有価証券報告書-第18期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:07
【資料】
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【項目】
178項目

対処すべき課題

(1)経営方針
① 経営理念
当社は、東京海上グループの全役職員が共有する経営理念を策定しており、その内容は次のとおりであります。
<東京海上グループ経営理念>東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。
○お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。
○株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。
○社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。
○良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。
② 中期経営計画「To Be a Good Company 2020」
2018年度からスタートした中期経営計画「To Be a Good Company 2020」では以下のとおり、「世界のお客様に“あんしん”をお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ~100年後もGood Companyをめざして~」という長期ビジョンをベースに、めざすべき将来のグループ像の実現に向け、環境変化をチャンスと捉えて飛躍する3年間とすることをめざしております。
0102010_001.png*1 自然災害に係る発生保険金を平年並みに補正し、為替変動による影響および米国税制改革による一時的な影響を控除しております。
③ 目標とする経営指標等
東京海上グループは、グループ全体の業績を示す経営指標として、企業価値を的確に把握しその拡大に努める観点から、修正純利益と修正ROEを掲げており、2018年度からスタートした中期経営計画「To Be a Good Company 2020」では、2020年度には「修正純利益の年平均成長率3~7%」(2017年度補正ベースの実績を基準とした数値)、「修正ROE10%以上」を達成することをめざしております。
2019年度の修正純利益および修正ROEは、前事業年度の有価証券報告書提出日時点においては、それぞれ4,000億円、10.4%を見込んでおりましたが、台風15号や台風19号をはじめとする大きな国内自然災害に見舞われたことや新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたことにより、その実績はそれぞれ2,867億円、8.2%となりました。
2020年度の修正純利益および修正ROEは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を合理的に算出することが困難なため、本有価証券報告書提出日現在においては未定としております。
なお、修正純利益および修正ROEは、次の方法で算出いたします。
・修正純利益*2
修正純利益=連結当期純利益*3+異常危険準備金繰入額*4+危険準備金繰入額*4+価格変動準備金繰入額*4-ALM*5債券・金利スワップ取引に関する売却・評価損益-事業投資に係る株式・固定資産に関する売却損益・評価損+のれん・その他無形固定資産償却額-その他特別損益・評価性引当等
・修正純資産*2,6
修正純資産=連結純資産+異常危険準備金+危険準備金+価格変動準備金-のれん・その他無形固定資産
・修正ROE
修正ROE=修正純利益÷修正純資産
*2 各調整額は税引後であります。
*3 連結財務諸表上の「親会社株主に帰属する当期純利益」であります。
*4 戻入の場合はマイナスとなります。
*5 ALMとは、資産・負債の総合管理をいいます。ALMの負債時価変動見合いとして除外いたします。
*6 平均残高ベースで算出しております。
(2)経営環境及び対処すべき課題
2020年度の世界経済およびわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、各国がさらなる金融緩和や財政政策等の景気下支え策に懸命に取り組んでいるものの、しばらくは厳しい状況が継続することが見込まれます。
東京海上グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響や、収束後の社会やマーケットの状況を注視しつつ、中期経営計画「To Be a Good Company 2020」の最終年度として、「ポートフォリオのさらなる分散」、「グループ一体経営の推進」および「テクノロジーの徹底的な活用」の3つの重点課題に引き続き取り組んでまいります。
国内損害保険事業では、自然災害が多発化・激甚化し、経済や国民生活への影響が大きな社会問題となりつつあるなかで、東京海上グループとしてこの問題の解決にいかに貢献していけるかが喫緊の課題となっております。安定的な補償の提供を可能とする火災保険の商品内容の見直し、テクノロジーの活用による迅速な保険金のお支払い、防災や減災に関する積極的な情報発信等の様々な切り口を通じ、真正面からこの課題に取り組んでまいります。また、これに加え、テクノロジーの活用によるお客様の利便性や社内業務の効率性の向上と保険の種目ポートフォリオの変革にも、継続して取り組んでまいります。
国内生命保険事業では、就業不能や介護等の分野への保障を提供する「生存保障革命」を引き続き推進するとともに、金利リスクの適切なコントロールに努めてまいります。また、医療技術の進化等の環境変化を先取りするとともに、外部の研究機関と共同で解析した医療データの活用等に取り組み、革新的な商品やサービスの開発を積極的に行ってまいります。
生損保両事業が密に連携し、グループ総合力を発揮する生損一体のビジネスモデルが東京海上グループの強みでありますが、このビジネスモデルの一層の進化を図ってまいります。
海外保険事業では、引き続き、持続的な内部成長と戦略的なM&Aを取組みの両輪とし、先進国および新興国でバランスの取れた成長を実現してまいります。また、グループ各社の高い専門性を活かしたシナジー発揮の追求にも、引き続き取り組んでまいります。
資産運用では、国内外のグループ会社と連携しながら、資産と負債の総合管理(ALM)を軸としたグローバルな運用態勢の強化に引き続き努めてまいります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を含め、今後の世界経済や金融市場の変化を注視しつつ、資産ポートフォリオの多様化とリスク分散を進めることによって、長期・安定的な運用収益の確保と健全な財務基盤の維持に取り組んでまいります。
これらの取組みを支えていくのは人であります。当年度、高度な専門性とマネジメント力をグローバルに発揮できる人材の確保・登用を目的として新たな人事制度を導入しましたが、こうした取組みを引き続き推進し、グループ一体経営のさらなる高度化を進めてまいります。また、海外を含めたグループ人材のグローバルな活用や女性社員の一層の活躍推進についてもより積極的に展開し、ダイバーシティの拡大をグループの成長の原動力としてまいります。
株主還元につきましては、配当を基本とする方針としており、持続的な成長と利益水準の向上を通じた配当の充実を図ってまいります。
東京海上グループは、「お客様の信頼をあらゆる活動の原点におく」という経営理念に基づき、健全性を基盤に収益性、成長性を兼ね備えた企業グループとしてさらに発展していくために、グループを挙げて業務に邁進してまいります。