訂正有価証券報告書-第10期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/08/12 14:21
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府の経済対策の効果もあり、緩やかな回復基調が続いているものの、年度前半は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減や、夏の天候不順の影響等により実質GDP成長率がマイナスとなりました。こうした状況の下、年末の政府の緊急経済対策や政労使会議を含む各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復していくことが見込まれる状況にあります。
このような経済情勢の下、当社グループが運営する高速道路事業において、通行台数は、4月からの消費増税や料金割引制度の見直し等の新たな高速道路料金の導入、天候不順の影響等により前期比3.8%減となりました。一方、料金収入は、料金割引制度の見直し等により、前期比18.6%増(718,168百万円)となりました。
また、高速道路の健全性を将来にわたり確保するための取り組みとして、国土交通大臣より大規模更新・大規模修繕等の特定更新等工事(橋、トンネルその他の高速道路を構成する施設又は工作物で、損傷、腐食その他の劣化により高速道路の構造に支障を及ぼすおそれが大きいものとして国土交通省令で定めるものに係る当該施設若しくは工作物の更新に係る工事又はこれと同等の効果を有すると認められる工事をいいます。以下同じです。)に係る事業(以下「特定更新等工事」といいます。)の事業許可を受けたほか、高速道路ネットワークの形成・充実に向けて道路建設事業を着実に行い、東九州自動車道(行橋インターチェンジ~みやこ豊津インターチェンジ)等の2道3区間を新たに開通しました。
高速道路事業以外の事業については、SA・PA事業を中心に展開し、通行台数の減少の影響等により、店舗の売上は前期比4.8%減の144,242百万円となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は1,012,023百万円(前連結会計年度比14.1%増)、営業費用は1,006,498百万円(同14.1%増)、営業利益は5,525百万円(同23.5%増)、経常利益は7,972百万円(同29.1%増)となり、当期純利益は3,021百万円(同13.2%減)となりました。
なお、各セグメントの概況は次のとおりです。
(高速道路事業)
高速道路事業においては、機構との協定、特措法第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行いました。
このうち、道路管理事業については、高速道路の健全性を将来にわたり確保するための取り組みとして、特定更新等工事の実施に関し、平成27年3月24日付で全国路線網協定の変更を行い、同月25日付で特措法に基づく事業許可を国土交通大臣より受けたところであり、特定更新等工事を実施するために必要な調整を進めました。
また、国土交通省の「新たな高速道路料金に関する基本方針(平成25年12月20日発表)」等を踏まえ、平成26年4月1日から、ETC車の料金水準及び料金割引制度全体の整理を行い、新たな高速道路料金を導入しました。あわせて、消費税の税率変更のほか、政府の緊急経済対策の一環として実施してきた高速道路利便増進事業の終了に伴う料金割引制度の見直しを行いました。なお、当社が管理していた一般国道201号(八木山バイパス)につきましては、地域の堅調な交通量に支えられ、料金徴収期間を前倒して償還を完了し、平成26年10月1日より無料開放となりました。
一方、道路建設事業については、新名神高速道路の着実な整備や4車線化事業の推進を図るほか、新たに創設された国の補助制度を活用して整備するスマートインターチェンジ等についての事業許可を平成26年8月8日に受けるなど、高速道路ネットワークの形成・充実を図るとともに、平成26年12月13日には東九州自動車道(行橋インターチェンジ~みやこ豊津インターチェンジ)が、平成27年3月1日には東九州自動車道(豊前インターチェンジ~宇佐インターチェンジ)が、同月14日には徳島自動車道(鳴門ジャンクション~徳島インターチェンジ)がそれぞれ開通したほか、東九州自動車道今川スマートインターチェンジ他2箇所のスマートインターチェンジの供用を開始しました。
これらの結果、料金収入及び道路資産賃借料の増加等により、当連結会計年度の営業収益は961,535百万円(前連結会計年度比16.0%増)、営業費用は960,674百万円(同15.8%増)となり、営業利益は860百万円(前連結会計年度は営業損失1,131百万円)となりました。
(受託事業)
受託事業においては、高速道路の計画・建設・管理の各段階を通じ、これまで培ってきた技術力・ノウハウを活かして、東九州自動車道など国土交通大臣からの委託に基づく直轄高速道路事業や、一般国道24号の改築事業をはじめとする国や地方公共団体等からの委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等を実施しました。その結果、当連結会計年度の営業収益は7,923百万円(前連結会計年度比39.7%減)、営業費用は7,752百万円(同40.7%減)となり、営業利益は170百万円(前連結会計年度は営業利益62百万円)となりました。
(SA・PA事業)
SA・PA事業では、テナント各社と協力し、SA・PAを「くつろぎ、楽しさ、にぎわい」を実感していただける「お客さま満足施設」への変革を目指し、地域性や交通特性を踏まえた店づくり、エリア毎のお客さまニーズにあった品揃え等による店舗展開を実施しました。日常的なご利用においてご満足いただけるサービスを「おもてなしの心」で提供する「モテナス」として名神高速道路黒丸パーキングエリア(下り線)など8店舗、地域の特色等を活かしたサービスを提供するエリアとして中国自動車道美東サービスエリア(上り線・下り線)及び徳島自動車道上板サービスエリア(上り線・下り線)の4店舗をリニューアルオープンしました。また、エリアの店舗棟内に高速道路のお客さまと周辺地域を結び付ける場として「多目的スペース」を設置し、地域との連携の強化・推進を図りました。
その他、ガスステーションの配置間隔の改善を図るため、休止していた九州自動車道山江サービスエリア(下り線)及び宮崎自動車道霧島サービスエリア(上り線・下り線)での運営を再開し、燃料供給体制の確保に取り組みました。
なお、当連結会計年度の営業収益は32,724百万円(前連結会計年度比5.9%減)、営業費用は27,789百万円(同2.6%減)となり、営業利益は4,934百万円(同20.8%減)となりました。
(その他)
その他においては、福岡市天神地区における駐車場事業、建設等のコンサルティング事業、一般自動車道事業、米国における橋梁点検事業、ウルトラファインバブル事業、広告事業、海外における高速道路事業、佐賀県鳥栖市及び熊本県熊本市の2ヶ所におけるトラックターミナル事業等を行っています。このうち、一般自動車道事業を実施している芦有ドライブウェイ㈱において、平成26年8月10日台風11号の影響により本線の一部に被害を受け、現在も通行止めの状況にありますが、すでに本復旧工事に着手しています。また、海外における高速道路事業を実施している日本高速道路インターナショナル㈱とともに、平成26年12月18日にインドネシア共和国のビンタロー スルポン道路を運営するビンタロー スルポン ダマイ社の株式の一部を取得し、インドネシア共和国における高速道路事業に参入しました。
なお、当連結会計年度のその他全体としては、営業収益は10,415百万円(前連結会計年度比2.7%減)、営業費用は10,872百万円(同5.1%減)となり、営業損失は456百万円(前連結会計年度は営業損失752百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は143,830百万円(前連結会計年度比0.1%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は43,618百万円(前連結会計年度比24.2%減)となりました。これは主に、たな卸資産の増加額1,827百万円、売上債権の増加額5,708百万円、利息の支払額4,658百万円及び法人税等の支払額2,731百万円の計上など資金の使用はあったものの、税金等調整前当期純利益7,639百万円に加え、減価償却費21,785百万円や仕入債務の増加額19,513百万円の資金の獲得によるものです。
なお、上記たな卸資産の増加額は、その大部分が特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであり、かかる資産は、連結貸借対照表の「仕掛道路資産」に計上されます。なお、その建設資金には財務活動の結果得られた資金を充当しています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は28,565百万円(前連結会計年度比5.5%増)となりました。これは主に、料金収受機械、ETC装置等の設備投資28,804百万円の資金の使用によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は15,456百万円(前連結会計年度は2,004百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、長期借入れ及び道路建設関係社債発行による資金の獲得249,681百万円があった一方、長期借入金の返済及び道路建設関係社債償還による資金の使用264,133百万円(機構法第15条第1項による債務引受額264,113百万円を含みます。)によるものです。
なお、建設投資(仕掛道路資産)に係る有利子負債は、建設投資(仕掛道路資産)を機構に引き渡す際に同時に機構が債務を引受けます。
(参考情報)
提出会社の当事業年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)における「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりです。
なお、「高速道路事業営業費用、営業外費用及び特別損失等明細表」については、後記「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 営業費用明細書のうち高速道路事業原価明細書」をご参照ください。
(注) 本明細表は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成しています。
高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表
当事業年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
区分金額(百万円)
1.営業収益
料金収入718,334
道路資産完成高240,096
その他の売上高675959,107
2.営業外収益
受取利息0
有価証券利息0
受取配当金326
土地物件貸付料2
固定資産受贈益0
雑収入374704
3.特別利益
固定資産売却益52
その他特別利益052
高速道路事業営業収益等合計959,864

(注) 収益の配賦基準は次のとおりです。
1.高速道路事業又はその他収益として事業が特定できるものは、各々の特定の事業部門に直接
配賦しています。
2.事業が特定できないものについては、営業損益比により各事業へ配賦しています。