有価証券報告書-第35期(平成25年9月1日-平成26年8月31日)

【提出】
2014/11/28 9:41
【資料】
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【項目】
112項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動が一部にみられたものの、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調となりました。
家庭用ゲーム業界におきましては、「ニンテンドー3DS」向けの複数タイトルがミリオンヒットとなるなど、ゲームソフトの販売状況は有力タイトルを中心に概ね堅調に推移しました。また、新型ゲーム機「プレイステーション4」及び「Xbox One」が昨年末に海外で発売され、好調な滑り出しとなったほか、国内でも本年2月に「プレイステーション4」、本年9月に「Xbox One」が発売されるなど、「Wii U」を含む次世代据置型ゲーム機が出揃い、今後の展開が期待される状況となりました。
モバイル業界におきましては、スマートフォンの普及率が引き続き拡大し、本年3月末における国内のスマートフォン契約数は5,734万件、フィーチャーフォンとスマートフォンの合計契約数に占める比率は47%に達した(株式会社MM総研調べ)との見方もある中、スマートフォンやタブレット端末向けのコンテンツ市場が引き続き好調に推移しました。コンテンツ市場におきましては、ゲーム分野に加え、生活、健康、ビジネス、教育など非ゲーム分野の市場も活況を呈しており、スマートフォンの高い性能を活かしてリッチなコンテンツを楽しめるネイティブアプリの増加が顕著となりました。一方で、コンテンツ市場における競争が過熱し、一部の有力コンテンツに収益が集中する傾向も高まっており、開発案件の大型化・高度化によるコストの増加や開発期間の長期化、ネイティブアプリ開発に必要な人材の不足など、事業環境が大きく変化する状況となりました。
このような状況のもと、当社グループは多様化するゲームプレイ環境への対応力を強化するとともに、受注拡大に努めてまいりました。また、東南アジア向けコンテンツ配信事業においては、昨年12月にシンガポール、本年は2月にフィリピン、3月にインドネシア、5月にタイでコンテンツの配信を順次開始し、配信サービスの品質向上及び配信コンテンツのラインナップ拡充を図るとともに、フィリピン現地子会社の開発体制の増強にも着手いたしました。さらに、他のASEAN諸国においても、新たな配信先の開拓に向けた取り組みを行いました。
この結果、当連結会計年度の売上高につきましては、ゲームソフト開発事業において新型ゲーム機の登場に伴う顧客による開発スケジュールの変更により、来期以降に期ずれした案件が複数発生したことに加えて、モバイル開発事業における新規案件の受注状況や連結子会社の新規事業の進捗状況が想定を下回った結果、52億72百万円(前連結会計年度比3.4%減)となりました。利益面につきましては、売上高の減少に伴って売上総利益が減少したことや東南アジア向けコンテンツ配信事業を中心とした新規事業における先行投資を実施した結果、営業利益は3億91百万円(前連結会計年度比26.8%減)、経常利益は4億35百万円(前連結会計年度比27.7%減)となりました。さらに、前連結会計年度においては、中国子会社の清算に伴って繰延税金資産を計上したため、税金費用が減少しましたが、当連結会計年度においては前連結会計年度のような特殊要因がなかったため、当期純利益は1億95百万円(前連結会計年度比58.5%減)となりました。
なお、開発完了タイトル数は、家庭用ゲーム機向け8タイトル、パソコン向け2タイトル、パチンコ・パチスロ向け1タイトル、携帯端末向け26タイトルの合計37タイトルとなりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。
① ゲームソフト開発事業
ゲームソフト開発事業におきましては、新型ゲーム機の登場に伴い、引き合い件数の増加など受注環境が良好に推移する中、新型ゲーム機向けへのプラットフォームの追加やプロジェクトの大型化など顧客による仕様の変更によって、来期に期ずれした大型案件も一部発生しましたが、パチンコ・パチスロ案件の開発業務などが好調に推移した結果、開発売上は38億円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、ニンテンドー3DS向けタイトルが堅調に推移した結果、97百万円となりました。
この結果、当事業の当連結会計年度の売上高は38億98百万円(前連結会計年度比3.5%減)、営業利益は4億13百万円(前連結会計年度比14.3%減)となりました。
② モバイル開発事業
モバイル開発事業におきましては、ネイティブアプリ開発の好調な受注環境を背景に大型のスマートフォン向け案件やソーシャルゲーム案件を受注し、開発完了できた一方で、受注に至らなかった案件が複数発生したことから、開発売上は4億94百万円となりました。
運営売上につきましては、運営業務が終了したタイトルが発生したものの、既存のソーシャルゲーム案件を中心に好調に推移した結果、4億24百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、スマートフォン向けコンテンツのロイヤリティ売上が好調に推移した結果、1億19百万円となりました。
この結果、当事業の当連結会計年度の売上高は10億38百万円(前連結会計年度比3.9%減)、営業利益は1億52百万円(前連結会計年度比165.2%増)となりました。
③ その他事業
その他事業におきましては、パソコン向けアバター制作業務が堅調に推移したものの、その他のコンテンツ開発の受注状況が低調に推移した結果、開発売上は1億65百万円となりました。
運営売上につきましては、子会社の株式会社フォネックス・コミュニケーションズが開始したスマートフォン向けコンテンツ配信サービス「テイクアウトライブ/Take Out Live※」の提案営業を積極的に推進し、音楽及びエンターテイメント業界の大型コンサートなどで実績を上げたほか、出版業界やブライダル業界など様々な業種で採用件数を伸ばしましたが、受注金額が計画を下回ったことから、54百万円となりました。
ロイヤリティ売上につきましては、Wii U向け家庭用カラオケ楽曲配信事業を中心として、1億15百万円となりました。
この結果、当事業の当連結会計年度の売上高は3億35百万円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。また、東南アジア向けコンテンツ配信事業における先行投資を積極的に行った結果、営業損失1億73百万円(前連結会計年度は営業損失4百万円)となりました。
※テイクアウトライブ/Take Out Live…コンサートやイベントなどのライブ映像や楽曲をイベント終了後すぐにスマートフォンにダウンロードし、視聴できるサービス。

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1億77百万円減少し、9億6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動により使用した資金は、1億71百万円(前連結会計年度は5億93百万円の資金獲得)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益4億64百万円、減価償却費1億28百万円、たな卸資産の減少額2億75百万円などの収入があった一方で、賞与引当金の減少額70百万円、前受金の減少額5億17百万円、法人税等の支払額4億28百万円などの支出があったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動により得られた資金は、1億51百万円(前連結会計年度は3億10百万円の資金使用)となりました。主な内訳は、定期預金の減少額3億円、有価証券の売却による収入3億25百万円、投資有価証券の売却による収入3億6百万円などの収入があった一方で、有価証券の取得による支出2億14百万円、有形固定資産の取得による支出53百万円、投資有価証券の取得による支出4億8百万円、関係会社長期貸付金による支出1億8百万円などの支出があったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動により使用した資金は、1億82百万円(前連結会計年度は1億84百万円の資金使用)となりました。これは主に、ストック・オプションの行使に伴う自己株式の処分による収入13百万円があったものの、配当金の支払額1億85百万円などがあったことによるものであります。