有価証券報告書-第61期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/29 9:54
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業績等の概要

(1) 業績
<事業環境>主力の国内教育事業領域では、ICT(情報通信技術)の進歩に伴い、パソコンやスマートフォン、タブレット等を活用したデジタル学習が急速に広がっています。既存の教育市場に新規参入の企業も加わり、競争が激化しています。また、小学校5・6年生での英語の教科化や、高等学校の英語授業での英語による指導等により、子どもの英語教育に対する保護者の関心が高まっています。
海外教育事業領域では、平成25年12月に中国において人口抑制策である「一人っ子政策」緩和の方針が決定され、平成26年の春から地方政府による緩和が順次始まっています。これにより、中国での出生数の増加が期待されています。
シニア・介護事業領域では、高齢化の進行に伴い、引き続き介護サービスへのニーズが拡大しています。平成23年に施行された「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律」(改正高齢者住まい法)では、サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進する方針が出されており、これを受けて、サービス付き高齢者向け住宅の登録数が増加しています。なお、平成27年度の介護報酬改定では、各サービスで基本報酬単価が引き下げられています。
語学・グローバル人材教育事業領域では、グローバル化の進展により、世界中でグローバルに活躍できる人材の育成ニーズが高まっています。また、留学や海外経験がキャリアに大きな影響を与えるようになってきたことに加え、主に新興国の経済成長に伴い、海外に学びの場やキャリアを求める学生が増えたことにより、世界的に留学者数が増加しています。加えて、eラーニングの拡大等、語学サービスの多様化が進んでいます。
<当期の業績概況>当期の連結業績は、対前期比減収減益となりました。また、特別損失の計上により当期純損失となりました。
連結売上高は、4,632億6千4百万円と、対前期比0.7%の減収となりました。
減収の主な要因は、国内教育事業領域において主力の通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の延べ在籍数が減少したこと、及び生活事業領域において通信販売事業、雑誌事業の減収や食材宅配事業の収束等に伴う減収があったことです。一方、シニア・介護事業領域において、高齢者向けホーム及び住宅数を拡大し入居者数が増加したこと、海外教育事業領域において、中国で通信教育講座の延べ在籍数が増加したこと、及び語学・グローバル人材教育事業領域において、円安による為替換算時のプラス影響があったこと等による増収がありました。
連結営業利益は、国内教育事業領域における「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の減収に伴う減益や、「進研ゼミ」の小学講座から高校講座のうち9学年でタブレット教材を導入したことによる費用の増加等により、292億2千7百万円と、対前期比18.4%の減益となりました。
連結経常利益は、268億3千8百万円と、対前期比23.8%の減益となりました。
また、お客様情報漏えいに伴う情報セキュリティ対策費260億3千9百万円を特別損失として計上したこと等により、連結当期純損失は107億5百万円(前期は199億3千万円の当期純利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[国内教育事業領域]
国内教育事業領域の連結売上高は、2,391億8千6百万円と、対前期比5.8%の減収となりました。
減収の主な要因は、主力の通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の延べ在籍数が、平成26年7月に公表したお客様に関する情報が外部に漏えいした影響等により、減少したことです。一方、学習塾事業は㈱東京個別指導学院を中心に売上を伸ばし、学校向け教育事業も高校生を対象とした学習・進路指導教材を中心に好調に推移しました。
営業利益は、学習塾事業及び学校向け教育事業の増収に伴う増益等があったものの、「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の減収に伴う減益や、「進研ゼミ」の小学講座から高校講座のうち9学年でタブレット教材を導入したことによる費用の増加等により、262億2百万円と、対前期比19.4%の減益となりました。
なお、平成26年11月4日付で、子ども向け英語教室事業を行う㈱ミネルヴァインテリジェンスの発行済全株式を取得しました。
また、平成27年4月の国内通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員数は、271万人と、対前年同月比94万人の減少となりました。
[海外教育事業領域]
海外教育事業領域の連結売上高は、210億6百万円と、対前期比17.9%の増収となりました。
増収の主な要因は、中国で通信教育講座の延べ在籍数が増加したこと、及び円安による為替換算時のプラス影響です。一方で、韓国で通信教育事業を行っていたBenesse Korea Co., Ltd.の全株式をKorea Yakult Co., Ltd.に譲渡したことに伴う減収がありました。
営業利益は、増収に伴う増益等により、13億6千7百万円と、前期の6億9千8百万円の営業損失から黒字転換しました。
なお、ライセンス契約に基づく韓国での幼児向け通信教育講座の会員数を含む、平成27年4月の海外通信教育講座の会員数は106万人と、対前年同月比14万人の増加となりました。
[生活事業領域]
生活事業領域の連結売上高は、153億2千4百万円と、対前期比26.8%の減収となりました。
減収の主な要因は、平成26年7月に公表したお客様に関する情報が外部に漏えいした影響等による通信販売事業の減収、雑誌事業の減収、及び㈱ベネッセアンファミーユによる食材宅配事業の収束です。
利益面では、減収に伴う減益等により、営業損失が8億2千6百万円と、前期の2億3千2百万円から悪化しました。
[シニア・介護事業領域]
シニア・介護事業領域の連結売上高は、873億1千7百万円と、対前期比9.6%の増収となりました。
増収の主な要因は、高齢者向けホーム及び住宅数を前期比23ヵ所拡大し、入居者数が順調に増加したことです。
営業利益は、増収に伴う増益等があったものの、新規事業の立ち上げ費用の発生等により、56億1千万円と、対前期比4.4%の減益となりました。
なお、平成26年4月に㈱ベネッセパレットが在宅高齢者向け配食サービスを開始しました。平成26年6月には、㈱ベネッセシニアサポートを設立し、「ベネッセの介護相談室」を開始しています。また、平成26年8月に、サービス付き高齢者向け住宅「リレ府中白糸台」を開設しました。
[語学・グローバル人材教育事業領域]
語学・グローバル人材教育事業領域の連結売上高は、747億2百万円と、対前期比5.4%の増収となりました。
増収の主な要因は、円安による為替換算時のプラス影響です。
営業利益は、事業構造の改善による人件費の減少等により、26億9千9百万円と、対前期比45.9%の増益となりました。
[その他]
その他の連結売上高は、㈱TMJの増収等により、524億3千5百万円と、対前期比7.4%の増収となりました。
営業利益は、㈱TMJの増収に伴う増益等により、20億3千7百万円と、対前期比87.9%の増益となりました。
(注)1.上記「セグメントの業績」に記載している売上高は、「セグメント間の内部売上高又は振替高」を含んだ金額を記載しております。
2. 消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)に係る会計処理は、税抜方式によっているため、「(1)業績」に記載した金額には消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、平成26年4月1日の組織変更に伴い、報告セグメントの区分方法を変更しております。詳細につきましては「第一部 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
なお、前期との比較については、前期の数値を変更後の区分方法に基づき作成した数値で比較しております。
(販売実績)
セグメントの名称販売高(百万円)前期比
(%)
前期当期
国内教育事業領域
高校講座事業25,77322,56587.6
中学講座事業42,43437,97589.5
小学講座事業72,00567,76894.1
こどもちゃれんじ事業23,09021,05291.2
学校向け教育事業44,20545,540103.0
その他45,98943,91195.5
小計253,499238,81594.2
海外教育事業領域17,81821,006117.9
生活事業領域20,93815,32473.2
シニア・介護事業領域79,59887,271109.6
語学・グローバル人材教育事業領域70,83074,570105.3
その他23,71326,276110.8
合計466,399463,26499.3

(注)1.当連結会計年度より、平成26年4月1日の組織変更に伴い、報告セグメントの区分方法を変更しております。詳細につきましては「第一部 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
なお、前期の販売実績については、変更後の区分方法により作成しております。
2.「セグメント間の内部売上高又は振替高」は含んでおりません。
(国内教育事業領域における進研ゼミ事業の概要)
進研ゼミは、幼児から大学受験者までを対象とした通信教育講座であり、通信添削を中心として毎月継続的に行う家庭学習システムであります。各講座の延べ在籍数は次のとおりであります。
講座延べ在籍数(千人)
(4月~3月累計)
前期比
(%)
前期当期
高校講座3,0522,69888.4
中学講座7,5836,83890.2
小学講座18,97317,84594.1
こどもちゃれんじ13,06711,33086.7
合計42,67738,71390.7

(シニア・介護事業領域における高齢者向けホーム及び住宅数)
シリーズ高齢者向けホーム及び住宅数(ヵ所)
(3月末日)
増減数
(ヵ所)
前期当期
アリア20211
くらら40411
グラニー&グランダ9911213
まどか49523
ボンセジュール37381
ここち8113
リレ-11
合計25327623

(語学・グローバル人材教育事業領域におけるBer1itz Corporationの語学レッスン数)
地域語学レッスン数(千レッスン)
(1月~12月累計)
前期比
(%)
前期当期
アメリカズ1,9211,80393.9
ヨーロッパ3,0933,00697.2
アジア1,7231,68597.8
合計6,7376,49696.4

(注) 1.語学レッスン数は、直営センターにおける数値を示しております。
2. 平成23年8月にBerlitz Corporationの子会社となったTelelangue SAにおいて、顧客との契約期間終了時に未受講分を一括して語学レッスン数に含めておりましたが、同社の語学レッスン数を集計する管理基盤が整ったことから、当期、及び前期における契約期間終了時の未受講レッスン数を上記ヨーロッパ、及び合計の語学レッスン数から除いて表示しております。
なお、当期、及び前期から除いた同社の語学レッスン数は、それぞれ63千レッスン、及び100千レッスンであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、財務活動による資金の支出131億1千2百万円があったものの、営業活動による資金の獲得278億3千9百万円、投資活動による資金の獲得30億4千8百万円等により、191億1千9百万円増加し、1,129億5千5百万円(対前期比20.4%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
情報セキュリティ対策費の支払額213億6千6百万円、法人税等の支払額138億6千5百万円、及び前受金の減少109億5千4百万円があったものの、未収入金の減少71億1千2百万円、たな卸資産の減少60億5百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは278億3千9百万円の資金の獲得となりました。
また、前連結会計年度と比較して資金の獲得が44億5千6百万円減少(対前期比13.8%収入減)しておりますが、主に、たな卸資産の増減額が175億2百万円の収入増、未収入金の増減額が90億6千4百万円の収入増となったものの、情報セキュリティ対策費の支払額が213億6千6百万円発生したこと、前受金の増減額が140億3千5百万円の収入減となったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
ソフトウエアの取得による支出122億9千6百万円、有形固定資産の取得による支出63億1千9百万円があったものの、有価証券の取得・売却による収支が316億8千8百万円の収入等により、投資活動によるキャッシュ・フローは30億4千8百万円の資金の獲得となりました。
また、前連結会計年度と比較して資金の獲得が277億7千8百万円増加(前連結会計年度は247億2千9百万円の支出)しておりますが、主に、定期預金の純増減額が52億3千2百万円の支出増となったものの、有価証券の取得・売却による収支が338億7千9百万円の収入増となったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額91億3千7百万円、リース債務の返済による支出17億2千3百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは131億1千2百万円の資金の支出となりました。
また、前連結会計年度と比較して資金の支出が14億2百万円減少(対前期比9.7%支出減)しておりますが、主に、自己株式の取得による支出が37億1千9百万円減少したことによるものです。