有価証券報告書-第106期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/26 8:40
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107項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の金融・経済政策により円安や株価の回復が進み、景気は緩やかな回復基調にあるものの、長期化する電力需給問題に加え海外経済の減速が懸念されるなど、先行き不透明な状況で推移した。
このような情勢のなか、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)では地域社会の期待や要請に応えることが安定的かつ持続的な成長に繋がることから、安全を最大の使命とした経営理念のもとCSR(企業の社会的責任)を果たすべく「ひと・まち・環境」を推進キーワードに各種施策を展開した。
これらの施策を実施し、経営の効率化を進め業績の向上に努めた結果、営業収益は前連結会計年度に比べ、2.1%増の543億435万4千円となり、燃料費の高騰や電気料金の値上げの影響があったものの、諸経費節減に努め、経常利益は16億9,074万7千円(前連結会計年度比3.5%減)、当期純利益は11億5,504万円(前連結会計年度比27.0%増)となった。
セグメントごとの業績は次のとおりである。
① 交通部門
鉄軌道事業では、鉄道事業は、今まで歩んできた道を未来へつないで行く思いを込め「つないでGO(いこう)!」をキャッチフレーズとして、新たな企業イメージをデザインした郊外電車の運行など、イベントや広報活動を通じて地域社会から信頼される企業を目指した。また、人にやさしい駅づくりを推進するため2月には土橋駅舎の建替えを行い、スロープや多目的トイレを設置し利便性の向上を図った。さらに、犯罪の未然防止を図るため鉄道線全駅に防犯カメラを設置した。
営業面では、夏休みに鉄道線の各駅をめぐるスタンプラリーを実施するとともに、便利でお得な「郊外電車一日乗車券」を販売した。また、花火大会など沿線諸行事の旅客需要に応じた増便及び最終便の延長を行い増収に努めた。ICい~カードについては、住宅エコポイントをICい~カードのSF(電子マネー)に交換できるサービスの継続実施や加盟店ガイドを刷新するなど利用促進に努めた。
一方、軌道事業は、各所で催された諸行事と連携して臨時便を運行したほか、坊っちゃん列車では夏休みなどの多客時に増便ダイヤで運行するなど利便性の向上を図った。また、鉄道線、乗合バスと共同で企画した電車・バス乗り放題「いよてつ初夢きっぷ」は、通用期間を元日から5日間に延長し発売した。
また、車内の快適性向上策として社外モニター制度を継続実施し接遇レベルの向上を図るとともに、沿線の高校生協力のもと乗車マナーの向上を目指したキャンペーンの実施や一般募集したマナー川柳を電車・バス・駅構内に掲示するなど啓発活動を行った。
行政と連携した事業では、昨年9月から松山市の「花園町通りにぎわい創出事業」の一環としてイルミネーション電車「光のトラム」を運行したほか、3月から「瀬戸内しまのわ2014」の開催にあわせ、美しい空と海をイメージしたラッピング電車を運行した。一方、郊外電車では「里島めぐりサイクリングin中島・興居島」の参加者を円滑に輸送するため、高浜線古町駅と高浜駅間にサイクルトレイン運行の実証実験を行った。
以上の結果、鉄軌道事業営業収益は前年度に比べ1.7%増の31億3,828万4千円となった。
自動車事業では、乗合自動車事業は、バスロケーションシステムのデータなどを活用し、沿線自治体や地域住民との地域公共交通ワークショップによる協議を踏まえ、路線再編やダイヤ改正を行い運行の効率化を図った。また、ドライブレコーダーを追加導入し事故防止及びエコドライブ教育に努めるとともに、運転士の接遇研修や各種事故防止訓練を計画的に実施した。一方、行政と連携し子供たちが公共交通を身近に体感できる「路線バス親子体験教室」や小学校で「エコ交通まちづくり教室」を開催するなど、電車・バスが人と環境にやさしい乗り物であることをアピールし、公共交通の利用促進を図った。
営業面では、松山空港の利用客増加に対応するため空港リムジンバスを増便し、利便性の向上と増収に努めた。さらに、坊っちゃんスタジアムで開催のプロ野球公式戦や日米大学野球選手権大会をはじめ、県総合運動公園で開催されたサッカーJ2公式戦など沿線諸行事に対応した臨時バス運行のほか、サッカー観戦券をセットにしたチケットの販売など旅客誘致に努めた。
高速バス部門は、松山空港発着の格安航空会社(LCC)の運航が開始されるなど、新たな競争の時代となった。これに対応するためインターネットを活用したチケット販売網を拡大するなど、利便性向上と新規顧客の獲得を目指した。また、衝突被害軽減ブレーキシステムや車両ふらつき警報装置などを備えた車両3両を導入し安全性の向上を図った。
一方、貸切自動車事業は、積極的な渉外に努め、県内の旅行会社との連携を深めるとともに、春・夏の高校野球甲子園大会に応援バスを運行した。また、松山市と連携し「おもてなし日本一のまち松山」の事業として、ラッピングを施した貸切バスを運行した。順拝バスについては、昨年12月から四国八十八ヶ所霊場開創1200年を記念した各種バスツアーを企画し増収に努めた。
以上の結果、自動車事業営業収益は前年度に比べ1.2%増の40億5,790万7千円となった。
乗用自動車事業では、公共交通機関として安全・安心・快適を基本に社会的責任を果たすべく安全輸送に取り組んだ。また、県立中央病院のシャトル便運行に加え、ハンディ端末方式のICカードシステムやスマートフォン配車・ANAマイレージサービス・デジタル配車システム・タクシーコールなど多様なサービスを展開し効率的な営業に努めた。
以上の結果、乗用自動車事業営業収益は前年度に比べ1.0%減の6億249万7千円となった。
この結果、交通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ1.3%増の75億5,339万5千円(消去後)となった。
(営業成績)
種別当連結会計年度
(25/4~26/3)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
鉄軌道事業3,138,2841.7
自動車事業4,057,9071.2
乗用自動車事業602,497△1.0
消去245,293△1.1
営業収益7,553,3951.3

(鉄軌道事業の運輸成績)
種別単位当連結会計年度
(25/4~26/3)
対前期増減率(%)
営業日数3650.0
営業キロキロ43.50.0
客車走行キロキロ5,399,891△0.9
延人キロ千キロ86,8531.8
旅客人員定期千人7,6163.9
定期外千人10,8081.6
千人18,4252.5
旅客運輸収入定期千円927,6253.7
定期外千円1,972,7321.4
千円2,900,3572.1
運輸雑収千円237,926△3.3
収入合計千円3,138,2841.7
乗車効率%14.02.2

(注) 乗車効率の算出は延人キロによる
客車走行キロ×平均客車定員


(自動車事業の運輸成績)
種別単位当連結会計年度
(25/4~26/3)
対前期増減率(%)
営業日数3650.0
走行キロ千キロ14,1651.3
旅客人員千人8,4701.1
旅客運送収入千円3,739,7311.8
運送雑収千円318,175△5.5
収入合計千円4,057,9071.2

(乗用自動車事業の運輸成績)
種別単位当連結会計年度
(25/4~26/3)
対前期増減率(%)
営業日数3650.0
走行キロ千キロ3,935△3.6
旅客人員千人702△2.9
旅客運送収入千円586,833△1.7
運送雑収千円15,66337.0
収入合計千円602,497△1.0

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② 流通部門
百貨店業では、「北海道の物産展」や夏のファミリー向け催事、「東急ハンズ・トラックマーケット」等を開催するとともに、「ボッテガ・ヴェネタ」や四国初出店となる「サマンサ・タバサ」、「サマンサ・タバサ プチチョイス」の新規導入や食品売場の大規模リニューアルを実施することで、入店客数及び売上高の拡大を図った。
以上の結果、百貨店業営業収益は前年度に比べ1.1%減の352億5,314万3千円となった。
自動車販売修理業では、新車販売で同業他社の激しい価格攻勢に苦しみながらも、前年を上回る販売台数を確保するとともに、部品・整備部門のアフターマーケット市場も好調に推移した。
以上の結果、自動車販売修理業営業収益は前年度に比べ19.1%増の51億9,880万円となった。
この結果、流通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ1.4%増の397億4,639万7千円(消去後)となった。
(営業成績)
種別当連結会計年度
(25/4~26/3)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
百貨店業35,253,143△1.1
自動車販売修理業5,198,80019.1
消去705,546△14.5
営業収益39,746,3971.4

③ 不動産部門
不動産賃貸業では、郊外大型商業施設との競合などによる、いよてつ髙島屋の来店客減少により隣接する駐車場収入が減少した。一方、昨年4月から2期目を迎えた松山城関連施設の指定管理業務について、新たに二之丸史跡庭園などの周辺施設の受託を開始した。また、松山空港いよてつショップでは旅客数の増加を背景に、商品や陳列方法の見直しにより順調に推移した。さらに東温市樋口にある社有地の活用策として、昨年12月に太陽光発電所を建設し売電事業を開始するなど増収に努めた。
この結果、不動産部門の営業収益は前連結会計年度に比べ11.1%増の14億4,607万円(消去後)となった。
(営業成績)
種別当連結会計年度
(25/4~26/3)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
不動産賃貸業3,311,9914.4
消去1,865,920△0.2
営業収益1,446,07011.1

④ その他部門
航空代理店事業では、松山市内営業所において昨年4月から土曜日の営業を開始するとともに、快適な空間を提供するため営業所を改修した。また、全日本空輸㈱とは営業系総代理店としての関係強化を図り、航空券と宿泊がセットになったパック商品の販売促進や航空券の宅配に注力した。
以上の結果、航空代理店事業営業収益は前年度に比べ7.6%増の4,277万8千円となった。
飲食業では、不採算店舗を閉店する一方、店舗リニューアルやランチメニュー見直しの効果により好調に推移した。
以上の結果、飲食業営業収益は前年度に比べ6.0%増の32億3,794万1千円となった。
旅行業では、従来顧客の掘り起こしや新規団体の受注を目指して営業活動に取組むとともに、宮島チャーター船やプロゴルフ大会の観戦ツアーなどの企画により集客を図った。
以上の結果、旅行業営業収益は前年度に比べ16.0%減の9,865万9千円となった。
労働者派遣業では、官公庁事業の入札競争激化など非常に厳しい状況で推移したが、営業活動をより一層強化し受注獲得に努めた。
以上の結果、労働者派遣業営業収益は前年度に比べ5.0%増の23億2,832万円となった。
前払式特定取引業(友の会事業)では、会員獲得キャンペーンを実施して顧客の固定化と会員数の拡大を目指した。
以上の結果、前払式特定取引業営業収益は前年度に比べ4.5%増の1億9,387万2千円となった。
この結果、その他部門の営業収益は前連結会計年度に比べ6.0%増の55億5,849万円(消去後)となった。
(営業成績)
種別当連結会計年度
(25/4~26/3)
営業収益(千円)対前期増減率(%)
航空代理店事業42,7787.6
飲食業3,237,9416.0
旅行業98,659△16.0
労働者派遣業2,328,3205.0
前払式特定取引業193,8724.5
消去343,082△7.5
営業収益5,558,4906.0


(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、103億8,881万8千円(対前連結会計年度末6億9,394万3千円増加)となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は29億3,136万8千円(対前連結会計年度5億4,039万5千円減少)となった。これは主に税金等調整前当期純利益と減価償却費によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は17億6,860万6千円(対前連結会計年度11億6,872万6千円減少)となった。これは主に有形固定資産の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4億6,881万9千円(対前連結会計年度9億6,295万8千円減少)となった。これは主に短期借入金の返済によるものである。