公開買付届出書

【提出】
2022/02/08 16:02
【資料】
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脚注、表紙

(注1) 本書中の「公開買付者」とは、名古屋鉄道株式会社をいいます。
(注2) 本書中の「対象者」とは、名鉄運輸株式会社をいいます。
(注3) 本書中の記載において計数が四捨五入又は切捨てされている場合、合計として記載される数値は計数の総和と必ずしも一致しません。
(注4) 本書中の「法」とは、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注5) 本書中の「令」とは、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注6) 本書中の「府令」とは、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第38号。その後の改正を含みます。)をいいます。
(注7) 本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。
(注8) 本書中の記載において、日数又は日時の記載がある場合は、特段の記載がない限り、日本国における日数又は日時を指すものとします。
(注9) 本書中の「営業日」とは、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号。その後の改正を含みます。)第1条第1項各号に掲げる日を除いた日をいいます。
(注10) 本書の提出に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)は、法で定められた手続及び情報開示基準に従い実施されるものです。

対象者名

名鉄運輸株式会社

買付け等をする株券等の種類

普通株式

買付け等の目的

(1) 本公開買付けの概要
公開買付者は、本書提出日現在、株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)市場第二部に上場している対象者の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)3,312,039株(所有割合(注1):51.09%)を所有しており、対象者を連結子会社としております。
(注1) 「所有割合」とは、対象者が2022年2月7日に公表した第89期第3四半期報告書(以下「対象者四半期報告書」といいます。)に記載された2021年12月31日現在の発行済株式総数(6,509,301株)から、対象者が2022年2月4日に公表した2022年3月期第3四半期決算短信[日本基準](連結)(以下「対象者決算短信」といいます。)に記載された2021年12月31日現在の対象者の保有する自己株式数(26,948株)を控除した株式数(6,482,353株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。
この度、公開買付者は、2022年2月7日開催の取締役会において、対象者株式の全て(但し、公開買付者が所有する対象者株式、本不応募株式(以下に定義されます。)及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得し、対象者の株主を公開買付者及び対象者の第二位株主である日本通運株式会社(以下「日本通運」といいます。)のみとなるように対象者を非公開化することを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議いたしました。
本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、日本通運との間で、2022年2月7日付で、本公開買付けに応募しない旨の契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結しており、日本通運は、本不応募契約において、同社が所有する対象者株式の全て(所有株式数:1,301,873株、所有割合:20.08%、以下「本不応募株式」といいます。)(注2)について、本公開買付けに応募しない旨を合意しております。本不応募契約の詳細については、下記「(6) 本公開買付けに係る重要な合意」をご参照ください。
(注2) 対象者は日本通運との間で2015年12月25日に資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といいます。)を締結したとのことですが、その際に、日本通運は、公開買付者ほか銀行等の対象者の株主7名(以下「譲渡人」といいます。)から、市場外の相対取引の方法により、対象者株式6,509,365株(2016年4月1日当時の所有割合:20.07%)を2016年4月1日付で取得したとのことです。その後、対象者は、2017年10月1日をもって、同年9月30日の最終の株主名簿に記録された対象者の株主の所有株式数を基準に、株式併合(5株を1株に併合)を実施したため、日本通運は、1,301,873株の対象者株式を所有しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいては、下記「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅱ)公開買付者が本公開買付けを実施するに至った経緯・目的」に記載のとおり、対象者とさらに連携し、中長期的視点に立脚した対象者グループの成長戦略を推進することが、対象者グループを含む公開買付者グループ全体の更なる成長と発展に資すると判断したことから、対象者の株主を公開買付者及び日本通運のみとなるように対象者を非公開化することを目的としているため、買付予定数の上限を設定しておりません。また、公開買付者は、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することにより対象者を非公開化する方針であり、下記「(6) 本公開買付けに係る重要な合意」に記載のとおり、本不応募株式を所有する日本通運との間で本スクイーズアウト手続を実施する旨及び本臨時株主総会(以下に定義されます。)において本スクイーズアウト手続に関連する本株式併合(以下に定義されます。以下同じです。)を含む各議案に賛成する旨を合意しており、本書提出日現在、公開買付者が所有する対象者株式は3,312,039株(所有割合:51.09%)、本不応募株式は1,301,873株(所有割合:20.08%)であり、その合計は4,613,912株(所有割合:71.17%、議決権割合:71.35%)であることから、公開買付者は、本スクイーズアウト手続に関連する本株式併合が会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項第4号に規定する株主総会における特別決議により実施できるため、本スクイーズアウト手続が確実に実行可能であると考えております。また、公開買付者は、下記「(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本書提出日現在、対象者株式3,312,039株(所有割合:51.09%)を既に所有しているため、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(majority of minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、買付予定数の下限を設定しておらず、本公開買付けに応募された対象者株式(以下「応募株券等」といいます。)の全ての買付け等を行います。また、公開買付者は、本公開買付けにより対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式、本不応募株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本スクイーズアウト手続を実施することにより、対象者を非公開化する予定です。
なお、対象者が2022年2月7日に公表した「支配株主である名古屋鉄道株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は2022年2月7日開催の対象者取締役会において、本公開買付けについて賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に応募を推奨することの決議をしたとのことです。対象者の意思決定の過程に係る詳細については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「⑦ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針
① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
(ⅰ)本公開買付けの背景
公開買付者は、1894年に設立免許された愛知馬車鉄道株式会社(同社は、1896年にその商号を名古屋電気鉄道株式会社に変更しております。)を祖としており、名古屋電気鉄道株式会社が地方鉄道部の事業を譲り受けるため、1921年6月に名古屋鉄道株式会社が設立されました。その後、同社は、1930年8月に美濃電気軌道株式会社と合併し、同年9月に商号を名岐鉄道株式会社に変更し、1935年8月に愛知電気鉄道株式会社を合併した際に、商号を名古屋鉄道株式会社に変更し、現在に至ります。また、公開買付者は、1949年5月に証券会員制法人名古屋証券取引所(現、名古屋証券取引所)市場へ、1954年12月に証券会員制法人東京証券取引所(現、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。))市場へ上場しております。その後、公開買付者は、1961年の株式市場第二部開設に伴い、東京証券取引所第一部及び名古屋証券取引所第一部へ上場し、現在に至っています。
公開買付者は、本書提出日現在において、対象者を含む子会社116社及び関連会社22社を有し(以下、公開買付者並びにその子会社及び関連会社を総称して「公開買付者グループ」といいます。)、公開買付者グループの事業は、交通、運送、不動産、レジャー・サービス、流通、航空関連サービス及びその他の事業から構成されております。交通分野では鉄軌道、バス及びタクシー事業を、運送分野ではトラック及び海運事業を、それぞれ営んでおります。また、不動産分野では不動産分譲業、不動産賃貸業及び不動産管理業を、レジャー・サービス分野ではホテル業、観光施設事業、旅行業及び広告代理業を、流通事業では百貨店業及び物品販売等をそれぞれ営んでおり、航空関連サービス分野では機内食の提供や物資輸送、ドクターヘリの運航等を行っております。その他の分野では、情報処理業や建設業等を手がけております。
公開買付者グループは、人口減少・少子高齢化の加速及び技術革新の進展等、公開買付者グループを取り巻く環境が変化する中においても持続的な成長を目指すため、2018年3月に、長期ビジョン「VISION2030~未来への挑戦~」を策定し、事業基盤の拡大や収益力強化に取り組んでおります。2021年3月には、2023年度を最終年度とする中期経営計画「Turn-Over 2023 ~反転攻勢に向けて~」(以下「本中期経営計画」といいます。)を策定し、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献し続けるため、コロナ後の新たな社会経済情勢に対応して事業を変革し、強靭な企業グループに再生を図ることにより、次の成長に繋がる基盤を構築する」ことを基本方針に定め経営に取り組んでおります。また、本中期経営計画では、公開買付者グループ全体として、「事業構造改革」と「成長基盤構築」を掲げ、新型コロナウイルス感染症の拡大によって影響を受けた事業の変革・再生及び次の成長に繋がる基盤の構築を図り、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」という使命を達成するために、街と街、人と人をつなぐことで人々の豊かな生活の実現を目指しております。
一方、対象者は、1943年6月に愛知県一宮市において一宮運輸株式会社として設立され、1945年4月に公開買付者が設立した名岐運輸株式会社を吸収合併して、その際に商号を蘇東運輸株式会社に変更したとのことです。その後、対象者は、1960年4月には現在の名鉄運輸株式会社に商号を変更し、1976年8月には名古屋証券取引所市場第二部へ上場し、1992年5月には本社を現在の名古屋市東区に移転しているとのことです。
対象者は、2015年12月25日に貨物自動車運送事業において相互輸送に係る取引関係を有していた日本通運との間で本資本業務提携契約を締結し、混載事業(注1)及び引越事業における連携や、鉄道コンテナ利用などの物流ネットワークを強化し、物流ネットワークの相互利用、オペレーションの効率化を通じた競争力強化などの協業を推進しているとのことです。
(注1) 複数の顧客からの貨物を積み合わせて輸送を行う事業を指します。
対象者は、本書提出日現在、子会社19社と関連会社1社を有し(以下、対象者並びにその子会社及び関連会社を総称して「対象者グループ」といいます。)、対象者グループは、親会社である公開買付者グループに属しております。対象者グループは、対象者グループに属するそれぞれの会社が事業地域及び事業分野を複合的に分担の上、変わりゆく物流ニーズの需要に対してグループが一体となって貨物運送事業を主力とする総合的な物流関連事業を展開しているとのことです。具体的には、対象者は、2022年2月7日時点において仙台市から岡山市までの全国66箇所に事業所を構え、全国を東北支社、北関東支社、東京支社、名古屋支社、大阪支社の5つの支社がそれぞれ管轄する5つのエリアに分ける体制を採用し、日本全国をカバーするネットワークを構築しているとのことです。また、対象者グループのうち、例えば、名鉄ゴールデン航空株式会社においては、航空会社と代理店契約を締結し、国内の航空貨物輸送を行っているほか、貨物輸送にかかわる保管業務及び流通加工業務や納品代行業務を行うなどの総合的な物流サービスも提供しているとのことです。
このように社会インフラ・ライフラインのひとつである輸送サービスを展開している対象者グループは、物流という視点から豊かな生活を実現することを通じて地域の皆様に信頼される「信頼のトップブランド」を目指しているとのことです。具体的には、対象者グループは、「We’re Koguma」のキャッチフレーズを掲げ、グループ一丸となって、最高品質のロジスティクスサービスを「こぐま品質」との名称の下に提供することを経営の基本方針としているとのことです。
一方で、対象者グループを取り巻く事業環境は、人口減少などによる国内貨物需要の頭打ち、ネット社会・電子商取引の拡大、新しい生活様式の浸透、AIを活用した自動運転・ドローン配送などの技術革新、持続可能な社会の実現へ向けた意識の高まりなどが変化してきているとのことです。これらの環境下においても、対象者グループが持続的な成長を目指すためには、自動運転・DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用を含め、従来からの領域に捉われない事業展開が必要であり、また、ESG・SDGsをより重視した経営が求められていると考えており、2021年3月に、2030年に向けた長期ビジョン「Koguma Sustainable 2030」を策定するとともに、本年度を初年度とする3ヵ年計画「名鉄運輸グループ中期経営計画2023」を策定しているとのことです。対象者グループ長期ビジョン「Koguma Sustainable 2030」においては、対象者グループが培ってきた「こぐま品質」と、地域に密着した対象者グループ各社の強み(すなわち、対象者グループの各会社が、それぞれ所在する地域の顧客のニーズに対応したサービス提供ができる強み)を結集したグループ総合力及び事業基盤を強化し、対象者の区域事業(注2)、倉庫事業、3PL(注3)などの事業を拡大するほか、特積事業(注4)のコスト構造の抜本的改革を進め、労働生産性の向上を図り、2030年度には売上高1,500億円を目指すものとしているとのことです(なお、対象者グループの2021年3月期における売上高は約1,120億円とのことです。)。
(注2) 特定の地域・区域内における配送業務、及び顧客指定ルートによる配送業務を指します。
(注3) 3PLとは、サードパーティ・ロジスティクスの略称であり、顧客の物流機能の全部又は一部の業務を対象者が受託するサービスを指します。
(注4) 複数の顧客からの貨物を1台の車両でまとめて運ぶ「積合せ運送」の一形態を指します。
また、「名鉄運輸グループ中期経営計画2023」においては、「Connect(繋げる)、Support(支えあう) & Innovate(革新する)」をスローガンとして掲げているとのことです。対象者グループは、「名鉄運輸グループ中期経営計画2023」において、この3ヵ年に係る期間をコロナ禍からの回復期と位置づけ、3つの重点テーマである「特積事業の融合化モデルへの進化・DXによる労働生産性向上」、「人事制度・職場環境の改善」、「持続的な物流ネットワークの構築」の取り組みを進め、労働生産性(一人当たり付加価値)を高めることで中長期的な成長・存在価値向上を実現するとのことです。
公開買付者は、1945年に対象者の前身である一宮運輸株式会社が、公開買付者が設立して株式を所有していた名岐運輸株式会社を吸収合併し、合併存続会社である一宮運輸株式会社の株式が名岐運輸株式会社の株主である公開買付者に対して交付されたことによって、対象者株式を所有するに至りました。また、対象者が、2016年4月1日、対象者を株式交換完全親会社、公開買付者が6,971,449株(当時の所有割合:76.47%)を所有していた信州名鉄運輸株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換(株式交換比率は1:1.1)を実施したことで、対象者は、信州名鉄運輸の株主であった公開買付者に対して、7,668,593株(当時の所有割合:23.65%)の対象者株式を交付し、公開買付者は対象者株式19,983,841株(当時の所有割合:61.63%)を所有するに至りました。また、同日に、譲渡人が日本通運へ対象者株式を売却(公開買付者は、日本通運へ対象者株式3,423,645株(当時の所有割合:10.56%)を売却)した結果、公開買付者は、16,560,196株(当時の所有割合:51.07%)の対象者株式を所有することになり、その後、対象者が2017年10月1日に株式併合(5株を1株に併合)を実施したことで、本書提出日現在、対象者株式3,312,039株(所有割合:51.09%)を所有するに至っているとのことです。
(ⅱ)公開買付者が本公開買付けを実施するに至った経緯・目的
公開買付者グループは、交通、レジャー及び百貨店等、事業展開地域における人々の生活に根差したサービスを提供しており、特に主たる事業である交通事業は、インバウンド旅行客の利用増加に伴う旅客収入の増加や、製造業の生産拠点が集積する線区の通勤定期輸送人員の増加等により業績は堅調に推移しておりましたが、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」によれば、公開買付者グループが事業の基盤とする中部地方(新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県及び愛知県)の総人口は2025年から2030年にかけて3.0%、2035年から2040年にかけて3.5%減少するなど、中長期的に減少することが示唆されており、これは公開買付者グループの主力事業における将来的な収益獲得機会の逓減を意味するものと捉えております。加えて、足元では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う移動の制限により、インバウンド需要・旅行需要の減少、EC需要の顕著な増加及びテレワークの普及に伴う都市部から郊外への居住エリアの移転等、消費者の行動・生活様式がコロナ禍の影響を受ける前の2019年度から変化しております。公開買付者グループのコア事業である交通事業は、コロナ禍において2019年度から設備投資額を34.6%抑制した2020年度においても、設備投資額の総額の35.2%となる168億円を設備投資に費やしており、線路や車両等への一定額の投資を要するなど固定費率が高いことから、一定以上の収入を確保する必要があるところ、2019年度から2020年度にかけて1,635億円から1,049億円に減収したことで、営業利益が215億円の黒字から178億円の赤字に転じ、移動需要の減少及びサービス消費の低迷に伴う売上減少による収益性の悪化に直面しているほか、消費者の新たな生活様式が定着しつつあることからそのトレンドは長期化するものと予想され、公開買付者グループにとっては今後も厳しい事業環境が継続するものと見込んでおります。
このように、公開買付者グループにとって先行き不透明な状況が予測される中、公開買付者グループが更なる成長を遂げるためには、コロナ禍でも堅調な運送事業や航空事業を競争力のある事業と捉え収益力の強化を図り、収益構成の見直しを行っていくことが必須であると認識しておりました。
他方、対象者グループの主たる事業である運送事業は、国土交通省の「トラック輸送情報」によれば、特別積合せ貨物の輸送トン数は、2018年度において65,833,010トン、2019年度において64,182,180トン、そして2020年度においては63,875,481トンと、コロナ禍においても足元では物販系分野のEC市場規模の拡大に支えられ横ばいで推移しているものの、将来的には人口減少に伴う国内貨物輸送量の減少が予測されます。また、運送業界全体として慢性的な人材不足が続いており、今後も少子高齢化によりその傾向はより顕著になることが見込まれ、人件費の高騰が一層加速することが懸念されるほか、新型コロナウイルス感染症の拡大により2020年3月から6月にかけて下落した燃料価格が経済活動の回復に伴って2020年度下期より上昇に転じるなど、燃料費の動向も先行きが見通せない厳しい事業環境に置かれております。加えて、近年は業界全体として、ESG・SDGsやコンプライアンスを重視した経営が求められており、DXの活用・推進による労働生産性の改善及びモーダルシフト(注5)への取り組み等を通じた持続可能な物流ネットワークの構築等の推進が急務であると考えておりました。
(注5) 「モーダルシフト」とは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することをいいます。
このような事業環境の中、公開買付者グループ及び対象者グループが持続的な成長を遂げるためには、公開買付者グループと対象者グループがより連携を強化し、交通事業等が過半を占めている公開買付者グループの収益構造から今後成長が見込まれる対象者が展開している貨物運送事業等の収益力強化を図り、先端技術の活用・DXの推進による生産性の向上やイノベーションの創出及び戦略的な投資や新たなビジネス領域への挑戦といった施策に取り組むことが必要であると考えました。また、公開買付者は、2021年10月下旬、これらの取り組みにより、公開買付者グループ全体としての更なる企業価値向上、ひいては公開買付者グループが掲げている「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」使命を達成することに繋がると考えました。
公開買付者としては、対象者とより一層連携を深めることにより、以下のようなシナジーの実現を目指してまいります。
(ア)公開買付者グループのノウハウを活かした、不動産の再開発、対象者の物流施設の新設及び維持・更新に係る投資
不動産の再開発や物流施設への投資は、中長期的な事業展望の観点からは実施すべきものであったとしても、一時的には対象者の財務体質を悪化させる場合もあり、対象者の少数株主の皆様の期待に沿えない可能性や短期的には資本市場から十分な評価が得られないことによる株価の不安定化のリスクを伴うことから、積極的に推進することはできませんでした。また、公開買付者が有する不動産情報を、対象者の事業のために活用することが望ましいと考えられる場合において、公開買付者及び対象者がいずれも上場会社である現状では、少数株主保護の観点から機動的な行動をとることができず、実現に至らない局面もありました。公開買付者は、対象者の非公開化を通じて、親子上場に伴う親会社と対象者の少数株主の利益相反を回避することで機動的な経営体制を構築でき、公開買付者及び対象者が中長期的視点に立脚した対象者グループの成長戦略を推進することや、長期的な視野に立った投資やリソース配分に向けた行動をとることが可能となり、対象者が有する物流ネットワークをより強化し、更なる競争力向上を図るため、対象者の物流施設の新設及び維持・更新へ戦略的に投資するほか、公開買付者グループのノウハウを活用した不動産開発を推進するなど、公開買付者が取り得る経営戦略上の選択肢の幅が広がると考えております。具体的には、輸送力強化のための対象者物流施設の新設、改良及び老朽化した拠点の整備等に係る資金面での支援、公開買付者グループが保有している不動産情報の有効活用、公開買付者グループの知見を活かした物流不動産開発並びに公開買付者グループによる対象者物流施設跡地の再開発等の取り組みが可能になると考えております。また、公開買付者グループが保有している施設を対象者の物流施設へ建替えるなど再開発する可能性についても模索してまいります。
(イ)M&A等も含めたグループ再編による効率的な組織体制構築及び事業拡大
対象者は公開買付者の連結子会社であるものの、上場会社であることから、公開買付者から独立した経営を行ってまいりました。しかしながら、公開買付者グループの中には、例えば太平洋フェリー株式会社の貨物輸送や名鉄観光サービス株式会社の国際貨物事業のように、対象者と同種の事業を運営している企業が複数存在しております。本取引を通じて対象者を非公開化し、親子上場に伴う独立性確保の制約を回避することで、公開買付者と対象者がより連携を強化し、それら事業について、公開買付者グループ及び対象者グループの運送事業の中心である対象者が、同種の事業を運営している企業で重複している業務を合理化することで、事業運営の効率化を図ることが最適であると考えられるほか、効率的な組織体制構築に関する知見を有する公開買付者が、対象者の経営に対してコミットを高められるようになり、ヒト・モノ・カネの経営資源のグループ内での最適配分が可能となるため、対象者グループのコア事業である運送事業をはじめ、公開買付者グループ及び対象者グループの注力事業に対し経営資源を集中することや、対象者グループの事業規模・業容を拡大させるために公開買付者がM&A等の成長戦略を支援するなど、公開買付者グループ全体の再編による効率的な事業体制の構築及び事業拡大による更なる成長促進を実現することができると考えております。
また、DXの推進による生産性の向上という観点においては、公開買付者グループはDXに関する知見を有する部門を中心として、公開買付者グループのDXを推進しているものの、少数株主保護の観点から、公開買付者グループのナレッジや経営資源について、独立した経営を行う対象者グループに集中して活用できない局面があったことから、対象者グループだけでは既存の枠組み・発想を超える新たなシステム開発等が推進できておりませんでした。公開買付者は、本取引を通じて対象者を非公開化し、公開買付者と対象者の少数株主との間にある構造的な利益相反を回避することで、公開買付者グループの経営資源を対象者グループの企業価値向上に活用できるようになり、その結果、対象者のDXの推進を加速させることが可能になると考えております。具体的には、労務管理や営業管理等、公開買付者グループ及び対象者グループがそれぞれ独立して使用している情報システムの統一をはじめ、両グループで協働してDXを推進することが可能となり、省人化及び業務の自動化・効率化を通じた事業遂行のスピードアップやコスト削減等、グループ全体の生産性向上が実現できると考えております。
(ウ)公開買付者グループ及び対象者グループの人材リソースの活用
上記のとおり、対象者は公開買付者の連結子会社であるため、対象者が上場を維持した状態では、公開買付者グループから対象者グループへの役職員の派遣等は独立性維持のために最低限に留める必要があるところ、対象者を非公開化することにより、公開買付者から対象者に対しての人材派遣や対象者の注力事業である区域事業、倉庫事業、3PLなどの事業への異動など、公開買付者グループ及び対象者グループ間での人材交流の促進や、グループ内での柔軟な人材配置が可能になり、対象者の構造的な人材不足等の課題解決及び経営効率の向上が実現できると考えております。具体的には、対象者は、注力事業において新規事業開発・販売促進等を推進できる人材が不足していること等の課題を有しているため、当該分野における知見を有した公開買付者グループの人材を派遣することで課題解決を図ってまいります。また、グループ内の配置転換を通じて、対象者のドライバー不足の解消に取り組んでまいります。
また、上記以外にも、シナジーが見込まれる事業領域として、大型車両・燃料の共同購買によるスケールメリットの獲得及び車両のEV化等が考えられます。
公開買付者は、対象者株式の持分比率を高めつつ、対象者を非公開化することで、親子上場に伴う親会社と対象者の少数株主の将来的な利益相反の回避及びグループ経営戦略における意思決定の迅速化等、機動的なグループ経営体制の構築が可能となり、また、上場会社としての独立性維持の観点で制約があった、公開買付者と対象者の間での顧客基盤、事業基盤、財務基盤等の経営資源の相互活用を通じ、経営の効率化及び対象者の主力事業である運送事業への戦略的な投資等を実現させることで、上記のシナジー効果が得られると考えました。公開買付者は、2021年10月下旬、このように、公開買付者と対象者がより連携を強化し、中長期的視点に立脚した対象者グループの成長戦略を推進することが、対象者グループを含む公開買付者グループ全体の更なる成長と発展に資すると判断し、そのためには対象者の非公開化が最善の選択であると判断いたしました。
なお、2015年12月25日に対象者と本資本業務提携契約を締結し、2016年4月1日に対象者の第二位株主となり、現在に至るまで対象者の重要なビジネスパートナーたる日本通運が、対象者の非公開化後においても引き続き対象者の株主としての立場を保持することで、対象者及び日本通運との資本関係が維持されることにより、対象者及び日本通運の取引関係及び本資本業務提携に基づく提携関係が中長期的に維持及び強化されることが見込まれ、継続して混載事業における両社の輸送連携を進めることで、対象者の事業基盤の維持・拡大に繋がり、ひいては、対象者の持続的な企業価値の向上に資することが期待されることから、2021年10月下旬、公開買付者としては、本公開買付けを通じた対象者の非公開化においては公開買付者のみならず日本通運も対象者の株主としてその立場を維持することが必要であるとの結論に至りました。また、公開買付者は、2021年10月下旬、本公開買付けにおいては、対象者の株主を公開買付者及び日本通運のみとなるように対象者を非公開化することを目的としているところ、2021年9月末時点において、公開買付者は対象者株式3,312,039株(所有割合:51.09%)を既に所有し、日本通運は対象者株式1,301,873株(所有割合:20.08%)を既に所有していた(本書提出日現在においても、公開買付者及び日本通運が所有する株式数は同じです。)ため、日本通運からの賛同が得られれば、本公開買付けを行うことなく、対象者に会社法第180条に基づく対象者株式の併合の実施を要請すること等により、対象者を非公開化することも可能と考えておりました。もっとも、公開買付者は、2021年10月下旬、本公開買付けを前置することにより、本取引に関して適切な情報開示を行うことで、対象者の株主の皆様に対して本取引につき適切な判断機会を確保し、もって本取引の公正性を担保することを企図して、本公開買付けを実施するのが適切であると判断いたしました。
そして、公開買付者は、かかる判断を踏まえ、2021年10月下旬に、対象者に対して、対象者を非公開化し、株主を公開買付者と日本通運の2社のみとすることについて初期的な打診を行ったところ、対象者から、当該打診について応じるかどうかの検討を行う旨の回答を得ました。また、公開買付者は、2021年11月24日、日本通運に対して、対象者を非公開化し、株主を公開買付者及び日本通運のみとすることを企図しており、今後も協議させてほしい旨を伝えたところ、同日、日本通運から前向きに検討する旨の回答を電子メールで受領しました。また、2021年12月10日、公開買付者は、日本通運に対して、本取引について説明を行い、本公開買付けへの不応募及び本スクイーズアウト手続に関連する本株式併合を含む各議案に賛成する旨への賛同を依頼したところ、同日、公開買付者及び日本通運は、これまで取り組んできた共同配送や共同幹線輸送など経営資源の有効活用及び業務の効率化を加速化させることが、対象者グループの持続的な成長に資するとの認識を共有するに至り、その後、具体的な契約内容について協議を進め、2021年12月下旬、本不応募契約の内容について合意し、2022年2月7日付で、本不応募契約を締結しております。
公開買付者は、2021年7月上旬より、上記のとおり、対象者の非公開化に関する検討を進めており、2021年10月下旬に、対象者に対して、対象者を非公開化し、株主を公開買付者と日本通運の2社のみとすることについて初期的な打診を行ったところ、対象者から、当該打診について応じるかどうかの検討を行う旨の回答を得ました。その後、2021年11月24日、公開買付者は、対象者に対して、本取引に関する協議を開始したい旨の正式な提案書を送付したところ、2021年11月26日、対象者から本取引について検討を進める旨の回答を口頭で受領した上で、本取引を実施する場合における公表日などの各種日程について対象者と確認し、以下のとおり、本取引に関して複数回にわたり対象者と協議・検討を重ねてまいりました。
公開買付者は、公開買付者、対象者及び日本通運から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして麻布霞山法律事務所を2021年11月17日に選任し、2021年12月上旬から2022年1月上旬にかけて対象者に対するデュー・ディリジェンスを実施いたしました。また、公開買付者は、2022年1月6日に本特別委員会(以下に定義されます。以下同じです。)から本取引に関する質問を受領したため、2022年1月13日に、対象者及び本特別委員会に対して、非公開化に関するより詳細な説明を行い、同年1月14日に追加回答を行うなど、同年2月1日に至るまで、公開買付者及び対象者のシナジーの創出に向けた具体的な施策や、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引の諸条件等について本格的な協議・検討を進めてまいりました。
具体的には、公開買付者は、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果を総合的に考慮の上、過去5年間の終値ベースの最高値(2,700円)に着目し、2022年1月12日に本公開買付価格を2,700円としたい旨の提案を行いました(なお、公開買付者は、本公開買付価格を2,700円とする提案が、2019年7月から2021年11月に行われた本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例(親会社による上場子会社の非公開化を前提とした公開買付けの事例26例)において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)と比較すると、2022年1月11日の終値(2,339円)に対するプレミアムは約13%にとどまるものの、上記のとおり、過去5年間の終値ベースの最高値(2,700円)に着目しているため、対象者株主にとって経済合理性があると判断しておりました。)。しかし、公開買付者は、同年1月14日、対象者より、本公開買付価格を2,700円とする提案に対して、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である株式会社三菱UFJ銀行コーポレート情報営業部財務開発室(以下、株式会社三菱UFJ銀行を「三菱UFJ銀行」といい、株式会社三菱UFJ銀行コーポレート情報営業部財務開発室を「三菱UFJ銀行財務開発室」といいます。)が試算した対象者理論株価の算定レンジを踏まえると、対象者の少数株主にとって十分な価格であるとはいえないとして提案内容の再検討を要請されました。その後、公開買付者は、同年1月12日の価格提案時と同様の理由及び対象者から価格の再検討を要請されたことを踏まえ、同年1月18日に、初回提案価格(2,700円)と対象者株式の初回提案日の直近取引成立日である同年1月11日の終値(2,339円)の差額である361円を超える370円を初回提案価格に対して上乗せした3,070円を本公開買付価格としたい旨の提案を行いましたが、同年1月21日、対象者より、本公開買付価格を3,070円とする提案に対して、三菱UFJ銀行財務開発室が試算した対象者理論株価の算定レンジを踏まえると、未だ賛同意見及び応募推奨意見を表明できる水準には達していないとの理由で、本公開買付価格を3,900円に引き上げるよう求める旨の提案を受領しました。これに対して、公開買付者は、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果に加え、対象者に賛同及び応募推奨意見を表明いただくため、分かりやすい判断材料である市場株価に対するプレミアムを重視する必要があると考え、上記の本公開買付けと同種の事例において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)を総合的に考慮し、同年1月25日に本公開買付価格を3,300円としたいとの提案を行いましたが、同年1月27日、対象者より、同年1月21日と同様の理由から、本公開買付価格を3,700円に引き上げるよう求める旨の提案を受領しました。その後、公開買付者は、同年1月25日の価格提案時と同様の理由から、同年1月31日に本公開買付価格を3,500円としたいとの提案を行い、同年2月1日、対象者から、本公開買付価格を3,500円とする提案は、対象者の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、対象者の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断し、同年2月1日に本公開買付けを3,500円とすることについて同意する旨の回答を受領しました(対象者が本公開買付価格を3,500円とすることに同意した理由の詳細は、下記「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」の「(c)対象者の意思決定の内容」をご参照ください。)。
公開買付者は、2022年1月13日に実施した対象者及び本特別委員会との面談において、2022年1月6日に本特別委員会から書面により受領した質問に対する説明や対象者及び本特別委員会との協議を実施し、同年1月14日の本特別委員会に対する書面による追加回答、上記の公開買付価格に関する対象者及び本特別委員会との間の提案・協議を通じて、同年2月1日に、対象者との間で、公開買付者が企図する企業価値向上策は、その短期的な収益へのネガティブなインパクトや、そもそも失敗するリスクがあることからすれば、こうした企業価値向上策に取り組む前提として、本取引による上場廃止を経ることもやむを得ないと考えられることや、本取引が公開買付者及び対象者にとって、現実的に採り得る最善の手段であり、本取引は、企業価値向上の観点から、他の現実的にあり得る手段と比較しても優位性を有する取引であると考えられることなどについて共通の認識に至り、本公開買付価格について合意したため、2022年2月7日開催の取締役会決議により、対象者の非公開化を目的とした本取引の一環として、本公開買付けを開始することを決定いたしました。
(ⅲ)対象者における意思決定の過程
(a) 公開買付者からの提案及び検討体制の構築の経緯
対象者は、上記「(ⅱ)公開買付者が本公開買付けを実施するに至った経緯・目的」に記載のとおり、公開買付者から本取引に関する初期的な打診を2021年10月下旬に受け、その際、公開買付者に対して当該打診について応じるかどうかの検討を行う旨を回答しました。対象者プレスリリースによれば、対象者は上記初期的な打診を受けたことを契機として、公開買付者との間で協議を開始することや本取引の実施の是非等を含めて検討を開始したとのことです。そして、対象者は、公開買付者との間で交渉するため、対象者、公開買付者及び日本通運から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJ銀行財務開発室を2021年11月中旬に選任し、また、対象者、公開買付者及び日本通運から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業及び弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所(以下、総称して「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を2021年11月下旬に選任したとのことです。
そして、対象者は、対象者が公開買付者の連結子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、公開買付者及び日本通運から独立した立場で、対象者の企業価値の向上及び対象者の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始したとのことです。
具体的には、対象者は、2021年11月下旬から対象者の独立社外取締役、独立社外監査役及び外部有識者から構成される特別委員会の設置に向けた準備を進めたとのことです。その上で、同年12月17日開催の取締役会における決議により、井上尚司氏(対象者の独立社外取締役)、安井秀樹氏(対象者の独立社外監査役)、平林一美氏(対象者の独立社外監査役)、及び仁科秀隆氏(弁護士、中村・角田・松本法律事務所)の4名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「② 対象者における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか、(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた対象者の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)のほか、本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられるか、(ⅴ)対象者取締役会が本公開買付けに賛同し、対象者の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問したとのことです。また、対象者取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を対象者取締役会から独立した合議体として位置付け、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、対象者取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、本特別委員会に対して、本取引に係る公開買付けにおける買付け等の価格その他の取引条件等について公開買付者と交渉を行う権限を付与すること、並びに本諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、対象者の株式価値評価及び本取引に係るフェアネス・オピニオンの提供その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は対象者が負担すること等を決議しているとのことです(当該取締役会における決議の方法については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「② 対象者における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。なお、本特別委員会は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「② 対象者における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、上記の権限に基づき、2022年1月20日、独自の財務アドバイザーとして髙野総合コンサルティング株式会社(以下「髙野総合コンサルティング」といいます。)を選任しているとのことです。
また、対象者は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「② 対象者における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会において、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJ銀行財務開発室並びに対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けているとのことです。
さらに、対象者は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「⑥ 対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者及び日本通運から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を対象者の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けているとのことです。
(b) 検討・交渉の経緯
対象者は、2021年11月24日、公開買付者から本取引に関する協議を開始したい旨の正式な提案書を受領しましたが、それ以前から、公開買付者から本取引に関する初期的な打診を2021年10月下旬に受けたことを契機として、公開買付者との間で協議を開始することや本取引の実施の是非等を含めて検討を開始したとのことです(なお、初期的な打診を受けた際に、対象者は公開買付者に対して当該打診について応じるかどうかの検討を行う旨回答しました。また、対象者は、公開買付者からの正式な提案書の受領後である2021年11月26日に、対象者にて本取引について本格的な検討を進めるという意向を公開買付者に口頭で伝えた上で、本取引を実施する場合における公表日などの各種日程について公開買付者と確認をしたとのことです。)。そして、対象者は、公開買付者との間で交渉するため、対象者、公開買付者及び日本通運から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJ銀行財務開発室を2021年11月中旬に選任し、また、対象者、公開買付者及び日本通運から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を2021年11月下旬に選任したとのことです。
その後、対象者は、三菱UFJ銀行財務開発室から対象者株式の価値算定結果に関する報告、公開買付者との交渉方針に関する助言を受けるとともに、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を受け、これらを踏まえ、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってきたとのことです。
具体的には、対象者は、公開買付者から、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果を総合的に考慮の上、過去5年間の終値ベースの最高値(2,700円)に着目し、2022年1月12日に本公開買付価格を2,700円としたい旨の提案を受領しましたが(なお、公開買付者は、本公開買付価格を2,700円とする提案が、2019年7月から2021年11月に行われた本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例(親会社による上場子会社の非公開化を前提とした公開買付けの事例26例)において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)と比較すると、2022年1月11日の終値(2,339円)に対するプレミアムは約13%にとどまるものの、上記のとおり、過去5年間の終値ベースの最高値(2,700円)に着目しているため、対象者株主にとって経済合理性があると判断しておりました。)、本公開買付価格を2,700円とする提案に対して、三菱UFJ銀行財務開発室が試算した対象者理論株価の算定レンジを踏まえると、対象者の少数株主にとって十分な価格であるとはいえないとして提案内容の再検討を要請したとのことです。その後、対象者は、公開買付者から、同年1月12日の価格提案時と同様の理由及び対象者から価格の再検討を要請されたことを踏まえ、同年1月18日に、初回提案価格(2,700円)と対象者株式の初回提案日の直近取引成立日である同年1月11日の終値(2,339円)の差額である361円を超える370円を初回提案価格に対して上乗せした3,070円を本公開買付価格としたい旨の提案を受領しましたが、同年1月21日、本公開買付価格を3,070円とする提案に対して、三菱UFJ銀行財務開発室が試算した対象者理論株価の算定レンジを踏まえると、未だ賛同意見及び応募推奨意見を表明できる水準には達していないとの理由で、本公開買付価格を3,900円に引き上げるよう求める旨の提案を行ったとのことです。これに対して、対象者は、公開買付者から、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果に加え、対象者に賛同及び応募推奨意見を表明いただくため、分かりやすい判断材料である市場株価に対するプレミアムを重視する必要があると考え、上記の本公開買付けと同種の事例において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)を総合的に考慮し、同年1月25日に本公開買付価格を3,300円としたいとの提案を受領しましたが、同年1月27日、対象者より、同年1月21日と同様の理由から、本公開買付価格を3,700円に引き上げるよう求める旨の提案を行ったとのことです。その後、対象者は、公開買付者より、同年1月25日の価格提案時と同様の理由から、同年1月31日に本公開買付価格を3,500円としたいとの提案を受領し、同年2月1日、本公開買付価格を3,500円とする提案は、対象者の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、対象者の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断し、同年2月1日に本公開買付けを3,500円とすることについて同意する旨を回答したとのことです(対象者が本公開買付価格を3,500円とすることに同意した理由の詳細は、下記「(c)対象者の意思決定の内容」をご参照ください。)。
以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、対象者や対象者のアドバイザーから報告を受け、確認及び意見の申述等を行っているとのことです。具体的には、対象者は、対象者が作成した2022年3月期から2026年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けているとのことです。また、対象者のファイナンシャル・アドバイザーは、公開買付者との交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、また、公開買付者から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行っているとのことです。加えて、本特別委員会は、その独自の財務アドバイザーとして髙野総合コンサルティングを選任した上で、髙野総合コンサルティングに対して、三菱UFJ銀行財務開発室が2022年2月4日付で対象者に提出をした対象者株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。)の草案の検討を行わせ、三菱UFJ銀行財務開発室との間で質疑応答をさせることで、対象者株式価値算定書の内容を検証させたとのことです。なお、本特別委員会は、2022年2月4日に髙野総合コンサルティングから当該検証結果に関する意見の提出を受けているとのことです。
そして、対象者は、2022年2月4日、本特別委員会から、対象者取締役会が本公開買付けに賛同し、対象者の株主に応募を推奨することは合理的と考えられる旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けているとのことです(本答申書の概要については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「② 対象者における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。
(c) 対象者の意思決定の内容
以上の経緯のもとで、対象者は、2022年2月7日開催の対象者取締役会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、三菱UFJ銀行財務開発室から受けた助言及び対象者株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行ったとのことです。
その結果、対象者は、以下のとおり、本取引は対象者の企業価値の向上に資するとの結論に至ったとのことです。
すなわち、対象者は、対象者が上場している状態にあっては、対象者の少数株主の皆様の利益を図りつつも、公開買付者グループとの連携深化、長期的な視点からの設備投資、公開買付者グループとの人材リソースの活用等について限界が存在すると考えておりますが、公開買付者による本取引の実行により、これらの限界を取り除くことが可能となると考えているとのことです(これらの限界の内容及び、本取引の実行によりこれらの限界が取り除かれると対象者が考えている背景については、下記(ア)ないし(ウ)をご参照ください。)。そして、対象者は、これらの限界を除くことで、対象者において、迅速かつ機動的な経営体制の構築が可能となること、長期的な視点から企業価値向上に資する設備投資の実行が可能となること、公開買付者グループとの人材リソースの活用が促進されることから、対象者グループを含む公開買付者グループ全体の更なる成長と発展に資すると判断し、対象者の企業価値向上にとって最善であると、2022年2月7日、判断したとのことです。
加えて、対象者は、対象者の非公開化に際しては、下記(ア)に記載のとおり、本取引の実行により、対象者と日本通運との混載事業における更なる連携による企業価値向上も見込めることから、公開買付者のみを株主とするのではなく、公開買付者に加えて日本通運も対象者の非公開化後の株主としてあり続けることが望ましいと、2022年2月7日、判断したとのことです。
対象者が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーは、以下のとおりとのことです。
(ア)公開買付者グループ及び日本通運グループとの連携深化
対象者グループは、公開買付者グループと、グループ全体の企業価値向上のため、企業理念や経営戦略を共有し、名古屋鉄道ブランドによる事業展開をしているとのことです。また、対象者グループは、日本通運グループとも、2015年12月25日の本資本業務提携契約の締結以後、共同配送や共同幹線輸送など経営資源の有効活用及び業務の効率化を継続的に進めているとのことです。
一方で、対象者の大株主である両グループとの取引関係については、対象者の少数株主の皆様の利益になるかといった観点から、対象者における取締役会を始めとした各会議体において慎重な検討プロセスを経る必要があるため、対象者は、上場会社としての対象者と両グループとの間の連携について保守的に考える結果その採用を見送ることや、両グループとの間の連携を採用する場合にあっても迅速に検討を行うことについての限界があると考えているとのことです。対象者は、本取引により公開買付者及び日本通運のみが対象者の株主となり非公開化することによって、少数株主との間の利益相反や独立性確保のための制約がなくなり、迅速かつ機動的な経営体制の構築が可能となることで、対象者と両グループとの事業戦略を推進することができ、これにより、両グループとの全体最適化へ向けた連携深化を図ることが可能になると考えているとのことです。そして、対象者は、両グループとの全体最適化へ向けた連携深化は、対象者グループの持続的な成長に資するものと考えているとのことです。なお、日本通運との連携については、上記のとおり、対象者は、これまで共同配送や共同幹線輸送など経営資源の有効活用及び業務の効率化に取り組んできたとのことですが、本取引後においては、いまだ整備途上にある共同輸送体制の構築を加速化させることにより、混載事業における更なる連携に向けて検討を進めるとのことです。
(イ)長期的な視点からの設備投資による競争力強化
対象者グループが、現在推進している3ヵ年計画「名鉄運輸グループ中期経営計画2023」では、中長期的な事業拡大を実現するため、対象者グループのコアである特積事業の人的資源及び輸送能力を有効活用することで、特積事業と、区域事業、倉庫事業及び3PLとの融合を目指しており、具体的には、対象者グループの輸送ネットワーク強化、拠点を複合施設へリニューアルするなど次世代物流拠点の整備を進めているとのことです。
これらの設備投資に際しては、公開買付者グループとの共同実施も選択肢の一つとなるところ、対象者の少数株主の皆様の利益になるかといった観点から慎重な精査も必要となることから、特に長期的な視点からの設備投資案件についての協調には限界があると考えていたとのことです。対象者は、本取引により公開買付者及び日本通運のみが対象者の株主となり非公開化することによって、少数株主との間の利益相反や独立性確保のための制約がなくなり、より長期的な視点から企業価値向上に資する設備投資の実行、対象者グループを含む公開買付者グループが保有する資産の総合的な活用を推進することが可能になると考えているとのことです。そして、対象者は、長期的な視点からの企業価値向上に資する設備投資の実行や、対象者グループを含む公開買付者グループが保有する資産の総合的な活用の推進が、グループ全体の競争力強化に繋がるものとも考えているとのことです。
(ウ)公開買付者グループとの人材リソースの活用
対象者グループを取り巻く事業環境、今後の事業拡大においては、人材面での強化は喫緊の課題でありますが、対象者は上場会社として独立した事業運営を行っていることから、役職員について、公開買付者グループへ全面的に依存することはできず、公開買付者からの出向者の人数などを限定的なものとしているとのことです。対象者は、本取引により公開買付者及び日本通運のみが対象者の株主となり非公開化することによって、少数株主との間の利益相反や独立性確保のための制約がなくなることから、公開買付者グループからの人材派遣や増強事業への受け入れを今以上に行うことが可能になると考えているとのことです。そして、対象者は、人材交流の促進により、公開買付者グループの人材リソースを活用することができるものと考えているとのことです。また、対象者は、公開買付者グループの人材リソースの活用を通じて、対象者グループの従業員の育成にも繋がるものと考えているとのことです。
(エ)上場維持コスト及び管理部門における業務負担軽減
対象者株式の上場を維持するための体制については、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂など年々強化することが求められているとのことです。これらに対応するための上場維持コストは年々増大しており、本取引により公開買付者及び日本通運のみが対象者の株主となり非公開化することによって、上場維持コスト及び上場維持のための業務負担を軽減できるものと考えているとのことです。
また、対象者は、以下の点から、本公開買付価格である1株当たり3,500円は対象者の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、対象者の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。
(ア)当該価格が、対象者において、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ねた結果合意された価格であること。
(イ)当該価格が、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「⑤ 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の対象者株式価値算定書における三菱UFJ銀行財務開発室による対象者株式の価値算定結果のうち、市場株価分析による算定結果を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー(以下「DCF」といいます。)分析による算定結果の範囲内にあること。また、本特別委員会の財務アドバイザーである髙野総合コンサルティングにより、対象者株式価値算定書に係る株式価値算定等に関する合理性の検証がなされており、特段、不合理な点は見当たらなかったこと。
(ウ)当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2022年2月4日を基準日として、基準日の直近取引成立日である2022年2月1日の名古屋証券取引所市場第二部における対象者株式の終値2,300円に対して52.17%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、基準日までの直近1ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値2,316円に対して51.13%、同直近3ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値2,359円に対して48.35%、同直近6ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値2,397円に対して46.03%のプレミアムが加算されたものであり、本取引が親会社による上場子会社の非公開化を目的とした取引であるところ、経済産業省による「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(以下「M&A指針」といいます。)の公表日である2019年6月28日以降の親会社による上場子会社の非公開化を目的とした他の公開買付けの事例34件における、公表日の前営業日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対する各種プレミアムの平均値により算出したプレミアム水準(公表日の前営業日の終値に対して43.4%、直近1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.8%、直近3ヶ月間の終値単純平均値に対して44.3%及び直近6か月間の終値単純平均値に対して42.6%)に照らしてもすべての参照値を上回っていることから、他の類似事例と比べても遜色なく、合理的な水準のプレミアムが付されていること。なお、本公開買付価格は、対象者の2021年12月31日現在の簿価純資産から算出した1株当たり純資産額(6,553円(小数点以下を四捨五入))を下回っているものの、純資産額は会社の清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である対象者の企業価値算定において重視することは合理的でないと考えられること(すなわち、対象者は本取引の実施後は、公開買付者グループにおいて運送事業を提供する中核子会社となることが予定されているところ、その位置付けに照らせば、本取引後に対象者を解散・清算することは想定しえず、加えて、本取引後の対象者の解散・清算を予定していることはないと公開買付者からも回答を得ていることから、対象者の清算を前提とした価値評価は合理的ではないこと。)。また、資産売却等の困難性や清算に伴う相当な追加コストの発生等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではないものと考えられることから、1株当たり純資産額が対象者株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難いこと(すなわち、簿価純資産額は、対象者が継続的に存続することを前提として対象者が保有する資産等について会計原則に基づいて評価したものに過ぎないことから対象者の保有する資産の交換価値とは関連性はないということに加えて、対象者グループにおいては、運送事業に特化していることから転用が困難であるため売却が難しい物流設備等の有形固定資産や交換価値のない繰延税金資産等が資産として計上されていることや、倉庫の閉鎖に係る費用等、清算に伴う追加的なコストが発生しうること等を考慮すると、仮に対象者が解散・清算される場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく毀損することが見込まれること。)。
(エ)当該価格は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「② 対象者における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること。
以上より、対象者は、本取引が対象者の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2022年2月7日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨することを決議したとのことです。
当該取締役会における決議の方法については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「⑦ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
② 本公開買付け後の経営方針
本書提出日現在、対象者の取締役8名及び監査役4名のうち取締役2名及び監査役1名は公開買付者の役員を兼務しておりますが、公開買付者としては、本公開買付け後の対象者の経営体制については、現時点で具体的な変更は予定しておりません。対象者を含む公開買付者グループの経営資源をこれまで以上に集約することにより、公開買付者グループ一体となり、更なる企業価値向上に向けて邁進してまいります。
(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び対象者は、対象者が本書提出日現在において公開買付者の連結子会社であるため、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、構造的な利益相反の問題が存しうることに鑑み、本公開買付けの公正性を担保し、利益相反を回避する観点から、それぞれ以下のような措置を実施しました。なお、以下の記載のうち対象者において実施した措置等については、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づくものです。
また、公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、対象者株式3,312,039株(所有割合:51.09%)を既に所有しているため、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(majority of minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(majority of minority)の買付予定数の下限を設定しておりませんが、公開買付者及び対象者において以下の措置を講じていることから、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えており、対象者としても同様に判断しているとのことです。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
② 対象者における独立した特別委員会の設置
③ 対象者の特別委員会における独立した財務アドバイザーからの助言の取得
④ 対象者における独立した法律事務所からの助言の取得
⑤ 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
⑥ 対象者における独立した検討体制の構築
⑦ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
⑧ 取引保護条項の不存在
⑨ 対象者の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置
以上の詳細については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。
(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、対象者を非公開化する方針であり、本公開買付けにより、公開買付者が対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式、本不応募株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、以下に述べる方法により、公開買付者が対象者株式の全て(公開買付者が所有する対象者株式、本不応募株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを予定しています。
具体的には、本公開買付けの成立後、公開買付者は、会社法第180条に基づき対象者株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを対象者に要請する予定であり、公開買付者及び日本通運は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。なお、本臨時株主総会の開催日は、2022年5月下旬を予定しています。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、対象者の株主の皆様に対し、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主(公開買付者、日本通運及び対象者を除きます。以下同じです。)の皆様に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に要請する予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者及び日本通運のみが対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様の所有する対象者株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定です。なお、日本通運が所有する不応募株式数と同数以上の対象者株式を所有する株主が生じた場合は、事後的に公開買付者及び日本通運の間における対象者株式の相対譲渡等の方法により日本通運が所有する不応募株式数を調整すること等により公開買付者及び日本通運のみが対象者株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるように調整を行う予定です。また、本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者及び日本通運の間における対象者株式の相対譲渡等の方法により日本通運の所有する対象者株式の所有割合が本不応募株式の所有割合である20.08%となるように調整を行う予定です。これらの具体的な方法については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況、本公開買付け後の対象者の株主構成等を踏まえ、本公開買付けの成立後に日本通運及び対象者と協議の上決定する予定です。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、所定の条件を充たす場合には、公開買付者及び対象者を除く対象者の株主の皆様は、対象者に対し、自己の所有する対象者株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様が所有する対象者株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する対象者の株主の皆様は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記の手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該対象者の株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該対象者の株主の皆様が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。
以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、対象者と協議の上、決定次第、対象者が速やかに公表する予定です。
また、本スクイーズアウト手続が2022年6月30日までの間に完了することが見込まれる場合には、公開買付者は、対象者に対して、本スクイーズアウト手続が完了していることを条件として、2022年3月期に係る対象者の第89回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)で権利を行使することのできる株主を、公開買付者及び日本通運のみとするため、定時株主総会の議決権の基準日の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを要請する予定です。そのため、対象者の2022年3月31日の株主名簿に記載又は記録された株主であっても、本定時株主総会において権利を行使できない可能性があります。
なお、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、対象者の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(5) 上場廃止となる見込みがある旨及びその理由
対象者株式は名古屋証券取引所市場第二部に上場しておりますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、対象者株式は、名古屋証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの完了時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、上記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続が実施された場合には、対象者株式は名古屋証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、対象者株式を名古屋証券取引所市場第二部において取引することはできません。
(6) 本公開買付けに係る重要な合意
本公開買付けに際して、公開買付者は、日本通運との間で、2022年2月7日付で、本不応募株式の全て(1,301,873株)について、本公開買付けに応募しない旨、本公開買付けが成立した場合には本スクイーズアウト手続を実施する旨、及び本臨時株主総会において本スクイーズアウト手続に関連する本株式併合を含む各議案に賛成する旨を合意しております。なお、日本通運との合意に基づく本公開買付けへの不応募には前提条件は定められておりません。また、公開買付者と日本通運との間でその他の合意事項は存在しません。
また、対象者は、日本通運との間で、本資本業務提携契約において、特積み輸送ネットワークの相互利用によるオペレーションの効率化とサービスレベルの向上、引越、鉄道コンテナ等の補完関係がある物流サービスの連携強化等の本資本業務提携契約の目的を共有し、その達成に向けて具体的な施策を検討、実施していくことを合意しております。なお、本取引による対象者の非公開化後も、日本通運が引き続き対象者の株主としての立場を保持することで、対象者及び日本通運との資本関係が維持され、対象者及び日本通運の取引関係及び本資本業務提携に基づく提携関係が中長期的に維持及び強化されることが見込まれます。

届出当初の期間

買付け等の期間2022年2月8日(火曜日)から2022年3月24日(木曜日)まで(30営業日)
公告日2022年2月8日(火曜日)
公告掲載新聞名電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載いたします。
(電子公告アドレス https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)

買付け等の価格

株券普通株式 1株につき金3,500円
新株予約権証券
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券
( )
株券等預託証券
( )
算定の基礎公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際して、公開買付者、対象者及び日本通運から独立した第三者算定機関としてのファイナンシャル・アドバイザーである大和証券に対し、対象者株式の株式価値の算定を依頼しました。なお、大和証券は、公開買付者、対象者及び日本通運の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しません。
大和証券は、複数の算定手法の中から対象者株式の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業であるとの前提のもと、対象者株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者の市場株価の動向を勘案した市場株価法及び将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を採用して、対象者株式の株式価値を算定し、公開買付者は、大和証券から2022年2月4日付で株式価値算定書(以下「公開買付者株式価値算定書」といいます。)を取得しております。なお、公開買付者は、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
公開買付者株式価値算定書によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価法 :2,300円から2,397円
DCF法 :2,584円から4,951円
市場株価法では、2022年2月4日を算定基準日として、名古屋証券取引所市場第二部における対象者株式の基準日の直近取引成立日である2022年2月1日の終値2,300円、直近1ヶ月間(2022年1月5日から同年2月4日まで)の終値単純平均値2,316円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値について同じです。)、直近3ヶ月間(2021年11月5日から2022年2月4日まで)の終値の単純平均値2,359円及び直近6ヶ月間(2021年8月5日から2022年2月4日まで)の終値の単純平均値2,397円を基に、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を2,300円から2,397円までと算定しております。
DCF法では、対象者が作成した本事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して、2022年3月期第4四半期以降に対象者が創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値や株式価値を算定し、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を2,584円から4,951円までと算定しております。なお、大和証券がDCF法において前提とした本事業計画においては、大幅な増減益を見込んでおりません。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において見積もることが困難であるため、本事業計画は、本取引の実行を前提としていないとのことです。

公開買付者は、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、2019年7月から2021年11月に行われた本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例(親会社による上場子会社の非公開化を前提とした公開買付けの事例26例)において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、公開買付者において実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと、本公開買付けに対する応募の見通し及び大和証券から取得した公開買付者株式価値算定書の算定結果においてその算定範囲に含まれること等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等を踏まえ、最終的に2022年2月7日に、本公開買付価格を1株当たり3,500円とすることを決定しました。
なお、本公開買付価格である3,500円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2022年2月4日の直近取引成立日である2022年2月1日の名古屋証券取引所市場第二部における対象者株式の終値2,300円に対して52.17%のプレミアムを加えた価格、直近1ヶ月間の終値単純平均値2,316円に対して51.13%のプレミアムを加えた価格、直近3ヶ月間の終値単純平均値2,359円に対して48.35%のプレミアムを加えた価格、直近6ヶ月間の終値単純平均値2,397円に対して46.03%のプレミアムを加えた価格です。また、本公開買付価格は、本書提出日の前営業日である2022年2月7日の名古屋証券取引所市場第二部における対象者株式の終値2,320円に対して50.86%のプレミアムを加えた価格となります。
算定の経緯(本公開買付価格の決定に至る経緯)
公開買付者は、2021年11月24日、対象者に対して、本取引に関する協議を開始したい旨の正式な提案書を送付したところ、2021年11月26日、対象者から本取引について検討を進める旨の回答を口頭で受領した上で、本取引を実施する場合における公表日などの各種日程について対象者と確認し、以下のとおり、本取引に関して複数回にわたり対象者と協議・検討を重ねてまいりました。
公開買付者は、公開買付者、対象者及び日本通運から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券を、リーガル・アドバイザーとして麻布霞山法律事務所を2021年11月17日にそれぞれ選任し、2021年12月上旬から2022年1月上旬にかけて、対象者に対するデュー・ディリジェンスを実施いたしました。また、公開買付者は、2022年1月6日に本特別委員会から本取引に関する質問を受領したため、2022年1月13日に、対象者及び本特別委員会に対して、非公開化に関するより詳細な説明を行い、同年1月14日に追加回答を行うなど、公開買付者及び対象者のシナジーの創出に向けた具体的な施策や、本公開買付けにおける買付け等の価格を含む本取引の諸条件等について本格的な協議・検討を進めてまいりました。

具体的には、公開買付者は、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果を総合的に考慮の上、過去5年間の終値ベースの最高値(2,700円)に着目し、2022年1月12日に本公開買付価格を2,700円としたい旨の提案を行いました(なお、公開買付者は、本公開買付価格を2,700円とする提案が、2019年7月から2021年11月に行われた本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例(親会社による上場子会社の非公開化を前提とした公開買付けの事例26例)において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)と比較すると、2022年1月11日の終値(2,339円)に対するプレミアムは約13%にとどまるものの、上記のとおり、過去5年間の終値ベースの最高値(2,700円)に着目しているため、対象者株主にとって経済合理性があると判断しておりました。)。しかし、公開買付者は、同年1月14日、対象者より、本公開買付価格を2,700円とする提案に対して、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJ銀行財務開発室が試算した対象者理論株価の算定レンジを踏まえると、対象者の少数株主にとって十分な価格であるとはいえないとして提案内容の再検討を要請されました。その後、公開買付者は、同年1月12日の価格提案時と同様の理由及び対象者から価格の再検討を要請されたことを踏まえ、同年1月18日に、初回提案価格(2,700円)と対象者株式の初回提案日の直近取引成立日である同年1月11日の終値(2,339円)の差額である361円を超える370円を初回提案価格に対して上乗せした3,070円を本公開買付価格としたい旨の提案を行いましたが、同年1月21日、対象者より、本公開買付価格を3,070円とする提案に対して、三菱UFJ銀行財務開発室が試算した対象者理論株価の算定レンジを踏まえると、未だ賛同意見及び応募推奨意見を表明できる水準には達していないとの理由で、本公開買付価格を3,900円に引き上げるよう求める旨の提案を受領しました。これに対して、公開買付者は、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、デュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと及び大和証券による対象者株式の算定結果に加え、対象者に賛同及び応募推奨意見を表明いただくため、分かりやすい判断材料である市場株価に対するプレミアムを重視する必要があると考え、上記の本公開買付けと同種の事例において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)を総合的に考慮し、同年1月25日に本公開買付価格を3,300円としたいとの提案を行いましたが、同年1月27日、対象者より、同年1月21日と同様の理由から、本公開買付価格を3,700円に引き上げるよう求める旨の提案を受領しました。その後、公開買付者は、同年1月25日の価格提案時と同様の理由から、同年1月31日に本公開買付価格を3,500円としたいとの提案を行い、同年2月1日、対象者から、本公開買付価格を3,500円とする提案は、対象者の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、対象者の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断し、同年2月1日に本公開買付けを3,500円とすることについて同意する旨の回答を受領しました(対象者が本公開買付価格を3,500円とすることに同意した理由の詳細は、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」の「(c)対象者の意思決定の内容」をご参照ください。)。

公開買付者は、2022年1月13日に実施した対象者及び本特別委員会との面談において、2022年1月6日に本特別委員会から書面により受領した質問に対する説明や対象者及び本特別委員会との協議を実施し、同年1月14日の本特別委員会に対する書面による追加回答、上記の公開買付価格に関する対象者及び本特別委員会との間の提案・協議を通じて、同年2月1日に、対象者との間で、公開買付者が企図する企業価値向上策は、その短期的な収益へのネガティブなインパクトや、そもそも失敗するリスクがあることからすれば、こうした企業価値向上策に取り組む前提として、本取引による上場廃止を経ることもやむを得ないと考えられることや、本取引が公開買付者及び対象者にとって、現実的に採り得る最善の手段であり、本取引は、企業価値向上の観点から、他の現実的にあり得る手段と比較しても優位性を有する取引であると考えられることなどについて共通の認識に至り、本公開買付価格について合意したため、2022年2月7日開催の取締役会決議により、対象者の非公開化を目的とした本取引の一環として、本公開買付けを開始することを決定いたしました。
(ⅰ)算定の際に意見を聴取した第三者の名称
公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際し、公開買付者、対象者及び日本通運から独立した第三者算定機関としてファイナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼し、公開買付者は、大和証券から2022年2月4日に公開買付者株式価値算定書を取得しております。なお、大和証券は公開買付者、対象者及び日本通運の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。
(ⅱ)当該意見の概要
公開買付者株式価値算定書によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価法 :2,300円から2,397円
DCF法 :2,584円から4,951円
(ⅲ)当該意見を踏まえて買付価格を決定するに至った経緯
公開買付者は、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、2019年7月から2021年11月に行われた本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例(親会社による上場子会社の非公開化を前提とした公開買付けの事例26例)において観測されたプレミアム水準(平均値は、公表日直前が42.2%、直近1ヶ月間が44.5%、直近3ヶ月間が46.5%、直近6ヶ月間が45.2%であり、中央値は、公表日直前が41.5%、直近1ヶ月間が43.0%、直近3ヶ月間が42.3%、直近6ヶ月間が43.6%)、対象者の過去の市場株価終値ベースでの最高水準や推移等の情報、公開買付者において実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスを通じて本取引の実現可能性が確認できたこと、本公開買付けに対する応募の見通し及び大和証券から取得した公開買付者株式価値算定書の算定結果においてその算定範囲に含まれること等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等を踏まえ、最終的に2022年2月7日に、本公開買付価格を1株当たり3,500円とすることを決定しました。
(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)
公開買付者及び対象者は、対象者が本書提出日現在において公開買付者の連結子会社であるため、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、構造的な利益相反の問題が存しうることに鑑み、本公開買付けの公正性を担保し、利益相反を回避する観点から、それぞれ以下のような措置を実施しました。なお、以下の記載のうち対象者において実施した措置等については、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づくものです。

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者、対象者及び日本通運から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券に対し、公開買付者株式価値算定書の提出を依頼し、2022年2月4日付で公開買付者株式価値算定書を取得しております。なお、大和証券は、公開買付者、対象者及び日本通運の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しません。
公開買付者が大和証券から取得した公開買付者株式価値算定書の詳細については、上記「算定の基礎」をご参照ください。
② 対象者における独立した特別委員会の設置
(ⅰ)設置等の経緯
対象者プレスリリースによれば、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」に記載のとおり、対象者は、2021年12月17日に開催された取締役会における決議により、本特別委員会を設置したとのことですが、対象者は、本特別委員会の委員の候補者が、公開買付者及び日本通運からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、上記の対象者の独立社外取締役及び独立社外監査役と協議し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を得て、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって本特別委員会を構成するべく、井上尚司氏(対象者の独立社外取締役)、安井秀樹氏(対象者の独立社外監査役)、平林一美氏(対象者の独立社外監査役)、及び仁科秀隆氏(弁護士、中村・角田・松本法律事務所)の4名を本特別委員会の委員の候補として選定したとのことです(なお、本特別委員会の委員は設置当初から変更していないとのことです)。
本特別委員会の委員のうち、仁科秀隆氏は対象者の役員ではありませんが、対象者は、仁科秀隆氏が本取引と同種の案件の特別委員会の委員としてのご経験があることに加え、長年にわたり企業法務をはじめとした法律に関する職務に携わり、その経歴を通じて培った専門家としての豊富な経験、知見を有する社外有識者として、ふさわしい人物であると考えているとのことです。
その上で、対象者は、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」に記載のとおり、2021年12月17日開催の取締役会における決議により本特別委員会を設置するとともに、本特別委員会に対し、本諮問事項について諮問したとのことです。また、対象者取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を対象者取締役会から独立した合議体として位置付け、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、対象者取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、本特別委員会に対して、本取引に係る公開買付けにおける買付け等の価格その他の取引条件等について公開買付者と交渉を行う権限を付与すること、並びに本諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、対象者の株式価値評価その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は対象者が負担すること等を決議しているとのことです。
なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、時間制の報酬を支払うものとしているとのことです。

(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2021年12月23日から2022年2月4日までの間に合計7回、約9時間半にわたって開催され、報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行したとのことです。
具体的には、本特別委員会は、2022年1月20日、公開買付者、日本通運及び対象者から独立した独自の財務アドバイザーとして髙野総合コンサルティングを選任したとのことです。本特別委員会は、髙野総合コンサルティングが公開買付者、日本通運及び対象者の関連当事者には該当しないこと、及び本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他本取引における独立性に問題がないことを確認しているとのことです。
また、本特別委員会は、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJ銀行財務開発室並びに対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、公開買付者、日本通運及び対象者の関連当事者には該当しないこと、及び本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他本取引における独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認しているとのことです。なお、法人としての三菱UFJ銀行は、公開買付者の株主(2021年9月30日現在において公開買付者の第七位株主(持株比率1.24%))であり、また、公開買付者に対して融資(2021年9月30日現在における公開買付者の借入額は25,200百万円です。)を行っており、公開買付者と重要な利害関係を有していると考えられるものの、同行は、銀行法第13条の3の2第1項及び銀行法施行規則第14条の11の3の3等の適用法令に従った法的義務として、行内における情報隔壁措置等、適切な利益相反管理体制を構築し、かつ、実施しており、ファイナンシャル・アドバイザーとしての三菱UFJ銀行財務開発室は、出資及び貸付を行う同行の別部署とは独立した立場から、対象者株式の株式価値の分析を行うことができる体制を構築しているものと考えられるので、対象者は、対象者株式の株式価値の分析にあたっては、三菱UFJ銀行において適切な弊害防止措置が講じられているものと判断し、三菱UFJ銀行財務開発室による過去の同種事案の第三者算定機関としての実績等を踏まえ、三菱UFJ銀行財務開発室を対象者及び公開買付者から独立した第三者算定機関に選定したとのことです。
さらに、本特別委員会は、下記「⑥ 対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり対象者が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認の上、承認をしているとのことです。その上で、本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っているとのことです。また、対象者が作成した本事業計画について、対象者からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認しているとのことです。
本特別委員会は、対象者から、本取引の目的や意義、対象者事業に対する影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を実施し、公開買付者に対して質問事項を提示し、公開買付者から、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施しているとのことです。

加えて、下記「⑤ 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、三菱UFJ銀行財務開発室は、本事業計画を前提として対象者株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、三菱UFJ銀行財務開発室から、対象者株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しているとのことです。
また、本特別委員会は、対象者の公開買付者との交渉について、随時、対象者及び三菱UFJ銀行財務開発室から報告を受け、髙野総合コンサルティングから受けた助言も踏まえて審議・検討を行い、対象者の交渉方針につき、適宜、必要な意見を述べたとのことです。具体的には、本特別委員会は、公開買付者からの本公開買付価格に関する提案を受領次第、それぞれについて報告を受け、三菱UFJ銀行財務開発室から対応方針及び公開買付者との交渉方針等についての分析・意見を聴取した上で、髙野総合コンサルティングから受けた財務的見地からの助言を踏まえて検討を行ったとのことです。その上で、本特別委員会は対象者に対し、これらのいずれに際しても、公開買付者に対して、本公開買付価格の再検討を要請することとしたいとの対象者の意向について異議がない旨の意見を述べるとともに、対象者としての本取引の意義・目的を達するために公開買付者との間で協議すべき事項について意見を述べる等、対象者と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引の条件に関する協議・交渉過程の全般において関与したとのことです。その結果、対象者は、2022年1月31日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり3,500円とすることを含む提案を受け、結果として、合計4回の提案を受け、最初の価格提案から29.63%(小数点以下第三位を四捨五入しております。)の価格の引き上げを受けるに至っているとのことです。
さらに、本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から、複数回、対象者が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、適切な情報開示がなされる予定であることを確認しているとのことです。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯の下で、髙野総合コンサルティングから受けた助言の内容及び意見を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に検討・協議を重ねた結果、同日付で、対象者取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しているとのことです。
(a) 答申内容
1. 本取引は対象者の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当で合理的と認められる。
2. 本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性・妥当性は確保されている。
3. 本取引において、公正な手続を通じた対象者の少数株主の利益への十分な配慮がなされている。
4. 本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられる。
5. 対象者取締役会が本公開買付けに賛同し、対象者の株主に応募を推奨することは合理的と考えられる。

(b) 答申理由
1. 企業価値の向上(本諮問事項の(ⅰ)関係)
以下の点より、本取引は対象者の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当で合理的と認められると考えられる。
(1) 対象者における現状認識
・本特別委員会による対象者へのヒアリングによれば、対象者の今後の事業展開については、 以下の事項を挙げることができる。
(ⅰ)物流業界全体の課題として、労働力の不足という課題に直面しており、人材の確保が急務であること
(ⅱ)また労働力を確保するには、人事制度・職場環境の改善を図って労働市場での魅力度を高める必要があること
(ⅲ)上記のような施策を実現するためには、例えば労働時間の長期化を防ぐことが必要であるが、そのようなことを実現しながらも事業を適切に運営していくためには、各従業員の担当業務のマルチ化、DXの活用を図り、各従業員の労働生産性を向上することが重要な課題であること
(ⅳ)ネット通販や電子商取引が拡大する中で、対象者としても区域事業、倉庫事業、3PLといった事業拡大を図ることも課題であり、事業拡大のためには外部との連携も模索する必要があること
(ⅴ)サステナビリティへの配慮が企業価値の向上にとって重要であると考えられている背景からすれば、持続的な物流ネットワークの構築は対象者にとっても重要な課題であり、その中には、既に多くのネットワークを構築している日本通運とのさらなる連携を図ることが有益であること
・上記(ⅰ)から(ⅴ)に寄与する方策を講じることは、一般論としては対象者の企業価値の向上に資するものであると考えることができるが、個別に当該方策に係るリスクや当該方策に伴うデメリットを勘案する必要がある。
(2) 本取引の企業価値向上効果
・本特別委員会が実施した関係者に対するヒアリングや説明の聴取等(以下「本ヒアリング等」という。)によれば、対象者から、本取引の実施後に公開買付者が企図している対象者の企業価値向上策及び想定している効果として、以下のような説明がされた。
(ⅰ)公開買付者グループ及び日本通運グループとの連携深化
(ⅱ)長期的な視点からの設備投資による競争力強化
(ⅲ)公開買付者グループの人材リソースの活用
(ⅳ)上場維持コスト及び管理部門における業務負担軽減
・本特別委員会は、公開買付者に対しても、本取引によってどのようなシナジーが見込まれると考えているのかについて確認し、また本公開買付けに係る公開買付届出書のドラフトの共有を受け、これも確認したところ、公開買付者は概ね次のような項目をもってシナジーを見込んでいることが推認される。

(ⅰ)公開買付者グループのノウハウを活かした、不動産の再開発、対象者の物流施設の新設及び維持・更新に係る投資
(ⅱ)M&A等も含めたグループ再編による効率的な組織体制構築及び事業拡大
(ⅲ)公開買付者グループ及び対象者グループの人材リソースの活用
(ⅳ)その他(大型車両・燃料の共同購買等)
・本ヒアリング等によれば、公開買付者も対象者の企図する企業価値向上策と類似した企業価値向上策を検討していることが明らかになったので、本特別委員会としては、対象者の認識している企業価値向上効果が、相応に実現可能性のあるものであることが確認できた。
・以上のようなシナジー項目に関する対象者及び公開買付者の説明は、前提となる対象者の事業に関する現状認識や対象者の重要な課題に関する対象者の説明も含めて、対象者の従前の開示内容との矛盾や客観的事実に反する点もなく、対象者がこれまで市場(少数株主を含む。)に説明してきた内容の延長線上にあると認められる。
・また、本特別委員会委員のうち対象者の独立役員を兼務する者が、これまで社外取締役又は社外監査役として認識してきた対象者の事業に関する情報から得た知見とも整合的であり、その真実性に疑問を抱かせるような事情も存在しない。
・本特別委員会としても、これらの企業価値向上策は、今後の対象者の企業価値の向上にとっての重要なポイントとして挙げた各事項に資するものがあると考える。
・そして、公開買付者及び対象者ともに、本取引が公開買付者及び対象者にとって、現実的に採り得る最善の手段と考えており、本取引は、企業価値向上の観点から、他の現実的にあり得る手段と比較しても優位性を有する取引であると考えられる。また、本特別委員会は、本ヒアリング等において、公開買付者及び対象者から本取引に伴うデメリットについて説明を受け、大きなデメリットが存在しないことが確認できた。
(3) 上場廃止の不可欠性
・公開買付者が企図する企業価値向上策は、その短期的な収益へのネガティブなインパクトや、そもそも失敗するリスクがあることからすれば、こうした企業価値向上策に取り組む前提として、本取引による上場廃止を経ることもやむを得ないと考えられる。また見方を変えれば、少数株主に適正な対価を付与した上で上場を廃止することは、こうしたリスクから少数株主を解放するとともに、将来の企業価値向上分の一部を少数株主に享受してもらうことにもなる。
・以上からすれば、本取引が上場廃止を伴うものであることにも、価格の妥当性等の他の要請を適切に充たすことを前提とすれば一定の合理性が認められるものと考えられる。
2. 公正な手続を通じた少数株主利益の確保(本諮問事項の(ⅲ)関係)
以下の点より、本取引においては、公正な手続を通じて対象者の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。

(1) 特別委員会の設置
以下の本特別委員会の設置及び運用の状況からすれば、本特別委員会は公正性担保措置として有効に機能していると認められる。
・本特別委員会は、取引条件が公開買付者と対象者との間で決定される前の段階で設置されている。
・本特別委員会は、委員全員が公開買付者からの独立性及び本取引の成否からの独立性が確保されているほか、委員の中で、対象者との間で本取引が成立した場合に成功報酬を受け取る旨を合意している者は存在しない。M&A指針で最も委員としての適格性が認められている独立社外取締役1名及び独立社外取締役に次いで委員としての適格性が認められるものとされている独立社外監査役2名によって過半数を占める形で構成されている。
・本特別委員会は対象者取締役会から独立した合議体として位置付けられ、対象者における独立役員全員が本特別委員会の委員に就任しており、本特別委員会の設置に当たって独立役員が主体的に関与しているといえる。
・本特別委員会が、本取引に係る取引条件等について公開買付者と交渉を行う権限を付与されている。これを受けて本取引においては、対象者が公開買付者と本公開買付価格について協議する場合には、必ず対象者が事前に本特別委員会に対応について確認を求め、これに対して本特別委員会が公開買付者に対する回答の方針について対象者に意見を述べ、当該意見に従って対象者からの回答案が作成された結果、本特別委員会が取引条件に関する交渉を実質的に主導してきたといえる。また、対象者取締役会が本特別委員会への諮問を決議した際の付帯決議において、本特別委員会が本取引の条件を妥当でないと判断した場合には対象者取締役会は本取引を承認しないことと決定している。
・本特別委員会は、髙野総合コンサルティングを本特別委員会独自の財務アドバイザーとして起用している。また、本特別委員会は、対象者のビジネスの特徴に関する知見(本特別委員会の委員のうち3名が対象者の独立役員である。)、企業価値評価への知見(本特別委員会の委員のうち1名が税理士である。)、法律面での知見(本特別委員会の委員のうち2名が弁護士である。)がいずれも委員により充足されており、本特別委員会のアドバイザーと相俟って、本諮問事項の検討を行うに当たって十分な適性を有している。
・本特別委員会は、本取引について予定されている開示文書や想定されるシナジーに関する重要な情報を入手し、さらに公開買付者及び対象者にインタビューを行って本取引に関する詳細な確認を行い、これらを踏まえて検討・判断を行った。
・さらに、対象者取締役会は、本特別委員会への諮問を決議した際の付帯決議において、対象者取締役会が本特別委員会の意見を最大限尊重の上で本取引に係る決議を実施することを決定している。

(2) 対象者における意思決定プロセス
・対象者の役員8名のうち、(ⅰ)現に公開買付者の取締役を兼任している取締役の安藤隆司氏及び髙﨑裕樹氏、(ⅱ)現に日本通運の執行役員を兼任している取締役の戸田達也氏、(ⅲ)過去に公開買付者の役職員の地位を有していた代表取締役社長の内田亙氏、並びに(ⅳ)現に公開買付者の取締役を兼任している監査役の矢野裕氏については、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、本特別委員会の設置に係る2021年12月17日の取締役会決議以降の本取引に係る対象者取締役会の審議及び決議に参加していない。
・M&A指針において、独立した特別委員会が設置されて有効に機能している場合には、現に公開買付者の役職員を兼任する者が除外されれば足りるとの整理もあるところではあるが、本件において、対象者は、このM&A指針の指摘よりも慎重に、上記(ⅲ)にあるとおり、過去に公開買付者の役職員に就任していた者の利益相反にも配慮して上記のような整理を行ったものであり、利害関係の整理に不公正な点は見当たらない。
・対象者取締役会においては、上記のような利害関係のある取締役を審議から外した上で、最終的に対象者の取締役全員の一致により決議がされる予定である。
・以上からすれば、対象者における意思決定プロセスに関して、公正性に疑義のある点は見当たらない。
(3) 外部専門家の専門的助言等の取得
・本ヒアリング等及び対象者プレスリリースの草案によれば、対象者取締役会は、意思決定につき、リーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の弁護士から助言を受けており、弁護士による独立した専門的助言を取得したと認められる。またアンダーソン・毛利・友常法律事務所の独立性については、本特別委員会が本ヒアリング等において、直接、同法律事務所所属の弁護士から、(ⅰ)同法律事務所と対象者との間に継続的な取引関係はなく、(ⅱ)さらに報酬もタイムチャージであって成功報酬が含まれていないことを確認済みである。

・本ヒアリング等及び対象者プレスリリースの草案によれば、対象者取締役会は、本公開買付価格の公正性を担保するために、独立した第三者算定機関である三菱UFJ銀行財務開発室から、対象者株式の株式価値に関する資料としての対象者株式価値算定書を取得している。さらに、対象者株式価値算定書においては、複数の算定方法を利用しており、恣意的な価格の算定がされないよう配慮がされている。なお、この点に関連して、本特別委員会は独自の財務アドバイザーとして髙野総合コンサルティングを選任しており、同社による対象者株式価値算定書の詳細な検討においても、問題点は検出されていない。また、当該算定の前提となる対象者の事業計画の作成に当たって、公開買付者の役職員による恣意的行動があった事実は認められず、算定に当たって公正性を疑わせるような事情も見当たらない。その上で、三菱UFJ銀行財務開発室の独立性については、本特別委員会が本ヒアリング等において、直接、三菱UFJ銀行財務開発室から、公開買付者及び対象者への貸付け等の取引があることが報告されたが、三菱UFJ銀行財務開発室が銀行業を営む会社であることからすればこれは不自然なことではなく、また三菱UFJ銀行財務開発室の企業規模からみると、これらは重要な利害関係に該当しないと判断した。さらに三菱UFJ銀行財務開発室の報酬については成功報酬が含まれるものの、同種の取引における一般的な実務慣行であることに鑑み、当該報酬体系をもってしても三菱UFJ銀行財務開発室に独立性は認められるものと判断した。また対象者プレスリリースの草案においても、三菱UFJ銀行財務開発室は対象者との間で独立性を有していることが記載されている。以上から、対象者株式価値算定書は、独立した第三者評価機関による株式価値算定書であると認められる。
(4) マーケット・チェック
・本ヒアリング等及び対象者プレスリリースの草案によれば、本公開買付けの買付期間は、30営業日に設定されている。これは、公開買付期間を比較的長期に設定することにより、本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外にも対象者株式の買付け等を行う機会を確保するものと認められる。また、本ヒアリング等及び対象者プレスリリースの草案によれば、対象者と公開買付者との間において、取引保護条項を含む対抗的買収提案者との接触を制限する旨の合意は行われない。このように、本件では、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによる、いわゆる間接的なマーケット・チェックが実施されている。
・そして、本ヒアリング等により、本特別委員会は、本件においては積極的なマーケット・チェックをすべきような特段の例外的事情はないものと判断した。そのため、本取引においては、上記のような間接的な形でマーケット・チェックを実施することによっても、取引条件の形成過程における対象者の交渉力が強化され、企業価値を高めつつ少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることに資するものと認められる。

(5) マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)
・対象者プレスリリースの草案によれば、本公開買付けにおいては、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)が設定されていない。この点について本特別委員会が公開買付者に説明を求めたところ、公開買付者からは、次のような理由で「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)を採用しないとの回答を得た。
(ⅰ)本取引においては対象者株式を非上場化することを目的としているため、確実に目的を果たすことができるよう、買付予定数の下限及び上限を設ける予定はない。
(ⅱ)現在の株主構成を基に「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)を設定することで、公開買付けの成立可能性が下がることになれば、対象者株式の売却を希望する株主がプレミアム付での売却機会を逃してしまうこととなり、かえって少数株主の利益保護に資さない可能性もあるものと考えている。
・M&A指針においても、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)は公正性担保措置の一環として評価されるものではあるが、その採用は必須ではないとされていることからすれば、そのような条件を設定しなくても、株主意思の確認にとって、決定的なマイナス要因となるものではない。
・したがって、上記(i)及び(ⅱ)のような公開買付者側の説明も相応に合理的であり、実際、本答申書で述べるとおり、本答申書でも検証している各種の方策により少数株主の利益は十分に図られていると考えられることからすれば、本件において、この点が理由で株主の適切な判断機会の確保が欠缺しているとまで解する必要はないと考えられる。なお、本特別委員会は対象者のリーガル・アドバイザーからも同趣旨の回答を得ている。
(6) 少数株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の確保
・まず特別委員会については、M&A指針で(a)委員の独立性や専門性等の適格性に関する情報、(b)特別委員会に付与された権限の内容に関する情報、(c)特別委員会における検討経緯や、交渉過程への関与状況に関する情報、(d)特別委員会の判断の根拠・理由、答申書の内容等及び(e)委員の報酬体系の開示が望ましいとされている。これを本件についてみると、対象者プレスリリースの草案で、これら(a)から(e)の要素がすべて記載されている。次に株式価値算定書については、M&A指針で、特にDCF分析について、(ⅰ)算定の前提とした対象者のフリー・キャッシュ・フロー予測、及びこれが当該M&Aの実施を前提とするものか否か、(ⅱ)算定の前提とした財務予測の作成経緯、(ⅲ)割引率の種類や計算根拠、(ⅳ)フリー・キャッシュ・フローの予測期間の考え方や予測期間以降に想定する成長率等の継続価値の考え方等の開示が例示されている(なお例示であってすべての記載が義務づけられているわけではない。)。

・これを本件についてみると、対象者プレスリリースの草案では、(ⅰ)及び(ⅱ)のほか、(ⅲ)として割引率が、また(ⅳ)として継続価値の算定方法が記載されている。
・最後にその他の情報についても、M&Aの実施に至るプロセスや交渉経緯についても、対象者プレスリリースの草案で、充実した記載がされているものと認められる。
(7) 強圧性の排除
・本取引のうち本スクイーズアウト手続は、株式併合方式を用いるスキームにより実行するとされている。当該スキームの実施の過程で、株主には、会社法第182条の4及び第182条の5の規定により価格決定の申立てを行う権利がそれぞれ認められ、しかも、対象者プレスリリースの草案でその旨が明示的に開示されている。
・さらに、対象者プレスリリースでは、本スクイーズアウト手続は本公開買付け終了後速やかに行われること、本スクイーズアウト手続の際に少数株主に対して交付される金銭について、本公開買付価格と同一の価格とすることが予定されている旨が開示されている。
・以上からすれば、本取引については、強圧性を排除するための対応が行われていると認められる。
3. 条件の妥当性(本諮問事項の(ⅱ)関係)
以下の点より、本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性は確保されていると認められる。
(1) 独立当事者間に相当する交渉状況の確保
・本件の交渉状況については、以下で述べるように、本公開買付価格は、対象者が三菱UFJ銀行財務開発室の助言及び本特別委員会からの意見・指示を受けながら公正に行われ、最終合意に至ったものである。

・まず本公開買付価格に関する一連の交渉経緯について振り返ると、本件では、第3回委員会以降毎回の委員会において(かつ、委員会の期日間では随時電子メールにて)、三菱UFJ銀行財務開発室及び対象者から本特別委員会に対して本公開買付価格の交渉状況に関する詳細な説明が行われた。本特別委員会は、対象者から本取引に係る取引条件等について公開買付者と交渉を行う権限を付与されていたことから、当該説明の都度、公開買付者からの本公開買付価格の提案についての諾否の意見を述べた。合わせて本特別委員会は、公開買付者からの提案を拒絶して反対に対象者側から価格の提案を行う場合について、価格をいくらと設定すべきか及びその根拠についても意見を述べた。交渉過程における本特別委員会の意見は、交渉方針や公開買付者に対する返答のあり方等の具体的な点についても意見及び要望を述べるものであった。本公開買付価格の交渉は、上記のように本特別委員会が公開買付者からの本公開買付価格の提案への諾否及び反対提案の内容について述べた意見を踏まえて対象者及び三菱UFJ銀行財務開発室が公開買付者に返答するというプロセスで行われた。
・このようなプロセスを経て、本特別委員会が複数回に亘って公開買付者からの本公開買付価格の提案を拒絶し、3回に上る上積みがされた結果として、最終的に本特別委員会が本公開買付価格を3,500円とすることについて了承したことによって、本公開買付価格が確定した。なお、本公開買付価格は、交渉の結果として、当初の公開買付者の提案よりも800円を上回る価格となった。
・以上のとおり、本特別委員会は、本公開買付価格の交渉について、与えられた権限を踏まえて主体的に関与した。そしてこのような交渉により、少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して交渉がされた経緯が認められる。
・以上からすれば、本件の公開買付者との取引条件に関する協議・交渉過程において、企業価値を高めつつ少数株主にとってできる限り有利な取引条件でM&Aが行われることを目指して合理的な努力が行われる状況が確保されていたと評価することができる。
(2) 株式価値算定と本公開買付価格の関係
・本件は合併のように当事者双方が相手方のデュー・ディリジェンスを行うタイプの取引ではなく、対象者は公開買付者側のデュー・ディリジェンスを行ったわけではない。そのため、本取引による企業価値向上効果について、現時点において対象者が定量的に数値を見込むことは難しいという事情がある。したがって、本件で株式価値算定の基礎となる対象者の事業計画は、スタンドアローン・ベースのものとなっているが、そのことは不合理なものではない。

・本特別委員会は事業計画の策定経緯についてもヒアリング等において対象者に確認したが、策定に関して恣意的な点は見当たらなかった。具体的には、事業計画は、本取引に係る検討が始まった相当程度前の時点である2021年3月時点に、取締役会決議によって策定された中期経営計画に、2021年12月時点で必要なアップデートを行ったものであり、その内容は、(ⅰ)設備投資計画の実態を踏まえた見直し及び(ⅱ)2022年3月期に関する公表済みの最新の業績予想を反映したものであり、合理的なものと認められる。また事業計画の内容についても、ベースとなっている事業計画が既に2021年3月に取締役会で承認済みであったこともあり、本特別委員会委員のうち独立役員を兼務している者からみて、従前の対象者グループの実績との関係で矛盾や不自然な点は見当たらない。さらに事業計画については、三菱UFJ銀行財務開発室が対象者との間でインタビューを行いその内容を分析及び検討した旨の報告も受けており、三菱UFJ銀行財務開発室の専門的見地によるスクリーニングも経ていることを確認している。以上からすれば、事業計画については、策定プロセス、策定方法のいずれからみても、公開買付者の恣意的な圧力が介在した事実は認められない上、内容も合理的なものと認められる。
・本特別委員会は、三菱UFJ銀行財務開発室に対して複数回に亘ってヒアリングを実施し、対象者株式の株式価値の算定方法及び評価プロセス並びに株式価値算定等に関する考察過程について詳細な説明を受けた。さらに、本特別委員会は、本特別委員会の財務アドバイザーとして選任した髙野総合コンサルティングに、株式価値算定等に関する合理性の検証を依頼し、同社は、三菱UFJ銀行財務開発室との質疑応答等を通じて、子細に合理性を検証した。その結果、本特別委員会は、同社から、算定方法に関する意見書を受領した。以上のとおり、本特別委員会が自ら確認を行った事項、及び本特別委員会の財務アドバイザーからの報告結果のいずれについても不合理な点は見当たらなかったため、三菱UFJ銀行財務開発室が作成した対象者株式価値算定書に準拠できると評価した。
・本公開買付価格である1株当たり3,500円という価格は、(ⅰ)市場株価分析により算定された対象者1株当たり株式価値の上限を超過しており、かつ、(ⅱ)DCF分析により算定された対象者1株当たり株式価値のレンジの中心値(割引率は5.0%±0.50%が採用され、永久成長率は0.00%±0.25%とされているため、それぞれの中心である割引率5.0%及び永久成長率0.00%を用いて算定した値)を上回る水準にある。

・ところで、M&A指針においては、(a)「M&Aを行わなくても実現可能な価値」は、少数株主を含む全ての株主がその持株数に応じて享受すべきであり、他方で、(b)「M&Aを行わなければ実現できない価値」については、M&Aによって少数株主はスクイーズアウトされることとなるものの、少数株主もその価値のしかるべき部分を享受するのが公正であると指摘されている。このような考え方を背景にして本件をみても、本公開買付価格は、スタンドアローン・ベースで算定された三菱UFJ銀行財務開発室による対象者株式の株式価値と比べても、相応の上積みがされた金額であることが認められるから、上記でいう(b)「M&Aを行わなければ実現できない価値」のしかるべき部分が少数株主に享受される水準であると考えられる。
・以上の理由から、本特別委員会としても、本公開買付価格は、三菱UFJ銀行財務開発室により算定された対象者株式価値等との比較の観点からしても、少数株主にとって不利益ではない水準に達していると考える。
(3) プレミアムの検討
・三菱UFJ銀行財務開発室が作成した対象者株式価値算定書によれば、本公開買付価格は、2022年2月4日(以下「直前日」という。)までの名古屋証券取引所における対象者株式の終値(なお、2022年2月2日から4日にかけて、市場での出来高がなかったことから、直近の終値としては2022年2月1日の終値を用いている。)に対して、直近の終値(2022年2月1日の終値)で52.17%、直前日の過去1ヶ月の平均終値で51.13%、直前日の過去3ヶ月の平均終値で48.35%、直前日の過去6ヶ月の平均終値で46.03%のプレミアムを加えた金額となっている。
・本特別委員会は、三菱UFJ銀行財務開発室に対して、M&A指針公表後に行われた公開買付けのうち、本件と同じ、親会社による上場子会社の非公開化の事例(M&A指針公表後の34件と、そのうち子会社の株価がPBR1倍未満であった20件)におけるプレミアム水準がどの程度であったかのデータの提供を求めた。その上で、提供されたデータによれば、本公開買付価格は、直前日の終値ベース並びに直前日の過去1ヶ月、過去3ヶ月及び過去6ヶ月の平均終値ベースのすべての参照値との関係で、他の類似事例のプレミアム水準を上回っていることから、総じて、他の類似事例と比べても遜色ないプレミアム水準が確保されていると認められる。
・さらに、対象者株式の株価推移からみると、最後に本公開買付価格と同水準の市場株価であったのは1996年であり、本公開買付価格は、過去約25年に亘る期間の対象者株式の株価の終値ベースでの最高値に等しい水準であることが認められる。
(4) スキームの妥当性
・本件では公開買付けが採用されており、株式交換は採用されていない。この点について本特別委員会が公開買付者に質問したところ、以下のような回答を得た。

(ⅰ)現時点において、対象者と公開買付者では時価総額、業務範囲等に大きく差があり、株式交換によって対象者の少数株主が公開買付者の株主になることで、対象者の少数株主が本取引後に公開買付者の事業リスクを負うことになるため、少数株主のことを考えると、現金対価にて本取引を遂行することが望ましい。
(ⅱ)また、シナジー実現にむけた具体的なプロセスや時期等については、本取引完了後に対象者とともに見定めていく予定であるが、現時点においては定量的なシナジーの見積もりもできず、また、シナジーの発現には一定の期間とハードルが存在するものと考えられ、その過程において、対象者の設備投資等による短中期的な収益性の悪化等により公開買付者の株価が下落し、株主が不利益を被る可能性も否定できないものと考えている。
・以上を踏まえて検討すると、確かに、公開買付者は時価総額で対象者の20倍以上と非常に大きい規模の企業であることもあって、対象者の少数株主が、本取引実施後も引き続き公開買付者の株主となることで、対象者事業の将来のシナジーをそのまま享受することができるとはいいにくい状況にある。そのため、対象者の株主が、本取引の終了後も公開買付者の株式を保有することを当然に望むか否かは明らかであるとはいえない。その意味で上記の公開買付者の回答も不合理なものではない。
・公開買付者が公開買付け(現金対価)のスキームによって、対象者の全株式を取得するという本取引のスキームは、対象者の少数株主にとって適切な投資回収の機会を与えるという意味からも、合理的なものであると考えることができる。
4. 本特別委員会としては、本諮問事項の(ⅰ)から(ⅲ)までで検討を要請されている事項が、本諮問事項の(ⅳ)を検討する際の考慮要素になるものと考える。そして、上記1.から3.までで述べたことからすれば、対象者が本取引に関する決定をすることは対象者の少数株主にとって不利益なものでないと認められる旨の意見を答申する。
5. 本特別委員会としては、本諮問事項の(ⅰ)から(ⅳ)までが確認されることにより、本諮問事項の(ⅴ)を是認する理由になるものと考える。そして、上記1.から4.までで述べたことからすれば、本公開買付けの公表の時点で対象者の取締役会が賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行うことは合理的と考えられる旨の意見を答申する。
③ 対象者の特別委員会における独立した財務アドバイザーからの助言の取得
対象者プレスリリースによれば、本特別委員会は、上記「② 対象者における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、公開買付者、日本通運及び対象者から独立した独自の財務アドバイザーとして髙野総合コンサルティングを選任し、髙野総合コンサルティングから対象者株式の価値算定に関する助言を含む助言を受けているとのことです。
なお、髙野総合コンサルティングは、公開買付者、日本通運及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。

④ 対象者における独立した法律事務所からの助言の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者、日本通運及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る対象者の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けているとのことです。
⑤ 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
対象者は、上記「② 対象者における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、公開買付者、日本通運及び対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJ銀行財務開発室を選任し、三菱UFJ銀行財務開発室から対象者株式の価値算定、公開買付者との交渉方針に関する助言を含む財務的見地からの助言及び補助を受けるとともに、2022年2月4日付で対象者株式価値算定書を取得しているとのことです。なお、対象者は、公開買付者及び対象者において、少数株主の利益に配慮して、本「算定の経緯」欄に記載された①乃至⑨の各種措置のとおり、本公開買付けの公正性を担保するための措置を実施していることから、三菱UFJ銀行財務開発室からフェアネス・オピニオンを取得していないとのことです。
三菱UFJ銀行は、公開買付者、日本通運及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。なお、法人としての三菱UFJ銀行は、公開買付者の株主(2021年9月30日現在において公開買付者の第七位株主(持株比率1.24%))であり、また、公開買付者に対して融資(2021年9月30日現在における公開買付者の借入額は25,200百万円です。)を行っており、公開買付者と重要な利害関係を有していると考えられるものの、対象者は、対象者株式の株式価値の分析にあたっては、三菱UFJ銀行において適切な弊害防止措置が講じられているものと判断し、三菱UFJ銀行財務開発室を対象者、日本通運及び公開買付者から独立した第三者算定機関に選定したとのことです。
三菱UFJ銀行財務開発室は、複数の株式価値算定手法の中から対象者株式の株式価値の分析にあたって採用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業との前提の下、対象者株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が名古屋証券取引所市場第二部に上場しており、市場株価が存在することから市場株価分析と、対象者の将来の事業活動の状況を評価に適切に反映するためにDCF分析をそれぞれ用いて、対象者の1株あたりの株式価値の分析を行い、対象者は、2022年2月4日付で三菱UFJ銀行財務開発室より対象者株式価値算定書を取得したとのことです。
対象者株式価値算定書において、上記各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。
市場株価分析 :2,300円から2,397円
DCF分析 :2,274円から4,983円

市場株価分析においては、2022年2月4日を算定基準日として、名古屋証券取引所市場第二部における対象者株式の基準日の直近取引成立日である2022年2月1日の終値2,300円、基準日までの直近1ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値2,316円、同直近3ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値2,359円及び同直近6ヶ月間の取引成立日の終値単純平均値2,397円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,300円から2,397円までと分析しているとのことです。
DCF分析では、対象者が作成した本事業計画、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した対象者の将来の収益予想に基づき対象者が2022年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて、対象者の企業価値や株式価値を計算し、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を2,274円から4,983円と算定しているとのことです。なお、割引率は4.5%から5.5%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率を-0.25%~0.25%算定しているとのことです。
DCF分析による分析において前提とした財務予測は以下のとおりとのことです。本事業計画については、三菱UFJ銀行財務開発室が対象者との間でインタビューを行いその内容を分析及び検討しており、また、上記「② 対象者における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しているとのことです。なお、以下の財務予測には大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないとのことです。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測には加味していないとのことです。
(単位:百万円)
2022年
3月期
2023年
3月期
2024年
3月期
2025年
3月期
2026年
3月期
売上高115,000116,186118,769121,084124,027
営業利益4,0003,9924,5765,1205,525
EBITDA9,5539,45010,19610,86911,469
フリー・
キャッシュ・フロー
337981,7372,3304,897

⑥ 対象者における独立した検討体制の構築
対象者プレスリリースによれば、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」に記載のとおり、対象者は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者及び日本通運から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制(対象者の役員、並びに財務部及び総務部に所属する従業員の合計4名を主要なメンバーとする体制)を対象者の社内に構築したとのことです。

具体的には、対象者は、2021年11月24日、公開買付者から本取引に関する協議を開始したい旨の意向を受けた時点以降、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、現に公開買付者グループ(対象者を除きます。)及び日本通運の役職員を兼任する対象者の役職員のみならず、過去に公開買付者グループ(対象者を除きます。)及び日本通運の役職員であった対象者の役職員について、(ア)対象者株式の価値評価の基礎となる事業計画の作成過程や、(イ)対象者と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に関与させないこととしており、かかる取扱いを継続しているとのことです。
また、かかる取扱いを含めて、対象者の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことについては本特別委員会の確認を経ているとのことです。
⑦ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
対象者プレスリリースによれば、対象者取締役会は、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」に記載のとおり、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、三菱UFJ銀行財務開発室から受けた助言及び対象者株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議したとのことです。
その結果、対象者は、上記「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅲ)対象者における意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者と対象者が一体となり、中長期的視点に立脚した対象者グループの成長戦略を推進することが、対象者グループを含む公開買付者グループ全体の更なる成長と発展に資すると判断の上、対象者の非公開化が最善であると判断し、2022年2月7日開催の対象者取締役会において、対象者取締役合計8名のうち、審議及び決議に参加した対象者取締役4名の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨することを決議したとのことです。
また、上記の取締役会においては、対象者監査役合計4名のうち、審議に参加した対象者の監査役3名(うち2名が独立社外監査役)全員が上記のいずれの決議についても異議がない旨の意見を述べているとのことです。
対象者取締役8名のうち、現に公開買付者の取締役を兼任している取締役の安藤隆司氏及び髙﨑裕樹氏、現に日本通運の執行役員を兼任している取締役の戸田達也氏、並びに過去に公開買付者の役職員の地位を有していた代表取締役社長の内田亙氏、並びに現に公開買付者の取締役を兼任している監査役の矢野裕氏については、本取引における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、本特別委員会の設置に係る2021年12月17日の取締役会決議以降の本取引に係る対象者取締役会(上記の2022年2月7日開催の対象者取締役会を含みます。)の審議及び決議に参加していないとのことです。なお、上記「⑥ 対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、現に公開買付者グループ(対象者を除きます。)及び日本通運の役職員を兼任する対象者の役職員のみならず、過去に公開買付者グループ(対象者を除きます。)及び日本通運の役職員であった対象者の役職員については、公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に関与させないこととしております。

⑧ 取引保護条項の不存在
公開買付者及び対象者は、対象者が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
⑨ 対象者の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措置
公開買付者は、上記「3 買付け等の目的」の「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を対象者に要請することを予定しており、対象者の株主の皆様に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式併合をする際に、対象者の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(公開買付者、対象者及び日本通運を除きます。)の所有する対象者株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかにしていることから、対象者の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しております。
また、公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間は20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日としております。公開買付期間を比較的長期にすることにより、対象者の株主の皆様に対して本公開買付けに対する応募につき適切な判断機会を確保しております。

買付予定の株券等の数

株券等の種類買付予定数買付予定数の下限買付予定数の上限
普通株式1,868,441(株)―(株)―(株)
合計1,868,441(株)―(株)―(株)

(注1) 本公開買付けにおいては、買付予定数の上限及び下限を設定しておりませんので、応募株券等の全部の買付け等を行います。上記「買付予定数」は、本公開買付けにより公開買付者が取得する対象者株券等の最大数を記載しております。当該最大数は、対象者四半期報告書に記載された2021年12月31日現在の対象者の発行済株式総数(6,509,301株)から、本書提出日現在公開買付者が所有する対象者株式数(3,312,039株)、本不応募株式数(1,301,873株)及び対象者決算短信に記載された2021年12月31日現在対象者が所有する自己株式数(26,948株)の合計数を控除した株式数になります。
(注2) 単元未満株式も本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って対象者の株主による単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続に従い、公開買付期間中に自己の株式を買い取ることがあります。
(注3) 本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。

買付け等を行った後における株券等所有割合

区分議決権の数
買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)18,684
aのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(b)
bのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数
(個)(c)
公開買付者の所有株券等に係る議決権の数(2022年2月8日現在)(個)(d)33,120
dのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(e)
eのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数
(個)(f)
特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2022年2月8日現在)(個)(g)13,018
gのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(h)
hのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数
(個)(i)
対象者の総株主等の議決権の数(2021年9月30日現在)(個)(j)64,661
買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合
(a/j)(%)
28.82
買付け等を行った後における株券等所有割合
((a+d+g)/(j+(b-c)+(e-f)+(h-i))×100)(%)
100.00

(注1) 「買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)」は、本公開買付けにおける買付予定数(1,868,441株)の株券等に係る議決権の数を記載しております。
(注2) 「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2022年2月8日現在)(個)(g)」は、特別関係者(但し、特別関係者のうち法第27条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において府令第3条第2項第1号に基づき特別関係者から除外される者を除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数を記載しております。なお、公開買付者は、本書提出後に特別関係者の所有する対象者の株式等を確認の上、本書の訂正が必要な場合には、本書に係る訂正届出書を提出する予定です。
(注3) 「対象者の総株主等の議決権の数(2021年9月30日現在)(個)(j)」は、対象者が2021年11月8日に提出した第89期第2四半期報告書記載の総株主等の議決権の数です。但し、本公開買付けにおいては単元未満株式についても買付け等の対象としているため、「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、対象者四半期報告書に記載された2021年12月31日現在の対象者の発行済株式総数(6,509,301株)から、対象者決算短信に記載された2021年12月31日現在の対象者が所有する自己株式数(26,948株)を控除した対象者株式(6,482,353株)に係る議決権数(64,823個)を分母として計算しております。
(注4) 「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」は、小数点以下第三位を四捨五入しております。

脚注、買付け等を行った後における株券等所有割合

(注1) 「買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)」は、本公開買付けにおける買付予定数(1,868,441株)の株券等に係る議決権の数を記載しております。
(注2) 「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2022年2月8日現在)(個)(g)」は、特別関係者(但し、特別関係者のうち法第27条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において府令第3条第2項第1号に基づき特別関係者から除外される者を除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数を記載しております。なお、公開買付者は、本書提出後に特別関係者の所有する対象者の株式等を確認の上、本書の訂正が必要な場合には、本書に係る訂正届出書を提出する予定です。
(注3) 「対象者の総株主等の議決権の数(2021年9月30日現在)(個)(j)」は、対象者が2021年11月8日に提出した第89期第2四半期報告書記載の総株主等の議決権の数です。但し、本公開買付けにおいては単元未満株式についても買付け等の対象としているため、「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、対象者四半期報告書に記載された2021年12月31日現在の対象者の発行済株式総数(6,509,301株)から、対象者決算短信に記載された2021年12月31日現在の対象者が所有する自己株式数(26,948株)を控除した対象者株式(6,482,353株)に係る議決権数(64,823個)を分母として計算しております。
(注4) 「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」は、小数点以下第三位を四捨五入しております。

応募の方法

① 公開買付代理人
大和証券株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号
② 本公開買付けに係る株券等の買付け等の申込みに対する承諾又は売付け等の申込みをする方(以下「応募株主等」といいます。)は、公開買付代理人の本店又は全国各支店(以下、公開買付代理人にて、既に口座をお持ちの場合には、お取引支店といたします。)において、所定の「公開買付応募申込書」に所要事項を記載の上、公開買付期間末日の16時までに応募してください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止等の対応に伴い、公開買付期間中、店舗の店頭業務を一時休止する等の特別な対応を行っている可能性があります。詳細については、公開買付代理人の本店又は全国各支店にお問い合わせください。併せて、対象となる店舗、特別な対応等につきましては、公開買付代理人のホームページ(https://www.daiwa.jp/)もご参照ください。
③ 本公開買付けに係る株券等の応募に際しては、応募株主等が公開買付代理人に開設した応募株主等名義の口座(以下「応募株主等口座」といいます。)に、応募する予定の株券等が記載又は記録されている必要があります。そのため、応募する予定の株券等が、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等に開設された口座に記載又は記録されている場合(対象者の株主名簿管理人である三井住友信託銀行株式会社に開設された特別口座に記載又は記録されている場合を含みます。)は、応募に先立ち、公開買付代理人に開設した応募株主等口座への振替手続を完了していただく必要があります。なお、本公開買付けにおいては、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等を経由した応募の受付は行われません。
④ 応募の際に個人番号(法人の場合は法人番号)及び本人確認書類が必要となる場合があります。(注1)(注2)
⑤ 外国の居住者である株主等(法人の株主等を含みます。以下「外国人株主等」といいます。)の場合、日本国内の常任代理人を通じて応募してください(常任代理人より、外国人株主等の委任状又は契約書の原本証明付きの「写し」をいただきます。)。なお、米国内からの応募等につきましては、下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(8) その他」をご参照ください。
⑥ 個人の株主等の場合、買い付けられた株券等に係る売却代金と取得費との差額は、株式等の譲渡所得等に関する申告分離課税の適用対象となります。(注3)
⑦ 対象者の株主名簿管理人である三井住友信託銀行株式会社に開設された特別口座に記載又は記録されている株券等を応募する場合の具体的な振替手続(応募株主等口座への振替手続)については、公開買付代理人にご相談いただくか、又は口座管理機関である三井住友信託銀行株式会社にお問い合わせください。(注4)
(注1) 本人確認書類について
公開買付代理人に新規に口座を開設して応募される場合、次の個人番号及び本人確認書類が必要になります(法人の場合は、法人番号及び法人本人の本人確認書類に加え、「現に取引に当たる担当者(取引担当者)」についての本人確認書類及び取引担当者が当該法人のために取引の任にあたっていることの確認が必要になります。)。なお、本人確認書類等の詳細につきましては、公開買付代理人にお尋ねください。
・個人の場合
下記、A~Cいずれかの書類をご提出ください。
個人番号確認書類本人確認書類
A個人番号カード(裏)個人番号カード(表)
B通知カードaのいずれか1種類、
又はbのうち2種類
C個人番号記載のある住民票の写し
又は住民票の記載事項証明書
a又はbのうち、
「住民票の写し」「住民票の記載事項証明書」以外の1種類

a 顔写真付の本人確認書類
・有効期間内の原本のコピーの提出が必要
パスポート(住所記載欄のない新型パスポート(2020年2月4日以降に発給申請し交付されたパスポート)は、本人確認書類としてご利用いただけません。別途本人確認書類のご用意をお願いいたします。)、運転免許証、運転経歴証明書、各種福祉手帳、在留カード、特別永住者証明書
b 顔写真のない本人確認書類
・発行から6カ月以内の原本又はコピーの提出が必要
住民票の写し、住民票の記載事項証明書、印鑑証明書
・有効期間内の原本のコピーの提出が必要
各種健康保険証、国民年金手帳(氏名・住所・生年月日の記載があるもの。)、各種福祉手帳等
・法人の場合
下記A~Cの確認書類をご提出ください。
A法人番号確認書類・法人番号指定通知書又は
・法人番号印刷書類
B法人のお客さまの本人確認書類・登記事項証明書又は
・官公庁から発行された書類等
(名称、本店又は主たる事務所の所在地及び事業の内容を確認できるもの)
Cお取引担当者の本人確認書類・個人番号カード(表)又は
・前記個人の場合の本人確認書類(aのいずれか1種類、又はbのうち2種類)

・外国人(居住者を除きます。)、外国に本店又は主たる事務所を有する法人の場合
日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので、居住者の本人確認書類に準じるもの等(自然人の場合は、氏名、住所、生年月日の記載のあるものに、法人の場合は、名称、本店又は主たる事務所の所在地及び事業の内容の記載のあるものに限ります。)
(注2) 取引関係書類の郵送について
本人確認を行ったことをお知らせするために、当該本人確認書類に記載された住所地に取引関係書類を郵送させていただきます。
(注3) 株式等の譲渡所得等に対する申告分離課税について(個人の株主等の場合)
個人の株主等の方につきましては、株式等の譲渡には、申告分離課税が適用されます。税務上の具体的なご質問等は税理士等の専門家にご相談いただき、ご自身でご判断いただきますようお願い申し上げます。
(注4) 特別口座からの振替手続
上記③に記載のとおり、応募に際しては、特別口座で記載又は記録されている株券等は、公開買付代理人に開設した応募株主口座への振替手続をお取りいただく必要があります。

契約の解除の方法

応募株主等は、公開買付期間中においては、いつでも公開買付けに係る契約を解除することができます。契約の解除をする場合は、公開買付期間末日の16時までに、下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(4) 応募株主等の契約の解除権についての事項」に従って、応募受付をした公開買付代理人の本店又は全国各支店に解除書面(公開買付けに係る契約の解除を行う旨の書面)を交付又は送付してください。但し、送付の場合は、解除書面が公開買付期間末日の16時までに到達することを条件とします。
※新型コロナウイルス感染拡大防止等の対応に伴い、公開買付期間中、店舗の店頭業務を一時休止する等の特別な対応を行っている可能性があります。詳細については、公開買付代理人の本店又は全国各支店にお問い合わせください。併せて、対象となる店舗、特別な対応等につきましては、公開買付代理人のホームページ(https://www.daiwa.jp/)もご参照ください。
解除書面を受領する権限を有する者:
大和証券株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号
(その他の大和証券株式会社全国各支店)

株券等の返還方法、応募及び契約の解除の方法

上記「(2) 契約の解除の方法」に記載の方法により、応募株主等が公開買付けに係る契約の解除を申し出た場合には、解除手続終了後速やかに下記「10 決済の方法」の「(4) 株券等の返還方法」に記載の方法により応募株券等を返還いたします。

株券等の保管及び返還を行う金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地

大和証券株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

買付け等に要する資金等

買付代金(円)(a)6,539,543,500
金銭以外の対価の種類
金銭以外の対価の総額
買付手数料(b)60,000,000
その他(c)8,000,000
合計(a)+(b)+(c)6,607,543,500

(注1) 「買付代金(円)(a)」欄は、本公開買付けの買付予定数(1,868,441株)に、1株当たりの本公開買付価格(3,500円)を乗じた金額です。
(注2) 「買付手数料(b)」欄は、公開買付代理人に支払う手数料の見積額を記載しております。
(注3) 「その他(c)」欄は、本公開買付けに関する公告及び公開買付説明書その他必要書類の印刷費その他諸費用につき、その見積額を記載しております。
(注4) その他、公開買付代理人に支払われる諸経費及び弁護士報酬等がありますが、その額は本公開買付け終了後まで未確定です。
(注5) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

届出日の前々日又は前日現在の預金

種類金額(千円)
当座預金7,000,000
計(a)7,000,000

買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等の合計

7,000,000千円((a)+(b)+(c)+(d))

買付け等の決済をする金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地

大和証券株式会社 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号

決済の開始日

2022年3月31日(木曜日)

決済の方法

公開買付期間終了後遅滞なく、本公開買付けによる買付け等の通知書を応募株主等の住所又は所在地(外国人株主等の場合はその常任代理人の住所)宛に郵送します。
買付けは現金にて行います。買付け等を行った株券等に係る売却代金は応募株主等の指示により、決済の開始日以後遅滞なく、公開買付代理人から応募株主等(外国人株主等の場合はその常任代理人)の指定した場所へ送金するか(送金手数料がかかる場合があります。)、公開買付代理人の応募受付をした応募株主等の口座へお支払いします。

株券等の返還方法、決済の方法

下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(1) 法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容」及び「(2) 公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」に記載の条件に基づき株券等の全部の買付け等を行わないこととなった場合には、返還することが必要な株券等は、公開買付期間末日の翌々営業日(公開買付けの撤回等を行った場合は撤回等を行った日)以降遅滞なく、応募が行われた時の公開買付代理人に開設した応募株主口座の状態に戻すことにより返還します。
※新型コロナウイルス感染拡大防止等の対応に伴い、公開買付期間中、店舗の店頭業務を一時休止する等の特別な対応を行っている可能性があります。詳細については、公開買付代理人の本店又は全国各支店にお問い合わせください。併せて、対象となる店舗、特別な対応等につきましては、公開買付代理人のホームページ(https://www.daiwa.jp/)もご参照ください。

法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容

本公開買付けにおいては、買付予定数の上限及び下限を設定しておりませんので、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法

令第14条第1項第1号イ乃至ヌ及びワ乃至ツ、第3号イ乃至チ及びヌ、並びに同条第2項第3号乃至第6号に定める事情のいずれかが発生した場合は、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。なお、本公開買付けにおいて、令第14条第1項第3号ヌに定める「イからリまでに掲げる事実に準ずる事実」とは、①対象者が過去に提出した法定開示書類について、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けていることが判明した場合であって、公開買付者が当該虚偽記載等があることを知らず、かつ、相当の注意を用いたにもかかわらず知ることができなかった場合、及び②対象者の重要な子会社に同号イからトまでに掲げる事実が発生した場合をいいます。
撤回等を行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、当該公告を公開買付期間末日までに行うことが困難である場合には、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

買付け等の価格の引下げの条件の有無、その内容及び引下げの開示の方法

法第27条の6第1項第1号の規定により、対象者が公開買付期間中に令第13条第1項に定める行為を行った場合には、府令第19条第1項の規定に定める基準に従い、買付け等の価格の引下げを行うことがあります。
買付け等の価格の引下げを行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間末日までに公告を行うことが困難である場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。買付け等の価格の引下げがなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、引下げ後の買付け等の価格により買付け等を行います。

応募株主等の契約の解除権についての事項

応募株主等は、公開買付期間中においては、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。解除の方法については、上記「7 応募及び契約の解除の方法」の「(2) 契約の解除の方法」に記載の方法によるものとします。
なお、公開買付者は応募株主等による契約の解除に伴う損害賠償又は違約金を応募株主等に請求することはありません。また、応募株券等の返還に要する費用も公開買付者の負担とします。解除を申し出られた場合には、応募株券等は手続終了後速やかに上記「10 決済の方法」の「(4) 株券等の返還方法」に記載の方法により返還します。

買付条件等の変更をした場合の開示の方法

公開買付者は、公開買付期間中、法第27条の6第1項及び令第13条により禁止される場合を除き、買付条件等の変更を行うことがあります。買付条件等の変更を行おうとする場合は、その変更の内容等につき電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間末日までに公告を行うことが困難である場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。買付条件等の変更がなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、変更後の買付条件等により買付け等を行います。

訂正届出書を提出した場合の開示の方法

公開買付者が本書の訂正届出書を関東財務局長に提出した場合(但し、法第27条の8第11項但書に規定する場合を除きます。)は、直ちに、訂正届出書に記載した内容のうち、公開買付開始公告に記載した内容に係るものを、府令第20条に規定する方法により公表します。また、直ちに公開買付説明書を訂正し、かつ、既に公開買付説明書を交付している応募株主等に対しては、訂正した公開買付説明書を交付して訂正します。但し、訂正の範囲が小範囲に止まる場合には、訂正の理由、訂正した事項及び訂正後の内容を記載した書面を作成し、その書面を応募株主等に交付する方法により訂正します。

公開買付けの結果の開示の方法

本公開買付けの結果については、公開買付期間末日の翌日に、令第9条の4及び府令第30条の2に規定する方法により公表します。

その他、その他買付け等の条件及び方法

本公開買付けは、直接間接を問わず、米国内において若しくは米国に向けて行われるものではなく、また米国の郵便その他の州際通商若しくは国際通商の方法・手段(電話、テレックス、ファクシミリ、電子メール、インターネット通信を含みますが、これらに限りません。)を利用して行われるものでもなく、さらに米国の証券取引所施設を通じて行われるものでもありません。上記方法・手段により若しくは上記施設を通じて、又は米国内から本公開買付けに応募することはできません。
また、本書又は関連する買付書類は、米国内において若しくは米国に向けて又は米国から、郵便その他の方法によって送付又は配布されるものではなく、かかる送付又は配布を行うことはできません。上記制限に直接又は間接に違反する本公開買付けへの応募はお受けいたしません。
本公開買付けの応募に際し、応募株主等(外国人株主等の場合は常任代理人)は公開買付代理人に対し、以下の旨の表明及び保証を行うことを求められることがあります。
応募株主等が応募の時点及び公開買付応募申込書送付の時点のいずれにおいても米国に所在していないこと。本公開買付けに関するいかなる情報(その写しを含む。)も、直接間接を問わず、米国内において若しくは米国に向けて、又は米国内から、これを受領したり送付したりしていないこと。買付け等若しくは公開買付応募申込書の署名交付に関して、直接間接を問わず、米国の郵便その他の州際通商若しくは国際通商の方法・手段(電話、テレックス、ファクシミリ、電子メール、インターネット通信を含みますが、これらに限りません。)又は米国内の証券取引所施設を使用していないこと。他の者の裁量権のない代理人又は受託者・受任者として行動する者ではないこと(当該他の者が買付けに関する全ての指示を米国外から与えている場合を除きます。)。

継続開示会社たる公開買付者に関する事項

① 【公開買付者が提出した書類】
イ 【有価証券報告書及びその添付書類】
事業年度 第157期(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) 2021年6月28日 関東財務局長に提出
ロ 【四半期報告書又は半期報告書】
事業年度 第158期第3四半期(自 2021年10月1日 至 2021年12月31日)に係る四半期報告書を2022年2月8日 関東財務局長に提出
ハ 【訂正報告書】
訂正報告書(上記イの第157期有価証券報告書の訂正報告書)を2021年11月30日に関東財務局長に提出
② 【上記書類を縦覧に供している場所】
名古屋鉄道株式会社 本社
(名古屋市中村区名駅一丁目2番4号)
名古屋鉄道株式会社 東京支社
(東京都中央区銀座四丁目3番6号 G4 BRICKS BLD.)
株式会社東京証券取引所
(東京都中央区日本橋兜町2番1号)
株式会社名古屋証券取引所
(名古屋市中区栄三丁目8番20号)

公開買付者及び特別関係者による株券等の所有状況の合計

2022年2月8日現在
所有する株券等の数令第7条第1項
第2号に該当する
株券等の数
令第7条第1項
第3号に該当する
株券等の数
株 券46,138(個)―(個)―(個)
新株予約権証券
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合 計46,138
所有株券等の合計数46,138
(所有潜在株券等の合計数)(―)

(注1) 特別関係者である対象者は、2021年12月31日現在、対象者株式26,948株を所有しておりますが、全て自己株式であるため、議決権はありません。
(注2) なお、公開買付者は、本書提出後に特別関係者の所有する対象者の株券等を確認の上、本書の訂正が必要な場合には、本書に係る訂正届出書を提出する予定です。

公開買付者による株券等の所有状況

2022年2月8日現在
所有する株券等の数令第7条第1項
第2号に該当する
株券等の数
令第7条第1項
第3号に該当する
株券等の数
株 券33,120(個)―(個)―(個)
新株予約権証券
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合 計33,120
所有株券等の合計数33,120
(所有潜在株券等の合計数)(―)

特別関係者による株券等の所有状況(特別関係者合計)

2022年2月8日現在
所有する株券等の数令第7条第1項
第2号に該当する
株券等の数
令第7条第1項
第3号に該当する
株券等の数
株 券13,018(個)―(個)―(個)
新株予約権証券
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合 計13,018
所有株券等の合計数13,018
(所有潜在株券等の合計数)(―)

(注1) 特別関係者である対象者は、2021年12月31日現在、対象者株式26,948株を所有しておりますが、全て自己株式であるため、議決権はありません。
(注2) なお、公開買付者は、本書提出後に特別関係者の所有する対象者の株券等を確認の上、本書の訂正が必要な場合には、本書に係る訂正届出書を提出する予定です。

特別関係者

2022年2月8日現在
氏名又は名称日本通運株式会社
住所又は所在地東京都千代田区神田和泉町2番地
職業又は事業の内容自動車輸送、鉄道利用輸送、海上輸送、船舶利用輸送、利用航空輸送、倉庫、旅行、通関、重量品・プラントの輸送・建設、特殊輸送、情報処理・解析などの物流事業全般 および関連事業
連絡先連絡先 日本通運株式会社経営事業戦略部 専任部長 甲斐 啓吾
連絡場所 東京都千代田区神田和泉町2番地
電話番号 03-5801-1111
公開買付者との関係公開買付者との間で、本公開買付けの成立後に共同して対象者の株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者

所有株券等の数

日本通運株式会社
2022年2月8日現在
所有する株券等の数令第7条第1項
第2号に該当する
株券等の数
令第7条第1項
第3号に該当する
株券等の数
株 券13,018(個)―(個)―(個)
新株予約権証券
新株予約権付社債券
株券等信託受益証券( )
株券等預託証券( )
合 計13,018
所有株券等の合計数13,018
(所有潜在株券等の合計数)(―)

当該株券等に関して締結されている重要な契約

公開買付者は、対象者の第二位の株主である日本通運との間で、2022年2月7日付で、本不応募株式の全て(1,301,873株、所有割合:20.08%)について、本公開買付けに応募しない旨を合意しております。詳細は、上記「第1 公開買付要項」の「3 買付け等の目的」の「(6) 本公開買付けに係る重要な合意」をご参照ください。

公開買付者と対象者又はその役員との間の取引の有無及び内容

(1) 公開買付者と対象者との取引
直近の3事業年度における公開買付者と対象者との間の取引の概要及び取引金額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
取引の概要2018年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
2019年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
2020年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
対象者から公開買付者に対する配当金の支払い165165165

(2) 公開買付者と対象者の役員との取引の有無及び内容
該当事項はありません。

公開買付者と対象者又はその役員との間の合意の有無及び内容

(1) 本公開買付けへの賛同表明
対象者プレスリリースによれば、対象者は2022年2月7日開催の対象者取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨することについて決議をしたとのことです。詳細については、上記「第1 公開買付要項」の「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「⑦ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針
上記「第1 公開買付要項」の「3 買付け等の目的」の「(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」をご参照ください。
(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
上記「第1 公開買付要項」の「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2) 買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。

株価の状況

金融商品取引所名又は認可金融商品取引業協会名名古屋証券取引所市場第二部
月別2021年8月2021年9月2021年10月2021年11月2021年12月2022年1月2022年2月
最高株価(円)2,5202,4812,4462,4392,4012,3642,320
最低株価(円)2,4102,3802,3852,3752,3232,2552,297

(注) 2022年2月については、2月7日までのものです。

継続開示会社たる対象者に関する事項

(1) 【対象者が提出した書類】
① 【有価証券報告書及びその添付書類】
事業年度 第87期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) 2020年6月25日 東海財務局長に提出
事業年度 第88期(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) 2021年6月25日 東海財務局長に提出
② 【四半期報告書又は半期報告書】
事業年度 第89期第3四半期(自 2021年10月1日 至 2021年12月31日)に係る四半期報告書を2022年2月7日 東海財務局長に提出
③ 【臨時報告書】
該当事項はありません。
④ 【訂正報告書】
該当事項はありません。
(2) 【上記書類を縦覧に供している場所】
名鉄運輸株式会社
(名古屋市東区葵二丁目12番8号)
株式会社名古屋証券取引所
(名古屋市中区栄三丁目8番20号)

その他、対象者の状況

(1) 「期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」の公表
対象者は、2022年2月7日開催の取締役会において、本公開買付けが成立することを条件に、2022年3月期の配当予想を修正し、2022年3月期の期末配当を行わないことを決議したとのことです。詳細については、対象者が同日公表した「期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」をご参照ください。