有価証券報告書-第17期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/30 12:52
【資料】
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【項目】
146項目

業績等の概要

(1) 業績
当期におけるわが国の経済は、輸出で持ち直しの兆しがみられるものの、夏場以降の株高頭打ちに伴う企業の景況感悪化や個人消費の停滞により依然足踏みをしております。国内需要においては設備投資が底堅く推移するものの、住宅投資は消費税引上げ後の反動減からの持ち直しが一服しつつあり、公共投資は緩やかに減少しております。国外需要は、先進国向けを中心に緩やかに持ち直しているものの、円高等を背景に輸出が低迷する状況が継続しております。個人消費は、所得環境が改善するものの雇用者の改善が非正規労働者中心であること等により、停滞感がみられます。金融市況においては、日銀が1月にマイナス金利の導入を決定したことにより、10年新発国債利回りはマイナス圏で推移しております。為替市場では年明けに円安が一巡し、円高方向への動きが進行しております。一方公募投信残高は、直近では株安の影響を受け流出が進むものの引き続き高水準にあり、NISAやアベノミクスが消費者の投資マインド改善に寄与しております。今後の我が国の経済見通しについては、株安・円高の影響により企業の景況感や消費者マインドの停滞が予想されます。
このような状況下において、当社は次のような取り組みを行いました。
(生命保険事業での主な取り組み)
生命保険事業に関しましては、当社グループの最大の収益基盤であることから、収益の継続的な拡大を目指しております。
主な取り組みにつきましては、以下のとおりです。
お客様の多様なニーズに対応するため、最先端の商品とサービスの提供に努めています。
平成27年5月より、働き盛り世代の長期資産形成ニーズにお応えする商品『アクサの「資産形成」の変額保険 ユニットリンク』に新たに2種類の特別勘定を追加し、商品力を強化しました。また、平成27年9月より、お客様の将来のための資産形成と、万一のときのご家族の備えを同時に実現する商品『アクサの「外貨建て」の変額終身保険 アップサイドプラス』を金融機関を通じて販売開始し、10月からは専属営業社員および代理店を通じた販売も開始しました。その後も継続して金融機関における同商品の販売を拡大してきており、平成28年3月31日までに22金融機関でお取扱いいただいております。さらに、引受保険会社をアクサ生命とする限定告知型終身医療保険の新商品「メディ・アン(Medi-AxN)」を日本生命と共同開発し、平成27年6月より日本生命の営業職員をはじめとしたフェイス・トゥ・フェイスチャネルを通じて販売しております。
当社の完全子会社であるアクサダイレクト生命保険株式会社においては、シンプルかつ充実した保障を合理的な保険料で提供しておりますが、平成27年8月よりホームページで予約いただいた時間帯にカスタマーサービスセンターのスタッフからお客さまへ電話するサービスを開始しました。また、平成27年9月より一生涯の医療保障を割安な保険料で提供する終身型の医療保険「アクサダイレクトの終身医療」の販売を開始しました。今後もダイレクトビジネスならではのシンプル且つ手頃な商品の品揃えに努めます。
(損害保険事業での主な取り組み)
損害保険事業に関しては、収益の一層の進展を目指し、当社の完全子会社であるアクサ損害保険株式会社の収益基盤の強化を図っております。平成27年4月より、新商品・新サービスの開発および提供を目的として、自動車のテレマティクスデータ解析を主軸にビジネスを展開するスタートアップカンパニーの株式会社スマートドライブとの業務提携を開始しました。また、平成28年1月より、安全運転の可視化及び未来の安全運転基準の作成を目的としてお客さま参加型プロジェクト「MIRAI DRIVE PROJECT」を発足させ、同社とのテレマティクス保険共同開発に向けたお客さまの運転データ収集を強化しております。さらに、平成27年10月から二輪車(バイク)の事故時における被害を最小限にとどめるための「胸部プロテクター」をオリジナルで制作し、バイク保険新規加入者への無料提供を開始しております。また、平成28年2月より株式会社ファミリーマートと提携し、マルチコピー機を活用した自動車保険見積りサービス「スキャンde見積り」を日本の損害保険会社で初めて開始いたしました。今後もお客様のご要望にお応えし、より付加価値の高い商品やサービスの提供に努めます。
(資金面の主な動きと子会社に対する資本増強の取り組み)
・平成27年6月26日、普通株式1株当たり6,630円、総額520億円の株主配当を実施いたしました。
当社は、スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)の保険財務力格付けで「A+(アウトルック:安定的)」とする格付けを得ております。
なお、当該格付けは平成28年6月30日時点での評価であり、将来的には変化する可能性があります。また、格付けは格付機関の意見であり、保険金支払等についての保証を行うものではありません。
当連結会計年度における主要業績については、次のとおりであります。
保有契約高については、個人保険は14兆9,016億円(前年比105.1%)、個人年金保険(年金支払開始前契約の年金支払開始時の年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金の合計(ただし、変額個人年金保険の年金支払開始前契約については、基本保険金額(既払込保険料相当額)を計上))は1兆5,198億円(前年比91.0%)、団体保険は2兆9,155億円(前年比77.6%)、団体年金保険(責任準備金)は5,403億円(前年比97.7%)となっております。資産については2,969億円増加し、6兆9,703億円(前年比104.4%)となっております。そのうち主なものは、有価証券6兆2,001億円(前年比103.1%)、貸付金1,617億円(前年比109.4%)となっております。
また、収支状況をみると、収入面では、保険料等収入6,507億円(前年比110.9%)、資産運用収益1,367億円(前年比47.4%)等となっており、これらによる経常収益は7,909億円(前年比90.0%)となっております。一方、支出面では、保険金等支払金5,229億円(前年比93.7%)、責任準備金等繰入額288億円(前年比33.1%)、事業費1,373億円(前年比106.7%)、資産運用費用499億円(前年比114.7%)等となっており、これらによる経常費用は7,552億円(前年比90.3%)となっております。その結果、経常利益は357億円(前年比83.0%)、当期純利益は91億円(前年比52.3%)、包括利益は1,117億円(前年比178.0%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度においては、営業活動により1,657億円及び財務活動により267億円資金が増加した一方、投資活動により2,171億円減少いたしました。この結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ143億円増加し、当連結会計年度末では1,439億円(前年比111.0%)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、金融派生商品収益の受取額が増加したこと等により、前連結会計年度277億円の支出から1,379億円の収入(1,657億円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還による収入が減少したこと等により、前連結会計年度1,504億円の収入から667億円の支出(2,171億円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金支払が減少したこと等により、前連結会計年度833億円の支出から565億円の支出(267億円の支出減)となりました。