訂正臨時報告書

【提出】
2020/11/26 10:00
【資料】
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提出理由

2020年11月6日(金)開催の取締役会において、海外市場(ただし、米国においては1933年米国証券法に基づくルール144Aに従った適格機関投資家に対する販売のみとする。)における当社普通株式の募集(以下「海外募集」という。)が決議され、これに従ってかかる当社普通株式の募集が開始されましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第1号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものです。
なお、上記海外募集の決議と同時に、当社普通株式の日本国内における募集(以下「国内一般募集」という。)及びオーバーアロットメントによる売出し並びに大和証券株式会社を割当先とする当社普通株式の第三者割当増資(以下「本件第三者割当増資」という。)を行うことが決議されています。

本邦以外の地域における有価証券の募集又は売出

(1)株式の種類当社普通株式
(2)発行数下記①及び②の合計による当社普通株式37,500,000株
① 下記(9)に記載の海外引受会社の買取引受けにより発行される当社普通株式33,587,000株
② 下記(9)に記載の海外引受会社に対して付与した追加的に発行する当社普通株式を買取る権利の行使により発行される当社普通株式3,913,000株
(3)発行価格
(募集価格)
1,916円
(海外募集における1株当たりの募集価格であります。なお、発行価額との差額は、引受人の手取金となります。)
(4)発行価額
(会社法上の払込金額)
1,836.96円
(5)資本組入額918.48円
(6)発行価額の総額68,886,000,000円
(7)資本組入額の総額34,443,000,000円(増加する資本準備金の額は34,443,000,000円)
(8)株式の内容完全議決権株式であり且つ、権利内容に何ら限定のない当社の標準となる株式です。また、単元株式数は100株です。
なお、当社は、普通株式のほか、第1種優先株式、第2種優先株式、第3種優先株式及び第4種優先株式(以下「優先株式」と総称する。)についての定めを定款に定めています。優先株式の単元株式数は普通株式と同数の100株であり、優先株主は、株主総会において議決権を行使することができません。これは、優先株式を配当金や残余財産の分配について優先権を持つ代わりに議決権がない内容としたことによるものです。
(9)発行方法Daiwa Capital Markets Europe Limited、Morgan Stanley & Co. International plc、Merrill Lynch International及びMizuho International plcを共同主幹事引受会社とする海外引受会社(以下「海外引受会社」という。)の総額個別買取引受けにより行われます。また、当社は海外引受会社に上記(2)②に記載の追加的に発行する当社普通株式を買取らせます。

(10)引受人の名称Daiwa Capital Markets Europe Limited(共同主幹事引受会社)
Morgan Stanley & Co. International plc(共同主幹事引受会社)
Merrill Lynch International(共同主幹事引受会社)
Mizuho International plc(共同主幹事引受会社)
(11)募集を行う地域海外市場(ただし、米国においては1933年米国証券法に基づくルール144Aに従った適格機関投資家に対する販売のみとする。)
(12)提出会社が取得する手取金の総額並びに使途ごとの内容、金額及び支出予定時期① 手取金の総額
払込金額の総額68,886,000,000円
発行諸費用の概算額474,000,000円
差引手取概算額68,412,000,000円

② 手取金の使途ごとの内容、金額及び支出予定時期
上記差引手取概算額68,412,000,000円については、海外募集と同日付をもって当社取締役会で決議された国内一般募集の手取概算額97,541,820,416円及び本件第三者割当増資の手取概算額上限16,695,179,584円と合わせた手取概算額合計上限182,649,000,000円について、2023年3月末までに、80,000百万円をCO2排出量削減を加速させ、社会的課題解決実現のための投資資金に、2023年3月末までに、15,000百万円をポストコロナにおける事業構造変革のための投資資金に、2023年3月末までに、5,000百万円をポストコロナにおける社会的ニーズに対応するための投資資金に、2023年3月末までに、残額を当社の有利子負債の返済資金に充当する予定です。
なお、上記の各目的のための資金充当実施までの間は、必要に応じ円貨定期預金で当該資金の運用を行います。
今般の資金調達の背景及び目的
当社グループは2012年9月の株式上場以来、規模を追わず収益性を重視する経営方針のもとリスク耐性の強化に努め、2019年度までの8期累計での営業利益率は12.7%、2019年度末の自己資本比率は58.9%(いずれも日本基準)と、世界の航空会社の中でも最高水準の財務健全性を確立してまいりました。しかしながら、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染拡大により、国際旅客需要はほぼ消失し、国内旅客需要もこれまで経験したことのない大幅な減少に見舞われました。その結果、当社グループの2020年度の業績は大幅な損失を見込むこととなり、自己資本の減少による財務体質の悪化が避けられない状況となっております。
このような経営環境の中で、当社グループは、機動的に供給調整を行うことで運航費用を削減しつつ固定費の削減も進める一方、設備投資の大幅な抑制により資金支出の縮減に努め、同時に機動的な資金調達を実施し、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大が顕在化してからこれまでの間に、約3,000億円を新たに借入れました。また、2,000億円の未使用のコミットメントラインを確保しておりますが、追加で1,000億円のコミットメントラインを設定し、合計3,000億円とする予定です。これらの施策により、十分な手元流動性の確保に努めています。

日本国内においては、感染拡大を防止しつつ経済活動を再開していく過程で国内旅客需要は徐々に回復傾向にありますが、国際旅客需要は現時点において回復の見通しが立っておらず、航空需要の回復には相当な時間を要するものと見込まれます。当社グループは、これまで積み上げてきた健全な財務体質により、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化した場合でも、必要十分な手元流動性を確保する能力は保持しているものの、今後更に多額の有利子負債を増加させていけば財務健全性は損なわれることとなり、新型コロナウイルス感染終息後における激変する経営環境への対応や、成長戦略を描くことが困難になります。
当社グループが営む航空運送事業は、重要な社会基盤の一部となっており、ポストコロナのニューノーマルにおいても、観光立国・地方活性化といった社会的課題の実現のための重要な役割を担っていることに変わりはありません。当社グループは、こうした社会的使命を果たす能力を更に強化していくために、下記の経営課題に取り組んでまいります。
ニューノーマルに向けた下記の取り組みは、2021年3月期第2四半期報告書にてお知らせしたとおりの内容であり、詳細については、2021年3月に発表を予定している次期中期経営計画においてお示ししてまいります。
1.財務体質の再構築
雇用の維持を前提に、徹底したコスト構造改革、収益性の向上、投資の圧縮により、早期に健全な財務体質を再構築し、リスク耐性の維持強化を図ってまいります。
2.安全・安心の向上
新しい社会のニーズである高度な清潔性と非接触性を追求したサービスを推進し、安全・安心の向上に努めてまいります。
3.事業構造の見直し
ポストコロナにおける航空需要の伸びの一時的な減退や、業務及び観光需要の動向が大きく変化する可能性に備え、需要動向に合わせた国際線の事業規模の見直し、フルサービスキャリア分野とLCC分野のポートフォリオの見直しなど、抜本的な事業構造の見直しを進めてまいります。
また、航空需要への依存度の低い新たな事業を新たな収益の柱に育成していくとともに、事業の選択と集中を行うことで、リスク耐性を強化してまいります。
4.社会的課題への取り組み加速
グローバルなリスクへの関心が高まっている中で、航空会社として環境問題に正面から向き合い、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大による影響の長期化に耐え、ポストコロナのニューノーマルにおいて航空会社が果たすべき社会的使命に対応する経営力を涵養していくには、単にこの危機的状況下を生き残るだけでなく、基礎的な経営力である財務体質の改善を一刻も早く成し遂げ、社会に必要とされる航空会社に進化・発展していくための資金需要に遅滞なく対応できる能力を維持拡充していかなければなりません。そのためには、流動性の確保だけでは十分でなく、毀損した財務体質の早期回復が喫緊の課題となっております。

当社グループは、財務体質の早期の改善を図りつつ、上述したような戦略目標に必要な規模の資金を確保すべく、新株式発行を決断いたしました。
当社グループは、安全運航と新型コロナウイルス感染拡大の防止に万全を期し、今回の資金調達及び財務基盤の拡充並びにポストコロナのニューノーマルを見据えた上記施策を速やかに実行することによって、中長期的な成長の基盤を早期に確立して、企業価値の最大化を実現し、株主の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーの利益の最大化に努めてまいります。
国内一般募集、海外募集及び本件第三者割当増資に係る調達金額(以下「本調達金額」という。)については、当社グループのポストコロナにおける事業構造見直し、安全・安心の向上及び社会的課題の取り組み加速のための資金並びに有利子負債削減による財務体質の再構築のための資金に充当する予定です。これにより、当社グループの中長期的な成長の実現、社会的課題の解決及びリスク耐性強化に資する非航空事業の育成に積極的に取り組むための強固な経営基盤を整備してまいります。
ポストコロナにおける事業構造見直し、安全・安心の向上及び社会的課題の取り組み加速のために必要な投資(以下「ポストコロナに向けての投資」という。)の詳細については以下の1.のとおりです。また、有利子負債削減による財務体質の再構築の詳細については以下の2.のとおりです。
1.ポストコロナに向けての投資
(ⅰ)CO2排出量削減を加速させ、社会的課題解決実現のための投資
本調達金額の一部を、2023年3月末までに、燃費効率に優れ、CO2排出量が経年同規模機材に比べ、約25%(航空機メーカーによる運航データからの検証結果)削減可能な、エアバスA350型航空機の導入のための投資資金(手付金、前払い金及び予備部品に関する費用を含む。ただし、航空機リースによる導入等の他の資金調達手段による調達額を除く。)に充当する予定です。
当社グループの国内線及び国際線の主力航空機であるボーイング777型航空機を、省燃費であり運航効率の高いエアバスA350型航空機へと更新することによって、CO2排出量の削減を図ると同時に、燃費向上、整備費抑制及び顧客選好性向上による収益性の向上を実現したいと考えています。
なお、上記航空機に関する設備投資計画は、2020年3月期有価証券報告書に記載されている、2013年10月にエアバス社と締結した航空機調達契約によって導入が決定された航空機の一部を購入するためのものであり、本臨時報告書提出日(2020年11月6日)以降に、25機(確定発注分のみ。また、オプション契約分を含まない。)を導入する予定となっております。
(ⅱ)ポストコロナにおける事業構造変革のための投資
本調達金額の一部を、ポストコロナの国際線航空需要の変化に対応すべく、早期の需要の回復及び更なる成長が見込まれる観光需要や、成長性の高いVFR(Visit Friends and Relativesの略語であり、友人及び親族に対する訪問をいう。)需要への対応を強化することを目的として、ローコストキャリア事業(以下「LCC事業」という。)を強化するための投資資金に充当する予定です。

具体的には、当社は、2023年3月末までに5,000百万円を当社の100%子会社であり中長距離国際線LCC事業を展開する株式会社ZIPAIR Tokyo(以下「ZIPAIR Tokyo」という。)において使用予定の航空機に対する設備投資資金(航空機の改修費用)に充当する予定です。当社は、当社が保有する航空機2機をZIPAIR Tokyo仕様に変更したうえで同社に対して賃貸する予定です。加えて、当社は、2023年3月末までに、10,000百万円を当社の業務提携相手であり、国内線・短距離国際線LCC事業を展開するジェットスター・ジャパン株式会社(以下「ジェットスター・ジャパン」という。当社は同社に対して50%を出資している。)及び日本=中国間のLCC事業を展開する春秋航空日本株式会社(以下「春秋航空日本」という。当社は同社に対して少額を出資している。)に対する投融資資金に充当する予定です。また、ジェットスター・ジャパン及び春秋航空日本は、2023年3月末までに、当該投融資資金を、安定的な事業運営を実現するための資金に充当する予定です。当社が実施するZIPAIR Tokyo、ジェットスター・ジャパン及び春秋航空日本に対する投融資により、経営強化策の推進及び事業提携強化を図り、当社グループのLCC事業ポートフォリオ拡充を実現したいと考えています。
(ⅲ)ポストコロナにおける社会的ニーズに対応するための投資
本調達金額の一部を、ポストコロナにおいて社会が求める高度な清潔性、非接触化及びモバイル化を推進することを目的として、安全・安心の向上のための投資資金に充当する予定です。
当社は、これまでも空港における諸手続きの簡素化・迅速化を目的とした「SMART AIRPORT」化を推進してまいりましたが、ポストコロナにおける社会的なニーズである、清潔性、非接触化及びモバイル化を一層強化するため、2023年3月末までに、5,000百万円を「SMART AIRPORT」化のための設備投資資金に充当する予定です。当社は、ポストコロナの社会的ニーズに対して素早く適応することによって、顧客選好性の向上及び空港における人的生産性向上を実現したいと考えています。
2.有利子負債削減による財務体質の再構築
当社の有利子負債の返済については、社債償還、借入金返済及び航空機リースの返済として、2020年度に30,000百万円、2021年度に50,000百万円、2022年度に50,000百万円を予定しており、その一部に本調達資金を順次充当する予定です。また、当社を取り巻く事業環境が改善し、再び航空運送事業から十分なキャッシュ・フローを安定的に創出できるようになり、リスク耐性が強化されたと判断した場合には、債務の返済を加速することで、早期に財務体質の再構築を実現してまいります。
(13)新規発行年月日
(払込期日)
2020年11月25日(水)
(14)当該有価証券を金融商品取引所に上場しようとする場合における当該金融商品取引所の名称株式会社東京証券取引所
(15)その他の事項当社の発行済株式総数及び資本金の額(2020年11月6日現在)
発行済株式総数 普通株式337,143,500株
資本金の額 181,352百万円

安定操作に関する事項
1 今回の募集に伴い、当社の発行する上場株式について、市場価格の動向に応じ必要があるときは、金融商品取引法施行令第20条第1項に規定する安定操作取引が行われる場合があります。
2 上記の場合に安定操作取引が行われる取引所金融商品市場を開設する金融商品取引所は、株式会社東京証券取引所であります。
以 上