半期報告書-第10期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2014/12/25 10:20
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業績等の概要

(1) 業績
当中間連結会計期間における我が国経済は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動等の影響から一部に弱い動きがみられたものの、公共事業等の経済対策や雇用環境の改善により緩やかな回復が続きました。一方、労働需給の引き締まりを受け、建設業をはじめ非製造業において人手不足感が高まっているほか、建設資材の価格上昇が懸念されるとともに、7~9月期のGDP速報値が2四半期連続のマイナス成長となるなど先行きは不透明な状況にあります。
このような事業環境のもと、当社は、グループ一体経営を推進しつつ、経営方針である「お客さま第一」、「公正で透明な企業活動」、「終わりなき効率化の追求」、「チャレンジ精神の重視」及び「CSR経営の推進」を常に念頭に置きながら、お客さまに安全・安心・快適・便利な高速道路空間を提供すべく、コンプライアンス体制やリスクマネジメント体制に基づき、適正かつ効率的に業務を遂行してきました。
また、長期的視点に立って経営基盤の強化に向けた取組みを推進するため、民営化の20年後にあたる平成37年(2025年)に達成したい姿として「長期ビジョン2025」を策定しました。そして、「長期ビジョン2025」の実現に向けたスタート期間として、最初の3年間を「着実に事業を推進し将来の飛躍につなげる期間」と位置づけ、「中期経営計画(平成26~28年度)」を策定し、これに基づき、事業を実施してきました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益が462,080百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益が31,043百万円(同6.6%減)、経常利益が32,400百万円(同6.0%減)となり、これに特別損益及び法人税等を加減した結果、中間純利益は24,337百万円(同20.8%増)となりました。
なお、セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、安全で快適な走行環境を確保する道路機能の向上、交通安全対策等に必要な修繕、道路を良好な状態に保つための清掃や点検、構造物や施設の補修等の管理を適正かつ効率的に行うとともに、高速道路ネットワークの早期整備に向け高速道路の新設及び改築に取り組んできました。
経年劣化が進む高速道路の大規模更新・大規模修繕計画については、事業化に向けてより具体な計画の策定を行うとともに、国、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)等の関係機関との調整を進めてきました。また、平成24年12月に中央自動車道笹子トンネル上り線で天井板落下事故が発生したことを受け、進みゆく老朽化に対して資産を健全な状態に保全していくための点検のあり方についても検討を行い、道路の維持修繕に関する省令・告示の制定に併せ点検基準の見直しを実施しました。さらに、当社独自の取組みとして、平成25年7月に発表した「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)」構想の実現に向けた具体的な検討課題や体制などを取りまとめた「SMH基本計画」を策定し、平成26年5月29日に公表しました。
高速道路の料金施策等につきましては、利便増進計画終了に伴う割引制度全体の見直しにより、これまでの通勤割引や平日昼間割引等を終了するとともに、平成26年4月1日からは平日朝夕割引等の新たな割引を開始しました。また、これに合わせて、消費税率引上げに伴う料金改定も実施しました。このほか、福島第一原子力発電所の事故(以下「原発事故」といいます。)により警戒区域等から避難されている方等を対象とした高速道路の無料措置(注)を継続するとともに、「東北観光フリーパス」や「北海道ETC夏トクふりーぱす」等の企画割引を実施しました。
高速道路の新設事業につきましては、東京外環自動車道や首都圏中央連絡自動車道の首都圏ネットワークを形成する環状道路の整備、東北復興の重要路線として期待される常磐自動車道全線開通に向けた取り組み等、252kmの区間において実施し、平成26年4月12日、首都圏中央連絡自動車道稲敷インターチェンジ(以下「IC」といいます。)~神崎IC間10.6kmを開通しました。また、4車線化拡幅等の改築事業については、上信越自動車道信濃町IC~上越ジャンクション(以下「JCT」といいます。)等86kmの区間で実施しました。
こうした中、当中間連結会計期間の料金収入は、首都圏中央連絡自動車道の新規開通及び料金割引制度の見直し等により401,270百万円(前年同期比16.8%増)となりました。また、営業収益は道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)(以下「特措法」といいます。)第51条第2項及び第4項の規定に基づき、機構に帰属した道路資産の額が24,207百万円(同60.3%減)となったこと等により429,018百万円(同5.2%増)となりました。営業費用は、機構に帰属した道路資産の額の減少に伴い売上原価が減少した一方、機構と締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)に基づき機構に支払う道路資産賃借料が277,267百万円(同19.9%増)となり、400,381百万円(同6.0%増)となりました。以上の結果、営業利益28,636百万円(同5.1%減)となりました。
(注) 原発事故により国として避難を指示または勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置と原発事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。これらの無料措置は平成27年3月31日まで実施される予定です。
(受託事業)
受託事業においては、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が進捗したこと等により営業収益は10,836百万円(前年同期比135.7%増、なお前年同期は4,597百万円)となり、営業費用は10,846百万円(同132.6%増、なお前年同期は4,661百万円)となりました。以上の結果、営業損失は9百万円(前年同期は営業損失64百万円)となりました。
(道路休憩所事業)
道路休憩所事業においては、SA・PAをより魅力ある空間として楽しんでいただけるものとするため、磐越自動車道磐梯山SA(下り線)を、地域性・旅の楽しみを凝縮した「ドラマチックエリア」として平成26年11月22日にグランドオープンさせるべく、リニューアル工事を実施しました。また、地元の特産品や名産品などの地域産品を紹介・応援する企画を行うことにより、地域の「ショーウィンドウ」化を推進する等、着実に事業を進めてきました。
こうした中、消費税率引上げ等の影響により店舗売上高が減少した一方、新たに2社が連結子会社となったこと等により、営業収益は23,970百万円(前年同期比3.5%減)、営業費用は21,520百万円(同0.5%減)となり、営業利益は2,450百万円(同23.6%減)となりました。
(その他)
海外におけるコンサルティング業務が増加したこと等により、営業収益は690百万円(前年同期比23.2%増)、営業費用は723百万円(同13.3%増)となりました。以上の結果、営業損失33百万円(前年同期は営業損失78百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純利益37,567百万円に加え、減価償却費12,159百万円等の資金増加要因があった一方、たな卸資産の増加額82,628百万円、仕入債務の減少額39,504百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは85,132百万円の資金支出(前年同期比44,792百万円増)となりました。
なお、上記たな卸資産の増加額のうち81,117百万円は、特措法第51条第2項及び第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、中間連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結範囲の変更を伴う子会社株式取得による収入998百万円等があった一方、料金収受機械、ETC装置等の設備投資による支出12,804百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは11,832百万円の資金支出(前年同期比108百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
道路建設関係社債の発行による収入69,849百万円及び長期借入れによる収入75,000百万円があった一方、長期借入金債務の返済等による支出21,558百万円(独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成16年法律第100号)(以下「機構法」といいます。)第15条第1項による債務引受け額19,968百万円を含みます。)等があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは102,856百万円の資金収入(前年同期比92,123百万円増)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の中間連結会計期間末残高は、38,237百万円(前年同期比9,342百万円増)となりました。