有価証券報告書-第10期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:07
【資料】
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【項目】
122項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」の一体的推進により、景気は緩やかな回復基調にありました。関西経済についても、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動が見られましたが、徐々に和らぎ、生産の増加や雇用情勢の改善などを受けて、景気は緩やかに回復しています。一方、春先から夏場にかけてはガソリンの小売価格の上昇も見られました。また、天候不順や年始における降雪等も見られました。阪神高速道路は昭和39年6月の最初の開通(土佐堀~湊町間2.3㎞(現在の1号環状線))から50年を迎え、構造物の老朽化対策や長期的な視点に立った「安全・安心・快適」の更なる追求に向けた維持管理に対する要請が高まっています。
このような経営環境の中、阪神高速グループは、「先進の道路サービスへ」という企業理念の下、安全・安心・快適なネットワークを通じてお客さまの満足を実現し、関西のくらしや経済の発展に引き続き貢献すべく、事業の着実な展開に努めて参りました。
高速道路事業におきましては、ミッシングリンクを解消し、関西経済の発展に寄与するネットワークを構築するため、現在建設中の路線やジャンクションの整備促進に努めました。また、最初の開通から50年を迎え、老朽化した構造物等に関する更新計画を盛り込んだ協定変更を平成27年3月に機構との間で行うとともに、国土交通大臣から事業変更の許可を受けました。
その他の事業におきましても、休憩所事業、駐車場事業、第二阪奈有料道路等の道路マネジメント事業等について引き続き実施しました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの営業収益は220,825百万円(前年同期比32.9%減)、営業利益は1,961百万円(前年同期は営業損失1,453百万円)、経常利益は2,522百万円(前年同期は経常損失988百万円)、当期純利益は2,541百万円(前年同期は当期純損失1,945百万円)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業では、阪神高速道路開通50年の節目を迎え「安全・安心・快適」の更なる追求のため、平成26年7月1日付で「大規模修繕・更新技術推進室」を新たに設置し、供用から40年以上経過した構造物に対する更新計画について検討を進めて参りました。また、引き続き構造物の修繕に鋭意取り組んだほか、新神戸トンネルの天井板を撤去するなど、営業延長259.1㎞にわたるネットワークの適正な管理に努めて参りました。併せて、「安全・安心・快適」な道路サービスを引き続き提供するため、12号守口線において全面通行止めによるフレッシュアップ工事を行いました。
高速道路通行台数は、ガソリンの小売価格の上昇や天候不順の影響等により一日当たり約73万台(前年同期比0.9%減)とやや減少しました。これにより、料金収入は170,625百万円(同1.5%減)となりました。
また、企画割引「阪神高速ETC乗り放題パス(『2014GW』、『2014SUMMER』、『2014AUTUMN』、『2015SPRING』)の販売により利用促進策を実施したほか、現金でご利用のお客さまが円滑にETCをご利用いただけるよう「ETC車載器購入助成」等を継続的に実施して参りました。
高速道路の建設につきましては、平成27年3月29日に4号湾岸線三宝入口(関西空港方面)及び松原JCT(北西渡り線)が開通しました。また、ミッシングリンクの解消に向け、大阪市道高速道路淀川左岸線や大阪府道高速大和川線(三宝JCT~三宅西)の整備を推進するとともに、西船場JCT(信濃橋渡り線(仮称))の整備促進に努めて参りました。
この結果、高速道路事業の営業収益は199,255百万円(同37.1%減)となりました。一方、営業費用については、協定に基づく機構への貸付料(注)支払いや管理費用等により、197,991百万円(同37.8%減)となり、営業利益は1,263百万円(前年同期は営業損失1,836百万円)となりました。
(注)「協定に基づく機構への貸付料」は、機構との協定に基づく変動貸付料制により、実績収入が協定に定める計画収入の1%に相当する金額を減じた金額を下回ったことに伴い5,307百万円減額されました。
(受託事業)
受託事業につきましては、大阪府道高速大和川線に係る工事を始めとして、国や地方公共団体等の委託に基づく道路の新設・改築・維持・修繕等、経済性・効率性等の観点から当社グループが一体的に実施することが適当と認められる事業を受託しました。
この結果、受託事業の営業収益は15,731百万円(前年同期比83.3%増)、営業費用は15,549百万円(同80.4%増)となり、営業利益は182百万円(前年同期は営業損失34百万円)となりました。
(その他)
その他の事業につきましては、休憩所事業、駐車場事業、第二阪奈有料道路の管理等の道路マネジメント事業、発生土再生活用事業、国際コンサルティング事業等を展開してきました。
道路マネジメント事業に関しましては、平成24年度から実施している第二阪奈有料道路に係る奈良県側の維持管理の包括マネジメントのほか、平成25年度から実施している大阪府側の維持管理業務については、新たに交通管理業務を受託しました。この結果、その他の事業の営業収益は5,931百万円(前年同期比38.7%増)となりました。一方、営業費用は5,416百万円(同40.4%増)となり、営業利益は515百万円(同23.5%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,861百万円に加えて減価償却費6,452百万円、仕入債務の増加額8,501百万円などを計上したものの、仕掛道路資産等のたな卸資産の増加額6,647百万円、売上債権の増加額8,939百万円などがあったことにより、9,507百万円の資金流出(前年同期は82,137百万円の資金流入)となりました。
なお、上記たな卸資産の増加額は、その大部分が特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主として料金収受機械及びETC装置への設備投資等に伴う固定資産の取得による支出4,245百万円などがあったことにより、1,600百万円(前年同期比3,968百万円の減少)の資金流出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出3,297百万円及び道路建設関係社債償還による支出20,474百万円などがあったものの、金融機関等からの長期借入れによる収入22,342百万円及び道路建設関係社債発行による収入25,000百万円があったことにより、23,274百万円の資金流入(前年同期は103,323百万円の資金流出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、25,124百万円(前年同期比12,165百万円の増加)となりました。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりであります。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しております。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度
(自 平成26年4月1日
至 平成27年3月31日)
区分金額(百万円)
Ⅰ 営業収益
1.料金収入170,625
2.道路資産完成高28,042
3.その他の売上高24198,692
Ⅱ 営業外収益
1.受取利息0
2.有価証券利息3
3.受取配当金104
4.土地物件貸付料54
5.原因者負担収入14
6.回数券払戻引当金戻入額110
7.雑収入65353
Ⅲ 特別利益
1.固定資産売却益2323
高速道路事業営業収益等合計199,068