臨時報告書

【提出】
2020/11/09 15:25
【資料】
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提出理由

当社は、2020年11月9日開催した取締役会において、EmendoBio Inc.(以下「Emendo社」といいます。)の発行済株式を最大100%取得し、子会社化(以下「本件買収」といいます。)することを決議いたしました。また、かかる決議の中で、本件買収の手法として、当社が新たに設立した当社連結子会社であるGrey Fox Merger Sub Inc.(以下「Grey Fox社」といいます。)は、Grey Fox社を合併消滅会社、Emendo社を合併存続会社として吸収合併(米国デラウェア州法による。以下「本件合併」といいます。)を実施することを定めており、本件合併によりGrey Fox社が子会社ではなくなります。以上から、金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第3号及び第15号の3に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

連結子会社の吸収合併の決定

特定子会社の異動
1.Grey Fox Merger Sub Inc.の異動
(1) 当該異動に係る特定子会社の名称、住所、代表者の氏名、資本金の額及び事業の内容
① 名称Grey Fox Merger Sub Inc.
② 住所1209 Orange Street, Corporation Trust Center, Wilmington, DE 19801
③ 代表者の氏名Director Susan W. Pitman Lowenthal
④ 資本金の額1米ドル(105円)(注)
⑤ 事業の内容本件買収のため当社が2020年9月4日に設立

(注) 便宜上、米ドル・日本円の為替レートを1米ドル=105円で換算しています。以下の米ドルで表示された金額の日本円相当額への換算についても、同様の為替レートを用いています。また、資本金の額は本臨時報告書提出時現在における数値を記載しており、本第三者割当(下記「3.連結子会社の吸収合併 (4)当該吸収合併の方法、吸収合併に係る割当ての内容その他の吸収合併契約の内容」に定義されます。)に係る会社法上の払込期間(2020年12月15日以降2021年1月31日まで)内で払込みがなされる日の前日又は同日頃に、Grey Fox社が新たに発行する普通株式を当社が引き受けることにより、資本金が増加する予定です。
(2) 当該異動の前後における当社の所有に係る当該特定子会社の議決権の数及び当該特定子会社の総株主等の議決権に対する割合
① 当社の所有に係る当該特定子会社の議決権の数
異動前 1個(本第三者割当に係る払込みがなされる日の前日又は同日頃に、Grey Fox社が新たに発行する普通株式を当社が引き受けることにより、議決権数が増加する予定です。)
異動後 ―個
② 当該特定子会社の総株主等の議決権に対する割合
異動前 100%
異動後 ―%
(3) 当該異動の理由及びその年月日
① 異動の理由
当社は、2020年11月9日開催の当社取締役会において本件買収について決議しているところ、本件買収は、本件合併、すなわち、Emendo社を合併存続会社、Grey Fox社を合併消滅会社とする吸収合併(米国デラウェア州法による。)の方式で行われますが、Grey Fox社は、本件合併に先立ち、当社がその発行する株式を引き受けることによる増資を行うことにより、資本金の額が当社の資本金の額の100分の10以上になると見込まれ、これにより、特定子会社に該当することになるため、本件合併の結果、当社の特定子会社ではなくなる予定です。
② 異動の年月日(予定)
本件買収が実行される日(2020年12月15日の予定です。)に当社の特定子会社ではなくなる予定です。
2.EmendoBio Inc.の異動
(1) 当該異動に係る特定子会社の名称、住所、代表者の氏名、資本金の額及び事業の内容
① 名称EmendoBio Inc.
② 住所400 W 61st St, #2330 New York, NY USA
③ 代表者の氏名CEO David Baram
④ 資本金の額68,496千米ドル(約7,192百万円)(2020年6月30日現在)(注)
⑤ 事業の内容重篤な疾患や障害の原因となる細胞の遺伝子変異を修復、除去することができるゲノム編集技術の開発

(注) 米国の会計基準に準拠した数値です。また、未監査です。
(2) 当該異動の前後における当社の所有に係る当該特定子会社の議決権の数及び当該特定子会社の総株主等の議決権に対する割合
① 当社の所有に係る当該特定子会社の議決権の数
異動前 4,102,153個
異動後 最大100個
但し、下記「3.連結子会社の吸収合併 (4)当該吸収合併の方法、吸収合併に係る割当ての内容その他の吸収合併契約の内容」記載のとおり、Emendo社の株式等の取得状況次第で100個に満たないこととなる可能性があります。
(注) 本件合併により、合併直前に存在していたEmendo社の株式等(普通株式、種類株式、行使可能なワラント、オプションをいいます。以下同じ。)は原則として全て消滅し、また、合併直前に当社が保有しているGrey Fox社の発行済株式も全て消滅し、合併後の存続会社であるEmendo社が改めて当社に対して新株を発行する予定です。発行される新株の数は、合併直前に当社が保有しているGrey Fox社の発行済株式の数と同一の100株になる見込みです。
② 当該特定子会社の総株主等の議決権に対する割合
異動前 100%
異動後 最大100%
但し、下記「3.連結子会社の吸収合併 (4)当該吸収合併の方法、吸収合併に係る割当ての内容その他の吸収合併契約の内容」記載のとおり、Emendo社の株式等の取得状況次第で100%に満たないこととなる可能性があります。
(3)当該異動の理由及びその年月日
① 異動の理由
当社は、2020年11月9日開催の当社取締役会において本件買収について決議しているところ、本件買収は、本件合併、すなわち、Emendo社を合併存続会社、Grey Fox社を合併消滅会社とする吸収合併(米国デラウェア州法による。)の方式で行われ、本件合併の結果、Emendo社は当社の子会社となります。Emendo社の資本金の額が当社の資本金の額の100分の10以上であることから、当社の特定子会社に該当することとなる見込みです。
② 異動の年月日(予定)
本件買収が実行される日(2020年12月15日の予定です。)に当社の特定子会社になる予定です。
3.連結子会社の吸収合併
(1) 当該連結子会社の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号Grey Fox Merger Sub Inc.
本店の所在地1209 Orange Street, Corporation Trust Center, Wilmington, DE 19801
代表者の氏名Director Susan W. Pitman Lowenthal

(2) 当該吸収合併の相手会社に関する事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
商号EmendoBio Inc.
本店の所在地400 W 61st St, #2330 New York, NY USA
代表者の氏名CEO David Baram
資本金の額68,496千米ドル(約7,192百万円)(2020年6月30日現在)(注)
連結純資産の額48,834千米ドル(約5,128百万円)(2020年6月30日現在)(注)
連結総資産の額51,056千米ドル(約5,361百万円)(2020年6月30日現在)(注)
事業の内容重篤な疾患や障害の原因となる細胞の遺伝子変異を修復、除去することができるゲノム編集技術の開発

(注) 米国の会計基準に準拠した数値です。また、未監査です。
② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益及び純利益
2017年12月期2018年12月期2019年12月期
連結売上高
連結営業損失(△)△3,038千米ドル
(約△319百万円)
△3,205千米ドル
(約△337百万円)
△5,404千米ドル
(約△567百万円)
連結当期純損失(△)△3,091千米ドル
(約△325百万円)
△3,285千米ドル
(約△345百万円)
△6,835千米ドル
(約△718百万円)

(注) 米国の会計基準に準拠した数値です。また、未監査です。2020年6月30日現在、連結売上高は該当なし、連結営業損失(△)は△5,205千米ドル(約△547百万円)、連結中間純損失(△)は△5,127千米ドル(約△538百万円)となっております。なお、米国の会計基準に準拠して作成しており、未監査の数値によるものです。
③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
1. アンジェス株式会社(40.04%)
2. OrbiMed Israel Partners II, LP(22.50%)
3. Takeda Ventures Inc.(13.72%)
4. Orbimed Private Investments VI, LP(13.57%)
5. David Baram(3.61%)
6. Shilo Ben Zeev(3.12%)
7. Noam Diamant(1.17%)
④ 当該連結子会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
該当事項はありません。
なお、Emendo社と当社との間の資本関係、人的関係及び取引関係は以下のとおりです。
資本関係当該連結子会社の親会社である当社がEmendo社の持分の40.04%(議決権ベースで40.04%)(完全希薄化後ベースで32.39%(議決権ベースで32.39%))
人的関係当社から取締役を2名派遣しております。
取引関係該当なし。但し、下記「(4)当該吸収合併の方法、吸収合併に係る割当ての内容その他の吸収合併契約の内容」記載のとおり、当社からEmendo社に対して20百万米ドル(約21億円)の金銭を貸し付ける予定です。

(3) 当該吸収合併の目的
① 当社は、創業以来遺伝子治療の開発に携わり、昨年当社の遺伝子治療用製品コラテジェン®筋注用4mgが日本で初めての遺伝子治療用製品として承認されました。この製品はプラスミドベクター製品としては世界で初めて承認されたものになります。また、米国市場が世界的にも大変大きな市場を占めていることから、米国向けの開発を精力的に進めており、当該プラスミドベクター製品の開発経験は、当社において新型コロナウイルスのDNAワクチンや高血圧DNAワクチンなどの開発にも応用されています。
遺伝子治療用製品において現在開発されている主要な手法としては、遺伝子を組み込んだベクターを導入して、欠損した遺伝子を補充したり、必要な遺伝子機能を増強する方法が行われてきましたが、近年、特定の遺伝子を特異的に切断、編集、改変するゲノム編集技術により特定の遺伝子の機能を失わせたり、疾患の原因となっている遺伝子の異常を修正する方法が開発されてきました。
当社は、上記の遺伝子を組み込んだベクターを直接患者に投与するプラスミド製品に加え、オリゴヌクレオチドにより遺伝子の発現を抑制したり、タンパク質の機能を阻害したりする核酸医薬の分野において、これまで研究開発を進めてきました。一方で、当社は、究極の遺伝子治療技術となる可能性のあるゲノム編集の分野についても進出したいと考え、ゲノム編集技術の開発ベンチャー企業であるEmendo社に投資をしてまいりました。具体的には、2019年3月、2020年1月及び2020年6月に、総額54百万米ドルの投資によりEmendo社を当社の持分法適用関連会社としております。
Emendo社は、イスラエルを代表する総合的な基礎研究機関であるワイツマン科学研究所の科学者によって2015年12月に設立されました。同社の本社は米国に所在していますが、その研究開発は主にイスラエルにおいて行われています。同社は、その設立後、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集技術(※1)を発展させ、既存のゲノム編集技術の課題を解決し、より安全に医療への応用を可能とする次世代のゲノム編集技術の研究開発に取り組んでおります。
当社は、Emendo社を完全子会社とすることによって、これまで当社の強みとし、当社事業の3つの柱としていた、上記のプラスミド製品、核酸医薬及びDNAワクチンの3つの分野に加え、新たにゲノム編集の分野における先端技術を当社グループに加えることにより当社事業の第4の柱とすることができ、当社グループの守備範囲を大幅に拡大することができます。そして、当社は、米国及びイスラエルにも拠点を置く世界的な遺伝子治療用製品の開発企業となり、世界で初めてゲノム編集プラットフォーム技術及び治療プログラムを一体として所有する企業となり、当社の目指す「遺伝子医薬のグローバルリーダー」に近づいていくと考えております。
② CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術は、革命的なゲノム編集技術で、本年のノーベル化学賞をエマニュエル・シャルパンティエ教授とジェニファー・ダウドナ教授が授与したことは記憶に新しいところであり、この技術を利用した遺伝子治療の開発が進められております。
CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集では、ガイドRNAがゲノム上の標的配列にCas9ヌクレアーゼ(核酸分解酵素)を誘導することから、RNA誘導型ヌクレアーゼと呼ばれています。
Emendo社では、これまで一般に用いられてきた既存のCas9ヌクレアーゼとは異なる新規のRNA誘導型ヌクレアーゼを探索し、これらをゲノム編集技術に応用するOMNIプロジェクトを推進してきております。バイオインフォマティックスやたんぱく質工学の技術による最適化プラットフォームにより、新たに発見したヌクレアーゼから高い活性を持ちながら、精度の高いヌクレアーゼを作製し、これらをOMNIヌクレアーゼと呼んでおります。このOMNIヌクレアーゼにより、高効率・高精度なゲノム編集技術の確立を目指しています。
Emendo社が開発するOMNIヌクレアーゼは、標的毎に最適化された、高い効率と精度を両立したヌクレアーゼであり、対立遺伝子特異的ゲノム編集(※2)をも可能とします。
常染色体顕性遺伝子疾患(※3)は、対立遺伝子の片方のみの異常で病態が発生するので、このような疾患をゲノム編集によって治療するためには、正常な遺伝子に傷をつけることなく、異常な遺伝子を破壊又は修復することが必要となります。
Emendo社のOMNIヌクレアーゼを用いるゲノム編集は、対立遺伝子特異的ゲノム編集を必要とする疾患への適応が期待されるため、広範囲の適応症に対する治療法を開発することができます。当該技術を使って製品パイプライン開発を米国において主体的に進め、当該製品について米国FDA(Food and Drug Administration)(アメリカ食品医薬品局)の承認を得ることで日本を初めとする各国の規制当局の承認取得を容易にし、世界中の市場に製品を提供する道が開けるものと考えます。
③ 当社は、今回のEmendo社の買収により、当社の20年にわたる遺伝子治療用製品の開発経験により培われた、国際的規制を踏まえた、前臨床、CMC、臨床開発のノウハウ、及びGMPに沿った製造管理に関するノウハウ等、商業化に必要な知見を、Emendo社のOMNIヌクレアーゼの活用に活かし、OMNIヌクレアーゼを用いた遺伝子治療用製品の実用化に繋げていきたいと考えております。また、それによって、当社は、世界的な次世代ゲノム編集技術を活用した遺伝子治療用製品の開発企業となり、ヒトの遺伝子疾患の治療法を飛躍的に進化させることに繋げていきたいと考えております。
※1 CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集:CRISPRは、Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(クラスター化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し)の略で、多くの微生物に存在する遺伝子座です。規則的にあいた間隔には、過去にその微生物に侵入した外来のウイルス等の配列(スペーサー配列)が取り込まれており、次にそのウイルス等が侵入した時に、取り込まれた遺伝子配列を目印として侵入したウイルス等の遺伝子を破壊して排除する、微生物における記憶免疫機構を担っています。この時、スペーサー配列はガイドRNAの鋳型として機能し、Cas9ヌクレアーゼを標的配列に誘導します。このガイドRNAを編集したい標的配列に置き換えて設計し、Cas9ヌクレアーゼと共に作用させて、目的の遺伝子配列を編集するゲノム編集技術が発展してきました。
※2 対立遺伝子特異的ゲノム編集:細胞の核に存在する染色体は、父親由来の染色体と母親由来の染色体で対をなしています。それぞれの染色体には基本的に同じ遺伝子が載っており、片方の染色体に載っている遺伝子から見て、もう片方の染色体に載っている相当する遺伝子を対立遺伝子と言います。対立遺伝子どうしのわずかな違いを正確に区別できるゲノム編集を対立遺伝子特異的ゲノム編集といいます。
※3 常染色体顕性遺伝子疾患:染色体の内、性染色体以外の染色体を常染色体といいます。両親から受け継いだ常染色体上の対立遺伝子の内、片方の遺伝子の異常によって、その形質が現れる場合、常染色体顕性遺伝といいます。常染色体顕性遺伝子疾患では、異常のある遺伝子は機能を失っているのではなく、異常な機能を発現しているので、正常な遺伝子を導入しても治療することはできません。しかし、正常な遺伝子には傷をつけないように、異常な遺伝子を特異的に破壊することができれば、治療することが可能と考えられます。
(4) 当該吸収合併の方法、吸収合併に係る割当ての内容その他の吸収合併契約の内容
本件買収は、当社が本件買収のために新たに米国に設立した子会社であるGrey Fox社に対して、当社が当社普通株式の発行(以下「本第三者割当」といいます。)を行い、Grey Fox社を合併消滅会社、Emendo社を合併存続会社とするデラウェア州法上の合併を行い、当社普通株式が、合併対価として、一部のEmendo社の出資者(従業員等を含みます。以下同じ。)に対して交付され、その余のEmendo社の出資者には、Emendo社が保有する現金が合併対価として交付される方法により行われます。その具体的手続きは、大要以下のとおりとなります。
[第1ステップ] Grey Fox社の設立・Grey Fox社の新株発行とGrey Fox社への資金拠出

本件買収の第1ステップとして、まず、当社は、当社の子会社として、米国デラウェア州にGrey Fox Merger Sub Inc.という買収子会社を設立しました。
当社は、Grey Fox社が本第三者割当に係る払込みを行う日の前日又は同日頃に、Grey Fox社の増資を引き受ける方法により、Grey Fox社による当社の新株式の第三者割当の払込みに必要な資金をGrey Fox社に対して拠出します。当社は、上記のGrey Fox社の増資を引き受けるために必要となる資金については、金融機関からの借入れにより調達する資金(225億円)及び自己資金(払込みに要する資金のうち225億円を超える額)を充当する予定です。
[第2ステップ] 当社普通株式の発行とGrey Fox社から当社への払込み

第2ステップとして、当社は、Grey Fox社に対して第三者割当の方法により当社普通株式の発行を行い、Grey Fox社はこれを引き受けます。かかる当社普通株式の発行により、Grey Fox社は、Emendo社との合併に係る合併対価の一部として、Emendo社の出資者に交付する当社普通株式を取得することになります。Grey Fox社からの当社普通株式に係る払込みにより、第1ステップにおいて、当社がGrey Fox社の増資を引き受けることにより拠出した資金は、当社に実質的に戻されることとなり、当該金額に関しては本件買収における実質的な資金の流出とはなりません。
当社は、Grey Fox社より当社普通株式の払込金として受領した資金をもって、当該普通株式に係る払込金に用いた自己資金と同一の額を除き、上記第1ステップにおいて当社が金融機関より借り入れた資金の返済に充当する予定です。
[第3ステップ] Grey Fox社とEmendo社の合併

第3ステップとして、Emendo社を合併存続会社、Grey Fox社を合併消滅会社とするデラウェア州法上の合併を実施します。合併対価として、Emendo社とGrey Fox社との間の合併契約に定めるところにより、Emendo社の出資者が保有する普通株式、種類株式、行使可能なワラント、オプション等(以下「Emendo社の株式等」といいます。)は全て当社の普通株式を受領する権利、又はEmendo社から現金を受領する権利に転換され、Grey Fox社と合併したEmendo社は当社普通株式を受領する権利を有するEmendo社の出資者らに対して当社普通株式を交付します。
また、現金を受領する権利を有するEmendo社の出資者らについては、当社からEmendo社に対して20百万米ドル(約21億円)の金銭を貸し付けたうえで、当該当社からの借入金及びEmendo社の保有する現金を使用してEmendo社が現金を合併対価の一部として支払い、これらの出資者らの株式等は消滅します。当該合併対価としてEmendo社から支払われる現金の総額(当社からの借入金を含む。)は、58,582,654米ドル(約6,151,178,670円)程度と見込まれます。
当社は、以上の第1ステップから第3ステップを経ることにより、Emendo社の100%の発行済株式の取得を目指します。
但し、第3ステップにおいて、Grey Fox社が、合併対価の交付対象となる一部のEmendo社の出資者に対して、合併対価として交付する当社普通株式の数としては、129,427,678米ドル(約13,589,906,190円)を第3ステップの完了日(2020年12月15日を予定)(以下「クロージング日」といいます。)の3取引日前の日(同日がアメリカ合衆国における営業日ではない場合は、直前の取引日であってかつ直前のアメリカ合衆国における営業日となります。)を終期とする60取引日間(なお、かかる期間における取引日において出来高加重価格の算出ができない場合もかかる期間のカウントに含みます。)の株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。なお、本書において「取引日」とは、別段の定めがない限り、東証において売買立会が行われる日をいいます。)における当社普通株式の普通取引の出来高加重平均価格で除した数(小数点以下四捨五入)(以下「VWAP基準株式数」といいます。)を予定していますが、当該株式数が24,476,713株(以下「最大交付株式数」といいます。)を超過する場合は、最大交付株式数に満つるまで、当該出資者に対してその保有するEmendo社の株式等の割合に応じて当社普通株式を交付し、当該超過分に相当する部分については、当該出資者が引き続きEmendo社の株式等を保有することになります。かかる事態が生じた場合には、当社が、本件買収を通じて、取得できるEmendo社の株式のEmendo社の発行済の株式等に占める割合は減少することになります。但し、当該出資者が引き続き保有するEmendo社の株式等については、①適用法令に反しない限りで可能となり次第当社の株式と交換を行い、②クロージング日から2年以内にかかる取得がなされない場合には、当該出資者は金銭にて当該Emendo社の株式等を当社に対して買い取るよう請求できる権利を有するとされています。
上記の結果として、当社は、Emendo社の100%の発行済株式の取得が実現できない可能性があります。この場合、Emendo社の株式等の全部の取得のために他の株主を金銭の交付等により排除する(いわゆるスクイーズアウト)か否かについては、現時点では決定した事項はありません。
なお、本件買収につきアーンアウト条項等はありません。
本件買収においては、Emendo社の株式価値を約295,215,928米ドル(約30,997,672,440円)と判断しました(※4)。かかる株式価値から、当社が保有する株式相当分約102,825,906米ドル(約10,796,720,130円)を控除した残額である約192,390,022米ドル(約20,200,952,310円)に相当する株式等を有するEmendo社の出資者らが、合併対価の交付を受けることになります。このうち、約131,127,669米ドルについては、ワラント行使価格相当額約1,699,991米ドルを控除した約129,427,678米ドル(約13,589,906,190円)相当が当社普通株式により支払われます。また、このうち、約61,262,353米ドルについては、オプション行使価格相当額2,679,699米ドルを控除した約58,582,654米ドル(約6,151,178,670円)が、Emendo社保有の現金で支払われます但し、上記記載のとおり、当社は、別途、Emendo社に対して金20百万米ドル(約21億円)を、Emendo社による現金対価交付のための資金として貸し付ける予定です。
なお、上記に記載のとおり、Grey Fox社が、本件買収に係る合併対価として交付する当社普通株式の数は、VWAP基準株式数、すなわち、129,427,678米ドル(約13,589,906,190円)をクロージング日の3取引日前の日(同日がアメリカ合衆国における営業日ではない場合は、直前の取引日であってかつ直前のアメリカ合衆国における営業日となります。)を終期とする60取引日間(なお、かかる期間におけるある取引日において出来高加重価格の算出ができない場合もかかる期間のカウントに含みます。)の東証における当社普通株式の普通取引の出来高加重平均価格で除した数(小数点以下四捨五入)を予定していますが、VWAP基準株式数が最大交付株式数、すなわち、24,476,713株を超過する場合は、最大交付株式数となります。
※4 Emendo社の株式価値とした295,215,928米ドルのうち、250百万米ドルは、下記「(5)吸収合併に係る割当ての内容の算定根拠」記載の分析報告書もふまえ、Emendo社及びその主要な出資者と協議、交渉の上、Emendo社の企業価値(株主価値)として、設定した金額です。その余の約45,215,928米ドル(約4,747,672,440円)は、クロージング時においてEmendo社が保有すると合理的に見積もられた現金額としてEmendo社と当社が合意した金額(但し、①当社が上記記載のEmendo社への20百万米ドル(約21億円)の貸付けを行っていないと仮定し、②合併対価として現金対価を受領するEmendo社の出資者が現金対価をEmendo社から受領していないと仮定し、③Emendo社が本件買収に係る取引費用を支払い済みであると仮定し、④その他必要な仮定を置いた後の金額)です。なお、Emendo社の種類株式は全てEmendo社の普通株式に1対1の割合で転換可能であるため、本件買収における取得対価の設定に当たり、種類株式と普通株式との間で区別は設けておりません。
(5) 吸収合併に係る割当ての内容の算定根拠
当社は、当社が本件買収のための十分な買収資金を現金として有していないこと、及びEmendo社の主要な出資者は当社普通株式を本件買収に係る合併対価として受領することに同意したことを踏まえ、個々の出資者の属性や適用ある税法・証券法その他の規制を勘案し、当社普通株式を対価とした場合の希薄化の程度、現金を対価とした場合の財務上の影響、その他本件買収の最適な仕組み等を検討した結果、上記の形で、本件買収に係る合併対価として当社普通株式及びEmendo社の現金を交付することとしました。なお、当社は現在Emendo社の株式を保有しておりますが、本件買収に係る契約において、当社は、本件買収に係る合併対価の交付の対象から除外されており、その交付を受けることはありません。
本件買収に係る合併対価の総額を決定するに際して、当社は、第三者評価機関であるダフ・アンド・フェルプス株式会社(本店所在地:東京都千代田区内幸町二丁目2番2号富国生命ビル22階)による株主価値等にかかる分析報告書(以下「分析報告書」といいます。)を取得しました。当社は、分析報告書において採用されている、DCF法(事業計画に基づく将来キャッシュフロー)及びDCF法(エグジットマルチプル法)を勘案の上、Emendo社の主要な出資者と協議、交渉し、最終的に本件買収に係る合併対価の総額を決定しました。
分析報告書の概要は以下のとおりです。
ダフ・アンド・フェルプス株式会社は、DCF法によりEmendo社の株主価値の分析を行い、具体的には、①2037年12月期までの将来キャッシュフローの現在価値合計に基づきEmendo社の株主価値を算定する方法、及び②2029年12月期までの将来キャッシュフロー及びEmendo社の売上げが本格化する2029年12月期の翌期以降の残存価値の合計の現在価値に基づきEmendo社の株主価値を算出するエグジットマルチプル法の2通りの分析を行いました。なお、分析報告書における株主価値の評価基準日は、入手可能なEmendo社の最新の財務データの基準日である2020年7月31日時点(但し、割引率(加重平均資本コスト)等の計算で使用した市場データは、分析作業時の直近月末である2020年9月末時点)とされています。
上記①の方法においては、Emendo社が作成した2020年12月期の売上高、損益等の予算値、当社が作成したEmendo社の2021年12月期から2037年12月期までの売上高及びEBITDAに係る事業計画値(但し、この事業計画年度内においては、ライセンシングやパイプライン上市の時期により大幅に損益が変動する年度が含まれます。)により、将来のキャッシュフローを推定しました。この点、Emendo社が作成した販売予測を元に当社が保守的に見積もった事業計画値では、Emendo社が早期のライセンシングを行い2021年12月期よりライセンス収入を得る計画となっていること、Emendo社が現在取り組んでいるパイプラインのうち主要な4件のパイプラインがそれぞれ2027年12月期、2029年12月期、2034年12月期及び2035年12月期より順次上市し、ロイヤルティ収入を得ること等が前提となっています。かかる前提を踏まえ、フリーキャッシュフローを保守的に見積もるために、製品上市後の2028年12月期以降のフリーキャッシュフローに対して、一定の開発成功確率を乗じる調整を行ってフリーキャッシュフローを算出した上で、加重平均資本コスト(WACC)による割引率15.4%を中心とした14.4%から16.4%までの範囲で現在価値に割り引いて合計し、Emendo社の事業価値を算出しました。基準日時点において、Emendo社には有利子負債はなく、また、余剰現預金等の非事業性資産もないことから、かかる事業価値をEmendo社の株主価値としました。
また、上記②の方法においては、過去5年のバイオテクノロジー業種のM&A事例(支配権獲得事例)における買収マルチプルの中央値を参考に、2030年12月期以降の残存価値を算出し、2029年12月期までのフリーキャッシュフロー(一定の開発成功確率による調整後の値)及び上記のとおり算出した2030年12月期以降の残存価値を、加重平均資本コスト(WACC)による割引率15.4%で現在価値に割り引いて合計し、Emendo社の事業価値を算出しました。基準日時点において、Emendo社には有利子負債はなく、また、余剰現預金等の非事業性資産もないことから、かかる事業価値をEmendo社の株主価値としました。
なお、上記①及び②の方法により示された株主価値の算定レンジは、Emendo社の株主との協議との関係上、非開示としております。当社は、当該算定レンジを踏まえた本件買収に係る合併対価は妥当な水準であると判断しております。
(6) 当該吸収合併の後の吸収合併存続会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
① 商号EmendoBio Inc.
② 本店の所在地400 W 61st St, #2330 New York, NY USA
③ 代表者の氏名CEO David Baram
④ 資本金の額68,496千米ドル(約7,192百万円)(2020年6月30日現在)(注)
⑤ 連結純資産の額48,834千米ドル(約5,128百万円)(2020年6月30日現在)(注)
⑥ 連結総資産の額51,056千米ドル(約5,361百万円)(2020年6月30日現在)(注)
⑦ 事業の内容重篤な疾患や障害の原因となる細胞の遺伝子変異を修復、除去することができるゲノム編集技術の開発

(注) 米国の会計基準に準拠した数値です。また、未監査です。
(7) 吸収合併に係る割当ての内容が当該吸収合併存続会社の株式、社債、新株予約権、新株予約権付社債又は持分以外の有価証券(提出会社が発行者である有価証券を除く。)に係るものである場合、当該有価証券の発行者に関する事項
該当事項はありません。Emendo社を存続会社とし、Grey Fox社を消滅会社とする本件合併に際し、一部のEmendo社の出資者に対する合併対価として、消滅会社であるGrey Fox社は当社普通株式を交付します。
以 上