有価証券報告書-第22期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 9:33
【資料】
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【項目】
68項目

業績等の概要

(1)業績
平成26年の日本の総広告費(㈱電通・平成27年2月24日発表)は、6兆1,522億円(前年比102.9%)と6年ぶりに6兆円超えとなり、テレビ広告費も前年を上回る1兆9,564億円(前年比102.8%)となりました。3月までの消費税率引き上げ前の駆け込み需要等での伸長後、消費税率の引き上げの反動などがありましたが、円安、原油安を受けて企業収益は回復基調を持続、緩やかに成長を続けました。
こうした中、当社は2011年度から推進する営業・編成面での構造改革に加え、当事業年度からは「東京コンテンツ化計画2014→2016(経営3か年計画)」に基づき、戦略的経費として制作費に投入、当社ならではの特色あるコンテンツ開発に注力し、タイム・スポットの拡大に努めました。
コンテンツについては、当社は2006年から一日12時間程度マルチチャンネル編成を行ってきましたが、本年度からはこれを一挙に24時間に拡大しました。このうち091chを「TOKYO MX 1」としてハイビジョンで放送し、092chを「TOKYO MX 2」(SD画質)とし、従来のソフトバンク戦の延長対応や経済情報番組などに加え、上質な映画作品や海外ドラマを多数放送して、新たな視聴者の開拓に努めました。
編成面では、ワイド情報番組・ニュース番組を強化しました。朝の時間帯では「モーニングCROSS」をスタート、キャスターに元NHKの堀潤を起用し、インターネットで話題となっているニュースを、性別・年代別・地域別等で紹介し、コメンテーターが独自の視点でオピニオンを述べるとともに、視聴者もツイッターで議論に参加してもらうなど、独自色を打ち出したニュース情報番組として話題を呼んでいます。マツコ・デラックスを世に送り出した番組として有名になった「5時に夢中!」は、放送開始10年目を迎え、みのもんた ほか話題の人をゲストに招いたり、新企画コーナーを開始するなどパワーアップを図りました。また、ユニークなコメンテーター陣の発言がヤフーニュースの芸能欄で毎回のように取り上げられるなど、想定外の面白さが、視聴者から安定した支持を集めています。夜9時からは「バラいろダンディ」にリニューアル。番組MCを長谷川豊が務め、“オトナの夜の井戸端会議”がこの時間帯の視聴者にも受け入れられつつあります。これら2番組は、9月には新宿スタジオアルタから公開生放送も実施、街頭ビジョンで道行く人にアピールすることができました。
新番組では、毎週土曜日夕方に、難しい政治問題を分かりやすく、かつ鋭く解説する「淳と隆の週刊リテラシー」がスタート。ロンドンブーツ1号2号の田村淳とジャーナリスト上杉隆がタッグを組んで“多様性”と“言論の自由”を合言葉に、タイムリーな話題を取り上げ、小沢一郎氏や鳩山元総理等をゲストに迎えるなどして人気を博しました。
生放送番組以外にも、東京五輪・パラリンピックを控え、海外の人々にクールジャパンの本質を伝える「ようこそ櫻の国へ」、名作美術作品の紹介と首都圏の美術館等の情報を多角的に捉えた「アート・ステージ」、海外で流行のコンピューターゲームで競い合うeスポーツを取り上げた「eスポーツMaX」など、多彩な番組を立ち上げました。「TOKYO MX NEWS」は、国際都市東京と、生活エリアとしての東京のニュースを様々な角度から掘り起こし、首都東京のニュース番組として定着しています。12月の衆議院議員選挙では、選挙特番「堀潤と“あなた”が伝える!首都決戦2014」で、選挙結果の速報と共に視聴者からツイッターによる意見を募集するなど、新しい形の選挙特番に取り組みました。また、年末には、舛添知事就任1年を前にした「検証!舛添都政~2014東京この一年~」を、報道特別番組として放送しました。アニメ番組では、「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」「ラブライブ」「怪盗ジョーカー」など年間96本の新作アニメ作品を編成したほか、アニメ作品の製作委員会に参画して積極的にコンテンツ開発に努めるなど、事業の拡大を図りました。
スポーツ番組では、福岡ソフトバンクホークス戦の生中継を、レギュラーシーズン66試合及びクライマックスシリーズ・ファイナルステージ6試合を放送、日本一となった瞬間から優勝決定後のセレモニーまで放送し、チームとファンの喜びを余すところなく伝えました。Jリーグ・FC東京については、試合中継番組及び応援番組で、Jリーグファン・サポーターと共にチームの活躍を応援したほか、8月には2015年のワールドカップでの活躍が期待される選手が多数出場した「なでしこリーグオールスター2014」も生中継しました。さらに2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた若手アスリートを取り上げる「カウントダウンTOKYO」の放送を開始しました。
事業面においては、11月には新たなイベントとして「京王駅伝フェスティバル2014」を開催、ヴァーチャル・シンガー「初音ミク」を体感する複合イベント「マジカルミライ2014」を8月末に大阪、9月に東京で開催し、合わせて約2万4,000人の来場者で賑わいました。大阪でのイベントの模様は、ライブを中心に特別番組としてKBS京都、サンテレビジョンとの3局同時ネット放送を実施したほか、全国13局でも放送されました。
デジタル技術を活用した取り組みでは、新たな技術・サービスの開発に当事業年度も積極的に取り組みました。株式会社KADOKAWA、ソニー株式会社等と組んで、スマートフォンに専用アプリを搭載し、テレビの音声から放送中のアニメ作品の情報・関連情報の検索・キャンペーンなどに参加できるサービス「アニメポータルプロジェクト」を試験的にスタートしました。また、3月1日には総務省「放送・通信連携によるスマートテレビを活用した公共地域情報等を発信するアプリケーションに関する調査研究」において採択された検証事業として、① ハイブリッドキャスト対応テレビでの公共・地域情報の提供の実現 ② 地上デジタル放送事業者による地上波を起点とした通信経由での4K映像配信の実証実験を行いました。
この結果、当事業年度の売上高は15,755百万円(前事業年度比124.1%)と4期連続で過去最高を更新し、営業利益は1,330百万円(前事業年度比73.6%)、経常利益は1,303百万円(前事業年度比74.5%)、当期純利益は819百万円(前事業年度比77.7%)となりました。
事業部門別の業績は次のとおりであります。
①放送事業
放送事業については、売上高11,649百万円(前事業年度比1,172百万円増、111.2%)と増収になりました。これは主に自社制作番組、アニメ番組等のタイム収入が好調だったほか、スポット収入が増加したことによるものであります。
②その他事業
その他事業については、売上高4,106百万円(前事業年度比1,887百万円増、185.1%)と増収になりました。これは主にスポット配信業務が増加したことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における当社の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ872百万円増加し、当事業年度末には3,904百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得た資金は1,328百万円(前事業年度は872百万円)となりました。これは主に税引前当期純利益1,290百万円、非資金費用である減価償却費360百万円を計上したほか、仕入債務が794百万円増加した一方、売上債権が853百万円増加し、法人税等の支払額423百万円が生じたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は289百万円(前事業年度は333百万円)となりました。これは主に出資金の払込による支出336百万円が生じた一方、敷金及び保証金の回収による収入126百万円が生じたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は166百万円(前事業年度は158百万円)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出120百万円によるものであります。