有価証券報告書-第18期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 17:11
【資料】
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【項目】
109項目

研究開発活動

当連結会計年度の研究開発活動は、新規事業の先端医療分野において、センダイウイルスベクターの基盤技術・基本特許を活用して、再生医療、遺伝子創薬の研究開発を行っております。
再生医療への取り組みとして、センダイウイルスベクターに iPS細胞作製に関わる4つの山中因子(Oct遺伝子、Sox遺伝子、Klf遺伝子、Myc遺伝子)を搭載したiPS細胞作製キット「CytoTune®-iPS」を開発しましたが、この技術をもとにして臨床用iPS細胞の作製に供するCytoTune®-iPSの開発・製造を行い、本年夏頃から同製品の販売を開始する予定です。さらに、臨床用iPS細胞作製用CytoTune®-iPS等を製造するためのGMPベクター製造設備の建設を進めています。これは近年の再生医療研究の目覚ましい進歩とわが国における「薬事法等の一部を改正する法律」並びに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の制定・施行等を背景に、再生医療の早期実現を目指す製薬企業や研究機関等ユーザーの方々からのGMPベクターを用いた臨床開発をタイムリーに行いたいとの強い要望に応えるものです。またiPS細胞作製技術開発に加えて、当社グループは国立・民間の有力研究機関との共同研究において、iPS細胞由来の治療用分化細胞の作製を行ってきました。今後はそれらの分化細胞の再生医療への応用を進めることが課題です。そのために国内外で再生医療を進める有力機関・研究者との協同体制を構築しています。今後さらに、CPC(Cell Processing Center、臨床用のiPS細胞や分化細胞の培養・加工・保管を受託する施設)を建設します。
遺伝子創薬について、虚血肢遺伝子治療製剤のオーストラリアでの治験開始に向けて準備を進めています。中国では本元正陽有限公司が提出した治験申請が中国食品医薬品監督管理総局より許可審査され、臨床試験の実施体制について協議を開始しています。当社グループは国立感染症研究所と、センダイウイルスベクターを用いたエイズ等感染症ワクチンについて、臨床応用を目指した効果的なワクチンの構築と免疫方法の確立のための共同研究を進めています。本共同研究では、当社グループのもつウイルスベクターのノウハウと国立感染症研究所のもつ多くの感染症に対するワクチンに関する知見を活かし、センダイウイルスベクターを用いたエイズ等感染症ワクチンについて、臨床応用を想定した抗原の選択・エプトープ解析・免疫誘導実験などの基礎研究を実施するとともに、ワクチンプロトコールを確立することを通じて効果的なワクチンの創出に貢献してまいります。網膜色素変性症治療製剤は九州大学病院において、第Ⅰ/Ⅱa相相当臨床研究において5名の患者様に投与され、安全性に問題は生じていません。その結果を踏まえて、医師主導治験の実施に関して準備を進めています。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は166百万円であります。