 | 同上 |
株式会社日本取引所グループ | 4,429 | 7,020 | 同上 |
株式会社りそなホールディングス | 7,905 | 4,726 | 同上 |
株式会社千葉銀行 | 5,693 | 4,071 | 同上 |
スルガ銀行株式会社 | 1,136 | 2,663 | 同上 |
株式会社群馬銀行 | 3,168 | 1,841 | 同上 |
南海電気鉄道株式会社 | 3,316 | 1,797 | 同上 |
ヒロセ電機株式会社 | 105 | 1,617 | 同上 |
株式会社広島銀行 | 3,000 | 1,419 | 同上 |
株式会社静岡銀行 | 1,500 | 1,359 | 同上 |
株式会社高島屋 | 1,379 | 1,343 | 同上 |
株式会社アルバック | 247 | 1,281 | 同上 |
三井不動産株式会社 | 516 | 1,225 | 同上 |
日本通運株式会社 | 2,060 | 1,178 | 同上 |
株式会社平和 | 400 | 1,107 | 同上 |
日本テレビホールディングス株式会社 | 548 | 1,051 | 同上 |
株式会社武蔵野銀行 | 313 | 1,034 | 同上 |
株式会西日本フィナンシャルホールディングス | 922 | 1,026 | 同上 |
株式会社九州フィナンシャルグループ | 1,395 | 950 | 同上 |
株式会社十六銀行 | 2,617 | 940 | 同上 |
株式会社青森銀行 | 2,040 | 779 | 同上 |
株式会社東京TYフィナンシャルグループ | 218 | 729 | 同上 |
株式会ほくほくフィナンシャルグループ | 413 | 722 | 同上 |
株式会社阿波銀行 | 1,000 | 706 | 同上 |
株式会社北洋銀行 | 1,670 | 705 | 同上 |
株式会社伊予銀行 | 934 | 700 | 同上 |
上村工業株式会社 | 114 | 693 | 同上 |
株式会社めぶきフィナンシャルグループ | 1,519 | 676 | 同上 |
(3)保有目的が純投資目的である投資株式
(単位:百万円) | |||||
前事業年度 | 当事業年度 | ||||
貸借対照表計上額の合計額 | 貸借対照表計上額の合計額 | 受取配当金の合計額 | 売却損益の合計額 | 評価損益の合計額 | |
非上場株式 | - | - | - | - | - |
非上場株式以外の株式 | 7,200 | 7,986 | 164 | - | 4,836 |
取締役の定数
当社の取締役は20名以内とする旨を定款に定めております。
取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う旨を定款に定めております。
剰余金の配当等の決定機関
当社は、経営環境の変化に機動的に対応した株主への利益還元や資本政策を遂行できるよう、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。
取締役および執行役の責任免除
当社は、取締役および執行役が職務の遂行にあたり期待される役割を十分に発揮することができるよう、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役であった者を含む。)および執行役(執行役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。
責任限定契約
当社は、取締役 宮下尚人および社外取締役全員と会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく責任の限度額は、2,000万円または法令が規定する額のいずれか高い額となります。
種類株式について
資金調達の選択肢を可能な限り広く確保し、将来にわたり経済やビジネスの環境変化に迅速に対応していくことが可能となるよう、当社は、普通株式のほか、無議決権優先株式を発行できる旨を定款に定めております。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、普通株主に先立ち優先配当金を受けている限り、すべての事項につき株主総会において議決権を行使することができません。
なお、提出日現在、現に発行している株式は普通株式のみであります。
業務を執行した公認会計士の氏名、所属する監査法人名、監査業務にかかる補助者の構成
1.業務を執行した公認会計士の氏名および所属する監査法人名
業務を執行した公認会計士の氏名 | 所属する監査法人名 |
指定有限責任社員 業務執行社員 三浦 昇 | 新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 深田 豊大 | 新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 中桐 徹 | 新日本有限責任監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 津村 健二郎 | 新日本有限責任監査法人 |
監査年数については7年以内であるため記載を省略しております。
2.監査業務にかかる補助者の構成
公認会計士 | 20 | 名 |
その他 | 115 | 名 |
(注) その他は、公認会計士試験合格者、システム監査担当者等であります。