有価証券報告書-第103期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/23 9:14
【資料】
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【項目】
126項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 固定資産の減損
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
③ 退職給付債務及び費用の計算
当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、その影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、これらの前提条件や退職給付制度が変更された場合、退職給付債務及び費用の計算に影響を及ぼす可能性があります。
(2)財政状態の分析
総資産について、流動資産は、販売土地及び建物が販売促進や用途変更による固定資産への振替により減少しましたが、現金及び預金やその他に含まれる未収金等が増加しましたため増加しました。固定資産は、有形固定資産が、「あべのハルカス」建設工事等の完成による増加から、減価償却の実施等による減少を差し引き増加し、投資その他の資産が、持分法投資利益の計上等による投資有価証券の増加から、繰延税金資産の減少等を差し引き増加しました。従いまして、資産合計では前期末と比較して333億13百万円増加し、1兆9,591億28百万円となりました。
次に、負債について、借入金及び社債残高は1兆1,871億40百万円となり、昨年9月に実施した新株発行で得た資金を、「あべのハルカス」建設工事資金に充当する等、借入金等の削減に努めましたため、前期末と比較して896億32百万円減少しております。なお、流動負債では、未払金、その他に含まれる前受運賃、団体旅行前受金等が増加しておりますが、負債合計は前期末と比較して547億55百万円減少し、1兆6,545億73百万円となりました。
純資産について、株主資本は、資本金及び資本剰余金が新株発行により、利益剰余金が当期純利益の計上から前期の剰余金処分での配当やマイナスの土地再評価差額金の取崩しを差し引き増加しましたため増加しました。その他の包括利益累計額は、土地再評価差額金がマイナスの再評価の取崩しにより、為替換算調整勘定が為替相場の円高修正によりそれぞれ増加しましたため、会計基準の変更に伴う退職給付に係る調整累計額の計上による減少を差し引き増加しました。少数株主持分は、少数株主への利益配分等により増加しました。従いまして、純資産合計では、前期末と比較して880億68百万円増加し、3,045億55百万円となりました。なお、自己資本比率は14.6%となり、1株当たり純資産は150円9銭となりました。
(3)経営成績の分析
当期の営業収益は、ホテル・レジャー業においてKNT-CTホールディングスが新たに連結子会社になったこと等に加え、伊勢神宮式年遷宮による伊勢志摩地域への旅客の増加等により鉄道収入が増加したため、前期に比較して33.7%増収の1兆2,463億60百万円となりました。
一方、営業利益は、マンション販売や宅地分譲等が好調に推移した不動産事業をはじめとして各事業において増収増益となりましたため、前期に比較して15.1%増益の546億23百万円となりました。
経常利益は、営業外収益で、持分法投資利益が増加し、営業外費用で金利の低下により支払利息が減少しましたため、前期に比較して33.5%増益の468億24百万円となりました。
特別利益は、前期は旅行業再編に伴う持分変動利益等再編関連の利益計上等がありましたが、当期は工事負担金等受入額が増加しましたため、前期に比較して45億95百万円増加し、特別損失は、前期は旅行業再編に伴うのれんの減損損失の計上、近鉄松下百貨店の解散に伴う事業整理損の計上がありましたが、当期は工事負担金等圧縮額の増加や内部線及び八王子線事業形態変更に伴う損失等を計上いたしましたため、前期に比較して76億65百万円増加しました。この結果、税金等調整前当期純利益は、前期に比較して86億91百万円増益の390億96百万円となり、これから法人税等、少数株主利益を控除した当期純利益は、前期に比較して45億96百万円増益の245億98百万円となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況に関する分析
当期のキャッシュ・フローについて、営業活動により得た資金は924億32百万円で、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増減額の増加等により、前期と比較して136億39百万円収入額が増加しました。投資活動により支出した金額は417億31百万円で、固定資産の取得による支出の減少や固定資産の売却による収入の増等により、前期と比較して77億54百万円支出額が減少しました。財務活動により支出した資金は377億51百万円で、株式の発行による収入はありましたが、社債の償還や借入金の返済を進めましたため、前期と比較して129億39百万円支出額が増加しました。以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は602億2百万円となり、前期末と比較して134億1百万円増加いたしました。