有価証券報告書-第54期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/25 13:06
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成26年4月1日~平成27年3月31日)の日本経済は、円安・株高が進行する中、消費税率引き上げ後の個人消費に弱さがみられたものの、企業収益や雇用・所得環境に改善がみられ、緩やかながら回復基調で推移しました。
このような状況の中で、「安全・安心」に対する社会的ニーズはますます多様化・高度化しており、当社グループは、“いつでも、どこでも、誰もが安全・安心に暮らせる社会”を実現する「社会システム産業」の構築を目指し、セキュリティサービス事業をはじめ、防災事業、メディカルサービス事業、保険事業、地理情報サービス事業、情報通信事業および不動産・その他の事業で、お客様のニーズに合致した、質の高いサービス・商品を提供することに努めました。また、更なる成長に向けて、各事業のサービスがそれぞれ自立しつつも、相互の連携を更に深め、より一層の相乗効果を生み出すことを目的に、“ALL SECOM”(セコムグループ総力の結集)を継続的に推進しました。さらに、今後の日本の社会を見据えて、「セキュリティ」をベースに「超高齢社会」、「災害・BCP(事業継続計画)・環境」といったキーワードを切り口として、“ALL SECOM”により新たなサービスを創出する取り組みを推進し、平成26年12月に健康・医療・看護・介護などに関するあらゆる相談・問い合わせにセコムの看護師・保健師・栄養士などの専門スタッフがワンストップで対応する「セコムメディカルサポートセンター」を開設しました。これにより、「セキュリティ」分野の「セコム・コントロールセンター」・「災害・BCP(事業継続計画)・環境」分野の「セコムあんしん情報センター」に「超高齢社会」分野のセンターが加わり、これら3つのセンターが連携を深めることで“ALL SECOM”による「安全・安心・快適・便利」な明るい未来の実現に向けた取り組みを加速しました。
この結果、当連結会計年度における連結売上高は8,407億円(前期比2.2%増加)となり、営業利益は1,236億円(前期比3.0%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益92億円(前連結会計年度は40億円)を計上したことなどにより、1,366億円(前期比7.9%増加)、当期純利益は753億円(前期比7.9%増加)となりました。なお、売上高、営業利益、経常利益および当期純利益はいずれも過去最高を達成することができました。
事業別にみますと、セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。当連結会計年度も、お客様のニーズを的確に把握し、最適なサービスを提供することにより、お客様の満足度向上とリレーション強化につなげ、長期にわたりお客様に「安全・安心・快適・便利」を提供することに努めました。
事業所向けでは、当連結会計年度も高度な画像認識技術を搭載した「セコムAX」、出入管理機能によって労務管理などを効率化しお客様のコスト削減を可能にする「セコムLX」、設備制御機能を持つ「セコムFX」など、付加価値の高いオンライン・セキュリティシステムの拡販に努めました。また、食の安全問題や個人情報の漏えい事件を契機とした防犯や監視のニーズの高まりに応え、次世代型防犯カメラシステム「セコムNVRシステム」を発売し、そのオプションとして同システムで取得した画像データをセコムのデータセンターでお預かりする「セコム画像アーカイブサービス」を開始しました。
家庭向けでは、平成26年6月にホームセキュリティのご契約数が100万件を突破するなど、ご家庭の「安全・安心・快適・便利」なサービスへの高いニーズが続いており、当連結会計年度もホームセキュリティに生活に身近なサービスを提供する機能を付加した「セコム・ホームセキュリティ G-カスタム」の拡販に努めました。
海外では、ミャンマーで本格的なセキュリティサービスを開始するなど、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特徴とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めました。また、海外進出する日本企業への提案活動の強化を図りました。
当連結会計年度は事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)や、監視カメラシステムなどの安全商品の販売が好調だったことおよび大型セキュリティシステムの売上の増加などにより、売上高は4,688億円(前期比2.1%増加)となり、営業利益は1,079億円(前期比2.0%増加)となりました。
防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といったさまざまな施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備等の各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。また、海外でも新製品を投入するとともに、東南アジアでセキュリティサービス事業との連携を深めるなど、国際事業の強化を図りました。
当連結会計年度の売上高は1,211億円(前期比0.7%減少)となりましたが、営業利益は業務効率化などによる原価低減、販売費及び一般管理費の減少などにより、119億円(前期比14.3%増加)となりました。
メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービス等の在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等さまざまなメディカルサービスを提供しております。当連結会計年度は、訪問看護、訪問介護、デイサービスおよび居宅介護支援のサービス拠点を集約した「セコム在宅総合ケアセンター鎌倉」や地域の医療機関、商業施設、高齢者支援機関などと連携した介護付有料老人ホーム「アライブ品川大井」を開設しました。
当連結会計年度は医薬品・医療機器などの販売が好調に推移したことなどにより、売上高は601億円(前期比11.9%増加)となりましたが、営業利益は原価率の上昇などにより、44億円(前期比3.4%減少)となりました。
保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」等、当社グループならではの保険の販売を推進しました。
当連結会計年度はセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」および火災保険が好調に推移したことなどにより、売上高は377億円(前期比5.4%増加)となり、営業損益は自然災害などの発生損害の減少などにより、前連結会計年度の4億円の営業損失から当連結会計年度は19億円の営業利益となりました。
地理情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。当連結会計年度も、国内外でニーズが高まる社会インフラ整備や維持管理、災害対策などに空間情報技術で応えることに注力しました。
当連結会計年度は国内の公共部門および海外部門が減収となったことにより、売上高は527億円(前期比3.5%減少)となり、営業利益は原価率の上昇などにより、22億円(前期比46.4%減少)となりました。
情報通信事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援や情報セキュリティ、クラウドサービスを提供しております。当連結会計年度は、被害が急増するネットバンキングの不正送金被害を防止する「セコム・プレミアムネット」や、企業の取締役会議事録を電子化してセコムのデータセンターで厳重に保管する「セコム議事録電子化サービス」を販売開始しました。
当連結会計年度の売上高は477億円(前期比0.1%増加)となりましたが、営業利益はデータセンターの運営費用の増加などにより、47億円(前期比14.8%減少)となりました。
不動産・その他の事業には、防犯・防災対策を充実させたマンションの開発・販売、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。
当連結会計年度は不動産開発・販売事業が減収となりましたが、平成26年3月末より新たに連結子会社となった株式会社東光クリエートの寄与などにより、売上高は522億円(前期比6.5%増加)となり、営業利益は48億円(前期比12.9%増加)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー117,067130,84613,778
投資活動によるキャッシュ・フロー△ 89,485△ 65,18424,300
財務活動によるキャッシュ・フロー△ 21,750△ 49,790△ 28,040
現金及び現金同等物に係る換算差額2,0301,401△ 629
現金及び現金同等物の増減額7,86317,2739,409
現金及び現金同等物の期首残高216,580224,4437,863
現金及び現金同等物の期末残高224,443241,71617,273

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,308億円の資金の増加(前連結会計年度は1,170億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,272億円、減価償却費476億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額501億円、たな卸資産の増加額112億円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で651億円の資金の減少(前連結会計年度は894億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、投資有価証券の取得による支出514億円、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出471億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入382億円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で497億円の資金の減少(前連結会計年度は217億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、配当金の支払額381億円、短期借入金の減少額82億円であります。また、主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入90億円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ172億円増加して2,417億円となりました。