臨時報告書

【提出】
2022/09/30 9:13
【資料】
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提出理由

当社は、2022年9月27日開催の取締役会において、三菱地所株式会社(以下「三菱地所」といいます。)との間で、三菱地所を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする金銭対価による株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行うことを決議し、三菱地所との間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

株式交換の決定

(1) 本株式交換の相手会社についての事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
商号三菱地所株式会社
本店の所在地東京都千代田区大手町一丁目1番1号
代表者の氏名吉田 淳一
資本金の額
(2022年3月31日現在)
142,414百万円
純資産の額
(2022年3月31日現在)
(連結)2,236,432百万円
(単体)1,585,962百万円
総資産の額
(2022年3月31日現在)
(連結)6,493,917百万円
(単体)5,079,089百万円
事業の内容オフィスビル・商業施設などの開発、賃貸、管理
収益用不動産の開発、資産運用
住宅用地・工業用地などの開発、販売
余暇施設などの運営
不動産の売買、仲介、コンサルティング

② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び純利益
(連結)
決算期2020年3月期2021年3月期2022年3月期
売上高1,302,196百万円1,207,594百万円1,349,489百万円
営業利益240,768百万円224,394百万円278,977百万円
経常利益219,572百万円210,965百万円253,710百万円
親会社株主に帰属する
当期純利益
148,451百万円135,655百万円155,171百万円

(単体)
決算期2020年3月期2021年3月期2022年3月期
売上高549,362百万円542,646百万円567,286百万円
営業利益117,176百万円138,571百万円120,792百万円
経常利益131,431百万円158,345百万円128,934百万円
当期純利益109,251百万円110,616百万円93,612百万円


③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
(2022年3月31日現在)
大株主の氏名又は名称発行済株式の総数に占める持株数の割合
(%)
日本マスタートラスト信託銀行㈱信託口17.26%
㈱日本カストディ銀行 信託口5.13%
明治安田生命保険(相)3.19%
JP MORGAN CHASE BANK 3800553.10%
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT1.90%

(注) 持株比率は発行済株式から自己株式の数を控除して計算しております。
④ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
(ⅰ)資本関係
三菱地所は、当社の発行済株式数(自己株式を除く3,743,825株)の76.94%に相当する2,880,400株を保有しております。
(ⅱ)人的関係
当社の代表取締役社長である渡邉利之氏及び代表取締役である岸勝弘氏は三菱地所からの出向者であり、当社の取締役である水村慎也氏、鈴木智久氏及び当社の監査役である相川雅彦氏、石田岳生氏は三菱地所又は三菱地所グループの役職員を兼務しております。
(ⅲ)取引関係
三菱地所と当社との間でテナント契約を締結しております。
(2) 本株式交換による完全子会社化の目的
三菱地所は、2020年1月24日付で公表した「三菱地所グループ長期経営計画2030」において、3本柱の成長戦略の1つとしてノンアセット事業の強化・拡大を掲げ、BtoC/BtoBtoCに着目した新たな事業展開を図っております。その中で、ホテル事業においては、ホテル運営客室数の拡大を図るべく、全国の大都市圏を中心に新規出店を進めております。また、グループホテルの運営を行う完全子会社の株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツに、ホテル運営の一元化を進めることにより「ロイヤルパークホテルズのチェーン力強化」、「ホテルの運営力強化」、「経営資源の効果的効率的な配分」を進めております。
一方、当社の前身は、1917年5月に東京タクシー自動車株式会社として設立され、1924年10月に丸ノ内ホテル本館を開業、1930年12月には社名を現在の株式会社丸ノ内ホテルに変更、その後、丸の内1丁目1街区(丸の内オアゾ)の一体開発事業に参画し、2004年に「丸ノ内ホテル」を移転開業し、同ホテルの保有、運営を行っております。
三菱地所は、1961年9月頃より当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を少数保有しておりましたが、丸の内オアゾ開発検討段階の1998年12月及び1999年3月に当社株式を追加取得したことによって当社の筆頭株主(所有割合:19.31%)となり、更に丸の内オアゾ開発中の2002年12月に当社株式451,800株(所有割合:12.07%)の追加取得を行いました。その後、当社株式に対する公開買付けの実施により、2018年4月には1,705,581株(所有割合:45.55%)の当社株式を追加取得し、本日現在、当社は三菱地所の連結子会社(所有割合:76.94%)となっております。
現在、COVID-19などの影響により観光・宿泊業界は厳しい環境下にあり、急激なインバウンド需要の変動、異業種からのホテル事業参入とそれに伴う競争激化、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする新たな技術の登場など、ホテル事業をとりまく急速な環境変化に対応していくためには、必要な構造改革を加速していくことが求められています。
丸の内エリアでホテル経営を担う当社についても、2024年には移転開業後20周年、創業から100周年を迎えることとなるため、今後大規模修繕等を検討していく上で、資金調達の機動性を高めると共に、より一層の意思決定の迅速化を図っていく必要があります。
今後のホテル業界を展望すると、「チェーン展開を活かしたポートフォリオ分散(エリア・価格帯・施設タイプ)とリスク分散」、「チェーン規模の拡大によるスケールメリットを活かしたブランド・送客力の強化、IT投資余力・リノベーション投資余力の確保」、「ITデジタルを活用した業務効率化・労働生産性向上や非接触型オペレーションの導入、デジタルマーケティング力強化による差別化」等の構造改革をいち早く進めていくことが不可欠であることから、今般、当社を三菱地所の完全子会社とすることが最適との判断に至りました。
一方、当社においても、COVID-19をはじめとする疫病の流行や東日本大震災に代表される大きな災害の発生、国際情勢(旅客人員動向への影響)など、今後も変化が激しく様々なリスクが想定される事業環境においては、喫緊かつ専門性の高い経営課題が多方面に日々発生するため、課題の早期発見と共に、リニューアル推進、設備の修繕、人材確保、業務・サービスレベルの高度化、IT推進、資金繰り、リーダー育成、コンプライアンス向上等の様々な課題解決に必要なリソース(資金・ヒト・スキル・情報)の探索・調達をスピーディーに行うことが、競争優位性に直結する重要なファクターであると考えております。このような課題認識を前提に当社としては、他のグループホテルで培われた運営ノウハウやホテル人材をはじめ、多方面において豊富なリソースを有する三菱地所グループとの連携強化を積極的に進めるべく、三菱地所の完全子会社となった上でグループの万全なサポートのもと経営課題の解決に取り組むことが、当社の経営の安定性・継続性に寄与し、当社が目指す「地域で唯一無二のオンリーワンハイエンドホテルへの飛躍」を果たすために有意なプロセスであると考えられることから、本株式交換により三菱地所の完全子会社となることが最適との判断に至りました。
本株式交換によって当社を完全子会社化し、よりスピーディーな意思決定を行いながら、一体的・有機的なグループホテル経営を進化させることで、グループホテル全体の強化拡大を進めて参ります。
(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容その他の株式交換契約の内容
① 本株式交換の方法
三菱地所を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換になります。本株式交換は、三菱地所については、会社法第796条第2項に基づき、株主総会の承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、当社については、2022年11月11日に開催予定の当社の株主総会において本株式交換契約の承認を受けた上で、2023年1月10日を効力発生日として行われる予定です。
② 株式交換に係る割当ての内容
三菱地所は、会社法第768条第1項第2号の規定に基づき、本株式交換契約に従い、本株式交換により三菱地所が当社の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)における当社の株主に対し、当社株式1株につき939円(本株式交換の対価を、以下「本株式交換対価」といいます。)の割合で金銭を交付します。ただし、三菱地所が保有する当社株式(本日現在2,880,400株)については、本株式交換による金銭の交付は行いません。
なお、当社は、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、当社が基準時において保有する全ての自己株式を基準時に消却する予定です。
(注) 本株式交換の効力発生日に至るまでの間において、三菱地所若しくは当社の財産状態・経営状態に重大な変動が生じた場合又は本株式交換の実行に重大な支障となる事態が発生し若しくは判明した場合には、三菱地所及び当社は、相互に協議し合意の上、上記の本株式交換に係る本株式交換対価を変更することがあります。
③ 本株式交換に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
当社は、新株予約権および新株予約権付社債のいずれも発行していないため、該当事項はありません。
④ 本株式交換契約の内容
当社が、三菱地所との間で、2022年9月27日付で締結した本株式交換契約の内容は以下のとおりです。
株式交換契約書
三菱地所株式会社(以下「甲」という。)及び株式会社丸ノ内ホテル(以下「乙」という。)は、以下の通り株式交換契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(本株式交換)
甲及び乙は、甲を株式交換完全親会社、乙を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)を行う。
第2条(商号及び住所)
甲及び乙の商号及び住所は、以下の各号に定める通りである。
(1) 甲(株式交換完全親会社)
商号:三菱地所株式会社
住所:東京都千代田区大手町一丁目1番1号
(2) 乙(株式交換完全子会社)
商号:株式会社丸ノ内ホテル
住所:東京都千代田区丸の内一丁目6番3号
第3条(本株式交換に際して交付する金銭等及びその割当てに関する事項)
1 甲は、本株式交換に際して、本株式交換により甲が乙の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」という。)における乙の株主名簿に記載又は記録された乙の株主(但し、甲を除く。以下「対象株主」という。)に対し、乙の株式に代わり、その有する乙の株式の総数に金939円を乗じて得た額の金銭を交付する。
2 甲は、本株式交換に際して、各対象株主に対し、その有する乙の株式1株につき、金939円の割合をもって、金銭を割り当てる。
第4条(甲の資本金及び準備金の額)
本株式交換により増加すべき甲の資本金及び準備金の額は、以下の各号に定める通りとする。
(1) 資本金の額 0円
(2) 資本準備金の額 0円
(3) 利益準備金の額 0円
第5条(効力発生日)
本株式交換がその効力を生ずる日(以下「効力発生日」という。)は、2023年1月10日とする。但し、本株式交換の手続の進行上の必要性その他の事由により必要となる場合には、甲及び乙は、協議し合意の上、これを変更することができる。
第6条(株主総会の承認)
1 甲は、会社法第796条第2項の規定に基づき、本契約について株主総会の承認を受けないで本株式交換を行う。但し、同条第3項の規定により、本契約について株主総会による承認を受けることが必要となった場合には、甲は、同項に基づき、効力発生日の前日までに、本契約について株主総会による承認を求める。
2 乙は、効力発生日の前日までに、本契約の承認及び本株式交換に必要な事項に関する乙の株主総会決議を求める。
第7条(善管注意義務)
乙は、本契約に別途定める場合を除き、本契約締結後効力発生日に至るまで、通常の業務の範囲内で、善良なる管理者の注意をもってその業務の執行及び財産の管理を行う。
第8条(剰余金の配当等)
乙は、本契約締結後、効力発生日以前の日を基準日とする剰余金の配当の決議及び効力発生日以前の日を取得日とする自己株式の取得(法令等に従い株主の権利行使に応じて自己株式の取得をしなければならない場合を除く。)の決議を行ってはならない。
第9条(自己株式の消却)
乙は、効力発生日の前日までに開催される乙の取締役会の決議により、基準時において有することとなる自己株式(本株式交換に関してなされる、会社法第785条1項に定める反対株主の株式買取請求に応じて取得する自己株式を含む。)の全部を消却する。
第10条(本契約の変更及び解除)
本契約締結後効力発生日に至るまでの間において、甲若しくは乙の財産状態・経営状態に重大な変動が生じた場合又は本株式交換の実行に重大な支障となる事態が発生し若しくは判明した場合には、甲及び乙は、協議し合意の上、本契約の内容を変更し又は本契約を解除することができる。
第11条(本契約の効力)
本契約は、以下の各号に定める場合にその効力を失う。
(1) 甲が第6条第1項但書に定める株主総会の承認を受けることが必要となった場合において、効力発生日の前日までに当該承認を受けることができなかった場合
(2) 乙が効力発生日の前日までに第6条第2項に定める株主総会の承認を受けることができなかった場合
(3) 効力発生日の前日までに法令等に定められた本株式交換の実行に必要な関係官庁等の承認等が得られなかった場合
(4) 前条又は次条の規定に従い本契約が解除された場合
第12条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、以下の各号に定める事項を確約する。
(1) 自ら又は自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)が暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という。)ではなく、反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有していないこと
(2) 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約の締結及び履行をするものではないこと
2 甲及び乙は、自ら又は第三者を利用して、本契約に関して以下の各号に定める行為をしてはならない。
(1) 脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
(2) 偽計又は威力を用いて業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
3 甲又は乙は、相手方について第1項の確約に反する事実が判明し、又は相手方が第2項の規定に違反した場合、何ら催告を要せずして、本契約を解除することができる。
4 甲又は乙は、相手方が本契約に関連して締結した契約(以下「関連契約」という。)に関して、関連契約の当事者が反社会的勢力であることが判明した場合、相手方に対して関連契約の解除等必要な措置を講ずることを求めることができる。
5 甲又は乙は、前項の規定により相手方に必要な措置を講ずるよう求めたにも拘わらず、相手方が正当な理由なくこれを拒否した場合、本契約を解除することができる。
6 甲又は乙は、第3項又は前項の規定により本契約を解除した場合、自らに生じた損害の賠償を請求することができる。
第13条(管轄)
本契約に関する一切の紛争に関する調停及び訴訟ついては、東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。
第14条(誠実協議)
甲及び乙は、本契約に定めのない事項及び本契約の条項の解釈に疑義が生じた場合には、誠実に協議の上、その解決に努める。
以上を証するため、甲及び乙は、本契約の正本2通を作成し、それぞれ各1通を保有する。
2022年9月27日
東京都千代田区大手町一丁目1番1号
甲 三菱地所株式会社
執行役社長 吉 田 淳 一
東京都千代田区丸の内一丁目6番3号
乙 株式会社丸ノ内ホテル
代表取締役社長 渡 邉 利 之
(4) 本株式交換に係る割当ての内容の算定根拠
① 割当ての内容の根拠及び理由
三菱地所は、上記「(2) 本株式交換による完全子会社化の目的」に記載のとおり、当社を三菱地所の完全子会社とすることが両社の企業価値向上、ひいてはグループホテル全体の強化拡大にとって最適との判断に至り、当社との間で本株式交換の諸条件について具体的な協議・検討を開始いたしました。両社は、本株式交換に用いられる上記「(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容その他の株式交換契約の内容」に記載の本株式交換対価の算定に当たって、公正性・妥当性を確保するため、それぞれ別個に、両社から独立した第三者算定機関に株式交換対価の算定を依頼することとし、三菱地所はデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下「デロイト トーマツ」といいます。)を、当社は株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)を、それぞれの第三者算定機関に選定し、三菱地所は森・濱田松本法律事務所を、当社は潮見坂綜合法律事務所を、それぞれリーガル・アドバイザーとして選定いたしました。
そして、両社は、下記「② 算定に関する事項」に記載のとおり、それぞれが選定した第三者算定機関から提出を受けた株式価値の算定結果を踏まえて慎重に検討し、三菱地所及び当社の財務状況、資産状況、将来の見通し等の要因を総合的に勘案した上で、両社間で交渉・協議を重ねてまいりました。当社においては、下記「④ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、第三者算定機関であるプルータスから2022年9月26日付で取得した株式価値に関する算定書及び株式会社日本ホテルアプレイザル(以下「日本ホテルアプレイザル」といいます。)から2022年9月26日付で取得した不動産価値に関する鑑定書、リーガル・アドバイザーである潮見坂綜合法律事務所からの助言並びに三菱地所及び当社との間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会(詳細については、下記「④ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の(ⅲ)「当社における利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおりです。)の指示、助言及び答申書等を踏まえ、(ⅰ)本株式交換対価は、プルータスから受領した算定書におけるディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の算定結果の中間値に近似する金額であること、(ⅱ)下記「④ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」記載の各措置を講じる等、当社の少数株主に対して配慮がなされていること、また、(ⅲ)本株式交換対価は、その決定過程において、当社が三菱地所との協議及び交渉の経緯及び内容等を特別委員会に対して適時に報告を行い、三菱地所との交渉方針等を協議したうえで行われた交渉の結果として得られた価格であると考えられることから、本株式交換対価は妥当であり、当社株主の利益を損ねるものではないとの判断に至ったため、本株式交換対価により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
以上のとおり、三菱地所及び当社は、本株式交換対価は妥当であり、それぞれの株主の利益を損ねるものではないとの判断に至ったため、本株式交換対価により本株式交換を行うこととしました。
本株式交換対価を金銭とした理由としては、(ⅰ)本株式交換を株式対価で実施した場合、当社の株主の多くが三菱地所の単元未満株式を保有する株主となってしまうところ、単元未満株式を単元株式とするためには、単元未満株式の買増制度を利用すること等が避けられないこと、(ⅱ)単元未満株式は市場において売却することができず、三菱地所の単元未満株式を保有することになる当社株主の皆様における流動性が制限されてしまうこと、等を考慮しております。
② 算定に関する事項
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び相手会社との関係
三菱地所の第三者算定機関であるデロイト トーマツ及び当社の第三者算定機関であるプルータスは、いずれも三菱地所及び当社の関連当事者には該当せず、本株式交換に関して記載すべき重要な利害関係を有しません。
(ⅱ)算定の概要
デロイト トーマツは、当社については、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」といいます。)を、また、当社が、その事業の性質上、重要な不動産を保有していることから修正簿価純資産法を、それぞれ採用して算定を行いました。
各算定手法による当社の普通株式の評価レンジは、以下のとおりとなります。
算定手法株式価値の算定レンジ
当社
普通株式(1株)
DCF法705円~894円
修正簿価純資産法971円~1,056円

(注1) 修正簿価純資産法では、当社が保有する不動産の含み益を反映させた修正簿価純資産の金額を分析しております。なお、不動産の含み益については、三菱地所が依頼した第三者機関の鑑定結果を参照しております。
デロイト トーマツは、上記株式交換対価の算定に際して、デロイト トーマツが検討した全ての公開情報、両社がデロイト トーマツに提供し、又はデロイト トーマツと協議した財務その他の情報で株式交換対価の算定に際して実質的な根拠となった情報の全てが、正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、デロイト トーマツは、両社とその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の各資産及び各負債の分析及び評価を含め、独自に算定、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。デロイト トーマツの株式交換対価の算定は、算定基準日現在までの情報及び経済条件を反映したものであり、当社の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。
なお、デロイト トーマツがDCF法による算定の前提とした当社の利益計画においては、大幅な増収増益を見込んでいる事業年度を含んでおります。これは新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和されること、及び、リニューアルオープンによる伴う売上増によるものです。また、当該事業計画は、本株式交換の実施を前提としておりません。
プルータスは、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を、また、当社が、その事業の性質上、重要な不動産を保有していることから修正簿価純資産法を、それぞれ採用して算定を行いました。
各算定手法による当社の普通株式の評価レンジは、以下のとおりとなります。
算定手法株式交換対価の算定結果
当社
普通株式(1株)
DCF法830円~1,070円
修正簿価純資産法990円

(注2) 修正簿価純資産法では、当社が保有する不動産及び投資有価証券の含み益を反映させた修正簿価純資産の金額を分析しております。なお、不動産の含み益については、当社が依頼した第三者機関である日本ホテルアプレイザルの鑑定結果を参照しております。プルータスは、上記株式交換比率の算定に際して、当社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、プルータスは、両社とその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の各資産及び各負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。プルータスの株式交換対価の算定は、2022年8月31日現在までの情報及び経済条件を反映したものであり、当社の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。なお、プルータスがDCF法による算定の前提とした当社の利益計画においては、大幅な増益を見込んでいる事業年度を含んでおります。これらは新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和されること及び今後予定されるホテルのリニューアル効果の実現に伴う売上増によるものです。また、当該事業計画は、本株式交換の実施を前提としておりません。
③ 上場廃止となる見込み及びその事由
株式交換完全子会社となる当社はその株式を金融商品取引所に上場していないため、該当事項はありません。
④ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
三菱地所が既に当社株式2,880,400株(所有割合:76.94%)を保有し、当社は三菱地所の連結子会社に該当すること及び当社の取締役の中には三菱地所の従業員の兼任者や三菱地所からの出向者が存在すること等から、三菱地所及び当社は、本株式交換の公正性を担保する必要があると判断し、以下のとおり公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含みます。)を実施しております。
(ⅰ)独立した第三者算定機関からの算定書の取得
三菱地所は、三菱地所及び当社から独立した第三者算定機関であるデロイト トーマツから、本株式交換対価の公正性・妥当性を確保するため、2022年9月15日付で、株式価値に関する算定書の提出を受けております。算定書の概要は、上記「② 算定に関する事項」の「(ⅱ)算定の概要」をご参照ください。なお、三菱地所は、デロイト トーマツから、本株式交換対価が財務的見地から妥当又は公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、デロイト トーマツに対する報酬は、本株式交換の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式交換の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
他方で、当社は、本株式交換対価の公正性・妥当性を確保するため、三菱地所及び当社から独立した第三者算定機関であるプルータスから2022年9月26日付で株式価値に関する算定書の提出を受け、また、三菱地所及び当社から独立した第三者算定機関である日本ホテルアプレイザルから2022年9月26日付で不動産価値に関する鑑定評価書の提出を受けております。算定書の概要は、上記「② 算定に関する事項」の「(ⅱ)算定の概要」をご参照ください。なお、当社は、プルータス及び日本ホテルアプレイザルから、本株式交換対価が財務的見地から妥当又は公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、プルータス及び日本ホテルアプレイザルに対する報酬は、本株式交換の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式交換の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
(ⅱ)独立した法律事務所からの助言
三菱地所は、本株式交換のリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、法的な観点から助言を得ております。なお、森・濱田松本法律事務所は三菱地所及び当社から独立しており、重要な利害関係を有しません。また、森・濱田松本法律事務所に対する報酬は、本株式交換の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本株式交換の成立等を条件に支払われる報酬は含まれておりません。
他方で、当社は、リーガル・アドバイザーとして潮見坂綜合法律事務所を選任し、同事務所より、本株式交換の諸手続及び当社の意思決定の方法・過程等について法的な観点から助言を得ております。なお、潮見坂綜合法律事務所は三菱地所及び当社から独立しており、重要な利害関係を有しません。また、潮見坂総合法律事務所に対する報酬は、本株式交換の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本株式交換の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
(ⅲ)当社における利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得
(a) 設置の経緯
当社は、2022年7月12日開催の当社の取締役会において、当社の少数株主保護を目的として、本株式交換における株式交換対価の公正性の担保、本株式交換の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の観点から本株式交換の公正性を担保する措置の一つとして、意思決定の恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立することを目的として、当社及び三菱地所から独立した当社社外取締役である小林由人氏、当社及び三菱地所から独立した社外有識者であってM&A業務に携わる弁護士として本株式交換の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される柴田堅太郎氏(弁護士、柴田・鈴木・中田法律事務所)並びに当社及び三菱地所から独立した社外有識者であってM&Aアドバイザリー業務に携わる公認会計士・税理士として本株式交換の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される鏡高志氏(公認会計士・税理士、税理士法人髙野総合会計事務所及び髙野総合コンサルティング株式会社)の3名から構成される特別委員会を設置いたしました(社外有識者である特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、時間報酬又は固定報酬を支払うものとされております。)。また、同日の取締役会において、特別委員会に対し、(a)本株式交換の目的の合理性(本株式交換が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)、(b)本株式交換の取引条件の妥当性(本株式交換の実施方法や対価の妥当性を含む。)、(c)本株式交換の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)及び(d)本株式交換に対して当社取締役会が賛成することの是非(以下「本諮問事項」と総称します。)を諮問しました。なお、当該取締役会において、本株式交換に係る意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本株式交換について妥当でないと判断した場合には、本株式交換を行う旨の意思決定を行わないことを決議しております。加えて、①当社が三菱地所と本株式交換の取引条件について協議・交渉するにあたり、事前にその方針を特別委員会に報告した上で、適時にその状況を特別委員会に報告し、重要な局面において、その意見、指示及び要請を受けるものとすると共に、当社に対し(a)特別委員会としての提案その他の意見又は質問を三菱地所に伝達すること、及び(b)特別委員会自ら、三菱地所と協議する機会の設定を要望することができる権限、②特別委員会が必要と判断する場合には、当社の費用により、自ら財務又は法務等のアドバイザーを選定する権限、③当社が選定したアドバイザーを承認する(事後承認を含む。)権限、④当社の費用負担の下、本株式交換に係る調査(本株式交換に関係する当社の役員若しくは従業員又は本株式交換に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討及び判断に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含む。)を行う権限並びに⑤本株式交換のために講じるべき公正性担保措置の程度を検討し、必要に応じて意見・提言する権限を特別委員会に付与する旨も決議しております。
なお、上記の各決議は、下記「(ⅳ)当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」に記載の方法により行っております。
(b) 検討の経緯
特別委員会は、2022年7月29日より同年9月16日までの間に合計6回にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有、審議及び意思決定を行うなどして、本諮問事項について、慎重に協議及び検討を行いました。
具体的には、特別委員会は、まず、各委員、当社のリーガル・アドバイザーである潮見坂綜合法律事務所及び当社の第三者算定機関であるプルータス及び日本ホテルアプレイザルの独立性を確認の上、その選任を承認しました。また、特別委員会は、潮見坂綜合法律事務所からの法的助言を受けつつ、当社が社内に構築した本株式交換の検討体制(本株式交換に係る検討、交渉及び判断に関与する当社役員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことを確認しております。
その上で、当社の執行陣から、事業内容、三菱地所との関係、現在の経営環境に関する認識、経営環境を踏まえた主要な経営課題・施策、株式価値算定の前提となる当社の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の作成手続・内容、本株式交換のメリット・デメリット、本株式交換の代替手段等について説明を受けるとともに質疑応答及び資料の提出要請を行い、本株式交換の目的及び本事業計画の合理性を確認しました。また、特別委員会は、三菱地所に対して本株式交換の背景・目的、本株式交換実行後の経営方針等及び本株式交換のストラクチャー等に関する質問を行って回答を入手しました。また、特別委員会は、プルータス及び日本ホテルアプレイザルから、株式価値算定及び不動産鑑定に関する資料の開示を受け、算定方法の選択理由、各算定方法における算定過程(本事業計画の内容及び算定の前提条件等を含む。)、算定結果等について説明を受け、質疑応答を行いました。加えて特別委員会は、本株式交換対価の交渉経緯について当社及び潮見坂綜合法律事務所から適時に報告を受け、重要な局面においては交渉方針について意見を述べ、又は指示や要請を行うなどして、三菱地所との間の本株式交換対価に関する条件交渉に実質的に関与しました。更に特別委員会は、本株式交換に関する開示書類ドラフトの内容を確認しました。
(c) 答申の概要
(a)本株式交換の意義及び目的に係る当社による上記の説明及びこれに関する三菱地所の回答には不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められることを踏まえると、本株式交換により企業価値の向上に資することを含め、本株式交換の目的につき合理性を疑わせる事情は認められず、本株式交換の目的は合理性があると認められる。(b)本株式交換の実施方法、対価ともに妥当と考える。(c)本件では、本株式交換における当社取締役会の意思決定の公正性を担保し、利益相反を回避するために上記措置が採られていることが認められるほか、本株式交換の諸条件について、当社の少数株主等の利益保護の観点から慎重に協議・交渉が行われたことが認められる。以上より、本株式交換に係る交渉過程の手続には公正性が認められると考える。及び(d)上記(a)乃至(c)において検討した諸事項を総合的に考慮し、当社の少数株主にとって不利益となる事情は見当たらないことから、当委員会は本株式交換に対して当社取締役会が賛成することは相当と考える。
(ⅳ)当社における利害関係を有しない取締役全員の承認
本株式交換に関する議案を決議した本日開催の当社の取締役会においては、当社の取締役6名のうち、水村慎也取締役及び鈴木智久取締役は三菱地所又は三菱地所グループの役職員を兼務しているため、利益相反を回避する観点から、水村慎也取締役及び鈴木智久取締役を除く4名の取締役において審議の上、その全員一致により上記の決議を行っております。なお、水村慎也取締役及び鈴木智久取締役は、上記取締役会における本株式交換に関する審議には参加しておらず、当社の立場において本株式交換に係る協議及び交渉に参加しておりません。
なお、本日開催の当社の取締役会の決議に加わった4名の取締役のうち、渡邉利之取締役及び岸勝弘取締役(以下「対象取締役」といいます。)については、三菱地所の業務の執行や経営への関与はないものの、三菱地所における従業員としての籍を保有する三菱地所からの出向者であることに鑑み、利益相反の可能性を排除する観点から、当社は、三菱地所より、①対象取締役は、三菱地所の業務の執行や経営への関与はなく、三菱地所における任務はないこと、②本株式交換に関して、当社の立場において三菱地所と協議・交渉を行う場合を除き、三菱地所と対象取締役との間で本株式交換に関する連絡・情報交換を行わないこと等を確認する確認書を、2022年7月6日付で取得しております。これを受けて、当社は、対象取締役が本株式交換について当社の立場で審議・決議に参加することに支障はないと判断しておりますが、利益相反の可能性を可能な限り排除する観点から、念のため、上記取締役会においては、(ⅰ)対象取締役を除く2名の取締役で審議し、全員の賛成により決議を行った上で、(ⅱ)取締役会の定足数の確保の観点も踏まえ、対象取締役を加えた4名の取締役において改めて審議し、全員の賛成により決議を行うという二段階の手続を経ております。
また、本株式交換に関する議案を決議した本日開催の当社の取締役会においては、当社の監査役2名のうち相川雅彦監査役及び石田岳生監査役は三菱地所又は三菱地所グループの役職員を兼務しているため、利益相反を回避する観点から、上記取締役会における本株式交換に関する審議には参加しておらず、当社の立場において本株式交換に係る協議及び交渉に参加しておりません。
(5) 本株式交換の後の株式交換完全親会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
商号三菱地所株式会社
本店の所在地東京都千代田区大手町一丁目1番1号
代表者の氏名吉田 淳一
資本金の額142,414百万円
純資産の額現時点では確定しておりません。
総資産の額現時点では確定しておりません。
事業の内容オフィスビル・商業施設などの開発、賃貸、管理
収益用不動産の開発、資産運用
住宅用地・工業用地などの開発、販売
余暇施設などの運営
不動産の売買、仲介、コンサルティング

以 上