有価証券報告書-第29期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/28 12:02
【資料】
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【項目】
123項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における移動体通信市場は、国内外におけるスマートフォンの急速な普及等大きな変革期にあります。巨額の費用を投じて開発された質の高いOSやミドルウェア等のソフトウェア基盤技術が無償で配布されるようになり、また、規制が厳しく一般からの参入が難しかった通信事業者のコンテンツマーケットから、誰もが手軽にコンテンツを提供できるオープンマーケットへの移行が進み、従来のミドルウェアやカジュアルコンテンツの事業からの転換が急務となっております。
このような市場環境において、当社グループは、「M2M」をキーワードに、従来から培ってきた通信や制御の技術を競争力の源にできるよう、来期(平成26年度)以降の収益性の改善と売上高の増加に向けて大きな事業構造の変革を進めるとともに、当社グループの経営資源をM2M関連事業に集中投入できる組織体制の構築を進めております。
(a)ソフトウェア基盤技術事業
テクノロジービジネスの分野では、従来のソフトウェア基盤技術を中心とした事業を急速に縮小し、M2M関連事業で収益を伸ばす体制へと大きな変革を進めております。
ソフトウェア基盤技術事業の国内市場におけるソフトウェア製品売上につきましては、四半期ごとに変動はあったものの、総じて下降トレンドとなっております。
一方、M2M関連事業においては、急速に立ち上がりつつあるM2M関連市場で来期以降に大きく利益を出せるような体制の構築を進めており、高い競争力を実現するために、スマートフォン向けの高度なミドルウェアを開発していたスタッフもM2M関連製品の開発やマーケティング等に漸次移行させております。
また、海外においては、フィーチャーフォン向けのミドルウェア「JBlend」の搭載数の大幅な減少に伴い、「JBlend」を提供するための事業体制を維持する必要性が低くなっております。これに伴い、海外事業所の閉鎖や現地子会社の大幅な縮小等を実施してコスト削減を図る一方で、米国子会社をM2M関連事業の海外拠点として再構築する等、海外事業における組織改革を進めております。
(b)コンテンツ・サービス等事業
ゲーム事業においては、前連結会計年度からの課題である収益性改善について、当連結会計年度における効果は限定的なものに留まりました。しかし、支出面では、ゲーム事業における売上高の30%を超える規模に増大していた外払いの年間ライセンス費を従量制に変えることにより大幅なコスト削減を実現できたため、来期以降の収益性の改善の目途が立っております。また、収入面では、スマートフォン関連の売上高構成比率を50%近くまで伸ばしており、来期は70%以上の売上高がスマートフォン関連から得られる事業構造へと変革しております。
アニメーション事業においては、前連結会計年度からの継続課題として事業構造改革に取り組んでおりますが、いまだなお幾つかの受託案件の収益性は厳しい結果となっており、当連結会計年度における改革の効果は限定的なものに留まりました。
出版事業においては、コミックの発行部数が飛躍的に伸びており、年間発行部数は約2百万部となりました。児童書も作品に恵まれ、少子高齢化が進む中で善戦しております。来期はコミックの発行部数が3百万部を超える見通しです。更に児童書に加え一般書の発行も予定しており、当社グループの収益に貢献できると見込んでおります。
なお、当社は、平成26年1月20日付で株式会社アニメインターナショナルカンパニーの全株式を、平成26年1月31日付で株式会社ジー・モードの全株式を譲渡しております。
これらの結果、当連結会計年度のソフトウェア基盤技術事業の売上高は1,764,963千円(前連結会計年度の売上高2,391,946千円)、コンテンツ・サービス等事業の売上高は4,010,494千円(前連結会計年度の売上高5,107,895千円)となりました。営業損益につきましては、ソフトウェア基盤技術事業の営業損失は695,516千円(前連結会計年度の営業損失1,498,311千円)、コンテンツ・サービス等事業の営業損失は943,788千円(前連結会計年度の営業損失685,380千円)となりました。
また、当連結会計年度においてセグメント損失の調整額が891,991千円(前連結会計年度のセグメント損失の調整額279,564千円)発生しております。セグメント損失は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は5,775,458千円(前連結会計年度の売上高7,499,842千円)となりました。
営業損益につきましては、2,531,296千円の営業損失(前連結会計年度の営業損失2,463,257千円)となりました。
経常損益につきましては、2,438,886千円の経常損失(前連結会計年度の経常損失2,466,542千円)となりました。
当期純損益につきましては、主に事業整理損失引当金繰入額218,467千円及び減損損失290,175千円の計上等により、2,997,481千円の当期純損失(前連結会計年度の当期純損失3,371,027千円)となりました。
なお、事業整理損失引当金繰入額につきましては、前述の株式会社ジー・モードの全株式の譲渡について、譲渡価額が当連結会計年度末現在の連結財務諸表上の簿価よりも低く、損失の発生が確実であることから、当該損失見込額を計上したものです。減損損失につきましては、前述の株式会社アニメインターナショナルカンパニー及び株式会社ジー・モードの全株式の譲渡に伴い、当該2社が当社東京本社から移転することになりましたが、当該2社が使用していた部分の将来の用途が定まっていないことから計上したものです。
(2)キャッシュ・フロー状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1,621,557千円減少し4,687,666千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果減少した資金は、691,777千円(前連結会計年度は350,607千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を2,974,696千円計上したものの、現金支出を伴わない減価償却費を1,411,559千円、のれん償却費を107,160千円、減損損失を290,175千円計上したこと、売上債権の減少額を118,274千円、引当金の増加額を90,567千円、たな卸資産の減少額を86,192千円計上したこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果減少した資金は、1,107,003千円(前連結会計年度は2,233,091千円の減少)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が1,346,891千円発生したこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果減少した資金は、50,327千円(前連結会計年度は27,698千円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が41,367千円発生したこと等によるものであります。