有価証券報告書-第59期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

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2014/03/31 10:32
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業績等の概要

(1) 業績の概況
当期における我が国経済は、前年末来の金融市場の改善や経済対策を背景に、マインド面の改善も加わって、緩やかな回復基調にあったものと思われます。個人消費は雇用・所得環境が改善する中で、年前半を中心に持ち直し、その後中盤からは経済対策の効果で公共投資が拡大しました。また、円安や海外経済の改善を受け、輸出も回復傾向となりました。年後半に入ると、企業収益の改善もあって懸念された設備投資に好転の兆しが見られ、住宅投資や耐久消費財には消費税率引き上げ前の駆け込み需要による増加が見られました。
広告業界においても、経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、国内景気の回復基調を背景に、4月以降、売上高合計が前年同月比100%超に転じ、8月以降は103%以上の伸長となりました。ただし、金融政策や公共投資等の財政政策による下支えの効果によるところも大きく、本年も広告支出の伸長が継続するかどうかについては予断を許さない状況です。
このような環境の下、当社グループでは広告主のコミュニケーション投資効果(ROI)の最大化を重視したコミュニケーション・プログラムを提供するとともに、新興国・中国市場やコンテンツ事業においても積極的なビジネスを展開したものの、テレビ広告の扱い減、また地方および海外における売上の減少等により、売上面では前年を下回りました。売上総利益・営業利益においては、引き続き売上原価の厳格な管理、販売費及び一般管理費の節減に取り組んでまいりましたが、前年を下回る結果となりました。
当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであります。
売上高は3,427億86百万円(前年同期比2.3%減)、売上総利益は451億4百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益は13億83百万円(前年同期比56.4%減)でありました。経常利益は、受取配当金18億円や受取利息2億64百万円などを計上した結果、43億27百万円(前年同期比18.6%減)でありました。
特別損益は、投資有価証券売却益42億32百万円などにより、特別利益45億94百万円を計上し、特別退職金や固定資産除却損などにより、特別損失33億21百万円を計上しました。以上の結果、税金等調整前当期純利益は56億円(前年同期比37.6%増)、当期純利益は34億30百万円(前年同期比23.3%増)でありました。
当連結会計年度の報告セグメント別の業績の詳細は、以下のとおりであります。
(広告業)
広告業における外部顧客への売上高は3,380億83百万円(前年同期比1.8%減)、セグメント利益は22億61百万円(前年同期比37.0%減)でありました。
売上高については、国内子会社、海外子会社とも増収でありましたが、当社単体は減収でありました。セグメント利益については、当社単体、国内子会社、海外子会社ともに減益でありました。
なお、グループの中核である当社単体の業績、区分別・業種別売上は以下のとおりであります。
売上高は2,960億65百万円(前年同期比2.4%減)、売上総利益は321億75百万円(前年同期比1.9%減)でありました。引き続き販売費及び一般管理費の圧縮に努めましたが、固定費の割合が大きいことから減益が響き、営業利益は11億66百万円(前年同期比13.0%減)でありました。
区分別売上ではデジタルメディア広告、OOHメディア広告、雑誌広告が前年同期に比べ増収となり、他の区分は減収となりました。
業種別売上では金融・保険、ファッション・アクセサリー、外食・各種サービス、薬品・医療用品などの業種の広告主からの出稿が増加しましたが、情報・通信、化粧品・トイレタリー、食品、交通・レジャーなどの業種の広告主からの出稿が減少しました。
当社単体の区分別の売上高、その構成比と前年同期増減率は以下のとおりであります。
区分別売上(注)当期売上高
(百万円)
構成比
(%)
前年同期比
(%)



雑誌広告14,1674.81.3
新聞広告20,5366.9△2.2
テレビ広告136,20746.0△4.1
ラジオ広告3,0661.0△0.3
デジタルメディア広告11,2153.824.3
OOHメディア広告9,5633.27.0
小 計194,75765.8△1.7





マーケティング・プロモーション57,23219.3△2.5
制作その他44,07614.9△5.5
小 計101,30834.2△3.9
合 計296,065100.0△2.4

(注) 1 広告市場の成熟化やメディア環境の多角化に伴い、当社は広告主にクロス・コミュニケーション・プログラムを提供しており、媒体別の売上を厳密に分別することが困難な場合があります。従って、上記の区分別売上は厳密に媒体別の売上を反映していないことがあります。
2 テレビには、タイム、スポット、コンテンツが含まれます。
3 デジタルメディアには、インターネット、モバイル関連メディアが含まれます。
(WEBサイト制作・システム開発などデジタルソリューションは「マーケティング・プロモーション」に含まれます)
4 OOH(アウト・オブ・ホーム)メディアには、交通広告、屋外広告、折込広告などが含まれます。
5 マーケティング・プロモーションには、マーケティング、コミュニケーション・プランニング、プロモーション、イベント、PR、博覧会事業、デジタルソリューションなどが含まれます。
雑誌広告区分については、全般的な広告主の予算削減の中、情報・通信、化粧品・トイレタリー、薬品・医療用品などの業種の広告主からの出稿が減少したものの、ファッション・アクセサリーや飲料・嗜好品、流通・小売業などの業種の広告主からの出稿が増加となりました。以上の結果、売上高は141億67百万円(前年同期比1.3%増)でありました。
新聞広告区分については、自動車・関連品、飲料・嗜好品、食品などの業種の広告主からの出稿が増加しましたが、交通・レジャー、官公庁・団体や不動産・住宅設備などの業種の広告主からの出稿が減少し、同区分の売上高は205億36百万円(前年同期比2.2%減)でありました。
テレビ広告区分のうち、番組提供広告(タイム)については、金融・保険、流通・小売業、自動車・関連品などの業種の広告主からの出稿が増加したものの、化粧品・トイレタリー、情報・通信、食品などの業種の広告主からの出稿が減少しました。スポット広告については、金融・保険、ファッション・アクセサリー、飲料・嗜好品などの業種の広告主からの出稿が増加したものの、情報・通信、化粧品・トイレタリー、交通・レジャーなどの業種の広告主からの出稿が減少しました。アニメコンテンツ分野については、前年に引き続きアニメ配信サイトやモバイルでの動画配信の推進、また新しいアニメコンテンツの開発、人気コンテンツの活用などに取り組みましたが、減収となりました。以上の結果、テレビ広告区分全体の売上高は1,362億7百万円(前年同期比4.1%減)でありました。
ラジオ広告区分については、金融・保険、自動車・関連品、薬品・医療用品などの業種の広告主からの出稿が増加しましたが、食品、交通・レジャー、情報・通信などの業種の広告主からの出稿が減少した結果、売上高は30億66百万円(前年同期比0.3%減)でありました。
デジタルメディア広告区分については、官公庁・団体、交通・レジャー、不動産・住宅設備などの業種の広告主からの出稿が減少したものの、金融・保険、化粧品・トイレタリー、外食・各種サービスなどの業種の広告主からの出稿が増加した結果、売上高は112億15百万円(前年同期比24.3%増)でありました。
OOHメディア広告区分については、情報・通信、不動産・住宅設備、精密機器・事務用品などの業種の広告主からの出稿は減少しましたが、教育・医療サービス・宗教、自動車・関連品、化粧品・トイレタリーなどの業種の広告主からの出稿が増加しました。以上の結果、売上高は95億63百万円(前年同期比7.0%増)でありました。
マーケティング・プロモーション区分については、イベント、販促ツールなどの個別プロモーション事業に加え、前期に続き、クライアントの“売上増に直接貢献する企画提案”ニーズに対応し、店頭マーチャンダイジングやデジタルソリューションを活用した複合型コミュニケーションの開発に努めてまいりました。しかしながら、飲料・嗜好品、流通・小売業、教育・医療サービス・宗教などの業種の広告主からの受注が減少し、売上高は572億32百万円(前年同期比2.5%減)でありました。
制作その他区分のうち、その売上の大半を占める制作分野については、飲料・嗜好品、ファッション・アクセサリー、金融・保険などの業種の広告主からの出稿が増加しましたが、情報・通信、自動車・関連品、化粧品・トイレタリーなどの業種の広告主からの受注が減少し、同区分全体の売上高は、440億76百万円(前年同期比5.5%減)でありました。
(その他の事業)
その他の事業である雑誌・書籍の出版・販売部門におきましては、出版市場全体の縮小に伴い収益確保が困難である環境下、原価削減に努めましたが、雑誌、一般書籍の返本増加などにより減収減益となり、外部顧客への売上高47億3百万円(前年同期比29.7%減)、セグメント損失は8億78百万円(前年同期は4億25百万円の損失)でありました。
(2) 海外売上
当社グループの海外売上高は、すべて広告業セグメントのものであり、当期連結売上高の8.6%(前年同期は7.8%)でありました。
(3) 目標とする経営指標とその達成状況
当社グループが目標とする主な経営指標とその最近の実績は以下のとおりであります。
決算年月平成22年12月平成23年12月平成24年12月平成25年12月中期目標
平成28年12月
連結
営業利益
22百万円3,852百万円3,175百万円1,383百万円7,000百万円
連結
売上総利益成長率
1.6%9.1%0.7%△2.3%15%
(平成25年
~28年)
連結
オペレーティング・
マージン(注)
0.1%8.4%6.9%3.1%13.0%
以上

注:(オペレーティング・マージン)=(営業利益)÷(売上総利益)
当連結会計年度については、連結オペレーティング・マージンが3.1%、当社単体当期オペレーティング・マージンが3.6%と、いずれも平成25年8月に公表した業績指標に達しませんでした。デジタルメディア、コンテンツ事業および地域別にはタイ等アジアの業績は順調に推移し、売上総利益が伸長したものの、他の区分において売上総利益の伸長が不足し、経営指標の改善を図ることはできませんでした。引き続き経済環境は予断を許さない状況にあるため、経営計画で掲げた施策を着実かつ迅速に遂行して経営効率の回復、向上に努力してまいります。
連結EPSおよび連結ROEの実績と目標
決算年月平成22年12月平成23年12月平成24年12月平成25年12月
連結EPS(円)△110.2854.3765.8381.79
連結ROE(%)△4.52.32.72.9


(4) 財政状態およびキャッシュ・フローの状況
① 資産、負債および純資産の状況
前連結会計年度末(平成24年12月31日)と比較した当連結会計年度末の財政状況は以下のとおりです。
資産合計は、保有投資有価証券を一部売却したものの、外貨建投資有価証券の円安に伴う時価の上昇などのため投資有価証券が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ330億7百万円多い、2,281億70百万円でありました。負債合計は、前述の投資有価証券の時価上昇に起因する繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末より115億93百万円多い、971億97百万円でありました。純資産合計は、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末より214億13百万円多い、1,309億72百万円でありました。少数株主持分と新株予約権を除く自己資本比率は56.9%(前年同期比1.3ポイント上昇)でありました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動と投資活動による収入超が財務活動による支出超を31億9百万円上回り、為替の換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より51億46百万円増加して、324億10百万円でありました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が56億円となり、売上債権が39億60百万円減少したことなどにより、31億75百万円の収入超(前年同期は25億81百万円の収入超)でありました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が91億52百万円であったことなどにより、62億70百万円の収入超(前年同期は17億19百万円の支出超)でありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が46億87百万円であったことなどにより、63億36百万円の支出超(前年同期は11億84百万円の支出超)でありました。