有価証券報告書-第18期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/29 17:11
【資料】
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【項目】
109項目

事業等のリスク

当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によりその影響を受ける可能性があります。このため、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制等により治験が空洞化するリスク
現在、治験のクオリティ・スピードを求める製薬企業等のニーズの高まりに支えられて、SMO業界は堅調に発展してきております。しかし、薬事法、GCP、その他関連法令等の改正により、海外臨床データの利用が可能となり、アジアでの試験を含む国際共同試験の増大などによる国内における治験規模の縮小や空洞化のリスクがあります。またグローバル競争力の強化が求められ、価格面などで対応できなくなるSMOが増加した場合には、SMO業界の発展が阻害または制約される可能性があります。したがって、今後の法的規制等の当局の動向及び依頼者の開発方針によっては、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(2) SMO業界の競争激化のリスク
当社グループは、糖尿病・高血圧症・高脂血症など生活習慣病の患者の多い診療所等に対するSMO業務が中心となっております。しかし、開発パイプラインが難疾患に対する医薬品に集中しており、当社グループが得意とする疾病領域の開発が減少した場合、同業他社との間で提携医療機関の獲得競争が激化し、提携医療機関において実施できる治験数が減少した場合、当社グループの成長が抑制される可能性があります。
(3) 治験の中止・延期あるいは治験期間の延長による影響のリスク
治験依頼者(製薬企業等)の開発戦略の変更や治験実施計画書の変更等により、治験の中止や延期、あるいは治験期間が延長された場合には、予定していた売上計上時期も翌期以降に遅れる可能性があり、その結果として当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材の確保及び育成のリスク
当社グループは、薬剤師、看護師、臨床検査技師などの有資格者を主に採用し、治験実施の基本であるGCPや標準業務手順書、その他医薬品に関する教育研修を行うなど、SMO業務に適した人材の確保及び育成に努めております。しかし、十分な人材の確保ができない場合及び社員教育の不備により人材育成が不十分な場合、SMO業務の遂行に支障が生じるだけでなく、医療機関及び治験依頼者または患者様からの信用が損なわれることも考えられ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 企業信頼度低下のリスク
当社グループの事業は、疾病の克服や健康の維持増進に貢献するサービス・商品を提供していくものであり、一般的な会社法制の遵守に加え、GCP等の遵守など多様な範囲でのコンプライアンスが要求されております。仮にこれら各種ルールのいずれかの遵守状況に疑念が生じた場合等には、製薬企業等主力取引先からの信用が損なわれ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 治験に起因する被験者の健康被害による損害賠償責任のリスク
治験期間中に治験に起因して被験者に健康被害が生じる場合があります。SMO事業は、医療機関の指示により治験の実施に係る業務の一部を受託または代行する立場であり、原則としてこうした健康被害に伴う補償・賠償の範囲外にあると考えられ、治験契約書上もそのように規定されております。ただし、SMO事業会社またはその従業員による過失があった場合、医療機関や治験依頼者から被験者の健康被害に関連して責任を追及される可能性は否定できず、場合によっては被験者本人から補償・賠償を求められることも考えられます。また、当社グループのSMO事業が従事する治験に起因して被験者に重大な健康被害が生じ、さらにそれが訴訟事件や社会問題に発展した場合には、当社グループの責任の有無にかかわらず、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 被験者等の個人情報漏洩によるリスク
SMO事業は、被験者や治験に参加しようとする患者様と直接接触し、医療機関が作成・保存するカルテ、症例報告書、その他の個人情報を記録した多くの書類を取り扱っております。このため、当社グループは、個人情報保護ガイドラインを制定しているほか、被験者等のプライバシーや個人情報の保護に最大限の配慮を払っております。しかし、こうした社内体制が十分に機能せず当社グループより被験者のプライバシーや個人情報が漏洩した場合には、被験者等を始め医療機関や治験依頼者からの信用が損なわれ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 治験に関する秘密情報の漏洩によるリスク
当社グループは、治験に関する機密情報を厳重に管理するとともに、役員及び従業員に対して在職中、退職後を問わず機密情報を他に開示することを禁じております。しかし、万一当社グループ及びその関係者より機密情報が第三者に流出した場合には、治験依頼者からの信用が損なわれ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 業務提携等によるリスク
当社グループは、SMO事業を主とした医療関連事業の拡大、経営資源の有効活用、企業価値向上を目指して、今後とも他社との業務提携や買収等を行う可能性があります。しかし、新たに業務提携や買収等が実現したとしても、当社グループが期待するような成果が生まれる保証はなく、かえって当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性もあります。
(10) メディカルサポート事業展開によるリスク
当社グループは、クリニックモールを基盤としたメディカルサポート事業の構築を目指し、地域に応じたクリニックモールを展開中であります。しかし、クリニックモールによる事業展開は、資金負担が大きいこと、入居する医療施設等が予定どおりに集まるとは限らないことなど、その将来性は不明確であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) ㈱ディナベック研究所との関係についてのリスク
新規事業における先端医療分野で、当社グループは㈱ディナベック研究所の研究成果を独占的に継承しており、同研究所との契約は当社グループの経営を大きく左右する契約であると認識しております。従って、この契約が解除、その他の理由に基づく終了及び契約期間満了後に円滑に契約更新がなされなかった場合、または、当社グループにとって不利な契約更新がなされた等の場合には、当社グループの事業戦略や経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 当社グループの事業に必要な特許権に関するリスク
当社グループの事業活動に必要な特許権につきましてはその成立に努力して行く方針ですが、当社グループが出願中の特許が全て成立する保証はなく、また特許出願によって当社グループの権利を確実に保全できる保証はありません。
また、当社グループの特許権について第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありませんが、当社グループとしては、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士及び特許事務所を通じた特別調査を実施しております。しかしながら、当社グループのような研究開発型の事業を有する企業にとって、差止請求、損害賠償請求、使用料請求等の知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間及び多大の費用を要する可能性があり、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループの特許権については、㈱ディナベック研究所からの独占的な専用実施権の許諾及び当社グループによる出願により、プラットフォーム技術であるセンダイウイルスベクター及びその実用化技術について、最善を尽くして優位性の確保を図っております。特にセンダイウイルスベクターの基本特許は、既に日本、米国、中国、香港、韓国及びヨーロッパ11カ国で成立しております。また、サル免疫不全ウイルスベクターの実用化技術につきましても、積極的に権利化を図っております。
(13) 製造物責任のリスク
医薬品及びバイオ関連商品の研究開発及び製造販売におきましても、製造物責任賠償のリスクが存在しております。当社グループは、開発したいずれかの商品により消費者などに被害を引き起こし、又は臨床試験、製造、もしくは販売において商品の安全性に重大な問題が生じた場合には、製造物責任を負うことがあります。また、訴訟の提起により、当社グループの業務及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。もし訴訟の提起等による請求が認められなかった場合にあっても、当社グループの製造物責任による問題が社会的に与える影響により、当社グループ及び当社グループの商品に対する信用が揺らぎ、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。
(14) 薬事法によるリスク
当社グループは医薬品の研究開発及び販売を事業の一つとしているため、その事業は薬事法等の規制を受けております。この薬事法は医薬品及び医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保のために規制を行い、医薬品及び医療機器等の研究開発によって保健衛生上の向上を図る法律です。当社グループの開発している医薬品は、まだ上市に至っていませんが、研究開発段階にあってもこの薬事法の規制を受けております。
今後、薬事法の改正等が行われた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは共同研究開発をグローバルに行っており、今後欧米の各地域において臨床試験を進めるため、各国の薬事法制の規制を受けることとなりますので、これらに大幅な改正等があった場合にも同様のリスクが存在します。
(15) 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に関するリスク
当社グループはベクター技術を用いた遺伝子治療用ベクター、遺伝子ワクチン、組換えタンパク質、抗体及び遺伝子操作細胞の生産を行っており、これらの物質は、基礎研究の他、機能未知遺伝子の機能の解析や、創薬のための研究開発、再生医療等に利用されます。ベクターは遺伝子組換え技術により作製され、利用されますが、その際、遺伝子組換え生物の使用における環境面でのリスクに関する、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」による規制を受けております。当社グループは本法律を遵守し、安全性及び環境保護の立場から拡散防止の体制を最大限とっております。この規制法成立の前提となったカルタヘナ条約に将来変更等があった場合には、当社グループの行っている研究開発に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(16) 貸倒れに関するリスク
当社グループは、与信管理に十分留意しておりますが、不測の事態による貸付金等の債権の貸倒による損失に備えるために、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。しかし、経済環境の悪化または、その他予期せざる事由により、実際の回収不能額が当該見積りを大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることもありえます。そのような場合には、貸倒費用の増加から当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。
(17) 資金調達のリスク
当社グループは、将来、金融システム不安、信用収縮、流動性の低下などの金融情勢の変化により、必要とする十分な資金調達ができない場合、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 不動産等、固定資産の価値下落のリスク
当社グループは、不動産の賃貸を行っております。将来、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、保有する賃貸用の不動産の評価額について減損処理を行う必要が生じる可能性があります。