有価証券報告書-第85期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 10:03
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【項目】
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和を背景に企業収益に改善が見られるな
ど、国内景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、消費動向については、昨年4月の消費税率引き上げ
に伴う駆け込み需要の反動の影響から個人消費に弱さが見られ、先行きの不透明感は払拭されていません。海外経
済は、米国経済の回復基調は続いているものの、欧州経済は依然として本格的な回復には至っておらず、また中国
経済の成長率鈍化、原油価格急落による資源国経済への悪影響など、総じて不透明な状況が続いております。
当連結会計年度における海運市況は、大型原油船(VLCC)につきましては第1四半期は製油所の定期修理やウク
ライナ情勢の緊迫化などを背景に原油価格が上昇し、中国などが輸入量を減らしたことによりWS30台で低調に推移
しました。第2四半期は夏場にWS40台半ばからWS50台半ばまでの間で底堅く推移しましたが、9月になり船腹需給
が一時的に緩み再びWS30台に下落しました。第3四半期は冬場のエネルギー需要や原油価格の急落を背景に中国な
どが輸入量を増やし、また西アフリカやカリブ海積みの長距離トレードが増えたことにより船腹需給が改善し、12
月には一時WS80を突破しました。第4四半期も2月中旬まではWS60台を維持し、需要が減速しはじめる3月になっ
てもWS50台を維持する堅調な展開となりました。石油製品船は、第2四半期までは全般的に低迷しましたが、第3
四半期以降はシェールオイルの開発に伴う需要増や、中東・西インドから欧州などへの長距離輸送需要の増加が市
況上昇の要因となり堅調に推移しました。ばら積船は、秋口に穀物の輸送需要により一時的に上昇に転じましたが、船腹供給過多による船腹需給の悪化や中国の景気減速による鉄鉱石の輸入減、及び大気汚染防止を目的とした低品
質石炭の輸入規制などが影響し、2月にはばら積船の運賃・用船料指数であるBDI(バルチック・ドライ・インデッ
クス)が1986年7月に記録した史上最安値(553.5)を割り込みおよそ29年ぶりの安値を記録するなど、年間を通じて
低迷が続きました。
こうした経営環境の中、当社グループはVLCCを中心とする長期貸船契約による安定した経営を目指し、昨年5月
に平成27年度第4四半期竣工予定のばら積船、今年2月に平成29年度第1四半期竣工予定のLPG船各1隻の取得契約
を締結いたしました。一方で、今後の損益改善を図るため、市況に比べ割高となっているばら積船1隻の定期用船
契約の期限前解約を昨年11月に行い、収益基盤の強化ならびに船隊構成の整備・充実に努めてまいりました。依然
として本格回復が見られない海運市況が続く中、各船の運航効率の向上と諸経費の節減など収益改善に努め、また
円安効果も影響し当期の経営成績は以下のとおりとなりました。
海運業収益は、VLCC“KOU-EI”を海外売船し、運賃収入は減少したものの、前期に竣工しました新造船VLCC1隻
及びばら積船1隻がフル稼働したことにより、貸船料収入が18億2千2百万円増加し127億8百万円となりました。
海運業費用は、前期竣工船2隻がフル稼働したことにより船費が増加しましたが、自社運航に投入しておりました
VLCC“KOU-EI”の海外売船により運航費が減少し102億2千1百万円(前期比2億7千8百万円減)を計上いたしま
した。これにより営業利益は18億1百万円(前期比2億6千2百万円増)となり、経常利益は10億6千3百万円(
前期比3億7千7百万円増)となりました。また特別利益として、VLCC“KOU-EI”の海外売船に伴う売却益など9
億8千3百万円を計上しました。一方特別損失として、当社が定期用船するばら積船1隻を期限前解約したことに
伴う違約金9億1千万円を計上しました。当期純利益は6億5千4百万円(前期比2億6百万円増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は、税金等調整前当期純利益を計上したことなどにより49億4千9百万円の収入とな
りました。(前期は43億4千2百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は、主として船舶の建造代金の支払いにより36億6千4百万円の支出となりました。
(前期は137億7千8百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は、主として船舶の建造に伴う借入金と長期借入金の返済により4億6千1百万円の
支出となりました。(前期は91億2千4百万円の収入)
この結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、期首に比べて10億6千万円増加し、25
億4千4百万円(前連結会計年度比71.4%増)となりました。