有価証券報告書-第86期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 10:41
【資料】
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和策を背景に、企業業績や雇用情勢が改善するなど緩やかな回復基調となりましたが、一方で消費税率引き上げによる個人消費の停滞、円安による輸入原材料価格の上昇、人件費の高騰など景気の先行きへの不安材料を抱え、不透明な状況で推移しました。
当社の主力事業分野である広告業界では、インターネット広告費が大幅に増加するとともに、テレビ・ラジオの広告費も「2014 FIFA ワールドカップ ブラジル大会」などにより緩やかに成長を続け、広告費全体では消費税率引き上げによる反動も吸収し、堅調に推移しました。このような情勢のもと、当社および当社グループは収入を確保すべくきめの細かい営業活動を展開し、主力事業である放送事業では増収を確保しました。その他事業も増収となりましたが、不動産事業、システム関連事業での減収をカバーすることができず、全体の売上高は251億00百万円と前年度に比べ1億35百万円(0.5%)の減収となりました。一方、支出については、番組費など経費の効率的運用により収益確保に努めましたが、収入の減少をカバーするには至りませんでした。
その結果、経常利益は16億70百万円と前年度に比べ2億24百万円(11.9%)の減益となり、当期純利益も10億31百万円と前年度に比べ70百万円(6.4%)の減益となりました。
①放送事業
放送事業の収入は、165億74百万円と前連結会計年度に比べ47百万円(0.3%)の増収となりましたが、営業利益は8億58百万円と1億16百万円(11.9%)の減益となりました。
テレビ部門では、タイム収入は、新番組の開発によるレギュラー番組の売り上げが牽引し、前年度に比べて0.5%の増収となりました。スポット収入は、年度初めから出足が鈍く、その後一時的に回復基調となりましたが、第4四半期は前年度同時期の消費税率引上げ前の駆け込み需要の反動により減収となり、通期では前年度に比べ2.3%の減収となりました。業種別では、通信放送、薬品、精密事務機器が好調でしたが、輸送機器、流通小売、アルコール飲料が落ち込みました。この結果、テレビ事業全体では前年度に比べ1.2%の減収となりました。
番組編成面では、「今日感テレビ」を自社制作の柱と位置づけ、ネット番組を含め8時間の生放送を維持し、事件・事故や災害発生時には、ただちに第一報を伝えるなど生放送の特性を活かしてエリアの信頼に応える編成を行いました。また、ゴールデン帯には、「TEEN!TEEN!」「豆ごはん。」の2番組を制作し、有益で楽しい情報提供を心掛けました。スポーツの分野では「アジア大会2014韓国仁川」をゴ-ルデンタイムで80時間に亘って伝えるとともに、プロ野球日本シリ-ズ第5戦を全国放送し、福岡ソフトバンクホークスの日本一の瞬間をエリアの視聴者に伝えました。さらに女子プロゴルフトーナメント「ほけんの窓口レディース」や「別府大分毎日マラソン」、「福岡国際クロスカントリー」など国際レベルのコンテンツを発信しています。
ドキュメンタリーでは「神宿る島の禊ぎ 宗像大社沖津宮現地大祭」が「ダイド-ドリンコ日本の祭り テレビ番組コンテスト」でグランプリを獲得しました。また、「従属同期方式のSNF環境でも使用可能なTS over IP伝送装置の製作」でJNN技術賞最優秀賞(技術・開発部門)を受賞しました。
ラジオ部門では、タイム収入は、ネットタイムの減少傾向も一段落し、ローカルタイムのレギュラー・単発物件での積み上げや堅調なラジオショッピングにより前年度に比べ10.0%の増収となり、スポット収入も前年度に引き続き法律事務所などの業種の好調が持続し、前年度に比べ8.6%の増収となりました。また、制作費収入は5月に福岡市などと新たに実施した「健康づくりフェスタ」等、新規イベントの実施により前年度に比べて11.4%の増収となりました。この結果、ラジオ事業全体では前年度に比べ、10.6%の増収となりました。
番組編成面では、17年半続いた朝のニュース情報番組を終了し、新たなニュース情報番組「インサイト」を立ち上げました。また、ナイターオフ期には、音楽を軸とした生ワイド番組を3曜日で編成し、新たなリスナー層の獲得に注力しました。
②システム関連事業
システム関連事業の収入は、48億69百万円と前連結会計年度に比べ3億49百万円(6.7%)の減収となり、営業損失は5百万円(前年同期は営業利益1億8百万円)となりました。
ソフトウェア開発業界においては、大手企業の一部については業績の改善によりIT投資への回復傾向が見られるものの、中堅・中小企業については先行きの不透明感からコスト削減姿勢は継続しており、依然として厳しい状況にあります。このような中、官公庁・自治体向けの受注に注力するとともに、民間向けにも積極的な営業活動を行いましたが減収となり、利益面につきましても前年度より悪化しました。
③不動産事業
不動産事業の収入は、10億17百万円と前連結会計年度に比べ15百万円(1.5%)の減収となり、営業利益は6億90百万円と10百万円(1.5%)の減益となりました。
駐車場収入が前年度と同水準を維持したものの、賃貸物件の賃貸料収入が減少しました。
④その他事業
その他事業収入は、26億38百万円と前連結会計年度に比べ1億82百万円(7.4%)の増収となりましたが、営業損失は19百万円(前年同期は営業損失12百万円)となりました。
催し物やコンテンツ開発を積極的に展開し、また太陽光発電事業が年間を通じて稼働し、増収となりました。コンテンツ開発部門では、当社が企画制作を担当し7年目を迎えたFACo(福岡アジアコレクション)が若い世代を中心に7,500人を超える入場者を集めるとともに、昨年度に引き続き「FACo in 釜山」の開催、また「FACo in SINGAPORE」、「FACo in BANGKOK」を開催し、アジア展開を本格化しました。催事事業部門ではJR九州ホールで開催した「アートアクアリウム展」が32万人を超える入場者を集め、好評を博しました。このほか、北九州芸術劇場では、村上春樹の世界的ベストセラー小説を蜷川幸雄が演出・舞台化した宮沢りえ主演の「海辺のカフカ」を上演し、多くの入場者で賑わい、話題を集めました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により21億5百万円増加し、有形固定資産の取得等により投資活動で6億41百万円、借入金の返済等により財務活動で8億90百万円減少したことにより、当連結会計年度末には、前連結会計年度末に比べ5億74百万円(13.0%)増加し、50億4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ1億86百万円増加し、21億5百万円(前連結会計年度は19億18百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権が4億56百万円減少、仕入債務が3億27百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ4億77百万円減少し、6億41百万円(前連結会計年度は11億18百万円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産取得による支出が3億5百万円減少、投資有価証券売却による収入が1億円増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ64百万円増加し、8億90百万円(前連結会計年度は8億25百万円の使用)となりました。