有価証券報告書-第29期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/29 15:52
【資料】
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【項目】
88項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性がある主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであり、不確実性が内在しているため、将来実現する実際の結果と異なる可能性があります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 経済情勢に関するリスク
当企業集団の主要事業であるSaaS/ASP事業の主要顧客である国内大手企業は、事業環境の変化に迅速に対応するため積極的なIT投資を進めており、SaaS/ASPサービスを含むクラウドサービスの利用も着実に増加しております。国内における景況感が徐々に好転している現在においてはこうした傾向が続くと考えられますが、今後経済情勢が悪化した場合、企業のIT投資金額が減少する可能性があります。
当企業集団のSaaS/ASP事業においては、SaaS/ASP型サービスでありながらお客様のニーズに合ったカスタマイズを行うことで、今後も業界における優位性を高めてまいるつもりですが、今後の景気動向の影響により、当企業集団が扱うサービスの受注減や、販売価格低下圧力の増大等が生じた場合、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② インターネット市場の将来性に関するリスク
当企業集団の主要事業であるSaaS/ASP事業は、インターネット市場の成長に大きく依存しております。昨今のブロードバンドの拡大、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスの普及により、インターネット利用者数は増加の一途を辿っていることから、インターネットを利用する消費者や企業をターゲットとする企業等においては、事業におけるインターネットの活用が必要不可欠なものとなっております。
しかしながら、今後インターネットの利用に係る新たな法規制の成立や、市場における競争の激化、景気の後退等が発生した場合は、インターネット市場全体の成長が減速する可能性があり、その場合当企業集団の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新への対応に関するリスク
当企業集団は、外部環境の変化に迅速に適応し、インターネットをはじめとするITを活用した事業を継続的に展開していく方針であります。
当企業集団では、常に最新の技術動向に目を向け、新機能の開発や新たなサービスのリリースを積極的に進めておりますが、IT業界は技術の進歩が非常に速いことから、予想を超える革新的な技術が出現した場合や、更に新技術への対応に多額の資金を要するにもかかわらず迅速な資金調達ができなかった場合には、対応に遅れが生じる可能性も否定できません。この場合、当企業集団が提供するサービスの陳腐化、競争力の低下等が生じ、当企業集団の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) サービス運用に関するリスク
① SLA(サービスレベルアグリーメント)を充足できない場合の賠償請求に関するリスク
当企業集団は、提供しているSaaS/ASPサービスについて、サーバの稼働、障害発生時の対応、及びメンテナンス実施時の連絡等に関する一定の保証水準を定め、これをSLAとして予めお客様に対して提示しております。
当企業集団では、お客様に安心してサービスをご利用頂ける万全の体制を構築し、係る保証水準の維持に努めておりますが、将来においてSLAに定める水準を達成できなかった場合、多額の賠償を請求される可能性があり、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 通信ネットワーク及びシステムに関するリスク
当企業集団のSaaS/ASP事業においては、インターネット、電話、FAX等の通信インフラを最大限に活用したサービスを提供しており、こうしたサービスの迅速な開発や安定した運用及び当企業集団の事業運営は、通信環境やコンピュータシステムに大きく依存しているため、コンピュータシステムのバックアップシステムの構築や、顧客数増加に伴うサーバ等の設備の増強や老朽化への対応等の対策を講じております。
しかしながら、ハードウエア・ソフトウエアの不具合や障害、事故・不正等による人為的ミス、通信回線の障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止、コンピュータウィルス、サイバーアタックの他、自然災害等によるシステム障害等、現段階では予測不可能な事由によりコンピュータシステムがダウンした場合には、業務の遂行及びサービスの提供が不可能となる可能性や当企業集団の保有する情報の外部漏洩・不正使用等が発生する可能性が生じ、売上の低下や復旧に係る費用負担が増大する恐れ及び社会的信用が失墜する恐れがあることから、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティ・個人情報保護に関するリスク
当企業集団が提供するサービスにおいては、お客様が収集・保有する個人情報を含む情報資産を、予めお客様の同意を得て、その依頼に基づき当企業集団が保有する場合があります。
当企業集団では、グループ全体で情報セキュリティに関する国際規格である「ISO/IEC27001」の認証を取得し、これを継続しており、グローバルスタンダードな第三者の視点を取り入れた情報セキュリティ対策を実施し、当企業集団が保有する情報資産について、社内マネジメントシステムに基づき管理の徹底に努めております。
しかしながら、外部からの不正アクセスや当企業集団における情報管理体制の瑕疵等により個人情報の漏洩が発生した場合、当企業集団への損害賠償請求や社会的信用の失墜等の可能性があり、これによって当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) コンプライアンスに関するリスク
① 知的財産権の侵害に関するリスク
当企業集団では、事業の遂行にあたり、過去もしくは現時点において、第三者の知的財産権の侵害に関する通知請求や訴訟を起こされた事実はありません。
しかしながら、今後、当企業集団が事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利について、当該第三者より損害賠償及び使用差止等の訴えを起こされる可能性、特許等に関する対価(ロイヤリティ)の支払い等が発生する可能性並びにライセンス等を受けられずに特定の技術の使用やサービスの提供が不可能となる可能性があります。それらの場合、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制に関するリスク
当企業集団が今後提供する新しいサービスにつき、監督官庁による許認可や法的規制が加えられる可能性があります。この場合、法的費用の発生や事業活動の制約が発生する可能性があり、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部統制に関するリスク
当企業集団は、業務における人為的なミスや、内部関係者等による違法行為、不正行為等の不祥事が発生することの無いよう、内部管理の基準を策定・運用する等の対策を実施しております。
また、業務の適正性を確保するため、内部統制・情報セキュリティ推進部を設置・運営する等、必要な内部統制システムを構築し、法令遵守の徹底及びリスクマネジメントの強化を進めております。
しかしながら、内部統制システムが有効に機能せず、業務の有効性や効率性、財務報告の信頼性等を確保できない事態あるいは違法行為・不正行為等が生じた場合には、係る信頼を回復するための運営費用の増加や、各部門の業務工数が増大する可能性を含め、当企業集団の業績・財政状態及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等に関するリスク
当企業集団は、現在においてその業績に重大な影響を与え得る訴訟・紛争には関与しておりませんが、様々な要因により今後直接又は間接的に、何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できません。当企業集団が訴訟・紛争に関与した場合、その経過・結果如何によっては、当企業集団の業績・財政状態及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 投資リスク(M&A)
当企業集団は、既存事業の拡充、関連技術の獲得及び新規顧客の獲得等の事業シナジーが期待できる企業の買収を、経営の重要課題として位置付けております。
買収を検討する際には、対象企業の財務内容や取引関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努めております。しかしながら、すべての重要事実が開示されない場合もあり、買収を行った後に、偶発債務の発生や、未認識債務の存在が判明する可能性も否定できません。
また、買収後に、デューデリジェンスのタイミングでは想定不可能であった買収先企業の事業環境の急激な変化等により、計画どおりに事業展開が進まない可能性があります。
このような場合には、場合によっては買収金額を超える損失が発生するリスクがあり、また、買収会社の事業活動や経営成績によっては、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人材確保及び育成に関するリスク
当企業集団の事業の発展のためには、優秀な人材の確保や育成が重要な課題の一つであると認識しており、新卒採用に加えて中途採用を実施する等、多様な人材を確保できるように努めております。また、採用後は入社後研修をはじめとする様々な研修を定期的に実施する等、教育制度の充実にも取り組んでおります。
しかしながら、こうした採用や育成ができなかった場合又は事業上必要な人材が確保できない若しくは退社した場合には、当企業集団の優位性や事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、人員の増加に伴い固定的な人件費も増加する可能性があり、人件費の増加を上回る売上増加を達成できなかった場合には、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 災害等に関するリスク
当企業集団は、サービス提供に必要なサーバ等の保管業務を外部のデータセンターに委託しております。当該データセンターについては、地震・台風・津波等の自然災害や停電や火災等の災害に対して十分な耐性を有するかどうか慎重に検討した上で選定しております。
しかしながら、当該データセンターは、当企業集団の想定を超える規模の災害が発生し、その結果、当該データセンターが壊滅する、あるいは保管中のサーバに保存されたデータが消失する等により、当企業集団のサービスの提供が不可能となる等の事態が生じた場合は、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当企業集団においては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画を策定しておりますが、様々な災害の発生による影響を完全に回避できる保証はなく、係る災害による物的又は人的損害が甚大である場合は、当企業集団の事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。