訂正有価証券報告書-第50期(平成28年10月1日-平成29年9月30日)

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2022/12/16 9:53
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、グローバルに成長を保ちつつも米国新政権の保護主義的政策がもたらす不安定さや英国のEU離脱問題、テロの脅威の西側先進諸国への拡大、またアジア新興国の成長と中国経済の減速など依然として不透明な状況が続いています。
一方、国内経済は、資源価格や為替レートの安定など世界経済の緩やかな成長基調の下、日銀の金融緩和や財政政策による景気の下支えにより雇用・所得環境の改善が進み、大きくは世界経済同様緩やかに成長基調が続いています。
建設コンサルタント業界では、近年益々顕在化する自然災害リスクを受け、国土強靭化の推進や社会資本の老朽化に対する適切な維持管理、長寿命化、更新など実効ある対策が求められています。また、東京オリンピック・パラリンピックや活性化するインバウンドへの対応、国内産業の下支えとなる効果的な物流・交通ネットワークの強化、さらには国内エネルギーの需要、供給政策のパラダイムシフトや急速に進む少子高齢化への備えなどが求められています。これらはいずれも我が国の根幹を担う政策であり、その実現に向けた建設コンサルタントが果たすべき役割は益々大きくなっています。
このような中、平成29年度当初予算が3月に成立し、厳しい財政状況下においても公共事業関係費は前年同水準の約6兆円となり、上述の国土強靭化対策等の推進や民間投資を誘発し日本の成長力を高める予算編成となっています。
当社グループにおきましては、当連結会計年度に「長大持続成長プラン2016」を策定し新たな取組みを開始いたしました。
当連結会計年度では国内において長大個別、連結とも期間売上高は前期を上回り、業務としては基幹事業である構造、道路、交通、環境などに加え、災害復旧や復興、維持管理やインフラ老朽化対策、またエネルギー関連事業に積極的に取り組みました。構造事業では橋梁設計の他、地震や台風による被害の復旧事業関連業務や耐震補強業務、大学との共同研究による橋梁点検ロボットの実用化に取組みました。また今後の設計手法を大きく変えるCIM(三次元モデルによる計画、設計、管理システム)の開発に業界をリードし携わりました。インフラマネジメント事業では維持管理に不可欠な各種点検や道路管理データベースなど、また交通需要予測や事業評価などの業務を多く実施いたしました。社会事業では基幹である環境、ITS、情報/電気通信システムの他、PPP/PFIや建築計画・設計等のまちづくり事業や港湾、河川防災事業においても安定的に売上げを伸ばしました。また当連結会計年度から本格スタートした防衛省関連事業においても受注件数を着実に伸ばすなど積極的に取り組みました。海外事業では基幹である橋梁設計、施工監理の他、鉄道建設関連事業においても積極的に取組むと共に、新たな顧客を開拓し複数年契約等の残受注を多く抱えるなど、これからの基幹事業としての成長が期待されています。
連結子会社である基礎地盤コンサルタンツ株式会社、株式会社長大テック、順風路株式会社はいずれも期間売上高が前期を上回り、連結業績に大きく貢献しました。特に基礎地盤コンサルタンツ株式会社では再生可能エネルギー関連事業に社をあげて取り組み、その結果、洋上風力発電事業や地熱発電事業に関する調査業務の受注、売上げを大きく伸ばすことができました。
上記の各事業を支える業務執行体制面では、当連結会計年度を働き方改革元年と位置付け、過去3年に亘り検討してまいりました諸施策を盛り込んだ抜本的な制度設計を実施し、翌連結会計年度から本格的に実行する働き方改革に備えました。今後はダイバーシティおよびワークライフバランスの取組みをグループ全体へと展開してまいります。
また当社では「コーポレートガバナンスにかかわる方針と取組み」を公表していますが、この基本方針の下、今後もより一層、透明、公正な意思決定を行い、持続的成長に向けた取り組みを着実に実施してまいります。
この結果、当連結会計年度における当社グループ全体の業績といたしましては、受注高は291億83百万円(前連結会計年度比7.7%増)、売上高は266億61百万円(同7.3%増)となりました。
利益面では、営業利益15億31百万円(同88.9%増)、経常利益16億89百万円(同156.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が10億60百万円(同1,326.7%増)といずれも前連結会計年度を上回りました。
セグメントの概況は次のとおりであります。
[コンサルタント事業]
当連結会計年度の受注高は281億76百万円(前連結会計年度比8.0%増)、売上高は260億60百万円(同7.9%増)となりました。
[サービスプロバイダ事業]
当連結会計年度の受注高は5億71百万円(前連結会計年度比18.3%減)、売上高は3億28百万円(同31.1%減)となりました。
[プロダクツ事業]
当連結会計年度の受注高は4億34百万円(前連結会計年度比36.0%増)、売上高は2億72百万円(同19.0%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は64億72百万円(前連結会計年度末の資金残高は43億14百万円で、前連結会計年度末と比べ21億57百万円の増加)となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な内訳は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は25億52百万円(前連結会計年度は14億5百万円の取得で、前連結会計年度と比べ11億47百万円の増加)となりました。
これは主に未成業務支出金の増加額6億6百万円、法人税等の支払額2億63百万円があったものの、税金等調整前当期純利益16億89百万円の計上、賞与引当金の増加額3億3百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は62百万円(前連結会計年度は4億83百万円の使用で、前連結会計年度と比べ4億21百万円の増加)となりました。
これは主に投資事業組合からの分配により1億51百万円の収入があったもの、有形固定資産の取得により1億83百万円、定期預金の預入に93百万円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3億79百万円(前連結会計年度は2億68百万円の使用で、前連結会計年度と比べ1億10百万円の減少)となりました。
これは主に長期借入金の返済に2億38百万円、配当金支払に89百万円支出したことによるものであります。