訂正有価証券報告書-第23期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2016/06/27 12:08
【資料】
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【項目】
123項目

研究開発活動

当社グループは、エンドユーザーの多様化するニーズと複雑化するネットワークシステム、情報端末に対応するため、先行的な研究開発を進めております。
当連結会計年度における研究の目的、主要課題及び研究成果等は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、49百万円でありコンテンツ事業に係るものであります。
(1) 研究の目的及び課題
コンテンツを利用するエンドユーザーのニーズは、最先端の技術そのものではなく、「より魅力的なコンテンツ(目的)を、より利便性の高い情報端末(手段)やネットワークシステムを介してサービスを得られること」であり、マーケットを形成する上で重要なポイントであると考えております。このような方針から、より複雑化・多様化が進みエンドユーザーのニーズの把握が困難な現在のマーケットに対して、単なる最先端の技術のみを追求・開発するための研究は行っておりません。
当社グループは、情報端末とネットワークシステムを利用したコンテンツ*の流通において重要な、音楽データフォーマット*、音楽再生アルゴリズム*、コンテンツ権利認証*、アーキテクチャ*等に特化したコアテクノロジーを備えております。これらは当社グループの知的財産(IP)であります。また、エンドユーザーに対してコンテンツを配信するためのサーバー*の構築、運営のノウハウと技術、さらにコンテンツを開発する技術力を備えております。このような技術体制から、大別して次のような2つのケースによって新製品、新技術の開発に取り組んでおります。
① 特定用途向け製品に関する開発
当社グループの独自技術をベースに当社グループの知的財産(IP)を確保した上で、情報端末や家電等のメーカー、または情報端末や家電を構成する半導体メーカー等との協業によって、当社グループのコアテクノロジーを顧客企業のニーズに合わせてカスタマイズ開発します。このように、自社開発の技術を顧客メーカーに対して「特定用途向け」にカスタマイズすることにより、迅速かつローリスクで新たな高付加価値の新技術が蓄積される構造であります。
② 顧客専用製品に関する開発
市場からのニーズをベースに当社グループが開発する独自のビジネスソリューションを、顧客である機器メーカーやコンテンツ制作会社、コンテンツ権利者、コンテンツ配信会社等に提案し、開発を受注することで顧客専用製品の開発に着手いたします。本ケースにおいては、ビジネスソリューションを当社グループが提案することで、当該事業における開発成果物のコアテクノロジーは当社グループの知的財産(IP)として確保いたします。このように、当社グループの技術力とノウハウを「顧客専用製品」に対して供給することにより、ローリスクで新たな技術が蓄積される構造であります。
以上のように、今後も明確なニーズに基づき、着実に技術に反映させることで高付加価値の新技術を開発・蓄積し、新たな市場拡大を図っていくことが当社グループの研究目的であり課題であると考えております。
* コンテンツ…情報の中身。放送やインターネット等で提供される動画・音楽・文字等の情報の内容。
* 音楽データフォーマット…楽曲の演奏情報や音声、演奏者の画像等を含んだデータを構成する形式を示します。
* アルゴリズム…ここでは、音楽配信・音源技術の論理構造を示します。(ある機能を実現するための構造・手順)
* コンテンツ権利認証…ここでは、コンテンツを視聴・利用する正当な権利を保有していることを確認し、実際に視聴・活用することを可能とするプロセスを示します。
* アーキテクチャ…ここでは、音楽配信・音源技術の設計思想を示します。(ある機能を実現するためのソフトウエア等の設計・構成方式)
* サーバー…通信ネットワーク上で、他の情報端末にファイルやデータを提供するコンピュータ。
(2) 研究成果及び今後の取り組み
情報端末の種類を問わず、ネットワークシステムを横断的に一括してコンテンツ配信を行う為の権利認証技術NFRM®*について、その開発及びビジネス構築を引き続き進めております。
当社にて研究開発した携帯端末向けミドルウェア及びネットワークシステム等を利用して構築し、家電メーカー、情報端末メーカー、半導体メーカー、サービス配信企業、コンテンツ権利者等と、サービスを提供しております。
また、情報端末を利用したホームネットワーク(家電のネットワーク化)向けの新たなコンテンツ視聴プラットフォームの研究開発を進めております。
医療機関等と進めている携帯端末を利用した医療健康情報の分野においては、携帯端末での電子カルテ管理を可能とするソリューション、および携帯端末での医療費支出管理と医療費控除申請書類の作成を容易にするソリューションについて、機能追加のための企画開発を引き続き行ってまいります。また、病院内での患者向け地デジ対応情報配信端末を新たに開発し、提供しております。
医療機関での診察券を地域内で共通化し、一枚の診察券で複数の医療機関での受診が可能となる「地域共通診察券」のプロジェクトを、特定非営利活動法人日本サスティナブル・コミュニティ・センター(京都市上京区)を中心に、これまでの京都府下に加え、兵庫県丹波市や愛知県名古屋市においても開始しており、今後も拡大してまいります。医療健康情報の流通に関しても、更なる利便性と機能の向上を目指し、引き続き研究開発を推進してまいります。
当社グループは、今後も明確なニーズに基づき、着実に技術に反映させることで高付加価値の新技術を開発・蓄積し、新たな市場拡大を図っていくと同時に開発成果を積極的に特許出願していく考えであります。
* NFRM…当社が開発した権利認証技術Near Field Rights Management® の略