有価証券報告書-第30期(令和2年8月1日-令和3年7月31日)

【提出】
2021/10/29 15:20
【資料】
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【項目】
150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「ハッピートライアングル:関わる人全てがハッピーなビジネスを」という経営理念に基づき、不稼働な素材に着目し、これを活性化させることにより、関係者の満足を高めることに取り組んでおります。
駐車場事業においては、駐車場オーナー、駐車場ユーザー、そして社会にとってメリットのあるソリューションを提供することが自らの使命であるという認識のもと、常に先進的な駐車場サービスの提供に取り組んでいます。
スキー場事業においては、「自然、お客様、そして地域社会の全てがハッピーに」を経営理念として掲げ、「スキー場の運営に関するあらゆる問題を解決し、非日常的な時間と空間を演出することにより、一人でも多くの方に自然の素晴らしさ、ウィンタースポーツの楽しさを味わって頂くこと」をミッションとし、スキーをはじめとした雪上スポーツの醍醐味、自然の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいという思いのもと、お客様の満足度を高めるべく、新たなソリューションを提供しております。
テーマパーク事業においては、少子高齢化を背景に、経営難に陥るテーマパーク・遊園地等の施設があり、業界大手や一部の施設に集客が集中する等、厳しい競争環境となっている一方で、日本全国には、地域の観光資源として底堅い集客力を有し、訪日外国人旅行客の需要等を取り込むことで地域振興の契機となり得る施設があり、大きなビジネスチャンスが存在します。子供の創造性や新たな価値観が育まれるような魅力的な空間を創造し、地域の文化や特産品等の固有の資産を活かし、地域経済の活性化に取り組んでまいります。
新規事業においては、日本社会が直面する変化や課題、日本政府が推進する成長産業の分野において、前例やしきたりに囚われることなく物事の本質を追求することで、社会のギャップを解消する事業を創造し、社会に新たな便益を提供してまいります。
(2) 経営環境及び経営戦略等
当社グループは、駐車場事業、スキー場事業、テーマパーク事業を展開しています。
主力の駐車場事業においては、ビルに附置された機械式立体駐車場を中心とした不稼働駐車場の有効活用を行い、駐車場オーナーへ収益還元を行うソリューションを提供し、また、大型オフィスビルや商業施設の出入り口となる駐車場において安全且つ快適なオペレーションを行うことで、施設の付加価値を向上させ、ノンアセットスタイルの経営により成長を遂げてまいりました。
当社グループが運営する駐車場は国内に1,252物件あり、出店地域のターゲットとしている10,000物件以上の附置義務駐車場や、未出店である政令指定都市・中核市を含めると全国的に新規運営駐車場の開拓余地は大きいと認識しています。また、これまではオフィスビルや商業施設を中心として駐車場の運営を行ってまいりましたが、近年、修繕積立金の不足が問題となっている分譲マンションや、高齢化に伴う施設の改築需要のある病院等の新たな駐車場施設に即したソリューションを提案することにより、対象とする駐車場領域の拡大を図ってまいります。これらの駐車場において、賃料保証等の収益化の需要とサービス・安全性向上の需要は今後も高い水準を維持していくと想定できるため、不稼働駐車スペースを借上げて運営する直営事業と有人管理の駐車場運営ノウハウを活かしたマネジメント事業の新規契約獲得に注力してまいります。
業界最多の月極契約数や不動産情報ネットワーク等の全国的な事業展開の強みを活かして、全国的に車両を保有する企業ユーザー向けに駐車場に関する契約事務等の一括管理代行と併せた複合的なコスト削減を新たなソリューションとして提供してまいります。また、企業の車両管理業務の上流から下流までの総合的なソリューションを提供できる体制を構築することで、企業のトータルカーライフプランナーとして、ユーザーの利便性を追求してまいります。特に法人顧客においては、駐車場付マンスリーレンタカーの販売促進を積極的に展開してまいります。また、国内においては、機械式立体駐車場の修繕・建替えの時期を迎えており、駐車場の運営者として専門的な知見を駐車場オーナー等に提供することで、駐車場の設備に関するコンサルティングサービスや購入提案等を実施し、立体駐車場メーカーに対しては、修繕工事期間中の代替駐車場用地の確保における提案を実施してまいります。
海外展開においては、東南アジア(タイ、インドネシア)、中国、韓国、台湾に進出をしておりますが、中長期的には未進出のアジア各国をはじめとして、海外諸国へ継続して進出してまいります。アジアにおいては、自動車保有台数が年々増加し、日本以上の厳しい駐車場附置義務が存在し、駐車場に関する付加価値のあるサービスが存在しない中、日本で培った駐車場オーナー・ユーザーへのソリューション提供のノウハウを活かし、サービス・安全性の向上と収益改善に取り組んでまいります。中長期的には駐車場事業の国内・海外の収益割合を半々にし、地政学的なリスクヘッジに努めます。
これらの取り組みを行うことにより、国内及び海外に存在する都市部の駐車場において、社会のあらゆるニーズに対応し、駐車場の仕組み、イメージ、マーケットを大きく変革させることで、最大の幸福と利益を生み出し、駐車場のグローバル企業として更なる成長を目指してまいります。
スキー場事業においては、スキー場を投資や投機対象の不動産としてではなく、地域活性化の中心的な役割を担う存在として、中長期的な視点で再生に取り組んでいくことが重要と考えております。スキー場の持続的な成長を実現するため、ソフト面及びハード面の改善を徹底し、安全な運営、良質なサービスの提供及び適正な収益の獲得を心掛け、「自然、お客様、そして地域社会の全てがハッピーに」なるようなスキー場再生を行ってまいります。
新規スキー場や周辺事業の取得においては、ゲレンデの設計や規模、標高や降雪量、エリア自体の魅力や都市部からのアクセス状況、既存スキー場とのシナジー効果、スキー場事業とのシナジー効果、投資効率等を総合的に勘案し検討してまいります。
これらの取り組みを行うことにより、高い成長力と収益力を実現することで、日本のスキー場業界を牽引する存在を目指し、スキー場産業をはじめとしたアウトドアスポーツ業界及び地域経済の発展に貢献してまいります。
テーマパーク事業においても、スキー場同様に、地域活性化の中心的な役割を担う存在として、中長期的な視点で再生に取り組んでいくことが重要と考えております。子供の創造性や新たな価値観が育まれるような魅力的な空間を創造するとともに、対象顧客層を広げるようなコンテンツの企画、施設運営を展開してまいります。また、地域の文化や特産品等の固有の資産を活かし、地域経済の活性化に取り組み、日本の上質な観光資源を世界にアピールすることで、インバウンド顧客の創造に努めてまいります。
新規テーマパークの取得においては、施設の集客力、独自性、周辺施設との競争環境、エリア自体の魅力や都市部からのアクセス状況、グループ運営施設とのシナジー効果、投資効率等を総合的に勘案し、検討してまいります。
これらの取り組みを行うことにより、高い成長力と収益力を実現することで、地方創生のモデルケースとなることを目指し、地域経済ひいては日本経済の活性化に貢献したいと考えております。
以上により、当社グループは、駐車場事業、スキー場事業、テーマパーク事業を通じて、世の中の不稼働な資産を有効に活用し、社会を活性化することで、関わる人全てがハッピーなビジネスを展開してまいります。そして、新規事業として、少子・高齢化、企業の国際競争力の低下、食料自給率問題等の日本社会が直面する変化や課題、日本政府が推進する「環境・エネルギー」、「健康」、「観光・地域活性化」、「農業」、「教育・人材」等の成長産業の分野において、新たな不稼働資産やギャップを探し出し、社内外関わらず、やる気のある若者を中心として、次の事業の柱となる新規事業の創造に取り組んでまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、高い収益性をもって成長し続けることを目標としています。目標とする指標に関しては、一部の偏った指標やトレンドに左右されることなく、成長性、収益性、健全性、効率性のバランスを重視し、安定的且つ効率的な高成長を目指すとともに、株主重視の経営を行ってまいります。具体的な指標として、営業利益成長率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本比率、自己資本当期純利益率を高水準で維持することを目標としています。
(4) 優先的に対処すべき課題
当社グループは、次に掲げる取り組みを強化してまいります。
① 経営理念を実践できる人材の育成
当社グループは、「ハッピートライアングル」という経営理念の下、不稼動な資産に着目し、それらを効果的に活用しながら、不稼動な資産を持つオーナー、最適なサービスを受けられないユーザー、そしてその双方に貢献するソリューションを提供することで社会の役に立つという、三方一両得となる事業を実践し成長してまいりました。今後も、この経営理念と経営姿勢を追求し、駐車場事業における新ソリューションの開発、海外展開の推進、また、スキー場事業、テーマパーク事業に続く新規事業の立ち上げを行うべく、それらを実践する人材の育成と社員のチャレンジを促進する企業風土の醸成に注力してまいります。
(駐車場事業)
② ソリューション力の強化
これまで蓄積した駐車場オーナー・ユーザー情報や、機械式駐車場の運営ノウハウをもとに、従業員の生産性向上と営業エリアの細分化により、エリア内の駐車場オーナーに対して、資産の保全、リニューアル等による付加価値の向上、運営サービスレベルの向上、収益の改善といった、きめ細やかなサービスを提供できる営業体制を構築します。また、駐車場ユーザーに対して、車両台数や管理コストの削減、車両事故の低減、労務管理の強化等、時代の変化と共に変わるニーズを捉えたユーザーソリューションに特化した事業展開をしてまいります。
③ 駐車場事業のグローバル展開
インフラ整備、交通渋滞の解消等の課題を抱えるアジアをはじめとした諸外国において、日本で培ったノウハウのみならず、現地のニーズに応じた高付加価値な駐車場サービスを開発し、提供することで、グローバル展開を加速させてまいります。
(スキー場事業)
④ 顧客満足度の維持・向上
非日常感を求めて来場されるお客様に対して、マニュアルの充実のみならず、継続的な社員教育の実施により、充実したサービスを提供することで、顧客満足度の維持・向上に努めます。
⑤ 安全対策
安全・安心に施設をご利用頂くために中長期計画に基づいたリフト整備を実施すると共に、安全教育・災害訓練を徹底してまいります。
⑥ 天候に対する対策
ウィンターシーズンにおいては十分な積雪のもとで、スキー場を開業することが事業の根幹をなすものであり、自然の積雪に恵まれない場合は、当社グループが保有する降雪機をフル活用することで、効率的かつ効果的な降雪を行い、ウィンターシーズン開始とともに満足してスキーを楽しんで頂ける状況にしてまいります。当社グループのスキー場の一部は、高い山頂にあり、残雪を利用しウィンターシーズン終盤まで十分なコンディションを維持することで、当社グループの優位性を発揮させ、他のスキー場との差別化を図ってまいります。また、想定を超える豪雪や大雨が発生すると、お客様がスキー場へ来場できず、また、お客様が施設利用を取り止めるため、こうした事態に備え、施設やサービスの一層の充実を図ってまいります。
⑦ グリーンシーズンの事業展開
ウィンターシーズンに業績が偏重することに対応するため、地域の特性を活かしたグリーンシーズン事業を強化し、一年を通じた営業体制を整えることで、安定したスキー場等の経営を目指してまいります。
⑧ 今後のスキー場取得
創業以来、国内におけるスキー場において、強みや特徴を有するスキー場を取得してまいりました。スキー場の取得及び取得後の改善につながる活動を継続的に実施し、当社グループの企業価値を一層高めてまいります。また、魅力的なスキー場を取得し、事業拡大することを成長戦略の重要な要素と位置付け、今後も積極的にスキー場を取得していく方針であります。更に、スキー場の地元関係者や従業員と一体となって、スキー場を改善し、スキー場の価値を高めていくことで、地域の活性化に貢献してまいります。
(テーマパーク事業)
⑨ 魅力ある空間の創造
子供の創造性や新たな価値観が育まれるような魅力的な空間を創造するとともに、ご家族連れの方、学生やご高齢の方等の幅広い層に支持を受ける空間とすることで、リピーター顧客を創造し、ゴールデンウィークや夏休みの繁忙期以外でも集客できる営業体制を構築してまいります。
⑩ 安全対策
安全・安心に施設をご利用いただくために、中長期計画に基づいた遊具整備を実施すると共に、リスクマネジメント部の機能を強化し、全アトラクションの安全教育を徹底してまいります。
⑪ 今後のテーマパーク取得
日本全国には、地域の観光資源として底堅い集客力を有し、訪日外国人旅行客の需要等を取り込むことで地域振興の契機となり得るテーマパーク・遊園地等が複数あり、大きなビジネスチャンスが存在します。そのようなテーマパーク等を取得し、当社グループの企業価値を一層高めてまいります。また、スケールメリットを活かした集中購買、メンテナンス部品の取得等の費用面の改善や、運営ノウハウの共有化等により、シナジー効果を積極的に享受できるようにしてまいります。
(その他企業集団の現況に関する重要な事項)
⑫ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響と対策
当社グループの事業環境は、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症を契機として、不確実性が高まっております。国内経済においては、政府による緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置が適用され、個人の外出自粛や企業の事業活動が制限される等、先行き不透明な状況が続くと想定されます。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大を抑止するため、オフィス及び駐車場、スキー場施設、テーマパーク施設でのマスク着用・消毒の徹底、駐車場シフトにおける曜日ごとの交代出勤の導入、オフィス業務における在宅勤務・時差出勤の導入、従業員の検温・体調報告の実施及び体調不良者の診断結果取得義務化、を全社員に周知徹底しております。