有価証券報告書-第43期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

【提出】
2016/05/25 16:41
【資料】
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【項目】
123項目

業績等の概要

(1)経営成績に関する分析
(当社を取り巻く経営環境)
当連結会計年度(平成27年3月1日~平成28年2月29日)は、国内では人手不足感が高まり、労働力の確保が経営課題となりました。こうした中、当社が提供する総合ファシリティマネジメントサービス(総合FMS)事業におきましては、人材の採用・育成に注力すると共に各事業で継続的な業務生産性の向上に努めました。更に、ITを活用したオペレーションの効率化・省人化等、従来の業務の在り方そのものの刷新に向けた取り組みにも本格的に着手しました。
清掃事業における事業基盤強化を目的に平成27年12月に株式公開買付を通じて、株式会社白青舎を完全子会社化しました。また、平成28年1月に株式会社穴吹ハウジングサービスとの間で、当社国内マンション管理事業部門を承継する会社分割を行うことを決議し、会社分割契約書を締結しました。
海外においては、経済情勢とは対照的にサービスの需要拡大を続ける中国や、東南アジア諸国連合経済共同体(AEC)の発足により、一段の経済成長が見込まれる同地域での事業基盤強化を進めました。中国では、経営の現地化を目的に現地中核子会社を中心とした組織再編を実施しました。マレーシアでは、清掃事業の拡大を加速すべく地場有力企業との業務提携を締結しました。
(顧客の拡大)
国内では、新規開業の大型商業施設、医療関連施設、大学、ホテル、研究所等へサービスの提供を開始しました。とりわけ、病院・介護施設市場では、一昨年より開発を進めてきた「衛生清掃」により大規模病院を中心に受託を大幅に拡大しました。
中国では新たに開業した大型商業施設の他、中華系の百貨店、オフィスビル、インフラ施設等へサービスの提供を拡大しました。マレーシアでは事業基盤強化を行い、清掃や設備管理事業の受託を拡大しました。ベトナムでは平成27年4月にハノイ支店を新設し、新規開業の大型商業施設を含む、様々な用途の施設へサービスの提供を開始しました。これらの結果、海外事業での売上高は大幅に伸長しました。なお、今後もマーケットの拡大が見込まれる中国・アセアンでの成長を目指し、同地域へ積極的に経営資源を振り向けてまいります。
(競争優位性の確立)
・衛生清掃の進化
衛生清掃事業では、サービスの提供範囲を施設の共有部分から病院の手術室や集中治療室、工場のクリーンルーム等のより高度な清浄度が求められる場所にまで拡大すべく、細菌やウィルスの検査・分析体制の整備に着手しました。また、感染対策に関する先端の技術や知見獲得、及び同分野におけるネットワークづくりを目的に、有識者により構成される研究会へ参加すると共に医療関係者を対象とした学術セミナーを開催しました。
・清掃改革の推進
清掃事業の中長期的な競争優位を確保すべく、各施設の特徴を踏まえたマニュアル作り、並びに水溶性コーティング剤や清掃ロボットの実用化に向けた取り組みに着手しました。
・次世代施設管理モデルの構築
設備管理事業では、業務の効率化、及びお客さまのコスト削減を実現する新事業モデル構築を目指し、各種センサーや無線通信を活用した設備管理サービスの実証実験に取り組みました。
・品質管理体制の強化
品質管理体制の強化に向けて、日本国内の400名を超える全ての現場責任者を対象にISO内部監査における監査リーダー養成教育を実施しました。現場単位のセルフチェックはもとより現場間での相互監査によりサービス品質の維持・向上を実現してまいります。
(経営成績)
こうした取り組みの結果、当連結会計年度(平成27年3月1日~平成28年2月29日)の売上高は、大規模病院を中心とした新規受託に加え、国内外子会社の成長、並びに完全子会社化した株式会社白青舎の寄与等により、2,810億41百万円(対前年比105.4%)となりました。利益面では、生産性向上と効率化に向けた施策の推進と同時に人材採用・教育をはじめ将来の成長に向けた投資を行った結果、営業利益167億7百万円(同105.3%)、経常利益166億84百万円(同104.6%)、当期純利益96億58百万円(同110.7%)となりました。これらの結果、当社は、6期連続増収、12期連続増益、過去最高益を更新しました。
当連結会計年度における主要事業の概況
セグメント名称売上高(百万円)構成比(%)前年比(%)
設備管理事業48,96217.4106.8
警備事業38,45613.7105.0
清掃事業47,87017.0108.1
建設施工事業43,85515.6104.5
資材関連事業50,51618.0106.1
自動販売機事業32,74111.794.0
サポート事業18,6396.6119.9
合計281,041100.0105.4

・設備管理事業は、売上高489億62百万円(対前年比106.8%)となり前年を上回る結果となりました。保守・点検業務の新規受託に加えて、フロン管理代行サービスの受託を拡大しました。さらに、同サービスの拡大に向けて「第一種冷媒フロン類取扱技術者」の養成を推進しました。全国に約520名の同資格保有者を配置することで空調熱源設備・冷凍冷蔵設備といったフロン使用機器を設置している施設に向けた同サービスの供給体制を強化しました。
・警備事業は、売上高384億56百万円(対前年比105.0%)となり前年を上回る結果となりました。新規施設の常駐警備に加え、開業に伴う臨時警備を受託しました。また、安全・安心に関するニーズが多様化する中、ITを活用した警備関連システムや事件・事故情報分析による予知化に向けたシステムの開発に着手しました。さらに、今後拡大が見込まれるインバウンド需要を見据え、商業施設に接遇サービスを展開するアテンダーの多言語対応を進めました。
・清掃事業は、売上高478億70百万円(対前年比108.1%)となり前年を上回る結果となりました。新規受託に加えて、医療関連施設に向けた独自の衛生清掃モデルにより病院・介護施設の受託を拡大することができました。また、生産性向上を目的とした業務の標準化に加え、前期より取り組みを進めている現場単位の小集団活動「働きやすさ追求活動」を推進することで従業員の士気向上、及び継続的な品質改善に取り組みました。
・建設施工事業は、売上高438億55百万円(対前年比104.5%)となり前年を上回る結果となりました。積極的な投資を進めるお客さま施設への提案により、活性化・原状回復・省エネ等、多くの工事を受託しました。さらに、安全・安心・快適、資産価値向上の観点から管理物件の保守・点検活動を積極的に行い、その改善提案を通じて工事の受託を拡大することができました。また、見積の精査、及び適切な施工管理により収益性の向上を図りました。
・資材関連事業は、売上高505億16百万円(対前年比106.1%)となり前年を上回る結果となりました。新規の顧客開拓に加え、既存取引先の新たな需要を取り込むことで、順調に取引を拡大することができました。また、資材の調達・開発の強化、及び物流コストの削減により収益性の向上を図りました。
・自動販売機事業は、新規設置に伴う機械売上が発生した前年の反動により売上高327億41百万円(対前年比94.0%)となり前年を下回る結果となりました。事業競争力の向上を目指し、キャラクターデザインを使用した飲料商品を開発すると共に、専用自販機の設置を拡大しました。更にデジタルサイネージ型自販機では従来の飲料販売に加え、動画による広告枠の提供等、自動販売機の新たな付加価値創出に向けた取り組みを進めました。
・サポート事業は、売上高186億39百万円(対前年比119.9%)となり前年を大きく上回る結果となりました。株式会社カジタクでは、家事代行サービスをパッケージ化した「家事玄人(カジクラウド)」の販売がインターネット通販を含めて好調に推移し、売上高が前年比約1.4倍に拡大しました。これにより同セグメントの売上高、及び収益性の向上に寄与しました。
なお、セグメント間の内部売上高又は振替高を調整後のセグメント利益は、設備管理事業については、42億6百万円(対前年比99.7%)、警備事業では30億32百万円(対前年比97.7%)、清掃事業では60億31百万円(対前年比95.9%)、建設施工事業では32億18百万円(対前年比114.7%)、資材関連事業では28億6百万円(対前年比132.9%)、自動販売機事業では28億46百万円(対前年比96.0%)、サポート事業では19億72百万円(対前年比152.0%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ39億97百万円(25.8%)増加し、194億73百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上165億26百万円、減価償却及びのれん償却28億61百万円、売上債権の減少14億44百万円、仕入債務の減少25億32百万円、未払消費税等の減少13億22百万円及び法人税等の支払63億36百万円により、103億3百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に関係会社消費寄託金の寄託及び返還による純収入39億64百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出24億14百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出47億71百万円により、32億55百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払26億76百万円により、28億21百万円の支出となりました。