有価証券報告書-第31期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/14 9:03
【資料】
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1) 業績
当社グループは、CAE、IT、可視化、ビッグデータを用いたソリューションを積極的にお客様に提案し続けることで、いつもお客様と共に歩み、頼りにしていただける、お客様にとっての“First Contact Company”を目指しております。また、当期を初年度とする「新中期経営計画2015年-2020年(3年×2)」を策定し、経営目標を定めるとともに、SI(Solution Integrator)(※1)としてお客様にとって最適なソリューションを提供してまいります。
(※1)「お客様の悩み、課題を多面的に捉え、包括的かつ長期にわたってソリューションを提供すること」と当社では定義しております。
3つの経営基本戦略及び重点施策
①当社独自の価値の提供
従来の3D CAE(※2)におけるMDS(マルチドメインソリューション:電気・熱など異なる分野をまたがって解析する手法)に1D CAE(※3)及びテストと計測を連携させた拡大MDSを推進し、さらに将来において「CYBERNET CLOUD」を利用したCAEクラウドとも連携させることで使いやすい環境をお客様に提供いたします。
(※2) 3D CAE:3次元形状を元に解析を行う手法
(※3)1D CAE:対象とする製品やシステムなどの機能を数学モデル(数式)で表現し、評価解析する手法
②自動車関連分野への注力
ADAS(※4)やIoT(※5)との連携など、ますます高度化・高精度化する自動車関連分野に対して、当社独自の技術を用いたコンサルテーションを通じて、お客様にとって最適なソリューションをグローバルに提供いたします。
(※4) Advanced Driving Assistant System:運転手の支援や運転技術の補完、さらに運転の代理までも行う、先進運転支援システムのこと
(※5)Internet of Things:様々な「もの」がインターネットに接続され、相互に通信しあう仕組みのこと
③パートナーとの連携強化
グローバル展開を加速するために、各地域でパートナー及びグループ間の連携を強化するとともに、開発子会社製品のOEM提供を積極的に推進いたします。
当連結会計年度の業績は、国内売上高は、前期において可視化分野で教育機関から大型案件の受注があったこと及びEDA分野で変更を行った取扱商品が立ち上げ段階であったこと等による減収要因がありました。しかし、主力のマルチフィジックス解析ツール及び照明設計解析ソフトウェアが堅調に推移したことに加え、自動車業界向けエンジニアリングサービス、イノベーション支援ソリューション、ITソリューションサービス事業が好調に推移したことにより、前年同期に比べ横ばい推移となりました。海外売上高は、米国の開発子会社が前期において大型案件があったため前年同期を下回りましたが、中国の販売子会社やカナダとベルギーの開発子会社が好調に推移したことに加え、円安による為替の影響もあったため、前年同期に比べ堅調に推移いたしました。その結果、連結売上高は前年同期に比べ若干の増収推移となりました。利益面では、円安による為替の影響がありましたが、商品原価率の改善等により、営業利益、経常利益ともに前年同期を上回りました。しかし、税制改正に伴う法人税率の変更による繰延税金資産の取崩しの影響等により、当期純利益は前年同期を下回りました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は155億18百万円(前年同期比0.8%増)、営業利益は8億51百万円(前年同期比5.1%増)、経常利益は10億3百万円(前年同期比2.9%増)、当期純利益は4億63百万円(前年同期比22.3%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(CAEソリューションサービス事業)
主力のマルチフィジックス解析ツールの新規ライセンス販売は、電機業界向けに加え、研究機関や情報・通信メーカーでの大型案件の受注により堅調に推移いたしました。また、保守契約の更新も、民間企業の研究開発投資に支えられ、電機業界や機械製造業界からの受注が伸びたため、堅調に推移いたしました。3次元ダイレクトモデラーの保守契約の更新は、3Dプリンター関連やリバースエンジニアリングといった用途で好調に推移いたしました。その結果、MCAE分野は、前年同期を上回りました。
<光学設計分野>光学設計評価プログラムの新規ライセンス販売及び保守契約の更新は、車載向けのニーズはあるものの、デジカメや携帯電話向けのカメラ開発市場が伸び悩んでいることにより軟調に推移いたしました。しかし、主力の照明設計解析ソフトウェアの新規ライセンス販売は、一般照明及び自動車関連メーカーでの採用が進んだことにより好調に推移し、保守契約の更新は、電機業界を中心に製造業の各分野において堅調に推移いたしました。また、フォトニクスデバイスソフトウェアの保守契約の更新は、ユーザーの利用が活性化しており好調に推移いたしました。前期より販売を開始した自動車用照明設計プラットフォームの新規ライセンス販売及び保守契約の更新は、好調に推移いたしました。その結果、光学設計分野は、前年同期を上回りました。
前期の取扱商品の変更に伴い新たに販売を開始した電子回路基板設計ソリューションは、立ち上げ段階のため低調に推移いたしました。また、プリント基板(PCB)エンジニアリングサービスは、既存取引顧客からの受注が低調に推移いたしました。その結果、EDA分野は、前年同期を大きく下回りました。
モデルベース開発エンジニアリングサービスは、自動車関連メーカーを中心にモデルベース開発への投資意欲が高く、ADASをはじめ自動運転技術及び高度なモデリングに対するエンジニアリングサービスへの要望が引き続き増加しており、好調に推移いたしました。また、当社グループ製品であるシステムレベルモデリング&シミュレーションの新規ライセンス販売及び保守契約の更新は、自動車関連メーカーをはじめ電機・機械メーカーにおいても、モデルベース開発やシステムの自動化・最適化などへの開発環境構築検討が進んでおり、好調に推移いたしました。その結果、MBD分野は、前年同期を大きく上回りました。
<ビッグデータ分野>イノベーション支援ソリューションの新規ライセンス販売及び保守契約の更新は、自動車業界向けなど大型案件を受注し、好調に推移いたしました。ビッグデータ可視化エンジン及び特許調査/戦略立案サービスは、新規事業として取り組んでおります。その結果、ビッグデータ分野は、前年同期を大きく上回りました。
<テスト・計測分野>当社が開発したFPD(Flat Panel Display)自動検査システムは、中国を中心とするフラットパネルメーカーの有機ELディスプレイ検査・調整用途の需要を背景に、好調に推移いたしました。その結果、テスト・計測分野は、前年同期を大きく上回りました。
<可視化分野>AR(Augmented Reality:拡張現実)分野の受託及びポータルサービスが好調に推移いたしました。また、医療可視化分野でも、放射線治療計画装置関連の開発を中心としたサービスが好調に推移いたしました。しかし、前期の大規模可視化装置及びシステム導入の大型案件をカバーするには至りませんでした。その結果、可視化分野は、前年同期を大きく下回りました。
<その他分野>当社グループ製品である3次元公差マネジメントツール及び最適設計支援ツールの新規ライセンス販売は、大型案件の受注により好調に推移し、保守契約の更新も、好調に推移いたしました。また、CAE技術教育ビジネスは、製造業における人材育成ニーズの高まりを受け、各社教育計画の一環として採用されるケースが増加したことにより、好調に推移いたしました。その結果、その他分野は、前年同期を大きく上回りました。
<開発子会社>WATERLOO MAPLE INC.(カナダ)は、STEM(※6)コンピューティング・プラットフォームの販売が北米及びアジアで好調に推移いたしました。Sigmetrix, L.L.C.(米国)は、前期の大型案件を除き、3次元公差マネジメントツール及び幾何公差設計ツールの販売がアジアにおいて好調に推移いたしました。Noesis Solutions NV(ベルギー)は、最適設計支援ツールの販売がアジアにおいて好調に推移いたしました。
(※6)STEM:Science, Technology, Engineering, and Mathematics(科学、技術、工学、数学)という総合的な分野の総称
<販売子会社>莎益博工程系統開発(上海)有限公司(中国)は、取扱ソフトウェア全般において好調に推移し、また、当社開発の光学測定器ビジネスも順調に推移いたしました。思渤科技股份有限公司(台湾)は、3次元公差マネジメントツールは順調に推移いたしましたが、主力商品である光学系ソフトウェアの販売が景気の影響で伸び悩み、低調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は136億99百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は20億17百万円(前年同期比3.1%減)となりました。
(ITソリューションサービス事業)
主力商品である大手開発ベンダのセキュリティ関連ソリューションの新規ライセンス販売は、大型案件の減少により低調に推移いたしましたが、更新契約は、月額課金モデル、OEMモデル及びクラウドサービスの成長により好調に推移いたしました。ディスク暗号化ソフトウェア及びIT資産管理ソフトウェアの新規ライセンス販売及び更新契約は、セキュリティ事故対策への市場のニーズに支えられ、好調に推移いたしました。また、クラウドサービスは、電機業界を中心に好調に推移いたしました。その結果、ITソリューションサービス事業は、前年同期を大きく上回りました。
以上の結果、売上高は18億20百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益は2億10百万円(前年同期比65.2%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比14億24百万円の増加となり、当連結会計年度末には56億64百万円(前年同期比33.6%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、4億87百万円のプラス(前年同期比55.7%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億93百万円及びのれん償却額3億76百万円等により増加した一方、法人税等の支払額7億10百万円等により減少したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、14億70百万円のプラス(前年同期は7億47百万円のマイナス)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入20億円等により増加した一方、定期預金の預入による支出4億82百万円等により減少したものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億81百万円のマイナス(前年同期比42.6%増)となりました。これは主に、配当金の支払4億72百万円等によるものです。