有価証券報告書-第23期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/27 15:11
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しの動きは緩慢であるものの、輸出の増加や生産の持ち直しにより企業の収益及び業況判断は改善しており、緩やかながら息の長い景気回復基調が続いております。
海外経済は、全体としては緩やかな成長が続いておりますが、アメリカの政権運営に不透明感がある他、地政学リスクの高まりなどによりわが国の景気が下押しされるリスクがあることに留意する必要があります。
当社グループが関わる不動産及び不動産金融業を取り巻く環境を俯瞰しますと、不動産賃貸市場においては、全国の主要都市において堅調な企業業績を背景とした増床や拡張移転需要が継続したことにより、オフィスビルの稼働率が2000年以降の過去最高水準を示しております。さらに東京都心5区のオフィスビルでは、賃料が緩やかではありますが着実に上昇しております。不動産売買市場においては、日銀による低金利政策の効果により良好な資金調達環境が続く中、活発な不動産投資活動が続いております。
こうした中、当連結会計年度において当社グループでは、顧客投資家への投資機会を提供するために、オフィス、住宅、ホテル及び太陽光発電所等への投資を積極的に進め、これらの物件のアセットマネジメント業務を受託することにより、着実に受託資産残高(AUM)を拡充いたしました。この結果、当連結会計年度末における受託資産残高(AUM)の総額は2兆33億円となり、前連結会計年度末比では、3,002億円(17.6%)の純増となりました。
当連結会計年度における代表的な取組みとして、横浜みなとみらい地区に所在する三菱重工横浜ビルを対象に新規コアファンドを組成し、当社グループでアセットマネジメント業務及びプロパティマネジメント業務を受託いたしました。また、同ビルに隣接する開発用地についても、パナホーム株式会社と鹿島建設株式会社を事業パートナーとして迎え入れ、3社による共同開発プロジェクトを推進する体制を整えました。海外においては、アメリカの賃貸住宅に対する投資機会を本邦投資家向けに創出した他、シンガポール子会社であるKenedix Asia Pte. Ltd.では、スポンサー参加するマレーシアの上場REITのポートフォリオ拡充をサポートするため、マレーシアのオフィスビルへの投資を行いました。また、新たな事業領域への取組みとして、不動産を対象とした投資型クラウドファンディング事業を推進するため、株式会社野村総合研究所と共同でビットリアルティ株式会社を設立いたしました。
これらの取り組みにより、当連結会計年度の営業収益は26,349百万円(前期比15.8%増)、営業利益は12,285百万円(前期比28.9%増)、経常利益は11,455百万円(同7.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,516百万円(同3.6%増)となりました。
財務面につきましては、発行済株式総数に対して4.5%にあたる自己株式の取得及び消却を行い、株主還元水準の向上及び資本効率の改善を図りました。
この結果、平成27年2月に公表した中期経営計画「Partners in Growth 2017」において定量目標として掲げた最終年度ベース利益*140億円、3年平均ROE*28.0%に対し、当連結会計年度では目標数値を上回るベース利益67億円、3年平均ROE11.9%を達成いたしました。
*1 :ベース利益は、アセットマネジメント事業及び不動産関連事業の営業総利益の合計から販売費及び一般管理費を控除したものをいいます。
*2 :3年平均ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益を自己資本(期初・期末平均)で除した各年度ROEの平均
上記*1及び*2の目標数値算定にあたり、企業買収等に伴う「のれん」の影響を除外

セグメントの業績は、次のとおりであります。
① アセットマネジメント事業
受託資産残高(AUM)が拡大した結果、安定収益であるアセットマネジメントフィーが着実に増加しました。また、不動産仲介により受領するブローカレッジフィーや資産取得時に受領するアクイジションフィーが増加したことから、営業収益が前期と比較して3,713百万円増加しました。この結果、営業収益は12,060百万円(前期比44.5%増)、営業利益は7,914百万円(同49.3%増)となりました。
② 不動産管理事業
プロパティマネジメント事業の拡大により、営業収益は2,845百万円(前期比18.7%増)、営業利益は798百万円(同24.6%増)となりました。
③ 不動産運営事業
サービスオフィス事業の業績は堅調に推移したものの、サービスアパートメント事業における運営物件の減少や修繕による稼働貸室数の減少等が影響し、営業収益は3,429百万円(前期比5.2%減)、営業損失は263百万円(前期は42百万円の営業損失)となりました。
④ 不動産投資事業
連結対象不動産の売却に伴い賃料収入が減少した一方で、堅調な不動産市況を背景に投資回収が順調に推移し、営業収益は8,460百万円(前期比6.0%減)、営業利益は4,799百万円(同1.5%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により12,549百万円減少し、投資活動により2,584百万円減少し、また、財務活動により20,922百万円増加いたしました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、5,711百万円増加し、49,050百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、12,549百万円(前期比14.0%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益12,640百万円の発生があった一方、たな卸資産の増加額が21,642百万円、営業貸付金の増加額が2,230百万円、買取債権の増加額が2,147百万円あったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、2,584百万円(前期比219.1%増)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入額が19,370百万円、関係会社株式の売却による収入額が4,697百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出額が27,276百万円、投資有価証券の取得による支出額が5,702百万円であったことによるものであります。
なお、当連結会計年度末の有形固定資産の金額は前連結会計年度末に比べ26,691百万円減少しておりますが、これは主に、有形固定資産を保有する連結SPCの出資持分の一部を償還し、連結範囲から除外したことにより31,096百万円、さらに有形固定資産とたな卸資産の保有区分の見直しにより4,333百万円有形固定資産が減少したことによります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は、20,922百万円(前期比95.9%増)となりました。これは主に、ノンリコ―ス長期借入れによる収入額44,859百万円、非支配株主からの払込みによる収入額が7,167百万円あった一方、ノンリコ―ス長期借入金の返済による支出額が19,795百万円、自己株式の取得による支出額が4,999百万円あったことによるものであります。