訂正臨時報告書

【提出】
2021/04/06 14:48
【資料】
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提出理由

当社は、2021年3月19日開催の取締役会において、当社の普通株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2021年5月28日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものです。
なお、興和株式会社(以下「割当予定先」といいます。)を割当先とする払込金額の総額20億円の第三者割当による当社普通株式(50,000,000株)(以下「本新株式」といいます。)の発行(以下「本件第三者割当」といいます。)の後に、本株式併合を経て、割当予定先が当社を完全子会社とすること(以下「本件完全子会社化取引」といいます。)が企図されております。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

(1)本株式併合の目的
ア.当社の財務状況及び大規模な資本性資金の調達の必要性
近年、ブライダル市場は少子化に伴う婚姻組数の減少や価値観の多様化による結婚式実施率の低下等により事業環境が厳しさを増していましたが、2020年12月期における当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界的に経済活動が停滞し、企業収益の低下や雇用情勢の悪化が急速に進みました。当社の主たる事業であるブライダル業界におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの婚礼が延期やキャンセルとなる等、業界全体に深刻な影響を及ぼしており、大変厳しい状況となっています。
当社の「リゾート挙式」においては、新型コロナウイルス感染症拡大による世界各国での出入国規制や渡航制限の影響を受け、2020年2月後半以降、当社が取扱う海外ウェディング実行エリアの全挙式施設の催行が不能となりました。沖縄においては、同年4月の緊急事態宣言発令期間中は挙式運営を一時休止したものの、同年6月からの稼働再開後は徐々に回復傾向へと向かいました。しかしながら、感染症再拡大によりその勢いも鈍化し、多くの挙式が延期及びキャンセルとなりました。また、「ホテル・国内挙式」におきましては、ホテル雅叙園東京、メルパルクともに、2020年4月の緊急事態宣言発令期間中は、施設毎に休業及び一部営業自粛等の対応を実施いたしました。宣言解除後、婚礼においては一組当たりの列席人数が減少したものの、実行件数は徐々に回復基調へと向かいました。また、宿泊・レストラン等の館内施設の利用については、国内需要をターゲットとした営業施策を展開し、GO TOキャンペーン政策の追い風もあり一時回復をみせるものの、2020年末の感染症再拡大の影響を受け、再び低迷いたしました。
このような状況を受けて、当社では役員報酬の減額をはじめとした人件費や広告宣伝費の抑制、賃料減額交渉等、様々な費用削減対策を実施いたしました。また、このような厳しい経営環境が一定期間続くことを想定し、2020年6月に、コロナ禍へ迅速な対応とコロナ収束後の収益回復に備えるため「WATABE Sustainable Plan」を策定し、当社グループ全体で更なる対策を推進いたしました。運営効率化や固定費削減を図るべく、一部のリゾート挙式販売店並びに海外エリアの閉鎖・休眠・譲渡の実施、また、それら施策に伴う人員構成の最適化として希望退職の募集を行いました。さらに、お取引金融機関からの借入れや自社保有資産の売却を実施し、手元流動性確保に努める等、経営安定化に資する財務政策を進めました。
こうした施策にもかかわらず、2020年12月期の当社グループの業績は、売上高19,678百万円(前年同一期間比61.1%減)、営業損失10,983百万円(前年同一期間営業利益629百万円)、経常損失11,075百万円(前年同一期間経常利益886百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失11,738百万円(前年同一期間親会社株主に帰属する当期純利益208百万円)となりました。また、連結純資産につきましては、2019年12月期末より12,002百万円減少し、863百万円の債務超過となりました。新型コロナウイルス感染症の収束時期は引き続き不透明であり、今後の営業収益及び財務に及ぼす影響の程度や期間について不確実性があることから、2020年12月末時点において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる状況にあります。
こうした状況の中、当社は、2020年2月末時点において現預金を約4,360百万円有していましたが、業績の急激な落込みによる資金ショートを回避すべく、2020年4月21日付「資金の借入に関するお知らせ」で開示しておりますとおり、2020年4月下旬に株式会社三菱UFJ銀行、株式会社京都銀行、その他3行のお取引金融機関より、合計13,000百万円の短期借入れによる融資を受けました。その結果、当社グループの現預金額は同月末時点で15,463百万円に増加し、当面の資金繰り懸念は解消された一方で、2020年4月末時点で借入金総額は2020年2月末比約224%増加し、約18,800百万円となりました。
その後、当該借入れについては、約定に従った金融債務の支払いを続けてきましたが、2021年1月7日の緊急事態宣言再発出や、海外への渡航制限の継続、2021年2月15日付「2020年12月期決算短信[日本基準](連結)」において2020年12月末現在の連結債務超過を公表したことによるお客様からの予約数の減少やキャンセル等により、当社の売上げは急激に悪化し、2020年12月末現在で9,193百万円であった当社の現預金残高は、2021年2月末時点で約6,094百万円までに落ち込みました。
これにより、足元の状況においては2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金合計11,300百万円について、約定通りに弁済することが困難になるとともに、お取引金融機関からそれらの返済を猶予いただくことも困難になるおそれがあります。そのため、大規模な資本調達を早期に実現できない場合には、当社の足下の資金繰りは困窮し、株式価値が著しく毀損する事態となり得る状況にあります。
イ.スポンサー選定の経緯
上記のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大による悪影響と不確実性や当社をとりまく厳しい経営環境を踏まえ、当社は、第三者からの支援を前提としない「WATABE Sustainable Plan」を策定した上で、2020年8月以降、経営状況改善のための各種施策を実行してきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大幅な債務超過となるおそれが生じたことから、早急に資本増強を行う必要があると判断し、2020年11月頃から、50億円規模の増資の引受けに関しスポンサー候補へのコンタクトを開始することとしました。当社をとりまく不確実性と厳しい経営環境に照らし、このように当社の時価総額(2020年12月末時点で約28億円)を大きく上回る規模の多額の資本性資金の出資に、当社が希望する時間軸で応じられるスポンサーの選定は相当程度困難であると見込まれました。そのため、当社は、フィナンシャル・アドバイザーとして株式会社KPMG FAS(以下「KPMG FAS」といいます。)を起用し、同社を通じて、2020年11月以降、当社事業に関する理解を有しかつ事業面でのシナジーを期待できる事業会社を中心に21社に当社へのスポンサー支援を打診しました。ところが、同年11月下旬頃から新型コロナウイルス感染症の国内新規感染者数が急増し、当社をとりまく経営環境の悪化を受け、一次的な意向表明に至ったのは事業会社2社のみに留まり、それらの候補者による検討の継続も困難となる可能性を認識しました。そこで、2020年12月以降、KPMG FASを通じて、追加的に金融投資家等30社にも当社に対するスポンサー支援の検討を依頼しました。その後、2021年1月7日に再度の緊急事態宣言が発出されたことにより国内事業の足下の業績に予想以上の下振れが発生し、ほとんどのスポンサー候補から、検討継続が困難である旨の回答が寄せられました。以上のような度重なる状況の悪化はあったものの、2021年2月初旬に割当予定先から、具体的な内容を伴い、かつ、法的拘束力のある最終意向表明書を受領しました。一方で、割当予定先の他に、当社が必要とする時間軸での資本増強とお取引金融機関からの当社支援に対する合意形成を実現可能とするスポンサー支援について、具体性を伴った提案を行った候補者はありませんでした。
割当予定先が提出した当該最終意向表明で示された提案概要は以下のとおりでした。
・総額20億円の普通株式発行(1株当たり払込金額140円)による第三者割当増資、及び1株当たり払込金額と同額の1株当たり対価による株式併合を利用したスクイーズアウトによる完全子会社化
・かかる第三者割当増資及びスクイーズアウトを行う前提条件として、既存のお取引金融機関からの既存借入れについての債務免除、及び債務免除後の債務残高の長期借入れへの転換
・完全子会社化後の割当予定先による債務免除後の債務残高に対する債務保証、及び追加運転資金の需要が生じた場合の資金繰り維持
かかる最終意向表明を受けて、当社は、2021年2月中旬から、割当予定先との間で当社に対するスポンサー支援に関する具体的な協議を開始しました。
割当予定先である興和グループは、1894年の創業以来、その120年を越える歴史の中で、「堅実なモノづくりの精神」と「常に時代の変化をとらえチャレンジする進取の精神」を両輪として発展を続けており、医薬事業、産業関連事業、生活関連事業、環境・省エネ事業、不動産事業、ホテル事業及び食品事業の各事業分野で、ライフスタイルの変化をとらえ、人々が健康を楽しんで暮らしていくことをテーマにした商品開発や、省エネ技術の追求、そしてまた地球環境にやさしい製品作りを力強く推進している企業です。特に、ホテル事業では、ハワイにおいて海外マーケットに向けたフラッグシップとなるラグジュアリーコンセプトブランド第1号施設となる「ESPACIO THE JEWEL OF WAIKIKI」をオープンし、国内では、より一層ホスピタリティの高いサービスの提供に努めるとともに、ラグジュアリービジネスへの参入及びブランディング戦略の基礎を固め、運営体制の確立を進める等の事業展開を行っています。
割当予定先は、本件第三者割当による当社への出資を通じて総額20億円という規模の資金提供を実施する意向を表明するとともに、新型コロナウイルス感染症が再拡大し、年明けの緊急事態宣言再発出に至り、海外への渡航制限の継続や、GO TOキャンペーンの中断、外出自粛要請が継続するという当社のとりまく厳しい経営環境や不確実性が存在する中、本件完全子会社化取引後の割当予定先による債務免除後の債務残高に対する債務保証、及び追加運転資金の需要が生じた場合の資金繰り維持を含む、資金・資本面の支援についての具体的な提案をしました。加えて、割当予定先が当社グループの早期の経営改善及び中長期的な視野に立った成長の実現に向けて当社グループと協力して取り組む強い意向を表明する等、上記の当社をとりまく状況を踏まえたスポンサー選定において重要と考えられる考慮要素に照らして、当社は割当予定先が最適のスポンサー候補であると判断しました。
一方、上記のスポンサー選定の過程において、割当予定先以外の事業会社及び金融投資家から、当社が必要とする時間軸で、多額の将来期間損失等も踏まえた資本増強とそれに伴う信用不安の払しょく、お取引金融機関からの当社支援に対する合意形成を実現可能とする支援策についての具体的な提案は得られませんでした。
当社は、2020年12月期末において863百万円の連結債務超過となるとともに、今後も多額の損失計上が継続することが予想され、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金合計11,300百万円について、約定通りに弁済することが困難になるとともに、お取引金融機関からそれらの返済を猶予いただくことも困難になるおそれがある中で、このタイミングで割当予定先に対する本件第三者割当の実施を決定することが、当社のとり得る唯一かつ最善の策であると判断いたしました。
ウ.当社の非公開化を前提とする割当予定先からの最終提案に至った経緯
上記のスポンサー選定の過程において、当社は、割当予定先からのデュー・ディリジェンスを受けつつ、当社に対するスポンサー支援の具体的な内容についての協議を続けましたが、割当予定先は、上記提案を行うにあたって、当社の事業の再生のために必要な資金を供給しつつ、当社の株主の皆様にもご納得いただける方法を真摯に検討したとのことです。割当予定先としては、デュー・ディリジェンスの結果として当社にとって厳しく、不透明な事業環境が続く中、一刻も早く本件のクロージングを目指すことが、当社のブランド力をはじめとする強みを維持し、企業価値の毀損を食い止め、新型コロナウイルス感染症の影響が解消した後を見据えた事業改革を推し進める上で重要であると考えるに至ったとのことです。
さらに、当社の時価総額に比してこのような大規模な資本注入を行う前提としては、割当予定先としては、当社をとりまく厳しい経営環境や不確実性に照らして、当社を非公開化して迅速かつ抜本的な改革を行う体制を確保することが必要不可欠と考えているとのことです。具体的には、割当予定先は、同社が運営する各ホテルにおける婚礼事業の協業、高級路線を想定したブランド戦略の相互協力、同社所有の様々な富裕層向けコンテンツを用いた新婚礼プランの造成、当社が運営する目黒雅叙園と同社が運営する各ホテル間の相互送客、ホノルルでの婚礼ゲストに対する同社所有ホテル内のスパやレストランのサービス提供、同社グループの商社機能を活用した諸物資の調達等を想定しており、事業面での大きなシナジー効果が期待でき、本件取引は、中長期的な視点で両社の発展を可能とする機会であると考えているとのことです。
また、割当予定先としては、上場を維持した上での大規模な増資では、当社の少数株主の保有株式は大幅に希薄化されるのみであり、かつその後の事業改革は、中長期的には当社事業の改善に資すると考えているものの、新型コロナウイルス感染症の影響が当面の間継続することが見込まれる中で、今後も多額の損失計上が継続することが予想される状況においては、当社が上場を維持したまま上記の施策を実施し、少数株主を更なるリスクにさらすことは適切ではなく、当社の少数株主に対して合理的な対価を支払った上で、当社を非公開化することが当社の少数株主の利益にも資すると考えたとのことです。
特に、割当予定先としては、既に当社が債務超過に陥っており、かつ、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金について、約定通りに弁済することが困難になるとともに、お取引金融機関からそれらの返済を猶予いただくことも困難になるおそれがあり、下記エ.記載のとおり、本事業再生ADR手続において本対象債権者に対して多額の将来期間損失等も踏まえた相当額の債務免除の合意等をお願いする中、当社の現在及び将来のキャッシュ・フローや足下の資金繰りの状況や新型コロナウイルス感染症に起因する不確実性を踏まえると、当社の実勢の株式価値は市場価格に比して著しく低く、かつ仮に大規模な資金注入が早期に実行されなければ、当社の足下の資金繰りは極めて困窮することになるため、この段階で、少数株主に対して本件第三者割当における本新株式の払込金額に対してプレミアムを付した金額を支払うことは、少数株主に対しても救済策となるものであると考えたとのことです。
エ.債務免除の要請及び本事業再生ADR手続の正式申込
上記のとおり、割当予定先による当社に対するスポンサー支援を実行する前提として、2020年12月末時点で当社が債務超過に陥っており、かつ、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金について、約定通りに弁済することが困難になるとともに、お取引金融機関からそれらの返済を猶予いただくことも困難になるおそれがあることを踏まえ、割当予定先からは、割当予定先と締結する出資契約の締結・公表と同時に本事業再生ADR手続の正式申込み・公表を行うこと及び本件第三者割当に係る払込みの条件として本対象債権者による債務免除の合意等を含む本事業再生計画案を成立させることが求められました。そのため、事業構造を抜本的に見直し、事業再生に向けた収益体質の強化と財務体質の改善を早急に図るとともに、かかる債務免除にご同意いただくべく、当社は、2021年3月19日付「事業再生ADR手続の正式申込及び受理に関するお知らせ」にて公表しておりますとおり、事業再生ADR手続の取扱事業者である事業再生実務家協会に対し、事業再生ADR手続利用についての正式な申込みを行い、2021年3月19日に受理されるとともに全お取引金融機関に対して「一時停止の通知書」を送付しました。この「一時停止の通知書」の送付により、本対象債権者に対する借入金について、本対象債権者による個別の権利行使を控えていただく効果が伴います。
その後、2021年4月5日に開催した本事業再生ADR手続の事業再生計画案の概要説明のための債権者会議(第1回債権者会議)において、当該一時停止について本対象債権者に同意(追認)いただくとともに、2021年5月27日に開催予定の事業再生計画案の決議のための債権者会議(第3回債権者会議)の終了時(会議が延期・続行された場合には、延期・続行された期日を含みます。)までの間、返済を猶予いただくことをご承認いただきました。
今後、2021年4月26日に事業再生計画案の協議のための債権者会議(第2回債権者会議)を開催し、本対象債権者に対して本事業再生計画案の具体的な内容についてご説明し、2021年5月27日に開催予定の事業再生計画案の決議のための債権者会議(第3回債権者会議)において、本対象債権者の合意による本事業再生計画の成立を目指してまいります。本事業再生計画の概要は以下のとおりであり、今後、第2回債権者会議において対象債権者となる全お取引金融機関に対しては相当額の債務免除等にご同意いただくことを要請する予定です。
このように、当社は、本事業再生ADR手続の成立を目指しているものの、本事業再生ADR手続の成立には、全てのお取引金融機関が事業再生計画案に同意いただく必要があり、かかる事業再生計画案の策定に向けて、引き続き、お取引金融機関からのご支援をいただきつつ、協議を継続してまいります。
なお、本事業再生ADR手続は、お取引金融機関のみを対象に進められる手続ですので、当社グループで挙式や婚礼・宿泊・宴会利用等のご予約をいただいているお客様や現在当社グループとお取引をいただいている一般のお取引先の皆様に影響を及ぼすものではなく、従来どおりのサービス提供を継続してまいります。
(本事業再生計画案の概要)
・本件第三者割当及び本件完全子会社化取引
① 当社は割当予定先に対して本件第三者割当を実施する。
② 本件第三者割当の完了後、本株式併合の効力発生に先立ち、当社は当社大株主からその所有する当社の普通株式の一部を無償で譲り受ける(無償譲渡の対象となる株式数は、本株式併合の効力発生前時点において当社大株主が所有する当社の普通株式の数に180分の140を乗じた数(但し、1株未満の端数は切り捨てる。)とする。)。
③ 本件第三者割当の完了後、当社は5,000,000株を1株に併合する本株式併合を実施する。
④ 本株式併合の完了後、当社は裁判所の許可を得た上で1株未満の端数の合計数(1株に満たない端数は切り捨てる。)に相当する数の株式を割当予定先に売却し、得られた代金を端数所有者に分配する。
・債権放棄
本対象債権者は、当社による本対象債権者からの借入金185億円(2020年12月末時点連結精算表残高)(以下「対象借入債務」といいます。)の一部について債権放棄を行う。
・残債務の弁済計画
本対象債権者は、上記の債権放棄後の対象借入債務の残高について、弁済を一定期間猶予する。
・残債務の保証
割当予定先は、本対象債権者に対して出資契約の締結日以降速やかに(遅くとも本事業再生ADR手続における事業再生計画案の決議のための債権者会議の前に)、当社及び本対象債権者との間の残存する借入金残高の条件変更に係る契約(割当予定先が合理的に満足する内容であることを要する。)の締結及び本件第三者割当の実行完了を条件として上記の債権放棄後の対象借入債務の残高について連帯保証を行う旨の保証書を差し入れる。
・資金繰り支援
割当予定先は、本件第三者割当の実行完了後、当社の資金需要が生じた際には、その責任において当社の資金繰りを支援する。
オ.本件第三者割当が当社及び当社の株主の皆様にとって最善の策であるとの判断に至った理由
上記イ.の割当予定先からの最終提案は、当社の既存株式の大幅な希薄化のみならず、当社の非公開化も含むものであり、当社の株主の皆様にも重大な影響を与えるものであったため、当社としても慎重な検討を行いました。
まず、当社は、割当予定先の最終提案に先立ち、フィナンシャル・アドバイザーであるKPMG FASを通じて、割当予定先以外の複数のスポンサー候補とも接触し、当社に対する支援の可能性について協議しましたが、割当予定先のほかに、当社が必要とする時間軸で、多額の将来期間損失等も踏まえた資本増強とそれに伴う信用不安の払しょく、お取引金融機関からの当社支援に対する合意形成を実現可能とする支援策の提案はなく、これらのスポンサー候補による支援をさらに検討することはできないとの判断に至りました。また、割当予定先は、当社との協業の可能性等に関する協議や同社の営むホスピタリティ事業を踏まえて当社事業に対する深い理解を有しており、当社グループの早期の経営改善及び中長期的な視野に立った成長の実現に向けて真摯に分析・協議を行い、上記イ.に記載されるような具体的な支援策の提案を行っており、資金面においては当社に対する出資と少数株主への皆様に対する合理的な対価の支払い、本件完全子会社化取引後の債務免除後の債務残高に対する債務保証、及び追加運転資金の需要が生じた場合の資金繰り維持を提案するのみならず、事業面においても、当社の企業価値を向上させるパートナーとして、他のスポンサー候補よりも優れていました。
また、経営改善施策の検討を進める過程で、割当予定先は、そのホテル事業での経験を通じて、当社が営むホスピタリティ事業に対する深い理解を有しており、当社グループの早期の経営改善及び中長期的な視野に立った成長の実現に向けて当社グループと協力して取り組む強い意向を表明したことで、最善の支援先であると判断しました。なお、より詳細な施策の内容については、本件完全子会社化取引の実施後、割当予定先とも協議のうえ最終的に決定し、実行してまいります。
かかる観点から検討した結果、当社は、上記イ.の割当予定先からの最終提案の前提となる考え方は、当社の中長期的な成長を実現するために現実的かつ具体的な方向性を示すものとして当社の上記の考え方と整合していると判断しました。
具体的には、割当予定先の指摘する総額20億円規模の資金注入の必要性については、既に当社が債務超過に陥っており、かつ、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金について、約定通りに弁済することが困難になるとともに、お取引金融機関からそれらの返済を猶予いただくことも困難になるおそれがある中で、本件第三者割当によって調達する資金を賃料・人件費等、事業推進に係る運転資金に充当する必要があり、当社としても必要不可欠と考えるものでした。そして、割当予定先の意向にもあるとおり、当社にとって厳しく、不透明な事業環境が続く中、一刻も早く本件のクロージングを目指すことが、当社のブランド力をはじめとする強みを維持し、企業価値の毀損を食い止め、新型コロナウイルス感染症の影響が解消した後を見据えた事業改革を推し進めることは、当社としても不可欠と考えるものであり、こうした抜本的な事業改革を行う上での様々な施策の実行のためには、新型コロナウイルス感染症の影響が当面の間継続することが見込まれる中で、今後も多額の損失計上が継続することが予想される状況においては、当社が上場を維持したまま上記の施策を実施し、少数株主を更なるリスクにさらすことは適切ではないと考えました。そのため、当社は、上場を維持したままで当社グループの事業継続及び中長期的な成長の実現のために必要な資金を調達し、大規模な経営改善施策を短期間に行うことは難しいと考えるに至り、当社の少数株主の皆様に対して合理的な対価を支払うとともに、当社株式の上場を廃止した上で、事業改革を行わざるを得ないと考えるに至りました。割当予定先の最終提案にある、本株式併合に伴う端数処理により当社の少数株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、下記「(3)会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」に記載のとおり、当社としても相当であると判断しており、当社の非公開化に際して少数株主の皆様に支払われる対価として合理的であると考えています。
以上のような検討及び協議の結果、調達金額の規模、実施可能時期・実現可能性、資金調達後の安定的な事業継続等の観点から、割当予定先の提案内容のほかに実現可能な支援策の提案は存在せず、当社は、上記イ.の割当予定先からの提案を受け入れ、割当予定先に対する第三者割当の方法により、総額20億円の出資を受けるとともに、本株式併合を通じて当社を割当予定先の完全子会社とすること(本件完全子会社化取引)により割当予定先と当社が一体となって、柔軟かつ機動的に経営戦略を推進することが、当社グループの事業継続及び中長期的な成長に最も資するとともに、当社の少数株主の皆様を更なるリスクにさらす事態を避けることにつながると考えられることから、最善の選択肢であるとの最終的な判断に至りました。また、割当予定先からは、本件完全子会社化取引後は、当社の完全親会社として、中長期的な視野に立った成長の実現に向けて当社グループと協力して取り組む強い意向の表明を受けており、割当予定先は最善のスポンサー候補であると考えています。
以上の観点から、当社は、当社の資金面及び事業面の双方の支援の観点から、割当予定先からの最終提案が当社の企業価値向上のためには最善の策であり、かつ、当社の現状に鑑みると、当社の株主の皆様にとっても最善の策であると考えています。
(2)本株式併合の割合
下記「(4)本株式併合がその効力を生ずる日」に定義する本株式併合効力発生日をもって、その前日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の所有する当社株式について、5,000,000株を1株に併合いたします。
(3)会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
ア.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
本株式併合により、割当予定先以外の株主の皆様が所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の処理の方法につきましては、その合計数(会社法第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その端数に応じて、その売却によって得られた代金を株主の皆様に交付いたします。当該売却について、当社は、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て、当該端数の合計数に相当する当社株式を割当予定先に売却することを予定しております。
イ.当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額(以下「本株式併合交付見込金額」といいます。)は、株主の皆様が所有する当社株式の数に、本件第三者割当における本新株式の払込金額(40円)に対して350%のプレミアムを付した金額である180円を乗じた金額に設定することを予定しております。
この本株式併合交付見込金額は、本株式併合を目的とする本臨時株主総会の招集に係る取締役会決議日(以下「本取締役会決議日」といいます。)の直前営業日である2021年3月18日の東京証券取引所における当社株式の終値(以下「終値」といいます。)407円に対しては、55.8%のディスカウント、本取締役会決議日の直前1ヶ月間(2021年2月19日から2021年3月18日まで)の終値の平均値である375円(円未満四捨五入)に対しては52.0%のディスカウント、同直前3ヶ月間(2020年12月19日から2021年3月18日まで)の終値の平均値である317円(円未満四捨五入)に対しては43.2%のディスカウント、同直前6ヶ月間(2020年9月19日から2021年3月18日まで)の終値の平均値である307円(円未満四捨五入)に対しては41.4%のディスカウントとなります。
上記のとおり、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額は、既に当社が債務超過に陥っており、今後も多額の損失計上が継続することが予想され、かつ、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金について、約定通りに弁済することが困難になる中で、本対象債権者であるお取引金融機関に相当額の債務免除等にご合意いただく必要がある状況を踏まえ、上記「(1)本株式併合の目的」に記載のスポンサー選定の過程を経て選定された割当予定先や当社大株主との間の真摯な協議・交渉を経た結果として、最終的に合意されたものです。
具体的には割当予定先から2021年2月初旬受領した当初提案においては、払込金額総額20億円、1株当たり払込金額140円、本株式併合に係る端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭(以下「スクイーズアウト対価」といいます。)140円との提案がなされました。その際、新型コロナウイルス感染症の影響の不確実性を考慮し、当社の今後の財務状態がさらに悪化する可能性を踏まえ、スポンサー支援の条件として、お取引金融機関から相当額の債務免除等の同意を得ることが前提とされていました。かかる提案を受けて、当社は、割当予定先に対して、割当予定先が支払う払込金額及びスクイーズアウト対価の総額の増加の余地を確認したところ、割当予定先からは、債務免除額を増加させない限り、かかる払込金額及びスクイーズアウト対価の総額の増加する余地はないとの明確な回答が示されました。
一方で、既に債務超過の状況にある当社が、かかるスポンサー支援の条件である債務免除等についてお取引金融機関からの同意を得るためには、お取引金融機関の意向を踏まえ、株主責任を明確化することが必要不可欠でした。具体的には、お取引金融機関からは、債務免除を必要とする状況においては、既存株式に支払われる対価は備忘価格であるべきとの強い意向が繰り返し示されました。
このような割当予定先及びお取引金融機関双方の意向を踏まえ、当社は、お取引金融機関から債務免除等への同意を得つつ、少数株主に支払う金額を可及的に最大化するため、当社大株主に対して、保有株式の一部について無償譲渡に応じるよう要望し、当社大株主と協議を行いまいた。こうした当社の要望に対し、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の必要性と少数株主の皆様に支払う金額の最大化という目的について全ての当社大株主からのご理解をいただくことができ、当社大株主の保有株式のうち180分の140の割合に相当する数の株式を本株式併合に先立ち当社に無償で譲渡することに合意いただきました。
前述のとおり、当社は、2020年12月期末現在で債務超過に陥るとともに、2021年1月7日の緊急事態宣言再発出や、海外への渡航制限の継続、2021年2月15日付「2020年12月期決算短信[日本基準](連結)」において2020年12月末現在の連結債務超過を公表したことによるお客様からの予約数の減少やキャンセル等により、当社の売上げは急激に悪化し、2020年12月末現在で9,193百万円であった当社の現預金残高は、2021年2月末時点で約6,094百万円までに落ち込みました。このような当社の足元の財務状況及び資金繰りの状況を踏まえると、資本及び手元の運転資金の拡充が急務となっております。足元の資金繰り状況は、2021年3月末に返済期限を迎える借入金を返済するための十分な現預金を有しておらず、また、足元の売上高の減少により、お取引金融機関の既存借入金の返済を猶予をいただいたとしても、本年夏頃には当社の現預金水準は当社の事業継続のために必要な水準である最低現預金の水準である30億円を下回ることが見込まれています。これまでのスポンサー候補の選定過程に照らすと、当社株式に対する公開買付けを通じたスポンサー支援策を提示できる候補者を選定する時間的余裕はなく、当社の今後の財務状況や新型コロナウイルス感染症の影響の不透明な状況において、今後そうした候補が見つかる可能性は極めて乏しいと当社は考えております。一般のお客様から前受金をお預かりしている当社において、資金繰りが枯渇することによる法的整理手続に至る事態を避けることは必須であり、割当予定先に対する本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の実施が、当社のとり得る唯一かつ最善の策であると判断しております。
このような経緯を経て決定された本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額は、総額20億円規模の資本性資金の調達が必要不可欠となっている当社をとりまく状況、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引が実現しない場合や本事業再生ADR手続において本事業再生計画が本対象債権者の同意によって成立しない場合には法的整理手続に至る可能性が高まるという事実、当社の事業計画を踏まえた価値算定結果や債務免除を前提としないスポンサー支援提案が得られなかったという事実を踏まえれば、当社及び少数株主の皆様にとって現時点で最善の条件であると判断しています。
また、当社は、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額を決定するに際して、また、本臨時株主総会における株主の皆様の議決権行使のご参考のために、株式会社赤坂国際会計(以下「赤坂国際会計」といいます。)から2021年3月19日付で、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)並びに本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額が割当予定先を除く当社の株主にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)(以下「フェアネス・オピニオン」といいます。)を取得しております。
本株式価値算定書によれば、DCF法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は0円から44円とされています(以下「本価値算定結果」といいます。)。その詳細は、下記「ウ.本件完全子会社化取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置 ① 当社における独立した第三者算定機関からの算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」をご参照下さい。当社は、本件第三者割当における本新株式の払込金額(40円)及び本株式併合交付見込金額(180円)につきましては、赤坂国際会計から取得した本株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンに照らし、妥当であると判断しております。
本株式価値算定書において赤坂国際会計が算定した当社株式の株式価値は、下記「ウ.本件完全子会社化取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置 ① 当社における独立した第三者算定機関からの算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、①市場株価平均法、②類似会社比較法及び③ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の各算定方法のうち、③DCF法を採用した算定されております。
このうち、①市場株価平均法については、当社の2020年12月期決算短信において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を現時点では合理的に算定することが困難であることを理由として2021年12月期の連結業績予想を公表していないため、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引が実施されない場合に想定される重要な影響が十分に市場価格に反映されていない可能性があること、2021年3月10日以降、必ずしも当社の経営状況に関係しない事由により株価が乱高下しており、当社の企業価値と乖離した価格形成がなされている可能性があること、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の公表に伴い開示される情報のうち本価値算定結果の算定基準日(2021年3月18日)までの市場価格に反映されていない情報が価格形成に相当程度の影響を与える可能性があること等を勘案して、①市場株価平均法は当社の株式価値の算定に当たって適切な手法でないとされていますが、これらの事情はいずれも当社をとりまく現在の状況に合致しており、妥当な理由であると考えられ、市場株価平均法により算定された当社株式の1株当たりの株式価値を、当社の現在の状況を当社株式の株式価値に公正に反映した結果として採用すべきであるとの判断には至りませんでした。
②類似会社比較法については、当社の利益・純資産・EBITDA等の数値がいずれも負の値となっており、適切に類似会社比較法を適用することが困難であるとの理由は、当社をとりまく現在の状況に合致しており、妥当な理由であると考えられ、類似会社比較法により算定された当社株式の1株当たりの株式価値を、当社の現在の状況を当社株式の株式価値に公正に反映した結果として採用すべきであるとの判断には至りませんでした。
③DCF法については、事業継続を前提とした場合の株式価値算定を行う上で適切な手法であると一般に考えられており、とりわけ、上記「(1)本株式併合の目的」に詳細に記載した当社の財務状況を踏まえ、当社が直近の新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、当社のリゾート挙式事業の再開の目安として2022年1月の海外渡航制限解除を前提とし、二度に亘る緊急事態宣言の発出による影響額の見積もりと2020年12月期決算短信における債務超過公表後の当社の売上げの傾向を反映したものとして作成した今後約3年間の事業計画を前提として、当社の事業の継続を前提に独自のリターン・リスク評価を行う算定手法である点で、当社の財務状態を可及的に正確に反映することが可能な適切な算定手法であると考えられます。また、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額は、上記のとおり割当予定先との協議及び交渉を経て決定したところ、割当予定先が当社への出資の検討に際して重視したのは、現在の市場株価よりも、当社の実際の財務状態及び将来の事業展望であり、当社の事業計画を前提とし、当社の財務状態を可及的に正確に反映することが可能であると考えられるDCF法による算定結果(0円から44円)は、割当予定先との協議及び交渉において当社株式の株式価値に関する考え方を相互に突合する上で有用であると考えました。
以上のことから、本新株式の払込金額を決定する上では、本株式価値算定書で示されたDCF法による算定結果(0円から44円)を参照し、割当予定先、お取引金融機関及び当社大株主との間の協議及び交渉の結果を踏まえ、上記のとおり、本新株式の払込金額を、本株式価値算定書のDCF法による算定結果の範囲内である、1株当たり40円に決定しました。かかる払込金額は、直近の当社の市場株価から大幅なディスカウントとなるものの、総額20億円規模の資本性資金の調達が必要不可欠な状況の下で、複数のスポンサー候補への打診を経て選定された割当予定先並びにお取引金融機関及び当社大株主の間での真摯な協議・交渉を経た結果として最終的に合意されたものであることに加え、本株式価値算定書の算定結果の範囲内であることから、公正かつ妥当な金額であると判断しました。
また、本株式併合交付見込金額は、少数株主の皆様にお支払いする金額を可及的に最大化すべく、上記の協議・交渉を経た結果として合意されたものであり、これは上記の価値算定結果の評価額の上限44円を136円を上回り、かつ、本払込金額に350%のプレミアムを乗じた金額となっていることから、公正かつ妥当な金額であると判断しました。
なお、本価値算定書では、当社の事業が計画期間終了後も継続することを前提とした場合の株式価値を算定しており、計画期間中あるいは計画期間終了後に事業の継続が困難になる状況は想定されておらず、事業継続が困難になる状況を想定した場合には、本価値算定書におけるDCF法による算定結果よりも低い株式価値が算定される可能性があるとの見解が本価値算定書において示されているところ、上記「(1)本株式併合の目的」で述べた、当社の手元の現預金残高の見通しや借入金の状況や、2020年12月期決算短信での債務超過公表後の売上げへの影響等を考慮したとき、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引を実施できない場合には、計画期間中に事業継続が困難になる状況に陥る可能性は否定できず、その場合は、当社の株式価値は上記のDCF法による価値算定結果で示された値を下回ることになり、この点に照らしても、本払込金額及び本株式併合交付見込金額はいずれも公正かつ妥当な金額であると判断しました。
ウ.本件完全子会社化取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
① 当社における独立した第三者算定機関からの算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
当社は、本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額を決定するに際して、また、本臨時株主総会における株主の皆様の議決権行使のご参考のために、第三者算定機関である赤坂国際会計に対して、当社株式の株式価値算定並びに本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額が割当予定先を除く当社の株主にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)の提出を依頼しました。なお、第三者算定機関である赤坂国際会計は、当社及び割当予定先の関連当事者には該当せず、本件完全子会社化取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
赤坂国際会計は、当社株式の株式価値の算定手法を検討した結果、①市場株価平均法、②類似会社比較法及び③DCF法の各算定方法のうち、③DCF法を採用して、当社株式の株式価値の算定を行い、当社は赤坂国際会計から2021年3月19日付で、本株式価値算定書を取得しております。
また、当社は、赤坂国際会計から本新株式の払込金額及び本株式併合交付見込金額が、それぞれ、当社及び割当予定先を除く当社株主にとって、財務的見地から妥当である旨の本フェアネス・オピニオンを取得しております。
本株式価値算定書によれば、③DCF法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は0円から44円とされています。
赤坂国際会計が当社株式の株式価値の算定に③DCF法を採用した理由は以下の通りです。
まず、①市場株価平均法については、当社の2020年12月期決算短信において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を現時点では合理的に算定することが困難であることを理由として2021年12月期の連結業績予想を公表していないため、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引が実施されない場合に想定される重要な影響が十分に市場価格に反映されていない可能性があること、2021年3月10日以降、必ずしも当社の経営状況に関係しない事由により株価が乱高下しており、当社の企業価値と乖離した価格形成がなされている可能性があること、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の公表に伴い開示される情報のうち本価値算定結果の算定基準日(2021年3月19日)までの市場価格に反映されていない情報が価格形成に相当程度の影響を与える可能性があること等を勘案し、①市場株価平均法は当社の株式価値の算定に当たって適切な手法でないと説明されています。
また、②類似会社比較法については、当該手法において一般的に使用される基準財務指標である利益・純資産・EBITDA等の数値が当社においては直近でいずれも負の値となっており、適切に類似会社比較法を適用することが困難であり、類似会社比較法は当社の株式価値の算定に当たって適切な手法でないと説明されています。
一方、本価値算定結果において採用されている③DCF法は、事業の将来のキャッシュフロー(収益力)に基づく算定方法であり、事業継続を前提とした場合の価値算定を行う上で適切な手法の一つであると考えられており、本価値算定結果では、当社が価値算定機関に提供した事業計画等を検討し、算定基準日時点での当該事業計画を前提とした将来のキャッシュフローに基づき、DCF法による株式の価値が算定されています。
DCF法を用いて当社株式価値の算定をするに当たって、本株式価値算定書では、当社が作成した2021年12月期から2023年12月期までの事業計画に基づく収益予測や投資計画等、合理的と考えられる前提を考慮した上で、当社が2021年12月期以降、将来生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを基に、事業リスクに応じた一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値を評価しております。割引率は、加重平均資本コスト(WACC)である8.1%~18.7%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率を-0.5%~0.5%とし、実効税率は30.6%とし、ネット有利子負債は2020年12月末時点での有利子負債残高(18,549百万円)から余剰現預金残高(現預金9,193百万円から必要運転資金3,000百万円を控除した6,193百万円)を控除した金額により算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、0円から44円と算定されております。
なお、赤坂国際会計が、DCF法の算定の前提とした当社の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。以下の財務予測は本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の実施を前提としたものではありません。また、以下の財務予測は、直近の新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、当社のリゾート挙式事業の再開の目安として2022年1月の海外渡航制限解除を前提とし、二度に亘る緊急事態宣言の発出による影響額の見積もりと2020年12月期決算短信における債務超過公表後の当社の売上げの傾向を反映したものとして作成しています。
(単位:百万円)

2020年12月期実績2021年12月期計画2022年12月期計画2023年12月期計画
売上高19,67823,74236,62831,435
営業利益△10,983△7,080△1641,651
EBITDA△9,266△5,4191,4313,169
フリー・キャッシュ・フロー△5,8231,6921,636

なお、本価値算定書において採用されたDCF法に関し、本価値算定書では、当社の事業が計画期間終了後も継続することを前提とした場合の株式価値を算定しており、金融機関からのバックアップが得られない等の要因により、計画期間中あるいは計画期間終了後に事業の継続が困難になる状況は想定されておらず、この点について、このような事業継続が困難になる状況を想定した場合には、本価値算定書におけるDCF法による算定結果よりも低い株式価値が算定される可能性があるとの見解が本価値算定書において示されています。
② 当社の経営者から一定程度独立した者からの意見の取得
当社は、当社の意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保すべく、当社の経営者から一定程度独立した者として、社外有識者である牧直樹氏(社外有識者 樹陽法律事務所 弁護士。なお、同氏は、2021年3月25日開催の当社定時株主総会において社外監査役に選任され、同日就任しました。なお、当社は同氏を当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ています。)並びに当社の取締役である髙橋理人氏及び森川さゆり氏(いずれも当社の独立役員として東京証券取引所に届け出ている社外取締役です。)で構成される第三者委員会(以下「本第三者委員会」といいます。)を選定し、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引に関する意見を諮問し、2021年3月19日付で、以下のとおりの意見をいただきました。
(本第三者委員会の意見の概要)
1 結論
本件第三者割当には必要性及び相当性が認められ、また、本件完全子会社化取引は当社の少数株主にとって不利益とは認められない。
2 意見の理由及び検討内容
a.資金調達の必要性
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う海外渡航制限と緊急事態宣言発出により、貴社の足元の財務状況は急激に悪化し、2020年12月期の貴社グループの業績は、売上高19,678百万円(前年同一期間比61.1%減)、営業損失10,983百万円(前年同一期間営業利益629百万円)、経常損失11,075百万円(前年同一期間経常利益886百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失11,738百万円(前年同一期間親会社株主に帰属する当期純利益208百万円)となり、連結純資産については、2019年12月期末より12,002百万円減少し、863百万円の債務超過となった。また、2021年初頭の二度目の緊急事態宣言発出により、2021年1月から2月にかけての貴社の売上げはさらに悪化し、当該2か月間の経営成績は売上高1,869百万円、営業損失2,578百万円、当期純損失2,305百万円となり、2021年2月末現在の現預金残高は6,094百万円、連結純資産については3,060百万円の債務超過となった(いずれも未監査の貴社試算値)。
こうした2021年に入って以降の売上げ実績も踏まえた現在の貴社見通しによれば、今後の現預金残高の推移は、貴社の業務継続に必要とされる30億円乃至40億円の水準を2021年6月から9月の間に下回る見込みである。また、将来期間損失の計上が継続することにより、債務超過額も大幅に拡大することが見込まれている。
貴社は、2020年12月期において、自社保有資産売却による手元流動性の確保(2020年12月期実績:2,315百万円の固定資産売却による収入)や不要不急の設備投資、新規投資の凍結を進めた。また、グループ全体でコストの見直しを行い、役員報酬の減額をはじめとした賞与等の人件費の抑制、賃借料の減額交渉、外部委託コストの抑制、出張の原則禁止や広告宣伝費の抑制など、全ての費用の見直しと削減対策を実施し、販売費及び一般管理費合計(臨時休業等による損失の特別損失振替前)は、前年同一期間と比べ7,929百万円の減少となっている。加えて、海外渡航制限の解除時期や航空路線の正常化の見通しが不透明であることから、リゾート婚礼事業の悪化した経営環境が一定期間続くことを想定し、運営効率化や固定費削減を図るべく、一部のリゾート挙式販売店並びに海外リゾート挙式実施施設及び営業拠点の閉鎖・休眠・譲渡を行い、拠点数を2019年12月との比較で30拠点減少させ、これらに伴う人員構成の最適化として、国内外の拠点での一時帰休、希望退職を実施した。このような手元流動性の確保・コスト削減に向けた施策に加え、リゾート挙式事業においては、オンライン販売の強化、接客ツールのWEB化、デジタルを活用した現地オペレーション機能の効率化などの収益確保と顧客利便性のためのデジタル化を推進した他、ホテル・国内挙式事業では、各地域性に合わせたコミュニケーション戦略や、施設特徴を活かしたブランド戦略を推進する等、売上げの向上に向けた施策も進めてきた。
このように貴社は既に実施可能な経営安定化に資する財務政策を講じてきており、今後、さらに追加的な施策を講じる余地は乏しいと考えられる。
このような中、手元の現預金残高(2021年2月末現在6,094百万円(貴社試算値))に照らし、2021年3月末日に弁済期限が到来する借入金合計11,300百万円について、約定通りに弁済することが困難であり、取引金融機関には支援を求めているものの、何らかの資本政策を講じることなくして当該借入金の返済の猶予を受けられる目途も立っていない。
2021年2月15日付「2020年12月期決算短信[日本基準](連結)」(以下「2020年12月期決算短信」という。)において2020年12月末現在の連結債務超過を公表した後には、顧客から貴社の信用悪化を懸念する声が実際に多数寄せられている。前受金を預かる形で一般消費者を顧客とし、一生に一度の慶事を催行するという事業を展開している貴社にとって、債務超過の状態で事業を継続することは極めて困難であり、現に、当該債務超過公表後、予約数の減少やキャンセル等も発生しており、前述のとおり売上げへの悪影響が顕在化している状況にある。
このような状況に照らし、貴社は、貴社の事業継続を可能にするため、2021年3月19日付で開示予定のプレスリリース「第三者割当による新株式発行及び定款の一部変更、株式併合及び単元株式数の定めの廃止並びに親会社、主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動についてのお知らせ」(最終ドラフト)「Ⅱ.第三者割当による新株式発行 3.調達する資金の額、使途及び支出予定時期 (2)調達する資金の具体的な使途及び支出予定時期」記載のとおり、本件第三者割当で調達する総額20億円の資金を、新型コロナウイルス感染症の収束時期が予測困難であり、当社の業績の回復・改善には一定期間を要するものと考えられる中で、当面の賃料・人件費等、事業推進にかかる運転資金に充当することを予定している。
これらの状況に鑑みると、貴社は一刻も早い資本性の資金調達が必要不可欠であると考えられる。
したがって、本件第三者割当による資金調達の必要性が認められる。
b.手段の相当性
上記の貴社の資金調達の必要性を踏まえれば、資金手法の選択にあたっては、貴社が希望する時間軸での必要金額の調達が確実に見込まれることが最も重要な考慮要素となる。この点、例えば、債務超過に陥り、「継続企業の前提に関する注記」が付されている状況において証券会社による引受けを伴う公募増資の実施はそもそも困難である。また、新株予約権の発行やライツオファリング・株主割当といった調達額に不確実性を伴う手法は貴社の資金調達に必要性に照らし適切ではない。さらに、前述のとおり既に売却可能な固定資産を売却し、担保余力に欠き、債務超過の状況にある貴社において負債性の資金調達は採用可能性がなく、現在直面している状況の解決策にもならない。
したがって、一定額を確実に調達できる第三者割当による資本性の資金調達が、貴社が利用できる最も合理的な手段であるといえる。この点、例えば、無議決権の転換型優先株式による資本性の資金調達については、即時の大規模な希薄化を防止できるという点で既存株主にメリットのある手法ではあるが、後述するとおり、本件における割当予定先の選定過程において、これを具体的に提案したスポンサー候補は存在しなかった。したがって、本件第三者割当において、普通株式の発行という手法を採用することには相当性がある。
ここで、本件第三者割当は大幅なディスカウント及び大規模な希薄化、並びに、本株式併合を通じた本件完全子会社化取引による既存株主のスクイーズアウトが伴い、既存株主に与える影響が極めて大きいところ、他の手段の利用可能性がないかが問題となる。
この点、2020年12月末現在で債務超過に陥っており、前述のとおり、今後も先の見えないコロナ禍の影響で急速に債務超過額が拡大し、手元現預金が枯渇していくことが予想される中で、担保余力のない貴社において追加の借入れの余地はないといえる。また、返済猶予によって債務超過を放置することは、信用不安による売上げへの影響が顕在化している状況に対する抜本的な解決にはならない。加えて、取引金融機関との協議の中では、何らかの資本政策を講じることなくして、2021年3月末に弁済期限を迎える約113億円の借入れについて取引金融機関から返済の猶予を受けられる目途は立っていない。貴社は、取引金融機関による代替支援策として、①当面の資金繰り維持のためのコミットメントラインによる金融支援、②債務超過解消のための資本面の支援及び③財務状況悪化時の追加支援から構成される支援パッケージについて全取引金融機関の同意を得られる見通しがあるか否かの検討を取引金融機関に依頼した。しかし、追加損失の発生可能性や資金繰り支援に伴うさらなるリスク拡大を理由に、当該代替支援策については応諾できないという意向が一部取引金融機関からすでに示されており、全取引金融機関の同意を得る余地がないことが判明している。このように取引金融機関からの代替支援を期待できる状況にはない。
次に、他のスポンサー支援者からの支援を得る可能性について、貴社は、通期末で債務超過となる旨の決算発表となることが見込まれた2021年2月15日の時点で資本性の資金調達の目処が立った旨の最終合意及び開示ができるよう、2020年11月から、総額50億円規模の第三者割当による増資に関する提案を募るべく、貴社フィナンシャルアドバイザーを通じて、合計48社の候補先への打診を開始した。しかしながら、かかるスポンサー選定の過程においては、新型コロナウイルス感染症の影響でスポンサー支援を行う財務的余力がない、スポンサー自身の財政状態も厳しい、損失がどこまで膨らむか不透明等の理由でそもそも検討自体できないとの回答が多数であった。また、2021年に入り首都圏を中心に緊急事態宣言が再発出されるなど、コロナ禍の影響が再び悪化したことを受けて、複数の候補者からコロナ禍のリスクをより大きく見込んだ事業計画の再提出を求められる等した結果、法的拘束力ある提案(バインディングオファー)の提出期限が当初想定よりも遅れ、最終契約も2021年2月15日の通期決算発表のタイミングには間に合わないことが確実となった。そのような中、2021年2月上旬に割当予定先のみから法的拘束力ある提案(バインディングオファー)を受領したのに加え、他に3社から法的拘束力のない提案(ノンバインディングオファー)を受領した。
かかる状況の下、2021年2月上旬に割当予定先から受領したバインディングオファーは、①総額20億円・1株当たり払込金額140円による普通株式の引受け、②増資引受後の株式併合による割当予定先以外の既存株主のスクイーズアウト(株式併合に伴う端数処理手続において既存株主の保有する貴社株式1株当たり140円の金銭を交付)、③取引金融機関に対する相当額の債務免除の要請、④本件完全子会社化取引後における債務免除後の残債への連帯保証や貴社の資金需要に対する資金繰り支援を、法的拘束力のある形で提案するものであった。
一方、他の3社から提出されたノンバインディングオファーは、具体的な経済条件の提案がない、又は、ノンバインディングオファーの段階で既に大幅な債務免除要請が前提とされる、新型コロナウイルス感染症による貴社業績の下振れリスクに対する手当てがない、候補者単独では成り立たない提案である、法的拘束を伴う提案でなく、かかる提案までに追加のデューディリジェンス期間が必要であるといった点で割当予定先からのバインディングオファーに劣後していた。
これに対し、割当予定先のバインディングオファーは、本株式併合による既存株主のスクイーズアウトや取引金融機関への相当額の債務免除要請が条件とされていたものの、本件完全子会社化取引後における債務免除後の残債への連帯保証や貴社の資金需要に対する資金繰り支援といった下振れリスクへの具体的かつ確実な手当てが伴う点で優れた提案であった。
また、当委員会が実施した割当予定先に対するヒアリングにおいて、割当予定先は同社グループにおいてホテル、ホスピタリティ事業を中核事業と捉えており、貴社のウェディング事業と割当予定先のホスピタリティ事業の国内外を通じた親和性が高さを生かして、両社の提携により新たなプロダクトやサービスを提供できると考えているとのことであった。加えて、過去にもホテル、ホスピタリティ事業の買収・再生の経験を有し、事業価値向上を果たした実績もあるとの回答が得られている。
このように、割当予定先の提案内容及び実績に照らし、割当予定先が提出したバインディングオファーに記載されたものが貴社が唯一とりうる、かつ、最善の手段であったと評価できる。
したがって、本件第三者割当の手段によることには相当性がある。
c.発行条件の相当性
(払込金額及びスクイーズアウト価格について)
本件第三者割当の1株当たり払込金額40円(以下「本払込金額」という。)は、本件第三者割当に係る取締役会決議日(以下「本取締役会決議日」という。)の直前営業日である2021年3月18日の東京証券取引所における貴社株式の終値(以下「終値」という。)407円に対しては、90.2%のディスカウント、本取締役会決議日の直前1ヶ月間(2021年2月19日から2021年3月18日まで)の終値の平均値である375円(円未満四捨五入)に対しては89.3%のディスカウント、同直前3ヶ月間(2020年12月19日から2021年3月18日まで)の終値の平均値である317円(円未満四捨五入)に対しては87.4%のディスカウント、同直前6ヶ月間(2020年9月19日から2021年3月18日まで)の終値の平均値である307円(円未満四捨五入)に対しては87.0%のディスカウントとなる。また、本株式併合に伴う端数処理手続において既存株主の保有する貴社株式1株当たり180円の金銭の対価(以下「本スクイーズアウト価格」という。)が交付される予定であるところ、本スクイーズアウト価格は、本取締役会決議日の直前営業日である2021年3月18日の終値407円に対しては、55.8%のディスカウント、本取締役会決議日の直前1ヶ月間の終値の平均値である375円に対しては52.0%のディスカウント、同直前3ヶ月間の終値の平均値である317円に対しては43.2%のディスカウント、同直前6ヶ月間の終値の平均値である307円に対しては41.4%のディスカウントとなる。
このように本払込金額及び本スクイーズアウト価格はいずれも貴社株式の市場株価に照らして大幅なディスカウントとなるため、本件第三者割当の発行条件及び本株式併合の条件の相当性が問題となる。
この点、上記のとおり、割当予定先から受領したバインディングオファーにおいては、当初、払込金額総額20億円、1株当たり払込金額140円、スクイーズアウト価格140円との提案を受領した。その際、新型コロナウイルス感染症の影響の不確実性を考慮し、貴社の今後の財務状態がさらに悪化する可能性を踏まえ、スポンサー支援の条件として、取引金融機関から相当額の債務免除等の同意を得ることが前提とされていた。かかる提案を受けて、貴社は、割当予定先に対して、割当予定先が支払う払込金額及びスクイーズアウト対価の総額の増加の余地を確認したところ、割当予定先からは、債務免除額を増加させない限り、かかる払込金額及びスクイーズアウト対価の総額の増加する余地はないとの明確な回答が示された。
一方で、既に債務超過の状況にある貴社が、かかるスポンサー支援の条件である債務免除等について取引金融機関からの同意を得るためには、取引金融機関の意向を踏まえ、株主責任を明確化することが必要不可欠であった。具体的には、取引金融機関からは、債務免除を必要とする状況においては、既存株主に支払われる対価は備忘価格であるべきとの強い意向が繰り返し示された。
このような割当予定先及び取引金融機関双方の意向を踏まえ、貴社は、取引金融機関から債務免除等への同意を得つつ、少数株主に支払う金額を可及的に最大化するため、貴社大株主に対して、保有株式の一部について無償譲渡に応じるよう要望し、貴社大株主との協議を行った。かかる協議の結果、貴社大株主の保有株式のうち180分の140に相当する数の株式を本株式併合に先立ち貴社に無償で譲渡するとの条件で、当社、割当予定先及び貴社大株主との間で合意に至った。(かかる無償譲渡により、貴社大株主が本件完全子会社化取引を通じて受領する対価は、本件公表前に貴社大株主が保有する当社株式1株当たり40円となる。)
このような経緯を経て、割当予定先、取引金融機関及び大株主の真摯な協議を踏まえ、本件第三者割当については払込金額の総額20億円、1株当たり払込金額40円、本スクイーズアウト価格180円、貴社大株主による180分の140に相当する数の保有株式の無償譲渡との条件で割当予定先及び貴社大株主との合意に至り、2021年3月19日付で割当予定先との間で本出資契約を、同日付で割当予定先及び各貴社大株主との間で本大株主合意を締結する予定である。
これにより、少数株主に支払われる本スクイーズアウト価格は、本件第三者割当の1株当たり払込金額40円に350%のプレミアムを付した180円、当初の割当予定先からの提案対比で40円増となった。
貴社は、上記の経緯を経て本払込金額及び本スクイーズアウト価格を決定するに当たっては、貴社及び割当予定先の関連当事者に該当せず、本件第三者割当に関して重要な利害関係を有していない株式会社赤坂国際会計(以下「赤坂国際会計」という。)から、貴社株式の価値に係る本株式価値算定書を取得している。
一般的に価値算定の手法には、市場株価平均法、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」という。)があるところ、本株式価値算定書において価値算定機関からは、DCF法を採用した貴社株式の価値算定結果として1株当たり0円~44円との評価を得ている(以下「本価値算定結果」という。)。
ここで、本株式価値算定書においては、市場株価平均法が用いられていないところ、その理由としては、貴社の2020年12月期決算短信では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を現時点では合理的に算定することが困難であるとして2021年12月期の連結業績予想が公表されていないため、本件取引が実施されない場合に想定される重要な影響が十分に市場価格に反映されていない可能性があることや、2021年3月10日以降、必ずしも貴社の経営状況に関係しない事由により株価が乱高下しており、貴社の企業価値と乖離した価格形成がなされている可能性があること、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の公表に伴い開示される情報のうち本価値算定結果の算定基準日(2021年3月19日)までの市場価格に反映されていない情報が価格形成に相当程度の影響を与える可能性があること等を勘案し、市場株価平均法は貴社の株式価値の算定に当たって適切な手法でないと説明されている。
また、本価値算定結果においては、類似会社比較法が用いられていないところ、その理由としては、これは当該手法において一般的に使用される基準財務指標である利益・純資産・EBITDA等の数値が貴社においては直近でいずれも負の値となっており、適切に類似会社比較法を適用することが困難であり、類似会社比較法は貴社の株式価値の算定に当たって適切な手法でないと説明されている。
一方、本価値算定結果において採用されているDCF法は、事業の将来のキャッシュフロー(収益力)に基づく算定方法であり、事業継続を前提とした場合の価値算定を行う上で適切な手法の一つであると考えられており、本価値算定結果では、貴社が価値算定機関に提供した事業計画等を検討し、算定基準日時点での当該事業計画を前提とした将来のキャッシュフローに基づき、DCF法による株式の価値が算定されている。
ここで、上記の価値算定機関が採用した価値算定手法の妥当性についてみると、2020年12月期決算短信において、2021年12月期の連結業績予想が公表されておらず、本件取引が実施されない場合に想定される重要な影響が十分に市場価格に反映されていない可能性があること、2021年3月10日以降、必ずしも貴社の経営状況に関係しない事由により株価が乱高下しており、貴社の企業価値と乖離した価格形成がなされている可能性があること、本件公表に伴い開示される情報のうち本価値算定結果の算定基準日までの市場価格に反映されていない情報が価格形成に相当程度の影響を与える可能性があることといった事情は、いずれも貴社をとりまく現在の状況に合致しており、市場株価平均法を用いないとするこれらの理由に特段不合理な点はないと考えられる。また、貴社の利益・純資産・EBITDA等の数値がいずれも負の値となっており、適切に類似会社比較法を適用することが困難であるという理由にも特段不合理な点はないと考えられる。したがって、本価値算定結果において、価値算定機関が市場株価平均法及び類似会社比較法を採用しないという判断に、特段不合理な点はないと考えられる。
一方、価値算定機関がDCF法を適用するに当たって前提とした貴社事業計画は、貴社フィナンシャルアドバイザーの助言を得て貴社により作成された2021年12月期から2023年12月期の中期計画を使用しているところ、当該計画は、直近の新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、貴社のリゾート挙式事業の再開の目安として2022年1月の海外渡航制限解除を前提とし、二度に亘る緊急事態宣言の発出による影響額の見積もりと2020年12月期決算短信における債務超過公表後の貴社の売上げの傾向を反映したものとして作成されており、その前提等に特段不合理な点はないと考えられる。
以上を踏まえ、貴社事業計画を前提にDCF法を採用とした価値算定機関による本価値算定結果にも特段不合理な点はないと考えられる。
さらに貴社は、価値算定機関から本払込金額及び本スクイーズアウト価格は、それぞれ、貴社及び割当予定先を除く貴社株主にとって、財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオンも受領している。
すなわち、本払込金額である40円は、上記の価値算定結果の評価額の範囲内にあり、かつ、価値算定機関から財務的見地から妥当である旨の意見を得ている。また、本スクイーズアウト価格である180円は、上記の価値算定結果の評価額の上限44円を136円上回り、かつ、本払込金額に350%のプレミアムを乗じた金額となっており、かつ、価値算定機関から財務的見地から妥当である旨の意見を得ている。
したがって、上記の交渉経緯を経て決定され、価値算定機関による評価額の範囲内にある本払込金額、及び、かかる本払込金額に350%のプレミアムを付した本スクイーズアウト価格はいずれも公正かつ妥当であると考えられる。
なお、本株式価値算定書において採用されたDCF法に関し、価値算定機関からは「対象会社の事業が計画期間終了後も継続することを前提とした場合の株式価値を算定しており、金融機関からのバックアップが得られない等の要因により、計画期間中あるいは計画期間終了後に事業の継続が困難になる状況は想定されておりません。この点について、このような事業継続が困難になる状況を想定した場合には、本算定書におけるDCF法による算定結果よりも低い株式価値が算定される可能性があります。」との見解が本株式価値算定書において示されている。上記「a.資金調達の必要性」で述べた、貴社の手元の現預金残高の見通し、借入金の状況や、2020年12月期決算短信での債務超過公表後の売上げへの影響等を考慮したとき、本件第三者割当及び本件完全子会社化取引を実施できない場合には、計画期間中に事業継続が困難になる状況に陥る可能性は否定できず、その場合は、貴社の株式価値は上記のDCF法による価値算定結果で示された値を下回ることになる。この点に照らしても、本払込金額及び本スクイーズアウト価格はいずれも公正かつ妥当であると考えられる。
(希薄化について)
上記のとおり、貴社は、一刻も早い資本性の資金調達により債務超過を解消し、信用悪化を食い止めるとともに、売上げが減少する中で運転資金を確保し、事業を継続することが必要不可欠である。上記「a.資金調達の必要性」で述べた今後の資金繰り見通しを踏まえたとき、割当予定先から調達する払込金額総額20億円は貴社の事業継続を可能にするための運転資金として必要な規模である。
上記の通り、公正かつ妥当であると評価される本払込金額40円を前提にすると、504.57%ものの大規模な希薄が生じるものの、上記の本件第三者割当の目的・意義や他に貴社が採りうる手段がないことに照らすと、かかる大規模な希薄化を伴うことにはなお相当性がある。
したがって、本件第三者割当の発行条件には相当性がある。
d.割当予定先による当社の完全子会社化及び当社株式の上場廃止
上記「a.資金調達の必要性」で述べたとおり、現在の取引金融機関との協議の中では、何らかの資本政策を講じることなくして、2021年3月末に弁済期限を迎える約113億円の借入れについて取引金融機関から返済の猶予を受けられる目途は立っておらず、割当予定先による本件完全子会社化取引を通じたスポンサー支援を受けられない場合、早期に資金繰りはショートし、事業運営の継続が困難になる可能性がある。このような状況下において、貴社の完全子会社化及び貴社株式の上場廃止との方策は、上記のスポンサー選定の過程において唯一具体性かつ法的拘束力を持って提出された割当予定先の提案内容に含まれていたものである。
2021年2月初旬に割当予定先からの提案を受けて以降、貴社は、貴社株式の上場を維持した形でのスポンサー支援の可能性について割当予定先と繰り返し協議を行ったものの、かかる協議の中では、新型コロナウイルス感染症の流行に起因する未曾有の予測困難な経済、社会環境の中、ポストコロナを見据えた抜本的な事業変革を行うにおいては、短期的な業績や株主還元にとらわれることなく、貴社を非公開化し、迅速な意思決定を可能にすることが必要不可欠であるとの割当予定先の意向が示された。
かかる協議も踏まえた上で、貴社としても、上場を維持した上での大規模な増資では、貴社既存株主の保有株式は大幅に希薄化されるのみであり、新型コロナウイルス感染症の影響が当面の間継続することが見込まれ、今後も多額の損失計上が継続することが予想される状況において、貴社が上場を維持したまま、少数株主をさらなるリスクにさらすことは適切ではなく、株式価値が毀損する前に、貴社の少数株主に対して合理的な対価を支払った上で、貴社を非公開化することが少数株主の利益にも資すると判断している。また、上記のスポンサー選定の経緯に照らし、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明な環境下において、貴社の資金繰り見通しに照らし、割当予定先以外の支援者が時機にかなった形で見つかる保証はないと考えられる点も踏まえると、かかる貴社の判断には合理性が認められる。
本件第三者割当及び本件完全子会社化取引の実施に当たり、取引金融機関に対して相当額の債務免除の合意等を要請する中で、貴社の現在及び将来のキャッシュ・フローや足下の資金繰りの状況や新型コロナウイルス感染症に起因する不確実性を踏まえると、上記の本価値算定結果にも表れているとおり、貴社の実勢の株式価値は市場価格に比して著しく低いと考えられる。したがって、この段階で、既存株主に対して上記の通り公正かつ妥当と認められる本スクイーズアウト対価を支払うことは、少数株主に対しても合理的な救済策となると考えられる。
したがって、本件完全子会社化取引は貴社の少数株主にとって不利益とは認められない。
③ 当社における特別の利害関係のない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
本日開催の取締役会においては、特別の利害関係のない取締役6名が出席し、その全会一致により上記決議を行っております。なお、取締役 渡部秀敏は、本件完全子会社化取引の対象となる株式会社寿泉の役員を兼務しており、取締役 小岸弘和は、本件完全子会社化取引の対象となる株式会社ディアーズ・ブレインの役員を兼務しており、取締役 梶原健司、取締役 石田晃一及び取締役 髙橋哲也は、本件完全子会社化取引の対象となる株式会社千趣会の役員を兼務しており、それぞれ特別利害関係取締役に該当するため、当該取締役会を欠席しております。また、当該取締役会には、監査役4名(4名とも社外監査役)全員が出席し、いずれも、上記決議に異議はない旨の意見を述べております。
(4)本株式併合がその効力を生ずる日
本件第三者割当は、金融商品取引法に基づく届出の効力発生、2021年5月27日開催予定の本事業再生ADR手続の事業再生計画案の決議のための債権者会議において、本事業再生計画案が本事業再生ADR手続の本対象債権者の合意により成立すること、及び本臨時株主総会における付議議案の承認(また、本件第三者割当のうち、本新株式のうち400,000株については、上記に加えて、当該株式の発行に必要となる当社の発行可能株式総数の増加に係る定款の一部変更の効力発生)を条件としています。なお、本臨時株主総会による決議は、会社法第206条の2第4項の定める株主総会決議による承認を兼ねるものであります。
また、本株式併合は、本件完全子会社化取引の一部として、本件第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件に実施されるものであるため、2021年3月19日開催の当社取締役会では、本株式併合に関して、以下のとおり、本件第三者割当に係る本新株式が全て発行される時点に応じて、複数の効力発生日(以下「本株式併合効力発生日」といいます。)を定める旨の議案を本臨時株主総会に付議することを決議しております。
なお、上記にかかわらず、当社が割当予定先と2021年3月19日付で締結した出資契約において、割当予定先との間では、原則として、2021年5月31日に払込みを行うことを合意しています。
a.2021年6月10日までに本件第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2021年6月30日とする。
b.2021年6月11日以降、2021年7月10日までに本件第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2021年7月31日とする。
c.2021年7月11日以降、2021年8月10日までに本件第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2021年8月31日とする。
d.2021年8月11日以降、2021年8月31日までに本件第三者割当に係る本新株式が全て発行されることを条件として、本株式併合効力発生日を2021年9月30日とする。
以 上