半期報告書-第11期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2015/12/25 13:44
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93項目

業績等の概要

(1) 業績
当中間連結会計期間における我が国経済は、為替相場の動きや原油安を背景に企業収益は改善し、雇用・所得環境の改善により個人消費も底堅く推移するなど、緩やかな回復基調が続きました。一方で、中国をはじめとした新興国の減速により、設備投資を先送りする動きがみられたほか、輸出や生産にも一部弱含みの影響がみられるなど、先行きに対する不透明感も拭えない状況にあります。
このような事業環境のもと、当社は、グループ一体経営を推進しつつ、経営方針である「お客さま第一」、「公正で透明な企業活動」、「終わりなき効率化の追求」、「チャレンジ精神の重視」及び「CSR経営の推進」を常に念頭に置きながら、お客さまに安全・安心・快適・便利な高速道路空間を提供すべく、コンプライアンス体制やリスクマネジメント体制に基づき、適正かつ効率的に業務を遂行してきました。
また、当社グループでは、民営化の20年後にあたる平成37年(2025年)に達成したい姿として「NEXCO東日本グループ長期ビジョン2025」を定めるとともに、その実現に向けて「NEXCO東日本グループ中期経営計画(平成26~28年度)」を策定し、これに基づき、事業を実施してきました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益が476,430百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益が34,207百万円(同10.1%増)、経常利益が35,648百万円(同10.0%増)となり、これに特別損益及び法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は23,153百万円(同4.8%減)となりました。
なお、セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行うとともに、高速道路ネットワークの早期整備に向け高速道路の新設及び改築に取り組んできました。
高速道路における特定更新等工事(橋、トンネルその他の高速道路を構成する施設又は工作物で、損傷、腐食その他の劣化により高速道路の構造に支障を及ぼすおそれが大きいものとして国土交通省令で定めるものに係る当該施設若しくは工作物の更新に係る工事又はこれと同等の効果を有すると認められる工事をいいます。以下同じです。)については、平成27年3月25日に国土交通大臣から特定更新等工事の実施と、その財源を確保するために料金徴収期間を約10年延長すること等を内容とする事業の変更について許可を受け、平成27年度より事業に着手しました。なお、全社的に同事業の推進を図ることを目的に本社に「特定更新等事業推進会議」を設置しました。さらに、当社独自の取組みである「スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)構想」について、設定したテーマ及び課題の具体的な取組みを進めています。テーマの一つである「当社が保有する多種多様なインフラ管理データを統合的に可視化する技術」については、SMHモデル事務所に試行システムを導入するための準備を進めました。
また、平成27年9月には、平成28年4月以降の「首都圏の新たな高速道路料金の具体案」を作成し、意見募集を行いました。このほか、福島第一原子力発電所事故により警戒区域等から避難されている方を対象として平成23年6月から国の施策に基づき開始した高速道路の無料措置(注1)を当中間連結会計期間においても継続するとともに、福島第一原子力発電所事故による母子避難者等を対象とした高速道路の無料措置(注2)についても継続したほか、「2015東北観光フリーパス」や「Hokkaido Expressway Pass(北海道エクスプレスウェイパス)」等の企画割引を実施しました。また、道央自動車道の砂川スマートインターチェンジ(以下「IC」といいます。)の運用開始を含め、計39箇所のスマートICの適切な運用管理を行うことにより、お客さまの利便性向上と地域との連携強化を図りました。
高速道路の新設事業につきましては、東京外環自動車道や首都圏中央連絡自動車道の首都圏ネットワークを形成する環状道路の整備等、165kmの区間において実施し、平成27年6月7日、首都圏中央連絡自動車道神崎IC~大栄ジャンクション(以下「JCT」といいます。)間9.7kmを開通させました。また、4車線化拡幅等の改築事業については、上信越自動車道信濃町IC~上越JCT等86kmの区間で実施しました。加えて、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)に帰属する道路資産に係る事業費の一部を無利子貸付金として補助する制度によるスマートIC新設等については、国土交通大臣から平成27年8月5日付けで許可を受けた3箇所を含めた9箇所で実施しました。
こうした中、当中間連結会計期間の料金収入は、首都圏中央連絡自動車道の新規開通等による交通量増加及び利便増進計画の終了に伴う激変緩和措置が前連結会計年度に終了したこと等により415,853百万円(前年同期比3.6%増)となりました。また、営業収益は道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)(以下「特措法」といいます。)第51条第2項及び第4項の規定に基づき、機構に帰属した道路資産の額が22,895百万円(同5.4%減)となったこと等により441,999百万円(同3.0%増)となりました。営業費用は、機構に帰属した道路資産の額の減少に伴い売上原価が減少した一方、機構と締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)に基づき機構に支払う道路資産賃借料が288,489百万円(同4.0%増)となり、410,200百万円(同2.4%増)となりました。以上の結果、営業利益31,799百万円(同11.0%増)となりました。
(注) 1.福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行に対して適用され、平成28年3月31日までの予定で継続されております。
2.福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用され、平成28年3月31日までの予定で継続されております。
(受託事業)
受託事業においては、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が進捗したこと等により営業収益は12,551百万円(前年同期比15.8%増)となり、営業費用は12,629百万円(同16.4%増)となりました。以上の結果、営業損失は77百万円(前年同期は営業損失9百万円)となりました。
(道路休憩所事業)
道路休憩所事業においては、サービスエリア・パーキングエリア(以下「SA・PA」といいます。)をより魅力ある空間として楽しんでいただけるものとするため、平成27年7月1日に常磐自動車道守谷SA(下り線)を、6箇所目となる“道ナカ”商業施設「Pasar(パサール)」としてリニューアルしました。また、地元の特産品や名産品等の地域産品を紹介・応援することを目的とした「地域産品応援フェア!」を実施することにより、地域の「ショーウィンドウ」化を推進する等、着実に事業を進めてきました。
こうした中、ネクセリア東日本㈱が運営するガスステーションの一部をテナント運営に変更したこと等により、営業収益は23,417百万円(前年同期比2.3%減)、営業費用は20,806百万円(同3.3%減)となりました。以上の結果、営業利益は2,610百万円(同6.5%増)となりました。
(その他)
前連結会計年度に設立した連結子会社が事業開始したこと及び海外事業における体制見直し等を行ったこと等により、営業収益は790百万円(前年同期比14.5%増)、営業費用は910百万円(同25.8%増)となりました。以上の結果、営業損失119百万円(前年同期は営業損失33百万円)となりました。
なお、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、当中間連結会計期間より、「中間純利益」を「親会社株主に帰属する中間純利益」としております。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前中間純利益36,403百万円に加え、減価償却費11,791百万円等の資金増加要因があった一方、たな卸資産の増加額101,195百万円、仕入債務の減少額96,947百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは169,749百万円の資金支出(前年同期比84,617百万円増)となりました。
なお、上記たな卸資産の増加額のうち99,182百万円は、特措法第51条第2項及び第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、中間連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
料金収受機械、ETC装置等の設備投資による支出15,258百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは14,852百万円の資金支出(前年同期比3,020百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
道路建設関係社債の発行による収入129,729百万円及び長期借入れによる収入95,544百万円があった一方、長期借入金債務の返済等による支出29,998百万円(独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成16年法律第100号)(以下「機構法」といいます。)第15条第1項による債務引受額29,995百万円を含みます。)等があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは194,661百万円の資金収入(前年同期比91,805百万円増)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の中間連結会計期間末残高は、74,402百万円(前年同期末比36,164百万円増)となりました。