有価証券報告書-第39期(平成26年11月1日-平成27年10月31日)

【提出】
2016/01/28 15:34
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

(1) 事業体制の強化
当社グループは2006年の純粋持株会社化とBPO事業のサービスの確立、2012年5月の子会社統合実施により、子会社ごとのより一層の迅速な意思決定と、各サービスの連携による事業拡大を推進する体制を整えました。2015年8月31日にはWELLCOM IS株式会社、2015年11月2日には株式会社アセットデザインを子会社化するなど、事業拡大に向けて積極的なM&Aも実施しております。今後はコーポレートガバナンス・コードへの対応や内部統制システムの更なる充実を図り、コンプライアンスを重視するとともに、この体制をより活かしていくべく、サービス品質の向上、当社独自のサービスの開発、営業力の強化を継続的な課題としております。
(2) 法的規制等について
(労働者派遣法の改正、改正労働安全衛生法の施行、同一労働同一賃金推進法・女性活躍推進法の制定について)
2015年9月30日より改正労働者派遣法が施行されました。当社グループは、法令を遵守した事業運営に努め、対策の立案・実施・従業員への指導教育を徹底する等、上記における改正については対応を完了しており、影響は僅少であると考えております。
また、2014年度より厚生労働省が開始した「優良派遣事業者認定制度」に対応すべく、社内規程、システム、運用の変更を行い、2015年度における認定に向けて準備しております。
上記に加え、2015年12月1日からは改正労働安全衛生法の施行に伴うストレスチェック制度の開始、2016年4月1日からは女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が施行され、更には労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律(同一労働同一賃金推進法)の成立、次年度においては労働基準法の改正が予定されているなど、労働環境に係わる法改正が目まぐるしく行われております。当社としては、速やかに対応できるよう情報収集に努めると同時に、従業員が安心して働くことができる労働環境を構築してまいります。
(業務請負と人材派遣の区分について)
当社グループが提供しているサービスのなかで、長期のアウトソーシング業務を提供するにあたり、「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日・労働基準法研究会報告)及び最近の判例(新宿労基署長事件・東京高裁 平成14年7月11日・労判832-13)等に従い、クライアントとの契約が請負契約である場合でも、必要に応じてエージェントと契約社員契約又はパート社員契約のいずれかの雇用契約を締結しております。
さらに、労働者派遣事業許可を取得し、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年4月17日・労働省告示第37号)に従って、長期請負業務と人材派遣業務を区分して提供しており、法令遵守に細心の注意を払っております。
また、近年、偽装請負問題や家電量販店の店頭への人材派遣に関し、適法性を問われる他社事例が見受けられますが、当社グループは、従業員への指導教育を徹底し、法令遵守に細心の注意を払って事業運営にあたっております。
(3) 個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)、プライバシーマーク、ISO/IEC 27001
当社グループは、多数のエージェント、クライアント及びエンドユーザーの機密情報・個人情報を保有しております。これらの情報資産の取り扱いにつきましては、2015年9月3日に成立した改正個人情報保護法において、企業における取り扱いの適正化と管理に対する企業責任が更に強化されると同時に、2015年10月からは行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)に基づき日本において住民票を有するすべての方にマイナンバーの配布が始まりました。
この点、当社グループにおきましては、2007年3月に、情報セキュリティ管理システムの認証制度である、ISO/IEC27001(JIS Q 27001)の認証を当社及び主要な関連子会社にて取得し、また2015年11月5日には、スリープロ株式会社において一般財団法人日本情報経済社会推進協会が推進するJIS Q 15001に基づくプライバシーマーク制度の認証を取得するなど、機密情報・個人情報の保護体制を強化してまいりました。
具体的には、グループ各社に共通の「プライバシーポリシー」と「セキュリティポリシー」を制定し、グループ全体を網羅する情報セキュリティ運営委員会を設置しております。
そして当委員会の綿密な連携体制のもと、従業員及びエージェントからは、個人情報を含む機密情報の漏洩をしないことを記載し違反の際には罰則を伴う誓約書の提出を義務づけております。また、パソコン等の情報機器の取り扱いに関しては、ファイル共有ソフトの厳格な禁止や、悪意のあるソフトウェア対策の継続的な実施、端末への外部記憶機器の接続制限、情報端末自体の記憶装置の使用制限等を実施し、定期的な実施状況の確認により安全性の維持を図っております。
さらに、エージェントに対しては、業務遂行上で知り得た機密情報・個人情報の取り扱いについて「エージェント規約」及び「業務委託契約」において損害賠償責任を明確に定めることにより情報取り扱いへの注意力と規約違反への抑止力を高め、研修等を通じて徹底しております。
(参考情報)
・プライバシーポリシー http://www.threepro.co.jp/privacy/privacy.html
・セキュリティポリシー http://www.threepro.co.jp/privacy/security.html
(4) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社グループの事業内容としてはBPO事業を行っております。BPO事業はITビジネスにおけるそれぞれの場面に応じて、①営業・販売支援、②導入・設置・交換支援、③運用支援の3つのサービスを行っております。
近年では、わが国においても企業の成長戦略として企業買収や事業買収が多用されるようになってきておりますが、当社といたしましても、このような市場原理に基づくダイナミズムの活用が企業の成長にとって重要なものであると認識しております。また証券取引所に株式を上場している企業として多様な価値観を有する株主の存在を認めており、大量買付行為を含む当社の支配権の異動については株主の皆様により最終的な判断を下されるべきであると考えております。
しかし当社の企業価値の源泉が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することとなる大量買付を行う者の下においても、中長期的に確保され、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。したがって当社の企業価値あるいは株主共同の利益を毀損するおそれが、株式の大量買付を行う者の目的等から認められる場合には、そうした大量買付行為は不適切であると考えます。
さらに、株式の大量買付行為の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値や株主共同の利益に資さないものもあります。当社は、これらの大量買付行為も不適切なものであると考えます。
以上を当社の基本方針とするものでありますが、上記のような要件に該当する当社株式の大量買付行為が行われようとした場合において、当社がその大量買付行為に対して反対する旨を表明するに止まるものであり、原則として当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることの防止策を株主総会や取締役会で決議し定めるものではありません。
しかしながら、株主の皆様それぞれが納得のいく判断を下すことが可能となる環境を確保するため、法令、証券取引所等の諸規則及び当社定款の定めが認める範囲内において、可能かつ相当な対抗策を講じることを今後検討してまいります。当社は当社株式の大量買付行為等について日常的にチェック活動を行い、株主の皆様の共同の利益や企業価値を損なうことがないように機動的に対応していく所存であります。
② 基本方針を実現するための取り組み
イ.当社財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する取り組み
基本方針に記載のとおり、当社経営方針に基づき中長期的に飛躍することを目指した取り組みを行っていきます。その中で成長性・収益性・効率性などについて会社財産が有効に活用されるよう図ってまいります。
ロ.基本方針に照らして不適切な者によって当該株式会社の財産及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
a.手続の概要
当社は当社株式に対する大量買付行為が行われるに際して、これに先立ち、独立性の高い社外有識者等からなる独立委員会が、情報収集、その検討及び株主に対する意思表明を行うことが適切であると判断し、以下の手続(以下「本ルール」といいます)をとることといたします。
b.手続の内容
(一)本ルールの運用対象
本ルールは下記ⅠまたはⅡに該当する当社株券等の買付もしくはこれに類似する行為またはその提案(以下、併せて「買付等」といいます)がなされる場合に適用されます。ⅠまたはⅡに該当する買付等を行おうとする者はあらかじめ本ルールに従うものとします。
Ⅰ 当社が発行者である株券等について、保有者の株券等所有割合が20%以上となる買付
Ⅱ 当社が発行者である株券等について、公開買付にかかる株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付
(二)独立委員会
当社は(一)に定める対象者が現れた場合、その買付者が不適切な者でないか否かを客観的に判断するための組織として、取締役会決議により当社経営陣からの独立性の高い社外有識者等で構成される独立委員会を設置いたします。独立委員会は買付者等に対する事前の情報提供の要求、買付等の内容の検討・判断、買付等に対する意見の表明等を行うことを予定しており、これにより当社大量買付行為に関する手続の客観性・合理性・透明性を高めることを目的としています。
(三)本ルールの内容
Ⅰ 必要情報の提供
独立委員会は、当社取締役会の同意を得ることなく上記a.に定める買付等を行う買付者等に対し、買付等の実行に先立ち当社に対して、当該買付等の内容の検討に必要な情報を提出するよう要請します。
Ⅱ 買付等の内容の検討・買付者等との交渉・代替案の提示
独立委員会は、買付者等から本必要情報が全て提出された場合、当社取締役会に対しても独立委員会が定める期間内に買付者等の買付等の内容に対する意見及びその根拠資料、代替案その他独立委員会が適宜必要と認める情報を提示するよう要求することができます。また独立委員会は、適宜必要と判断した場合には、当社の従業員、取引先、顧客等の利害関係者に対しても意見を求めます。
独立委員会は、買付者等及び当社取締役会から情報を受領してから最長60日間が経過するまでの間(以下「検討期間」といいます。)、買付等の内容の検討、当社取締役会による代替案の検討、買付者等と当社取締役会の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行います。
独立委員会は、買付者等から本必要情報が提出された事実及び本必要情報その他の情報のうち独立委員会が適切と判断する事項について、独立委員会が適切と判断する時点で、株主の皆様に対する情報開示を行います。
Ⅲ 独立委員会による意見等の開示
独立委員会は、上記Ⅱの検討期間を経た上、買付者等による買付等が、不適切な買付等に係る要件のいずれかに該当するか否かについて判断するものとし、その結果及びその理由その他当該買付者等に関する株主の判断に資すると判断する情報を、株主の皆様に対し情報開示するものとします。
他方、独立委員会は、当初の検討期間終了時までに、上記の判断を行うに至らない場合には、その旨を情報開示した上で、買付等の内容の検討に必要とされる範囲内で、検討期間を延長することもできることとします。
(四)本ルールによる対抗措置の発動
Ⅰ 買付者等が本ルールを遵守せず、大量買付行為を継続した場合、関連法令、証券取引所規則等及び当社定款を遵守し、取締役会及び株主総会の承認の上、買付者等の買付手段及び当社の状況に応じ最も適切と判断した対抗措置を取り得るものと考えます。
Ⅱ 買付者等が本ルールを遵守している場合には、買付行為等に対する対抗措置を発動しません。ただし、当該大規模買付行為が当社の企業価値または株主共同の利益を著しく低下させると合理的に判断される以下のⅰからⅴのいずれかの場合には、前記Ⅰと同様の取締役会及び株主総会の承認の上、対抗措置を取り得るものと考えます。
ⅰ 当社の株式等を自らまたは自らの関連会社・関連ファンド等によって買い占め、その株式等につき当社に対して高値で買取りを要求する行為
ⅱ ⅰと同様の方法により当社の経営を一時的に支配し、取締役会の報告・議論からM&Aの進捗等の当社経営の重要な情報や業界動向の情報を得た上、知的財産、企業機密、取引先などの当社グループの重要な資産等を廉価に取得する、あるいは子会社を通じ当社と競合する可能性のある業務に参入したり、従業員の引き抜き行為等、当社の株主共同利益を毀損することによって買付者等の利益を実現する経営を行うような行為
ⅲ 当社グループの資産を買付者等やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為
ⅳ 当社の経営を一時的に支配して、当社グループの事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って高値で売り抜ける行為
ⅴ その他、当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく低下させると合理的に判断される場合