有価証券報告書-第15期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/24 15:28
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93項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 法的規制について
(日本の法的規制)
① 金融商品取引業者登録について
子会社のマネックス証券株式会社は、金融商品取引法の下で第一種金融商品取引業者としての登録を受けています。
内閣総理大臣は、金融商品取引業者が金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し、法令等に違反した場合には、当該金融商品取引業者の登録の取り消し、業務停止等の行政処分を出すことができる監督・規制権限を有しています。
仮に、業務停止命令や登録取消等の事態に至った場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
② 自己資本規制比率について
第一種金融商品取引業者には、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率という健全性の指標が設けられています。
仮に、第一種金融商品取引業者であるマネックス証券株式会社が、かかる一定の自己資本規制比率を維持できなかった場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
なお、自己資本規制比率の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載しています。
③ 資金決済に関する法律(資金決済法)及び仮想通貨交換業の登録について
コインチェック株式会社は、資金決済法に基づき、仮想通貨交換業者として登録を受けています。
内閣総理大臣は、仮想通貨交換業者が法令等に違反した場合には、当該仮想通貨交換業の登録の取り消し、業務停止等の行政処分を出すことができる監督・規制権限を有しています。
仮に、コインチェック株式会社が登録取消や業務停止等の事態に至った場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
④ 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)について
犯罪収益移転防止法は、テロ資金や犯罪収益の追跡のための情報確保とマネー・ロンダリング及びテロ資金供与等の防止を目的としています。
マネックス証券株式会社及びコインチェック株式会社は、同法の定めに基づき、本人確認を実施するとともに、本人確認記録及び取引記録を保存しています。
しかしながら、仮に、業務方法が同法に適合しない事実が発生した場合には、監督官庁による行政処分や刑事罰等を受けることがあり、その場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
⑤ 銀行法について
株式会社静岡銀行は、当社の議決権の5%超を保有しています。現在の状況が継続する場合、当社は銀行法第16条の2第1項各号に掲げる会社以外の会社の議決権の50%超を保有することができない等の制約を受けます。その結果、当該制約により経営環境等の変化に適切に対応できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 今後の法的規制の変更について
日本における金融商品取引等に関連する法的規制は、今後も、より広範な規制内容へと変更される可能性があります。
また、日本では他国に先駆けて仮想通貨に関連する法規制が行われましたが、仮想通貨は新しい概念であり、仮想通貨に関連する法的規制は、今後も変更される可能性があります。また、業界の自主規制ルールの制定又は改定等が行われる可能性があります。なお、資金決済法等改正法案が2019年5月に成立しており、当該影響を受けることを見込んでいます。
これら規制内容の変更があった場合には、当社グループの事業領域の縮小や追加コストの発生、また、当社グループの顧客の取引動向に影響を与える可能性もあり、適時適切な対応がとれない場合には、当社グループの事業に支障をきたし、ひいては当社グループの競争力低下により、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(海外の法的規制)
① 金融事業者としての登録・免許について
海外においては、子会社のTradeStation Securities, Inc.が米国で一定の金融事業を行うために法令上必要となる登録を受けており、また、子会社のMonex Boom Securities (H.K.) Limitedが香港特別行政区で一定の金融事業を行うために法令上必要となる免許を受けているほか、その他の国においても当該国に所在する子会社が同様の登録又は免許を受けています。
海外各国又は地域における規制当局は、金融事業者が金融事業にかかる法令等に違反した場合には、当該事業者に対して、罰金及び登録・免許の取消等の処分を行うことができる権限を有しています。
仮に、登録・免許の取消等の事態に至った場合には当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
② 自己資本に関する規制について
TradeStation Securities, Inc.、Monex Boom Securities (H.K.) Limitedその他金融事業を行う当社の海外子会社には、それぞれの所在地において適用される法令等に基づき、一定以上の自己資本を維持することが求められています。これらの適用を受ける各子会社が、かかる自己資本の維持に関する規制に反した場合には、金融事業を行うために必要となる登録・免許を取り消され、事業の継続が不可能となる場合があり、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
なお、TradeStation Securities, Inc.の自己資本の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載しています。
③ 今後の法的規制の変更について
海外における金融事業に関連する法的規制は、今後も、より広範な規制内容へと変更される可能性があります。
これら規制内容の変更があった場合には、当社グループの事業領域の縮小や追加コストの発生、また、当社グループの顧客の取引動向に影響を与える可能性もあり、適時適切な対応がとれない場合には、当社グループの事業に支障をきたし、ひいては当社グループの競争力低下により、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 市場環境の影響について
当社グループにおいて、営業収益は受入手数料(主に委託手数料)、トレーディング損益、金融収益、その他の営業収益で構成されています。委託手数料及びトレーディング損益は、当連結会計年度においては、営業収益の約50%を占めていますが、委託手数料は主に顧客の株式取引に、トレーディング損益は主に顧客のFX取引及び仮想通貨取引に大きく影響を受けます。また、金融収益は、当連結会計年度においては、営業収益の約37%を占めていますが、金融収益のうち顧客の預り金から得られる金利収入は主に短期金利の情勢に、信用取引から得られる金利収入や有価証券貸借取引収益等は顧客取引や市場環境に大きく影響を受けます。
当社グループは、日本、米国及びアジア・パシフィックに事業を展開することで地域分散を図っており、また、仮想通貨交換業や投資事業など金融商品取引業以外の事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。
① 信用リスクについて
a. 顧客取引に関わる信用リスク
当社グループは、信用取引、先物・オプション取引、FX取引等により、顧客に対する信用供与が発生し、株式市況、為替市況等の変動によっては顧客に対する信用リスクが顕在化する可能性があります。当社グループは、前金、保証金又は担保の差し入れを受けており、また、取引状況の日常的なモニタリングを通じたポジションの偏り等のリスク把握を行っていることなどから、顧客に対する信用リスクは限定的です。
ただし、今後の市場環境等の急激な変動により、顧客立替金が生じる場合において、顧客からこれを十分回収できない可能性があり、その場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
b. 取引金融機関等に関わる信用リスク
当社グループは、FX取引及び仮想通貨取引におけるカバー取引、貸株取引等により、取引金融機関及び仮想通貨業者に対する信用リスクに晒されています。当社グループの取引金融機関及び仮想通貨業者は、基本的には国内又は海外で認知された優良な金融機関及び仮想通貨業者であるため信用リスクは限定的です。また、取引金融機関に対する格付引下げ等の信用不安につながり得る情報を入手した場合には、関係部門間で連携をとりながらリスク回避のために必要な措置を講じておりますが、今後の市況等の急激な変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、信用リスクに関する定量的な分析は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載しています。
② 外国為替リスクについて
当社グループは、金融商品取引業者等の行うFX取引及び外貨建金融商品在庫等の外貨建資産・負債などに関連する為替変動リスクに晒されています。FX取引についてはカバー取引に関する規定を定め、外国為替ポジションの適切な制御に努めており、外貨建金融商品在庫等の外貨建資産・負債に関してはネットポジションに対して為替予約取引等を利用しリスクをヘッジしていますが、これらの対応を行っても為替変動リスクを完全に回避することができないため、予期せぬ為替変動により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 金利リスクについて
当社グループは、預託金及び金銭の信託の運用や金融機関からの借入や資本市場における社債の発行による長期的な資金調達に関して、金利変動リスクに晒されています。
これら資産・負債から生じる金利変動リスクをモニタリングし、急激な金利変動時には、金利スワップ等のデリバティブ取引等を利用することで、純損益の変動を機動的にヘッジする体制を整えていますが、今後の金利動向により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、金利リスクに関する定量的な分析は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」に記載しています。
④ 有価証券投資の価値変動について
当社グループは、マネックスグループ株式会社、マネックスベンチャーズ株式会社、MV1号投資事業有限責任組合などにおいて多数のスタートアップ企業に投資を行っているため、有価証券等に関連する価値変動リスクに晒されています。
これらの投資のほとんどは、純損益を通じて公正価値測定する金融資産に分類していることから、評価損益及び売却損益は当社グル―プの純損益に計上されます。
1件あたりの投資額は多額ではなく、また、保有する有価証券等の価格変動の状況を監視することにより、リスクの状況を把握していますが、これら有価証券投資の価値変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、有価証券投資の価値変動に関する定量的な分析は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.金融リスク管理」、評価技法及び公正価値ヒエラルキーなどに関する情報は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.公正価値測定」に記載しています。
(3) 当社グループにおけるシステムの運営及びサイバーセキュリティについて
顧客による取引注文の大部分をインターネット経由で受注し、一連のコンピュータ処理システム及び取引所等や第三者への接続を通じて取引を執行しています。当社グループは、すべてのセグメントにおいて、取引の根幹をなす基幹システムを内製開発・自社保有しておりますが、システムの不具合、処理能力不足、通信回線の障害などによりシステムの機能不全に陥った場合には、事業運営に重大な支障が生じるおそれがあります。当社グループ各社は、システムの安定稼動を業務運営上の重要課題と認識し、様々な対策を講じています。しかしながら、何らかの不備、あるいは現段階では予測できない原因により、当社グループの適切な対応が遅れる、又は適切な対応がなされなかった場合には、当社グループの信用低下や損害賠償請求等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、近年増え続ける外部のサイバー攻撃等により個人情報や機密情報などが漏えいするおそれがあります。当社グループ各社は、サイバーセキュリティの強化は優先的すべき課題として取り組んでいます。しかしながら、仮にこのような情報が漏洩した場合は、当社グループの信用低下や損害賠償請求等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(仮想通貨の消失について)
コインチェック株式会社は、同社が管理する電子ウォレットにおいて顧客の所有する仮想通貨の預託を受けています。コインチェック株式会社は、権限のない第三者により電子ウォレットに対して不正アクセスされるリスクを軽減する等のサイバーセキュリティ対策を講じています。また、すべての取扱仮想通貨に対してコールドウォレットを構築しており、顧客の所有する仮想通貨のほとんどをコールドウォレットで保管しています。
しかしながら、サイバーセキュリティ対策を講じていたとしても、そのような不正アクセスが起こらないことを保証するものではなく、仮に、コインチェック株式会社が権限のない第三者により不正アクセスが行われた場合には、これらの電子ウォレットに保管される仮想通貨が消失され、仮想通貨を取り戻せない可能性があります。コインチェック株式会社の顧客の仮想通貨の消失により、顧客に対する多額の弁済が生じる可能性があるとともに、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(4) その他
① のれんを含む無形資産の減損について
当社グループは、TradeStation Group, Inc.及びオリックス証券株式会社等の買収に伴うのれんを含む無形資産を連結財政状態計算書に計上しています。のれんの2019年3月末残高は16,990百万円であり、親会社の所有者に帰属する持分に対する割合は22%になります。IFRSにおいては、のれんは償却されず毎期減損テストを行っています。減損テストの概要は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 23.無形資産」に記載しています。
今後において、当社グループの業績悪化等によりのれんを含む無形資産について減損処理を行う必要が生じ、これにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 自然災害等について
当社グループの主要な拠点において地震、津波等の自然災害、火災、停電、テロ攻撃等が発生した場合に備えた事業継続計画の策定を推進する等、有事の際の対応策を事前に検討していますが、自然災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、自然災害等による物的、人的損害が甚大である場合には、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
③ 訴訟
コインチェック株式会社は、2018年1月に発生した仮想通貨NEMの不正送金に関して訴訟を提起されています。当連結会計年度末現在においては、引当金の認識基準を満たしていないため、引当金を計上していません。コインチェック株式会社は、こうした訴訟に適切に対処していきますが、当該訴訟が同社にとって不利な結果に終わった場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
④ 仮想通貨に係る新たな会計基準の制定等による会計方針の変更
当社グループの仮想通貨に係る会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に注記しています。これらの会計方針は、国際会計基準に基づいて、最も適切と考える方法を採用していますが、国際会計基準は仮想通貨に係る会計処理の要求事項や指針を定めていません。
仮に、今後、新たな会計基準の制定等があった場合、当社グループの会計方針を変更する可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。