有価証券報告書-第76期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/28 13:07
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1)概況
当連結会計年度のわが国経済は、政府の緊急経済対策や日銀の金融緩和政策を背景に企業収益が大企業を中心として改善し、設備投資や個人消費も持ち直すなど緩やかな回復基調のうちに推移しました。
旅行業界におきましては、海外旅行は円安や東アジア情勢等の影響を受け減少しましたが、東京地区、伊勢神宮、出雲大社、富士山といった注目観光地が人気を集めた国内旅行や訪日外国人数が1,000万人を突破した訪日旅行は復調傾向が続いております。
このような情勢のもと、当社は1月1日より持株会社体制に移行し、2月に策定した平成27年12月期までの中期経営計画にもとづき、グループ各社の「自立経営」と「連携強化」を促進するとともに、近畿日本ツーリストが持つブランド、強力な営業力と販売ノウハウ、ネットワークなどの強みと、クラブツーリズムが持つ会員組織化によるマーケティング力や優れた商品企画力、無店舗販売によるローコスト経営などの強みを最大限活用することにより生まれる統合シナジーの最大化を目指してまいりました。
具体的には、近畿日本ツーリスト個人旅行株式会社のWeb専用宿泊商品やクラブツーリズム株式会社のバスツアー商品をはじめとする両社の看板商品の相互販売や、チャーター便の共同販売など、相乗作用の強化を図りました。8月には、クラブツーリズム株式会社が協賛してきた「あおもり市民ねぶた」に近畿日本ツーリスト株式会社も参画し、大型ねぶたの製作・運行をサポートするとともに、グループあわせて12,000名を超えるお客さまを送客し、お客さま満足度と当社グループのブランドイメージの向上につなげました。また9月には、「越中おわら 風の盆」で有名な富山市八尾町で祭りを再現するクラブツーリズムオリジナルイベント「月見のおわら」に、近畿日本ツーリスト株式会社から約700名の団体客が参加するなど、統合に伴う旅行企画素材の拡充を図り新規顧客の獲得につなげました。
費用面におきましては、システム経費をはじめとして削減に努めました。
これらにより、当連結会計年度の業績は、売上高4,482億73百万円、営業利益38億85百万円、経常利益35億39百万円、当期純利益は18億63百万円となりました。
当社グループの個人旅行事業、団体旅行事業およびその他の区分別の販売の状況は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、持株会社体制への移行に伴い、報告セグメントを変更しております。また、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
① 個人旅行事業
近畿日本ツーリスト個人旅行株式会社は、国内旅行商品「メイト」および海外旅行商品「ホリデイ」において、伝統文化や自然、歴史などに触れる秘境や世界遺産を巡る旅のほか、クルーズ、海外挙式などこだわりと目的型の旅行であるテーマ旅行をはじめとして、ここちよさを追求した高品質・高付加価値旅行の充実を図ってまいりました。また、9月には、利便性の向上、Webと店舗が一体となった顧客対応を目指して、公式サイトのリニューアルを行いました。
近畿日本ツーリスト個人旅行販売株式会社は、「有楽町テーマ旅行サロン」、「グランフロント大阪営業所」、「渋谷公園通り海外旅行サロン」を相次いでオープンし、現地の情報に精通した専門スタッフの対面コンサルティングによる販売を強化いたしました。
クラブツーリズム株式会社は、世界文化遺産に登録された富士山の構成資産23ヶ所をめぐる歩き旅「富士山すそ野ぐるり一周ウォーク」や「おひとり参加限定の旅」、「孫と行く旅」などテーマ性の高い商品群や、アジア最大級の客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の特別チャータークルーズをはじめとする高付加価値商品など、同社の強みである独創的な企画力によりお客さま満足度を高め、他社との差別化をより一層進めてまいりました。また、伊勢神宮での式年遷宮にあわせて、近鉄新型特急車両「しまかぜ」やクラブツーリズム専用列車「かぎろひ」を利用する旅行をはじめとして伊勢志摩方面の商品充実を図り、好評を得ました。
これらの結果、売上高は2,689億79百万円、営業利益は20億91百万円となりました。
② 団体旅行事業
近畿日本ツーリスト株式会社は、大都市における法人・団体等への提案型営業の拡大を図るとともに、成長分野であるMICE(Meeting,Incentive,Convention・Congress,Event・Exhibition)市場に対して営業活動を積極的に展開し、企業系コンベンションやインセンティブ関連旅行などで成果を残しました。伊勢神宮の式年遷宮関連では、7月から9月にかけて行われた「お白石持行事」をはじめとして、全国から数多くの参拝団体を取扱いました。また、「東京マラソン2013」をはじめとする大型スポーツイベント関連需要への積極的な営業展開に加え、スポーツを切り口とした地域誘客・コンサルティング業務等への取組みをさらに強化するとともに、「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」のオフィシャルパートナーとして、オリンピックムーブメント推進に関わる旅行サービスを中心に招致活動をサポートいたしました。教育分野においては、同社の強みである修学旅行の取扱いに加え、スポーツ・文化イベント関連旅行の需要開拓に取組みました。
これらの結果、売上高は1,004億18百万円、営業利益は20億2百万円となりました。
③ その他
その他の旅行関連物品販売業につきましては、北海道、東北、中国四国、九州の各地域旅行会社におきましては、グループ内での連携強化とノウハウ共有による提案力・企画力の強化や地域密着営業の推進による営業活動を展開いたしました。海外航空券の卸売業や旅行関連物品販売業につきましては、堅調に推移いたしました。
海外現地法人につきましては、中国、韓国等において東アジア情勢の影響を受けたものの、全体的に堅調に推移いたしました。
これらの結果、売上高は788億74百万円、営業利益は5億33百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して281億89百万円増加し546億98百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は71億5百万円の増加(前期は17億76百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を31億45百万円計上し、団体前受金の増加による影響で39億84百万円が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は25億45百万円の増加(前期は1億98百万円の減少)となりました。これは主に供託金の返還による収入で25億77百万円が増加したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は4億40百万円の増加(前期は30億32百万円の減少)となりました。これは主に株式の発行による収入で4億92百万円が増加したためであります。