有価証券報告書-第18期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 14:13
【資料】
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【項目】
107項目

業績等の概要

(1) 業績
当社グループ(当社及び連結子会社5社を指し、以下同様とする)が創業時から提唱・実践しているMVNO事業モデルは、当連結会計年度において、特にその後半に広く取り上げられ、この事業モデルの意義が一般に認められた年となりました。その結果、MVNO事業の先駆者である当社及び当社サービスの認知も高まり、当連結会計年度の売上高は前年比18.4%増加の4,667百万円、営業利益は前年比101.9%増加の723百万円、経常利益は前年比101.9%増加の709百万円、当期純利益は前年比3倍を越える881百万円を計上しました。
① 日本事業
当社は、MVNO事業を生み出し、実践するにあたり、この新たな事業の成長には業界の育成から取り組む必要があるとの考えから、MVNO業界団体の会長職を拝命し、行政と連携してMVNO事業を推進してきました。同時に、新規参入促進による業界の育成を重視し、他のMVNO事業者との競争には一定の距離を置いていました。
しかしながら、現在、MVNO事業者は160社以上となり、相互に切磋琢磨してサービス競争を行っており、MVNOも、業界として一定の存在感を持つようになりました。
これを受け、当社は、2013年11月に「Time to Harvest(収穫戦略)」を宣言し、MNO及び他のMVNOとの積極的なサービス競争を開始しています。MVNO事業がようやく認知された今、MVNO事業者からサービス競争を展開し、変革の波を起こしていくことが、寡占化が進み閉塞感が漂うモバイル通信業界を再活性化する唯一の道であると信じているからです。
当連結会計年度末は、消費増税を控えた時期にあたり、増税後の生活防衛策の一つとして、家計の固定費である通信料金を適正化する手段として、MVNOが提供するSIMが広く取り上げられ、報道されました。当社の収穫戦略がこの時期と重なったことから、結果として、広範な認知を獲得することができ、当連結会計年度下期(2013年10月から2014年3月)の売上高は、前年同期比29.3%の成長を遂げました。
当社は、SIMが広く認知される前から、パートナー戦略を重視し、各業界のリーディング企業であるイオン、ヨドバシカメラ、アマゾンとともに、SIMを販売する新たな仕組みを構築してきましたが、このような準備により、SIMの需要が急速に高まった時期における機会損失を防ぎ、当連結会計年度の後半の売上増につながったものです。
また、需要増に対応するための社内体制として、従来から進めているクルーシステムと呼ぶ事業遂行モデルにより、運用面における限界を懸念することなく、需要増に対応することができました。
② 米国事業
当社は米国において、携帯電話事業者3社のネットワークに接続してMVNO事業を展開しています。その1社であるUSセルラー社がネットワークの一部をスプリント社に売却したことに伴い、当社顧客に提供しているサービスの一部に影響が生じることが判明し、該当する顧客をスプリント社に移行する作業が発生しました。これは、期初には想定していなかった事態であり、当該既存顧客からの追加受注は大幅な減少を余儀なくされました。その結果、米国事業の売上高は、ドルベースではほぼ横ばいとなっています(為替の影響により、円ベースでは前年比で増加しています)。
当社の米国事業は、米国の情報セキュリティ基準(PCI-DSS)の認定を受けた無線専用線をATM(現金自動支払機)向けに提供するサービスを中心に展開しており、当該分野では30%(当社推定値)の市場シェアを獲得し、業界において主導的な地位を確保しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,686百万円となり、前連結会計年度末に比べ518百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは473百万円の収入(前連結会計年度は269百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益747百万円を計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは353百万円の支出(前連結会計年度は291百万円の支出)となりました。これは主に関係会社株式の売却による収入が50百万円あった一方、有形・無形固定資産の取得による支出が401百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは393百万円の収入(前連結会計年度は47百万円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入が700百万円あった一方、短期借入金の減少が185百万円、長期借入金の返済による支出が115百万円、リース債務の返済による支出が45百万円あったことなどによるものです。