有価証券報告書-第160期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 12:50
【資料】
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【項目】
127項目

業績等の概要

(1) 業績
〈経営環境〉
当連結会計年度における世界経済は、不透明感を残したものの、緩やかに回復しました。米国では、雇用改善による個人消費の増加により、景気抑制に作用する可能性を含みつつも、連邦公開市場委員会(FOMC)による量的緩和政策(QE3)の縮小が決定されました。欧州経済は、南欧諸国において、緊縮財政や失業率の高止まりが景気抑制に作用し低成長が続いていますが、ドイツの堅調な雇用・所得環境を背景に全体的には回復してきています。アジア圏では、政情不安が深刻化したタイを除いて、景気は全般的に堅調に推移しており中国経済も雇用環境の改善を背景に、若干スピードは落ちましたが、7%台の成長を堅持しています。一方、新たな不安要素として、ロシアとウクライナの情勢が世界経済に与える影響が懸念されています。
このようななか、我が国経済は、金融政策の変更(アベノミクス)によるプラス効果が、実体経済にも徐々に波及しています。平成26年の春闘賃上げ交渉では、ベースアップの実施を決定する大手企業が増加し、また、平成26年4月からの消費税増税を前に駆け込み需要が顕在化したこともあり、個人消費が大幅に増加しました。ただしその反動もかなりあるのではないかと心配されています。
〈外航海運業〉
このように取り巻く環境のもと、船腹過剰による需給ギャップが引き続き解消されず、外航海運市況は低調にスタートしました。
大型タンカー市況では、昨年度と同様に、船余りの状況が続き、WS30(日建て傭船料換算1,000ドル程度)の成約も見られるなど低迷が続きました。昨年5月から7月には中国向けの荷動きが若干回復するなどWSが40台まで上昇したものの、8月にはまたWS30台前半まで落ち込みました。その後、冬場に原油の輸送需要が高まる時期に入りWS60台前半(日建て傭船料換算50,000ドル程度)まで回復しましたが、船腹過剰はまだ解消されておらず本格的な回復には至っていません。
バルカー市況では、全船型で船腹過剰の状況が続いたものの、大型のケープサイズバルカーにおいては、南米からの鉄鋼石の輸出量が、悪天候の影響で停滞したことで、前半は低調に推移しましたが、6月より市況が徐々に回復し、9月下旬にはスポットレートが4万ドルを突破する状況となりました。11月には一時的な反動下落がありましたが、年末にかけて市況は再反発し、好調を維持しています。他船型への波及効果は限定的な状況が続いていましたが、9月以降徐々に回復傾向にあります。
自動車船市況では、回復傾向にあった北米、中近東の自動車販売に比べ、欧州市場ならびに新興国では減退しました。さらに日本の自動車メーカーが生産拠点の海外移転を進めたことが完成車の海上輸送需要を減少させ、市況は低迷しました。
このような状況下ではありましたが、当連結会計年度の外航海運業部門は、ドル建て傭船料が円安基調により増加したことに加え、前連結会計年度に竣工した新造船がフル稼働したことにより、売上高は20,431百万円(前年同期比16.6%増)になり、一方費用面についても円安による影響はあったものの、船舶コストの減少により外航海運業利益は1,598百万円(前年同期外航海運業利益126百万円)となりました。なお、第3四半期に発生した船舶売却に伴う減損損失142百万円に加え、一部船舶の収益性低下による減損損失として特別損失に3,087百万円を計上しています。これによる当期純利益への影響は△1,479百万円です。
〈ホテル関連事業〉
ホテル関連事業部門では、婚礼マーケットの縮小や競合他社との競争激化により、宴会部門を中心に厳しい市場環境が続いたものの、平成25年4月より当社グループに加わったシーサイドホテル舞子ビラ神戸は費用削減効果が大きく表れ、承継初年度から黒字化に成功しました。この結果、当連結会計年度においてホテル関連事業全体の売上高は7,226百万円(前年同期比49.0%増)となり、ホテル関連事業利益は658百万円(前年同期比51.4%増)となりました。なお、平成25年10月31日にゴルフ場を保有する早来カントリー倶楽部株式会社を子会社化したことに伴い、同社の事業とホテル業とを合わせて1つのセグメントとして「ホテル関連事業」と名称を変更しています。
〈不動産賃貸業〉
不動産賃貸業部門は、当社グループ所有のビルで空室率が若干増加したことから、売上高は493百万円(前年同期比3.2%減)になり、不動産賃貸業利益は266百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度において売上高は、28,151百万円(前年同期比23.0%増)、営業利益は2,524百万円(前年同期比202.7%増)となりました。営業外損益において外貨建債権債務の評価替えを主とする為替差益5,067百万円を計上し、経常利益は6,855百万円(前年同期比147.8%増)となり、前述の船舶の減損損失を含み特別損失を3,332百万円計上し、当期純利益は1,414百万円(前年同期比161.1%増)になりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,564百万円増加し、9,272百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によって得られた資金は、11,370百万円(前年同期比2,793百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,771百万円に、減価償却費9,737百万円を加算し、その他非資金項目を加減算した結果です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、323百万円(前年同期比4,333百万円減)となりました。これは主に新造船建造費等の支払い1,582百万円、船舶等の売却による収入1,502百万円、加えて新規連結子会社株式の取得による支出204百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動に使用した資金は、9,272百万円(前年同期比4,736百万円増)となりました。主な要因は、長期借入金および社債発行による入金の合計6,264百万円と、長期借入金の返済および社債の償還による支出の合計15,579百万円との差額9,314百万円によるものです。