有価証券報告書-第34期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/24 16:39
【資料】
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【項目】
69項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの国内外における事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。また、これらの事業等のリスクについては、当社グループのリスク管理関連規程等に基づき、管理しております。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業に関するリスクについて
(1)一般リスク
① オフィス・商業事業に関するリスクについて
当社グループは、当連結会計年度における連結営業収益の53.4%をオフィス・商業事業収益で占めております。オフィス・商業事業は景気動向等に影響を受けやすい傾向があり、中長期的な景気動向を想定し、賃料下落や空室率上昇に対する対応策を検討しておりますが、不動産市場における需給悪化による空室率の上昇や賃料相場の下落は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、主要テナントの資力、退去または利用状況等によっては、不動産の稼働率が低下し保有する事業用不動産から得られる収益が大きく影響を受けるおそれがあります。
② 住宅事業に関するリスクについて
マンション分譲市場が、事業者間の競争の激化や、住宅ローン金利の上昇、地価および建築コストの高騰に伴う販売価格の上昇による消費マインドの冷え込み等により悪化した場合には、住宅事業における販売の長期化に伴う収益の減少や棚卸資産の増加等が生じ、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
③ 資産価格の下落について
当社グループは、賃貸収益またはキャピタル・ゲイン、もしくはその両方を得ることを目的として保有する不動産(以下、投資不動産という)は原価モデルを採用しており、投資不動産の減損についてはIAS第36号「資産の減損」に基づき適切に処理しております。
分譲事業用の棚卸資産の評価減についてはIAS第2号「棚卸資産」に基づき適切に処理しております。
今後の不動産市況の悪化等により投資不動産に対する減損処理および分譲事業用の棚卸資産に対する評価減が必要となった場合には当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは投資有価証券等の金融資産を保有しておりますが、今後の国内外の経済および金融情勢の変化等により当社グループが保有する金融資産の価値が下落した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
④ 有利子負債残高の影響について
当社グループは、国内外で資金調達を行っており、当連結会計年度末の連結有利子負債残高544,515百万円は、基本的に固定金利での調達となっておりますが、今後、市中金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの資金調達は、金融資本市場の不安定化、金融機関による与信制限、金融機関の破綻(ペイオフ含む)、当社の格付の低下等の事由により制約を受けることがあります。
⑤ 不動産関連法規およびその他の法令等の制改定に関するリスクについて
当社グループは、不動産関連法規・個人情報保護法およびその他の法令等の規制を受けており、今後、これらの法令等が制改定された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 取引先の選定および与信リスクについて
取引先の選定にあたっては事前の与信調査を可能な範囲で行っておりますが、通常予測し得ない何らかの事情により取引先の与信が低下したことにより、債権回収の不調等による経済的損失が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、建設工事等の発注先の選定にあたっては、取引先の業務執行に伴う不祥事、トラブル、経営不振等により当社グループの経済的損失の発生および社会的信用の低下につながり、業績に影響を及ぼす可能性がありますが、これらに対しては、取引先を選定するための社内委員会を設置し、取引先の信用および工事完成能力等を調査するとともに、予め品質や納期等の基準を満たさない、または、事件、事故等を起こした場合の契約解除基準を設けることにより、事前の予防とリスク回避に努めております。
(2)事業リスク
① 開発案件の投資判断に関するリスクについて
当社は企業価値の向上に資する今後の開発のための優良な不動産への投資を推進しております。その投資判断にあたっては、対象不動産に対する法令、権利、立地条件、市場調査等の確認を行ったうえで、建築計画、事業収支計画を策定し、事業性判断を行うための社内会議を経て、取締役会等で意思決定しており、新規開発案件の投資判断の誤りによる経済的損失および社会的信用の低下が発生することのないよう努めております。しかしながら、景気動向や不動産市場における需要の悪化等により投資の採算性が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 売買・工事請負契約および設計・施工に関するリスクについて
売買契約や工事請負契約等の契約に関する契約書類の未整備や契約書の条項の不備等、または、設計・施工段階における管理不足等による経済的損失の発生や損害賠償責任の発生および社会的信用の低下等が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対しては、契約審査用チェックシート等を用いて、契約書等の事前チェックを実施することにより、事前のリスクの予防、回避に努めているほか、安全・品質管理室を設置し、建設工事における事故等への対応強化を図っております。
③ ビル管理業務等における建物の毀損、劣化に関するリスクについて
当社グループの保有している賃貸用建物については、定期的な点検や保守等を実施しておりますが、建物の毀損、劣化およびそれを原因とする設備の故障等による事故等が発生した場合には、クレームの発生、損害賠償責任の発生、社会的信用の低下、リニューアル、建て替え等に伴う経済的負担の増加等につながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ビル管理業務等における大規模災害等への対応に関するリスクについて
大規模な地震や洪水等の自然災害、感染症、火災、事故やテロ等により、保有している賃貸用建物に毀損、滅失または劣化するなどの被害が発生したり、当社グループの事業運営が困難となる事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらに対しては、被害想定に基づくテナントや建物運営への影響把握、初動体制や行動手順、災害対策用ツールの整備、災害対策訓練の実施等、平常時の備えも含めた事業継続管理(BCM)活動により、災害時の被害や経済的損失の最小化に努めております。
NTTおよびそのグループ会社との関係について
(1)NTTを中心とした企業グループ(NTTグループ)内における位置づけ等について
当社は、NTTグループにおける唯一の総合不動産会社であり、自ら経営責任を負い、独立して事業経営を行っております。ただし、重要な問題については完全親会社であるNTTおよびNTT-USとの話し合い、またはNTTおよびNTT-USに対する報告を行っておりますが、当社の意思決定を妨げたり、拘束したりするものではありません。
(2)NTTグループとの取引関係
当社はNTTとの間で、相互の自主、自律性を尊重しつつ、NTTグループ全体の利益の最大化を通じてNTTグループ各社の利益を最大化することを目的としたグループ経営に関わる契約を締結し、それに基づきグループ経営運営費の支払を行っております。これにより、当社は各種の助言、NTTブランドの使用、グループ広報の実施等の役務および便益の包括的な提供を受けており、このことは、当社の信用力や信頼性の向上につながり、事業遂行上のメリットになるものと考えております。
その他、当社は、NTTグループとの間で建物賃貸借契約を締結し賃料収入を得ておりますが、賃貸価格の決定方法については一般の取引先と同様の条件を基本とし、近隣相場や市場価格を参考に双方協議の上決定しております。
なお、オフィス・商業事業におけるNTTグループとの取引状況は以下のとおりであります。
(オフィス・商業事業(連結)におけるNTTグループとの取引) (単位:百万円)
項目前連結会計年度当連結会計年度
オフィス・商業事業収益91,22993,094
NTTグループからの収益16,18617,548
NTTグループからの収益/オフィス・商業事業収益(%)17.718.8

(3)NTTグループとの人的関係
当社では、NTTグループより受け入れる社員につきましては、出向ではなく、転籍としております。また当社は、本資料の提出日現在において、取締役および監査役としてNTTから各1名を招聘しておりますが、その就任は当社からの要請に基づくものであり、当社は独自の経営判断を行っております。
(役員の兼職状況) 2019年6月24日現在
役職氏名親会社またはそのグループ会社での役職就任理由
取締役梶 原 全 裕日本電信電話株式会社
総務部門 担当部長
幅広い経営的視点を取り入れるため当社から就任を依頼
監査役有 本 武 司日本電信電話株式会社
経営企画部門 担当部長

(注)当社の取締役14名、監査役3名のうち、親会社との役職を兼任している役員は当該2名のみであります。